• 更新日 : 2026年1月14日

本店移転登記の必要書類は?管轄内外の違いや書き方・記入例、ダウンロード方法まで解説

本店移転登記(会社の住所変更手続き)は、移転先が現在の法務局の管轄内か管轄外かによって必要書類や費用が大きく異なります。

本記事では、本店移転登記の必要書類を中心に、複雑な手続きを整理し、申請書の書き方や綴じ方まで、初めての方でも迷わず進められるよう解説します。

本店移転登記の必要書類は?

本店移転登記の必要書類において最も重要なポイントは、移転先の住所が現在の法務局の管轄内か管轄外かを最初に確認することです。これにより提出書類や費用が異なります。

参考:管轄のご案内|法務局

管轄内移転の必要書類

管轄内移転とは、同一の法務局の管轄区域内で本店を移動させることです。この場合、既存の印鑑情報などがそのまま引き継がれるため、提出書類は比較的少なくて済みます。

  • 本店移転登記申請書(1通)
  • 株主総会議事録定款変更が必要な場合)
  • 株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)
  • 取締役会議事録 または 取締役決定書
  • 委任状(司法書士などの代理人に依頼する場合)

たとえ近場の移転であっても、定款に「当会社は本店を東京都渋谷区に置く」と記載があり、港区へ移転する場合などは定款変更が必要となるため、株主総会議事録が必須となります。

管轄外移転の必要書類

管轄外移転とは、現在の法務局の管轄区域を超えて本店を移動させることです。この場合、新しい法務局へ会社情報を登録し直すため、申請書が2通必要になり、印鑑情報の再登録手続きも発生します。

  • 本店移転登記申請書(2通)
  • 株主総会議事録(定款変更が必要な場合)
  • 株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)
  • 取締役会議事録 または 取締役決定書
  • 印鑑届書
  • 印鑑カード交付申請書
  • 委任状(代理人に依頼する場合)

管轄外移転の場合、登記申請と同時に「印鑑届書」を出し、登記完了後に「印鑑カード交付申請書」を出して新しいカードを受け取る流れが一般的です。

本店移転登記の必要書類の書き方は?

書類をダウンロードして記入する際、形式的な不備があると法務局で受理されず、修正の手間が発生します。ここでは、各書類の作成において特に注意すべき重要事項と書き方のポイントを解説します。

1. 本店移転登記申請書

本店移転登記申請書は、法務局に対し「商号」「旧本店」「新本店」「移転日」などの重要事項を伝え、登記簿の書き換えを請求するための公的な申請フォーマットです。法務局のWebサイトからテンプレートをダウンロードし、以下の項目を正確に記入します。

参考:商業・法人登記の申請書様式|法務局

主な記載事項
  • 商号・法人番号:現在の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の記載通り、一字一句正確に転記してください。
  • 登記の事由:「本店移転」と記載します。
  • 移転日:取締役会等で決定した日、実際に業務を開始する日、書類上の記載日が矛盾しないよう注意が必要です。
  • 登録免許税:必要な金額分の収入印紙を貼付します。

株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所内移転)の記載例

株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所内移転)の記載例

引用:株式会社本店移転登記申請書|法務局

株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所外移転)の記載例

株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所外移転)の記載例

引用:株式会社本店移転登記申請書|法務局

2. 株主総会議事録

定款に記載された本店所在地(最小行政区画)を変更する場合、定款変更の決議が必要となり、その証拠として株主総会議事録の提出が求められます。

定款変更には「特別決議」が必要であり、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。

主な記載事項
  • 開催日時・場所:株主総会の開催日時・場所を記載します。
  • 出席株主数・議決権数:議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。
  • 決議内容:「定款変更の件」として、本店所在地の変更が決議されたことを記載します。
  • 押印:議長および出席取締役の実印(または会社実印)を押印します。

3. 株主リスト

株主リストは、株主総会議事録を添付する場合に提出が必須となる書類です。

これは、株主総会が適正に行われ、議決権を持つ株主が正当に賛成したことを証明するためのものです。登記申請の段階で、議決権数の上位10名の株主、または議決権割合が3分の2に達するまでの株主の氏名・住所・株式数などをリスト化して提出します。

4. 取締役決定書 または 取締役会議事録

移転することに加え、具体的な移転日や詳細な番地を正式に決定したことを証明するために必要です。

取締役会設置会社であれば「取締役会議事録」を作成し、取締役会非設置会社であれば「取締役決定書(取締役の過半数の一致を証する書面)」を用意します。

移転日は、賃貸借契約や内装工事のスケジュールを確認し、現実的に業務を開始できる日を定めて記載してください。この日付が登記申請上の「移転日」となります。

5. 印鑑届書

管轄外へ移転する場合、新しい法務局へ会社の実印(代表者印)を改めて登録し直すために、印鑑届書が必要です。移転の登記申請書とセットで提出します。

印鑑届書

引用:印鑑(改印)届書

これにより、移転完了後に新しい法務局で印鑑証明書が取得できるようになります。なお、新しい印鑑カードを取得するための「印鑑カード交付申請書」は、登記完了後に提出します。

印鑑カード交付申請書

引用:印鑑カード交付申請書

6. 委任状

委任状は、司法書士などの専門家に申請を依頼する場合に必要です。代理人の権限の範囲や、委任する日付、委任者の氏名・押印(会社実印)を記載します。

自分で申請する場合でも、社員に窓口提出を任せる場合などに必要になるケースがあります。

本店移転登記の必要書類のダウンロード方法は?

本店移転登記に必要な申請書様式は、法務局の公式ホームページにある「商業・法人登記の申請書様式」ページから無料で入手可能です。Word形式またはPDF形式でダウンロードできるため、自社で編集しやすい形式を選んでください。

法務局サイトには記入例も掲載されていますが、あくまで一般的な記載内容です。商号や住所は自社の登記簿謄本の内容に合わせて正確に修正する必要があります。初めて手続きを行う場合は、記載例と手元の謄本を並べて確認しながら作成することをおすすめします。

本店移転登記の必要書類の正しい綴じ方は?

複数の書類を提出する場合、バラバラにならないよう左側をホッチキスで留め、ページをまたぐ部分に「契印(割印)」を押すのが正しいルールです。

具体的な手順は以下の通りです。

  1. 重ね順の整理:申請書を1枚目(一番上)にし、登録免許税分の収入印紙を貼った台紙を2枚目にして重ねます。議事録などの添付書類はその下に続きます。
  2. ホッチキス留め:左側2箇所をホッチキスで留めます。
  3. 契印(割印)の押印:ページをめくったつなぎ目に、申請書に押した印鑑と同じもの(会社実印)で契印を押します。

なお、議事録などの原本を返却してもらいたい場合(原本還付請求)は、原本のコピーを添付し、そのコピーに「原本に相違ありません」と記載して記名押印する手続きが必要です。

本店移転登記を申請するまでの流れは?

書類作成から申請、完了までの一連の流れを把握しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。

1. 移転先と移転日の決定・取締役の決議

まずは取締役(または取締役会)により、新本店の具体的な住所と移転日を正式に決定します。

この段階で、賃貸借契約の締結やオフィス内装工事のスケジュールを確認し、現実的に業務開始できる日を「移転日」として定めます。

2. 株主総会での定款変更決議

現在の定款に記載されている本店所在地(最小行政区画)から外れる場所へ移転する場合は、臨時株主総会を開き、定款変更の決議を行います。

例として、「東京都千代田区」から「東京都中央区」へ移転する場合などが該当します。この決議を経て、議事録を作成します。

3. 必要書類の作成と押印

申請書、各議事録、株主リストを作成し、会社実印および個人の実印を適切に押印します。

書類に不備がないよう、法務省の記載例を参考に作成するか、司法書士やオンラインの登記支援サービスを活用して作成します。

4. 法務局への申請と費用納付

管轄の法務局へ書類を持参、または郵送し、登録免許税として収入印紙を納付します。

  • 申請期限:本店移転の日から2週間以内
  • 提出先:旧本店所在地を管轄する法務局

本店移転登記の具体的な申請方法は?

書類が完成したら、いよいよ申請です。管轄外移転でも、提出先は「旧所在地を管轄する法務局」1箇所で済みます。

窓口または郵送での申請

作成した書類一式を管轄の法務局へ持参するか、書留郵便で郵送することで申請できます。郵送の場合は、封筒の表に「本店移転登記申請書在中」と赤書きし、返信用の封筒も同封しておくと安心です。

オンライン申請

登記・供託オンライン申請システム」を利用すれば、自宅やオフィスからインターネット経由で申請が可能です。

登録免許税が電子納付できる等のメリットがありますが、専用ソフトのセットアップや電子署名等の環境設定が必要なため、単発の移転登記ではハードルが高い場合があります。

本店移転登記にかかる費用(登録免許税)は?

本店移転登記には、手数料として「登録免許税」がかかります。この費用は収入印紙を購入して納めますが、管轄内移転か管轄外移転かによって金額が倍になります。

  • 管轄内移転:30,000円(移転登記1件分)
  • 管轄外移転:60,000円(旧所在地での抹消申請3万円+新所在地での設定申請3万円)

これは自分で手続きを行った場合の実費(税金)です。司法書士に依頼する場合は、これに加えて数万円〜の専門家報酬が発生します。コストを抑えたい場合は、自分で書類作成を行うか、登記支援ツールなどを活用する方法があります。

本店移転登記完了後に必要な届出は?

法務局での登記手続きが完了しても、行政機関への住所変更は自動的には行われません。登記完了後は、速やかに新しい「登記事項証明書(履歴事項全部証明書)」を取得し、関係各所へ異動届を提出する必要があります。

参考:登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です|法務局

主な提出先は以下の通りです。

  • 税務署:異動届出書(法人税消費税関連)、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
  • 都道府県税事務所:事業開始等申告書
  • 年金事務所:健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地名称変更(訂正)届
  • 労働基準監督署・ハローワーク:労働保険関連の変更届
  • その他:銀行、クレジットカード会社、郵便局への転送届など

これらの手続きを怠ると、重要書類が届かない等のトラブルに繋がるため、登記完了とセットで計画的に行いましょう。

本店移転登記の手続きを正しく理解しよう

本店移転登記は、移転先が現在の法務局の管轄内か外かによって、必要書類と費用(登録免許税)が明確に異なります。

  • 主な必要書類:登記申請書、株主総会議事録、取締役決定書、株主リストは基本的にどのパターンの移転でも必要です。
  • 管轄外への移転の場合:上記に加え「印鑑届書」が必須となり、登録免許税は6万円(管轄内は3万円)かかります。
  • 申請期限:本店移転の日から2週間以内に、旧所在地の法務局へ申請してください。

書類の不備による再提出や、期限遅れによる過料のリスクを防ぐためにも、まずは「新旧の住所の管轄法務局」を調べることから始めてみてください。


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