• 更新日 : 2026年3月11日

【テンプレート付】就任承諾書の書き方は?住所や実印、収入印紙などのルールも解説

Point就任承諾書の記載ポイント

就任承諾書とは、選任された役員が就任の意思を証明し、商業登記申請において提出が義務付けられている書類です。

  • 住所表記:印鑑証明書と一字一句一致させる
  • 押印ルール:事務ミス防止と本人性担保のため、全員「実印」の使用が推奨
  • 収入印紙:課税文書ではないため不要

法務局は「就任承諾書」と「印鑑証明書」の住所が完全に一致しているかを厳格に審査するため、ハイフンを使わず正確に転記してください。

会社法において、新たに役員(取締役、代表取締役、監査役など)に就任する際には、本人の意思を確認し、法務局への登記申請を行うために「就任承諾書」の作成が必須です。

本記事では、就任承諾書の正しい書き方を中心に、そのまま使えるテンプレート・ひな形、登記で失敗しないための住所記載や印鑑(実印・認印)のルールを解説します。はじめて役員になる方や、手続きを担当する総務・法務担当者の方はぜひ参考にしてください。

就任承諾書とは?

就任承諾書とは、株主総会などで選任された役員が「その就任を承諾したこと」を証明する書面であり、会社の商業登記申請において添付が義務付けられている書類です。

Letter of acceptance of appointment

会社と役員の関係は「委任関係」にあります(会社法第330条)。会社側が一方的に選任するだけでは就任は成立せず、選ばれた本人の承諾があって初めて効力が生じます。この合意を客観的に証明し、法務局での登記手続きを円滑に進めるために、就任承諾書の提出が必要不可欠となります。

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気のガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

会社設立時に決めることチェックリスト

「会社設立時に決めることチェックリスト」では、会社設立の基本事項や、株式会社・合同会社別の決めることチェックリストなどを、1冊にまとめています。

図解でカンタンにまとめており、完全無料でダウンロードいただけます。

無料ダウンロードはこちら

補助金をまるっと理解!会社設立時の補助金ガイド

補助金の概要や各制度の内容に加え、会社設立直後の企業でも使いやすい補助金や実際の活用事例などについてまとめました。

「使えたのに知らなかった!申請が漏れてた!」といったことを防ぐためにも、会社設立時の資金調達方法の一つとしてお役立てください。

無料ダウンロードはこちら

法人成り手続きまるわかりガイド

初めて法人成りを考える方に向けて、法人成りの手続きや全体の流れ、個人事業の整理方法など、必要な情報をわかりやすくご紹介したガイドです。

多くの個人事業主の方にダウンロードいただいておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。

無料ダウンロードはこちら

起業家1,040人への調査でひも解く!先輩起業家が一番困ったことガイド

マネーフォワード クラウド会社設立では、会社設立の経験がある方1,040名に対して、会社設立に関する調査を実施しました。

先輩起業家が悩んだ部分や、どのように会社設立を行ったかを、定量的に分析していますので、ぜひご活用ください。

無料ダウンロードはこちら

就任承諾書の種類は?

会社設立や役員変更の際、作成が必要となる就任承諾書は役職ごとに異なります。ここでは主な種類と、それぞれの役割を整理します。

取締役就任承諾書

取締役に選任された本人が、就任を承諾したことを証明します。設立時や役員改選時に、選任された取締役の人数分(全員分)を作成する必要があります。

代表取締役就任承諾書

取締役の中から代表取締役を選定した場合に作成します。取締役会設置会社など、選任方法によっては「取締役としての承諾」とは別に、代表取締役としての承諾書が別途必要になるケースがあります。

監査役就任承諾書

監査役として就任を承諾したことを証明します。監査役を置かない会社(機関設計による)では作成不要です。

なお合同会社において、複数の社員の中から「代表社員」を互選(話し合い等)で定めた場合は、「代表社員就任承諾書」が必要です。これは株式会社の代表取締役に相当するポジションへの就任を承諾する書類となります。

就任承諾書の書き方は?

就任承諾書に決まった法的な様式はありませんが、登記を通すために必ず記載すべき要素があります。A4用紙1枚に収まるよう、以下の要領で作成してください。

日付

基本的には「就任を承諾した日(作成日)」を記載しますが、選任決議の日付と合わせるのが一般的です。

  • 株主総会当日に承諾した場合:総会開催日
  • 後日承諾した場合:実際に承諾書を書いた日付

※ただし、予選(あらかじめ選任しておくこと)などで就任日が先の日付になる場合は、日付の扱いに注意が必要です。迷った場合は司法書士への確認を推奨します。

取締役の住所

印鑑証明書の記載通り、一字一句省略せずに記載してください。

ここが最も不備になりやすいポイントです。法務局の登記官は、提出された「就任承諾書」と「印鑑証明書」を並べて、住所表記が一致しているかを厳格にチェックします。

例えば、「東京都港区赤坂1丁目1番○号」と記載する方法は正しいですが、略記号を用いた「東京都港区赤坂1-1-○」は認められないので注意が必要です。

取締役の氏名

印鑑証明書の記載通り、正確な漢字で記載します。普段は簡単な漢字を使っていても、戸籍上の漢字(旧字体など)が使われている場合は、それに従う必要があります。

会社名

定款に記載している商号を、省略せずに正式名称で記載してください。

例えば、「株式会社ビジネスアドバイザリー」は正しいですが、株式会社を略し「(株) ビジネスアドバイザリー」と記載することは認められていません。

取締役の押印

どのハンコを押すべきか迷ったら、すべて実印で対応するのが確実で安全です。役職や会社の機関設計(取締役会があるかどうか)によって法的要件は異なりますが、実務上は以下の理由から全員実印での運用が推奨されています。

  1. 本人性の担保:後日「勝手に役員にされた」というトラブルを防ぐため。
  2. 事務フローの統一:「誰が実印で誰が認印か」を管理するより、全員実印で統一した方がミスが少ないため。

また、記載ミスに備えて欄外に「捨印」(書類の上部余白などに押す同じ印鑑)を押しておくと、万が一の軽微な修正に対応できるためおすすめです。

就任承諾書のひな形・テンプレート

マネーフォワード クラウド会社設立では、無料で使える就任承諾書のひな形・テンプレートをご用意しています。以下のリンクからダウンロードし、必要箇所を書き換えてご利用ください。

就任承諾書に押印する印鑑と印鑑証明書のルールは?

法律上の厳密なルールを知りたい方のために、役職ごとの要件を整理しました。

代表取締役・取締役会非設置会社の場合

実印の押印と印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)の添付が必須です。会社の実印(代表者印)を登録する際の本人確認や、各自が代表権を持つ可能性があるため、厳格な確認が求められます。

参考:会社・法人代表者の印鑑証明書を取得したい方|法務局

取締役会設置会社の取締役・監査役の場合

法律上は「認印」でも可、印鑑証明書も原則不要ですが、「実印」が強く推奨されます。銀行融資や不動産取引等の際、取締役全員の実印押印がある書類を求められるケースがあるため、将来のリスク回避としても実印で作成しておくのが無難です。

役職・ケース必要な印鑑印鑑証明書の添付おすすめ
代表取締役(就任時)実印必要実印
取締役(取締役会なし)実印必要実印
取締役(取締役会あり)認印でも可原則不要実印
監査役認印でも可原則不要実印

就任承諾書についてよくある質問

最後に、就任承諾書についてよくある質問とその回答をまとめました。

就任承諾書に収入印紙は必要?

いいえ、必要ありません。就任承諾書は印紙税法上の「課税文書」に該当しないためです。雇用契約書などとは扱いが異なるため、節税の観点からも安心して作成してください。

参考:No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁

重任(再選)の場合も就任承諾書は必要ですか?

はい、毎回必要です。任期満了で一度退任し、新たな任期で再契約を結ぶ形になるため、同じ人が再任する場合でも必ず作成してください。住所変更がある場合は、新住所で記載し、別途住所変更登記が必要です。

就任承諾書に電子署名は使えますか?

はい、使えます。紙の就任承諾書の代わりに、電子署名を付与したPDFデータを提出できます。ただし、法務省が認める電子証明書(商業登記電子証明書やマイナンバーカード等)が必要になるなど要件があるため、導入には事前の確認が必要です。

就任承諾書を省略できる「席上承諾」とは?

議事録内で承諾の旨を記載し、書類を省略する方法ですが、別途作成がおすすめです。

株主総会議事録に「被選任者は、席上、直ちに就任を承諾した」と記載し、その議事録を援用することで省略可能です。しかし、この場合は議事録自体に個人の実印を押す必要が出てくるなど管理が複雑になるため、実務上は「就任承諾書を別途作成する」のが一般的です。

就任承諾書を正しく作成しよう

就任承諾書は、会社と役員の信頼関係と契約成立を証明する重要な書類です。最後に、作成における最重要チェックリストを振り返ります。

  1. 記載内容:日付・住所・氏名・会社名を網羅する
  2. 住所表記:印鑑証明書と「一字一句」完全に一致させる(ハイフン禁止)
  3. 印鑑:迷ったら「実印」を使用し、訂正用に「捨印」を押す
  4. 収入印紙:不要
  5. 重任時:毎回作成が必要

これらを守れば、法務局からの補正指示を防ぎ、最短でスムーズに登記を完了させることができます。役員就任は会社の新たなスタートです。不備のない書類作成で、良いスタートダッシュを切りましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事