• 更新日 : 2025年11月5日

【記入例付き】傷病手当金申請書の書き方は?1ページ目から4ページ目まで解説【2025年最新】

傷病手当金は、病気やケガで長期間仕事を休む際に、あなたの生活を経済的に支える制度です。しかし、傷病手当金申請書の書き方が分からない、記入例を見ながら正確に作成したいと考える方は少なくありません。

この記事では、全国健康保険協会(協会けんぽ)が令和5年1月以降に導入した新様式をもとに、傷病手当金申請書の入手方法から、申請者本人・会社・医師それぞれの記入欄について、うつ病などのケースも含めた具体的な書き方を解説します。この記事を読めば、申請書の1ページ目から4ページ目まで、迷わずに作成できるようになるでしょう。

そもそも傷病手当金とは?

傷病手当金とは、業務外の病気やケガが原因で仕事を休み、給与が受けられない場合に、健康保険から支給される所得保障制度です。

傷病手当金は、下記の4つの条件をすべて満たしたときに支給されます。

  1. 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
    通勤中や業務上の災害は労災保険の対象となり、傷病手当金の対象外です。また、美容整形のような病気と見なされないものも対象にはなりません。
  2. 仕事に就くことができない状態であること
    労務不能かどうかは、医師の意見などを参考に、被保険者の仕事内容を考慮して総合的に判断されます。
  3. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
    仕事を休んだ日が連続して3日間あった後、4日目以降の休業した日に対して支給されます。この待期期間には、有給休暇や土日・祝日も含まれます。
  4. 休業した期間について給与の支払いがないこと
    休業期間中に給与が支払われた場合でも、その額が傷病手当金の額より少ないときは、差額が支給されます。

傷病手当金申請書の入手から提出までの流れ

傷病手当金の申請は、申請書の準備から始まり、本人、会社、医師がそれぞれ記入し、会社が加入している健康保険の保険者(全国健康保険協会や健康保険組合など)へ提出後、審査を経て支給される流れで進みます。 各ステップで誰が何をすべきかを事前に把握しておきましょう。

申請書の入手方法

申請書は、加入している健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)のウェブサイトからダウンロードするか、勤務先の人事・労務担当部署を通じて受け取るのが一般的です。ご自身が加入している健康保険の種類によって入手先が異なりますので注意してください。

  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合
    公式サイトの「健康保険傷病手当金支給申請書」ページから最新の様式をダウンロードできます。
  • 健康保険組合の場合
    企業が独自に設立している健康保険組合に加入している方は、その組合のウェブサイトを確認するか、勤務先の担当部署に問い合わせてください。

申請から受給までの流れ

申請から受給までは、以下の7つのステップで進行します。各担当者がどの部分を作成するのかをあらかじめ理解しておきましょう。なお、健康保険組合に加入している会社は、組合ごとに申請書式が異なることがあるため注意が必要です。詳しくは加入している健康保険組合に確認しましょう。

内容担当者詳細
申請書の準備本人・会社全国健康保険協会や健康保険組合のサイトや会社から申請書を入手します。
本人記入欄の作成本人自身の情報、振込先口座、申請期間などを記入します。(1・2枚目)
事業主記入欄の作成依頼会社会社の担当部署に依頼し、勤務状況や賃金支払状況を証明してもらいます。(3枚目)
療養担当者記入欄の作成依頼医師療養している医療機関に依頼し、労務不能であったことを証明してもらいます。(4枚目)
申請書へ提出本人 or 会社すべての記入が完了した申請書を、加入している保険者(全国健康保険協会、健康保険組合など)へ提出します。
審査保険者(全国健康保険協会、健康保険組合など)提出された書類をもとに、支給要件を満たしているか審査が行われます。
支給決定・入金保険者(全国健康保険協会、健康保険組合など)審査で承認されると、指定した口座に傷病手当金が振り込まれます。

傷病手当金申請書の書き方

ここからは、全国健康保険協会(協会けんぽ)の様式を例に、傷病手当金支給申請書の具体的な書き方を解説します。申請書は、通常4ページで構成されています。

1・2ページ目:被保険者本人(あなた)の記入方法

申請書の1枚目と2枚目は、申請者本人が自身の情報や申請内容を記入するページです。健康保険証や預金通帳を手元に用意し、正確に記載しましょう。

1ページ目の主な記入項目

1ページ目の主な記入項目

出典:健康保険傷病手当金支給申請書|全国健康保険協会

  • 被保険者証の記号・番号
    お手元の健康保険証に記載されている記号と番号をそのまま転記します。
  • 氏名・フリガナ・生年月日
    戸籍上・住民票上の氏名を正確に記入してください。
  • 住所・電話番号
    現住所と、日中に連絡が取れる電話番号を記入します。
  • 振込先指定口座
    傷病手当金の振込を希望する金融機関の口座情報を記載します。この口座は、被保険者本人名義のものである必要があります。
  • 被保険者(本人)が申請する場合のマイナンバー
    被保険者の記号と番号が不明の場合のみマイナンバー(個人番号)を記入します。マイナンバーを記載した場合は本人確認書類を貼付台紙に貼付して、申請書とともに提出します。

2ページ目の主な記入項目

2ページ目の主な記入項目

出典:健康保険傷病手当金支給申請書|全国健康保険協会

  • 療養のため休んだ期間
    今回申請する期間を記入します。医師が労務不能と認めた期間(4ページ目に記載)の範囲内で、給与の締めに合わせて1ヶ月ごとに申請するのが一般的です。
  • 仕事の内容
    審査担当者が労務不能の状態を判断する重要な情報です。休業前の具体的な業務内容を記入します。
  • 傷病名・初診日など
    4ページ目に医師が記入する傷病名と一致する場合は、チェックするだけです。発病年月日は初めて医師の診察を受けた日である初診日と一致するように正確に記入してください。
  • 傷病の原因
    業務災害や通勤災害は原則として労災保険給付の対象となりますので、先に労働基準監督署で労災保険給付の申請をする必要があります。労災に該当するかわからない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。労災の認定が受けられない場合は、傷病手当金が支給されます。
  • 第三者行為
    交通事故やケンカなど、傷病の原因が第三者によるものである場合は、別途「第三者行為による傷病届」の提出が必要です。
  • 報酬に関する確認
    休んだ期間中に会社から給与や各種手当を受け取ったか、または受け取る予定があるかを回答します。受け取っている場合は、事業主証明欄に記入してある内容と金額に間違いがないか確認する必要があります。
  • 各種年金等の受給に関する確認
    同じ病気やケガが原因で障害厚生年金や労災保険の休業補償給付などを受けている場合、その内容を記入します。他の公的制度から給付がある場合、傷病手当金が調整され、減額されることがあります。

3ページ目:事業主(会社)の記入方法

3ページ目:事業主(会社)の記入方法

出典:健康保険傷病手当金支給申請書|全国健康保険協会

申請書の3枚目は、勤務先の事業主が被保険者の勤務状況や賃金の支払い状況を証明するページです。会社の総務部や人事部の担当者に記入を依頼してください。

  • 勤務状況
    申請対象期間中の出勤日に〇をします。出勤した日には、所定労働時間の一部でも勤務していれば、出勤した日に含まれますので注意しましょう。初回申請時は、待期完成の初日に早退した場合、「早」と表示します。会社の出勤簿などの勤怠記録に基づいて正確に記入します。
  • 賃金の支払い状況
    出勤していない日に報酬を支給した場合のみ、支給した日と報酬金額を記入します。有給休暇の賃金や、出勤の有無にかかわらず支給する通勤手当、住宅手当、家族手当などが該当します。住宅手当、家族手当などは、申請対象期間に対応する給与計算期間で支払われた賃金額を賃金台帳に基づいて記入します。通勤手当を6か月分まとめて支給している場合には、「10月1日〜3月31日 90,000円」などと記入して問題ありません。
  • 事業所情報・証明欄
    申請日、事業所の名称、所在地、電話番号を記入します。

会社の担当者の方は、記入内容に誤りがあると審査の遅延や書類の差し戻しにつながる可能性があります。従業員の生活に直結する手当ですので、出勤簿や賃金台帳と慎重に照合し、正確な記入をお願いします。

4ページ目:療養担当者(医師)の記入方法

4ページ目:療養担当者(医師)の記入方法

出典:健康保険傷病手当金支給申請書|全国健康保険協会

申請書の4枚目は、診察した医師が医学的な見地から、患者が労務不能であったことを証明するページです。療養している医療機関の窓口で記入を依頼してください。

  • 患者情報
    医師が患者、つまり被保険者の氏名(カタカナ)を記入します。
  • 傷病名・発病年月日・初診日・発症または負傷の原因
    診断された病名やケガの名称、その原因、発病した日、初めて診察した日を記入します。
  • 労務不能と認めた期間
    医師が医学的に仕事に就けない状態(労務不能)であったと判断した期間を記入します。この期間が、傷病手当金の支給対象期間の根拠となります。
  • 診療内容・経過など
    具体的な治療内容や症状の経過などを記入する欄です。
  • 医療機関情報・医師の署名
    証明した日付、医療機関の名称、所在地、電話番号を記入し、担当した医師の名前を記入します。

医師の証明書の発行には、医療機関によっては文書作成費用(保険適用外)が発生する場合がありますので、申請前に医師または医院へ確認するとよいでしょう。また、作成には数日から1週間程度要する場合があるため、給与の締日などを考慮して早めに依頼することが大切です。

傷病手当金申請書の記入例

マネーフォワード クラウドでは、傷病手当金申請書の記入例をご用意しております。以下のリンクからダウンロードしてご活用ください。

うつ病などの精神疾患で申請する場合の注意点

うつ病などの精神疾患で傷病手当金を申請する場合、医師との連携と4ページ目の記載内容が特に重要になります。身体的なケガと異なり、外見から労務不能であることが分かりにくいため、医師による医学的な証明がより大きな意味を持ちます。

申請にあたっては、日々の症状や業務に支障が出ている状況を具体的に医師に伝え、4ページ目の診療内容・経過の欄にできるだけ詳しく記載してもらうよう相談しましょう。たとえば、どのような業務で集中力が続かないのか、通勤や対人関係にどのような困難を感じているのかをメモにまとめて渡すと、医師も状況を把握しやすくなります。初診日がいつになるのかも重要な点ですので、医師としっかり確認してください。

傷病手当金申請書についてよくある質問(Q&A)

傷病手当金申請書の記入や手続きを進める上で、多くの方が抱く疑問点についてまとめました。

傷病手当金の申請期間はいつからいつまで?

申請の権利は、労務不能であった日ごとにその翌日から発生し、2年を過ぎると時効によって消滅します。たとえば、2025年9月1日に休業し給与が支払われなかった場合、その日に対する傷病手当金の申請権利は2027年9月2日までです。給与の締めに合わせて1ヶ月ごとに申請するのが一般的ですが、数ヶ月分をまとめて申請することもできます。ただし、2年の時効には十分に注意してください。

傷病手当金申請書の2回目以降の書き方は?

基本的な書き方は初回と同じです。ただし、申請期間は前回の続きの期間を記入します。通常は4ページすべてを揃えて提出しますが、再提出や2回目以降の申請において省略可能な部分があるかどうかは、管轄の協会けんぽ支部にご確認ください。

傷病手当金申請書を書き間違えたらどうする?

修正液や修正テープは使用できません。間違えた箇所に二重線を引き、その上から正しい内容を記入します。自己判断で修正せず、医師や会社の担当者に相談してください。

傷病手当金申請書を正しく記入しましょう

この記事では、傷病手当金申請書の具体的な書き方を中心に、申請の流れやケース別の注意点を解説しました。傷病手当金は、療養中の生活を支えるための大切な公的保障です。

傷病手当金の申請をスムーズに進めるためには、申請者本人、会社、医師の三者がそれぞれ正確な情報を記載し、連携することが大切です。今回紹介した傷病手当金申請書の書き方を参考に、一つひとつの項目を落ち着いて確認しながら書類を完成させてください。もし記入方法で不明な点があれば、一人で悩まず、勤務先の担当者や加入している全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合の窓口へ早めに相談しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事