• 作成日 : 2026年1月14日

官報公告とは?掲載が必要なケースや費用・手続きの流れをわかりやすく解説

官報公告とは、会社法などの法律に基づき、企業が株主や債権者等の利害関係者に対して重要な決定事項を知らせるための公的な通知制度です。主に決算内容の開示(決算公告)や、合併・解散時などに利用されます。

本記事では、官報公告の基礎知識から、日刊紙や電子公告との違い、具体的な掲載料金の目安、そして申し込みから掲載までの手順について詳しく解説します。

官報公告とは?

官報公告とは、内閣府が行政上の義務として発行する「官報」という媒体を使って、法律で定められた事項を広く一般に知らせる行為を指します。

企業には、組織再編や特定の日付をもって権利が変更される場合などに、利害関係者(特に債権者)を保護するために情報を公開する義務があります。この「法定公告」を行うための最も代表的かつ標準的な手段が官報公告です。官報は休日を除く毎日発行されており、全国の官報販売所を通じて誰でも閲覧・購入が可能であるため、公的な周知手段として機能しています。

参考:官報について|独立行政法人 国立印刷局

官報公告を行う理由は?

官報公告を行う最大の理由は、会社法に定められたコンプライアンス(法令遵守)義務を果たすためです。

株式会社などの法人は高い独立性と社会的責任を持っているため、会社の財産状況や組織の変更など、利害関係者に影響を及ぼす情報は隠さずに公開しなければなりません。これを怠ると、法的なペナルティが科されたり、登記申請が却下されたりするリスクがあります。また、取引先や金融機関に対する企業の透明性・信頼性を担保する上でも、適切な情報開示は不可欠です。

官報公告と他の公告方法(日刊紙・電子公告)の違いは?

法定公告の方法は定款によって「官報」「日刊新聞紙」「電子公告」の3つから選択できますが、コストと手間のバランスから「官報」が最も一般的に選ばれています。

  • 官報
    掲載料が比較的安価で手続きがシンプルであり、標準的な手続きを好む企業やコストを抑えたい企業に適しています。
  • 日刊新聞紙
    認知度が高いものの、掲載費用が高額になりがちです。
  • 電子公告
    掲載文自体のコストは低いものの、長期間の掲載継続や調査機関による有料調査が必要になる場合があります。

官報公告が必要となるケースは?

官報公告は大きく分けると、毎年行う「決算公告」と、重要な決定をした際に行う「決定公告」の2種類に分類されます。

1. 決算公告

すべての株式会社には原則として毎年、定時株主総会の終結後に遅滞なく「決算公告」を行う義務があります。決算公告とは、貸借対照表(大会社の場合は損益計算書も含む)の要旨を開示し、会社の財務状況を公にするものです。

これは企業の透明性を維持するための定期的な義務であり、もっとも頻繁に行われる官報公告の一つです。中小企業等では実施率が低い実態もありますが、本来は必須の手続きであり、コンプライアンス意識の高まりとともに重要視されています。

2. 決定公告

合併、解散、資本金の減少、組織変更などの重要な決定を行った際には、その事象が発生したタイミングで「決定公告」の掲載が必要です。

具体的には、合併公告や解散公告などを通じて、債権者に対し「異議があれば申し出てください」という期間を設ける必要があります。特にM&Aや廃業の手続きを進める上では、官報への掲載がスケジュールの必須工程となるため、早期の準備が求められます。

分類掲載内容(通称)概要
決算公告貸借対照表の要旨定時株主総会の終結後、遅滞なく財務状況を開示するもの。
組織再編合併公告他社と合併する際に、債権者が異議を述べられる期間を設けるためのもの。
組織変更組織変更公告株式会社から合同会社へ、あるいはその逆への変更時などに行うもの。
事業終了解散公告会社をたたむ(解散する)際、債権者に申し出を求めるもの。
資本政策資本金減少公告減資を行う際に、債権者保護手続きとして行うもの。

官報公告の掲載費用はいくら?

官報公告の掲載料は枠の大きさによって決まり、一般的な決算公告であれば、約75,000円〜85,000円程度が相場です。

料金は掲載内容の文字数によって行数が増減し、それに応じて枠サイズが変わる仕組みです。

公告の種類標準的なサイズ料金目安(税込)
決算公告2枠(横書き)約75,000円〜
解散公告9〜11行(縦書き)約35,000円〜42,000円
合併公告10〜20行(縦書き)約40,000円〜80,000円
資本減少10〜12行(縦書き)約40,000円〜45,000円

例えば、決算公告では貸借対照表の内訳科目数によって行数が増えるため、詳細を載せるほど高額になります。また、解散公告や合併公告などは縦書きの行数課金となり、概ね3万〜8万円程度で収まるケースが多いですが、料金は改定される場合があるため、申し込み時に必ず見積もりを確認してください。

官報公告の申し込みから掲載までの流れは?

官報公告の申し込みから掲載までの流れは、以下の通りです。

1. 掲載内容の作成

まず、何を掲載するか(決算、解散、合併等)を決め、必要なデータを用意します。決算公告であれば、確定した貸借対照表の数値が必要です。官報販売所のウェブサイト等のひな形(テンプレート)を活用するとスムーズです。

参考:掲載文例・原稿ひな形:法定公告 | ファイル添付送信での申し込み | 全国官報販売協同組合

2. 官報販売所へ申し込み

最寄りの官報販売所またはインターネットの申込み代行サービスを通じて申し込みます。原稿案をメールやFAX、専用フォームで送信します。

参考:官報サービスセンター・官報公告等取次店一覧

3. 校正

販売所にて原稿が組版され、校正紙(ゲラ)が送られてきます。数字や会社名、住所に誤りがないかを入念にチェックします。掲載後の訂正は原則として「訂正公告」として別料金が発生するため、ここでの確認が最重要です。

4. 掲載料金の支払い

校了後、請求書に基づいて掲載料を支払います。前払いが必要なケースと、後払いが可能なケースがありますが、初回利用の場合は前払いを求められることが一般的です。

5. 掲載・官報の受け取り

指定した掲載日に官報が発行されます。掲載された官報は、証憑(証拠書類)として1部送付されることが一般的です。登記手続きなどに必要な場合は、予備を購入しておくことをお勧めします。

官報公告に必要な期間は?

合併や解散、減資などに伴う債権者保護手続では、官報に掲載してから「1ヶ月以上の異議申出期間」を設けなければなりません。

官報公告は、掲載申し込みから発行まで約2週間かかります。したがって、スケジュールを組む際は、トータル1ヶ月半程度の時間を見込んでおく必要があります。この期間中に債権者から異議が出なければ、手続きは承認されたものとみなされます。

1ヶ月はあくまで最低期間であり、期間計算を誤ると手続きが無効になるリスクがあるため、司法書士等の専門家と確認しながら余裕を持って日付を確定させてください。

官報公告を怠った場合のリスクは?

公告義務を怠った場合、会社法第976条に基づき、代表者等に対して「100万円以下の過料」が科される可能性があります。

罰則以外にも、以下のような実務上のデメリットが発生します。

  1. 登記ができない
    合併や減資、解散の登記申請時には、官報公告を行ったことを証明する書面(公告の切り抜き等)の提出が必須です。これがないと法務局で登記が受理されず、手続きが完了しません。
  2. 金融機関・取引先からの信用低下
    コンプライアンス意識の低い企業とみなされ、融資審査や新規取引の際にマイナス評価を受けるリスクがあります。

官報情報の閲覧・検索方法は?

発行された官報は、各地の官報販売所で購入できるほか、インターネット上で無料で閲覧することも可能です。独立行政法人国立印刷局が運営する「インターネット版官報」では、直近の官報(本紙、号外など)を無料で閲覧できます(過去30日分など期間制限あり)。

自社の掲載確認だけでなく、取引先の動向調査や競合他社の決算情報の確認などにも活用されています。

参考:官報

官報公告は企業の透明性を守る重要な手続き

官報公告とは、会社法等のルールに則り、企業の重要情報を公に知らせるための手続きです。

特に「決算公告」は毎年の義務であり、「解散」や「合併」などの節目でも必須となります。電子公告や日刊紙に比べてコストパフォーマンスが良く、手続きも定型化されているのが特徴です。

適切なタイミングで公告を行わないと、過料のリスクや登記の遅延を招く恐れがあります。掲載までは申し込みから約2週間かかるため、スケジュールの余裕を持って準備を進めましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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