• 作成日 : 2025年12月11日

合同会社の本店移転とは?管轄内・管轄外手続きや必要書類、費用などを解説

合同会社(LLC)の本店(事務所)を移転する際、法務局への変更登記申請が法律で義務付けられています。この手続きは、移転先が現在の法務局の管轄内か管轄外かによって、登録免許税(費用)や必要書類、手続きの難易度が大きく異なります。

この記事では、合同会社の事務所移転を自分で行うことを検討している経営者や担当者向けに、手続きの全体像、管轄内・管轄外それぞれの具体的なステップ、合同会社本店移転登記申請書の入手方法、オンライン申請の方法、そして移転後に必要な税務署などへの届出まで詳しく解説します。

合同会社の本店移転とは?

合同会社の本店移転とは、会社の主たる事務所の所在地を変更し、その旨を法務局の登記簿に反映させる法的手続きです。

株式会社の本店移転との違い

株式会社の本店移転との最大の違いは、その意思決定の方法にあります。

  • 合同会社(LLC)の場合
    定款変更が伴う場合、原則として総社員の同意が必要です。定款変更がない場合でも、業務執行社員の過半数の同意(または定款の定めに従う)で決定するのが一般的です。
  • 株式会社の場合
    株主総会(定款変更が必要な場合)や、取締役会(定款変更が不要な場合)の決議によって決定されます。

管轄内移転と管轄外移転の違い

本店移転の手続きは、移転先が現在の法務局の「管轄内」か「管轄外」かによって、登記申請の方法と登録免許税(費用)が大きく異なります。

管轄とは、登記手続きを扱う法務局の担当エリアのことです。市町村区の境界と法務局の管轄が一致しない場合もあるため、必ず法務局のWebサイトで管轄区域を確認してください。

参考:管轄のご案内|法務局

移転パターン 登録免許税(費用) 備考
管轄内移転 30,000円 申請は1件
管轄外移転 60,000円 旧本店分(3万円)+新本店分(3万円)
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合同会社の本店移転に定款変更は必要?

合同会社の本店移転に定款変更が必要かどうかは、現在の定款に本店所在地がどのように記載されているかによって決まります。

定款変更が不要なケース

多くの合同会社では、定款に「当会社は、主たる事務所を東京都新宿区に置く。」のように、最小行政区画(市区町村)までしか定めていません。この場合、同じ新宿区内で移転するのであれば、定款の記載内容に変更がないため、定款変更は不要です。

定款変更が必要なケース

以下のいずれかに該当する場合は、定款変更の手続きが必須となります。定款変更には、原則として総社員の同意が必要です。

  1. 最小行政区画を越えて移転する場合
    例:「東京都新宿区」から「東京都渋谷区」へ移転する場合
  2. 定款に具体的な地番まで記載している場合
    例:「東京都新宿区〇丁目〇番〇号」と定款に記載があり、同じ新宿区内の別のビルに移転する場合

合同会社の管轄内移転の手続きは?

管轄内移転は、多くの場合、定款変更が不要なため、手続きは比較的シンプルで、自分で行いやすいパターンです。

1. 総社員の同意を得て、同意書を作成する

まず、新しい本店所在地と移転日について、業務執行社員の過半数(または定款の定めに従う)の同意を得ます。

ただし、実務上は後々の証拠とするため、全社員の同意を得て「総社員の同意書」(または「業務執行社員の過半数の一致を証する書面」)を作成するのが一般的です。

2. 本店移転登記申請書を作成する

法務局に提出する「本店移転登記申請書」を作成します。様式は、法務局のWebサイトからダウンロード可能です。

参考:商業・法人登記の申請書様式|法務局

3. 必要な添付書類を準備する

作成した「総社員の同意書」(または業務執行社員の過半数の一致を証する書面)を準備します。司法書士に依頼する場合は「委任状」も必要です。

4. 法務局へ登記申請を行う

準備した登記申請書と添付書類を管轄の法務局に提出します。登録免許税3万円分の収入印紙を申請書に貼付(または別紙に貼付)して納付します。

合同会社の管轄外移転の手続きは?

管轄外移転は、必ず定款変更が伴うため「総社員の同意」が必須であり、申請先(旧法務局)と登録先(新法務局)が異なるため、手続きが複雑になります。

1. 定款変更のため総社員の同意を得る

管轄外への移転は、定款に記載された最小行政区画を変更することになるため、必ず「定款変更」が必要となります。合同会社の定款変更は、原則として総社員の同意が必須です。定款の変更内容、新しい本店所在地、本店移転日を決定し、「総社員の同意書」を作成します。

2. 本店移転登記申請書を2通作成する

管轄外移転の場合、登記申請書を「旧本店所在地あて」と「新本店所在地あて」の2通分作成します(ただし、1通の申請書にまとめて記載する「連記式」での提出も可能です)。

  • 旧本店あての申請書:登録免許税 30,000円
  • 新本店あての申請書:登録免許税 30,000円

3. 旧本店所在地の法務局へ登記申請を行う

申請書と添付書類一式を、移転日から2週間以内に、旧本店所在地の管轄法務局にまとめて提出します。

登録免許税は合計6万円分の収入印紙を貼付します。申請が受理されると、旧法務局から新法務局へ書類が転送され、新法務局で新しい登記簿が作成されます。

合同会社の本店移転登記に必要な書類一覧は?

本店移転登記の必要書類は「登記申請書」と「総社員の同意書(または業務執行社員の決定書)」です。管轄外移転の場合は、さらに「印鑑届書」も必要になります。

自分で申請する場合の必要書類は以下の通りです。

合同会社本店移転登記申請書
  • 管轄内移転:1通
  • 管轄外移転:2通(または連記式1通)
  • 入手先:法務局のWebサイトから様式をダウンロード可能

参考:商業・法人登記の申請書様式|法務局

総社員の同意書
  • 定款変更がある場合:必須
  • 定款変更がない管轄内移転の場合:推奨※
  • 入手先:自分で作成
業務執行社員の過半数の一致を証する書面
  • 定款変更がない管轄内移転で、定款の定めに従う場合※
  • 入手先:自分で作成
印鑑届書
  • 管轄外移転の場合:必須
  • 入手先:法務局のWebサイトから様式をダウンロード可能

参考:商業・法人登記の申請書様式|法務局

委任状
  • 司法書士に依頼する場合:必要
  • 入手先:司法書士が用意

※定款変更がない管轄内移転の場合、本店所在場所の決定方法は定款の定めに従いますが、実務上の確実性を期すため「総社員の同意書」を作成するのが一般的です。

総社員の同意書(または業務執行社員の決定書)の書き方

総社員の同意書に決まった書式はありませんが、以下の項目を盛り込みます。

  • タイトル:「総社員の同意書」または「業務執行社員決定書」
  • 決定事項
    1. (定款変更が必要な場合)定款第〇条を以下の通り変更すること。
      「(変更前)当会社は、主たる事務所を東京都新宿区に置く。」
      「(変更後)当会社は、主たる事務所を神奈川県横浜市に置く。」
    2. 当会社の本店を以下の場所に移転すること。
      「本店:神奈川県横浜市〇区〇町〇丁目〇番〇号」
    3. 本店移転日を「202X年〇月〇日」とすること。
  • 同意の文言:「上記について、総社員(または業務執行社員の過半数)は同意した。」
  • 日付:同意した日付
  • 署名押印:合同会社名、および全社員(または同意した業務執行社員)の住所・氏名を記載し、押印(会社実印ではなく個人の実印が望ましいですが、認印でも登記は可能です)。

本店移転登記申請書の記載例

法務局のWebサイトに記載例がありますので、そちらを必ず参照してください。

本店移転登記申請書の記載例

参考:商業・法人登記の申請書様式|法務局合同会社設立登記申請書

「登記すべき事項」は、CD-Rなどの磁気ディスクにテキストデータ(.txt)で保存して提出することも可能です。

合同会社の本店移転登記申請の方法は?

登記申請は、法務局の窓口持参、郵送、またはオンラインの3つの方法があります。

1. 法務局の窓口で申請する方法

管轄の法務局に出向き、窓口で直接申請します。不備があればその場で教えてもらえる可能性がありますが、平日の開庁時間内に行く必要があります。

参考:管轄のご案内|法務局

2. 郵送で申請する方法

必要書類一式を管轄の法務局に郵送します(書留郵便推奨)。法務局に行く手間が省けます。

3. オンラインで申請する方法

法務省の「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」を利用して、インターネット経由で申請する方法です。マイナンバーカードやICカードリーダライタが必要ですが、自分で手続きする場合でも、場所を選ばず申請できるメリットがあります。

合同会社の本店移転にかかる費用は?

法務局に支払う法定費用(登録免許税)は、管轄内移転で3万円、管轄外移転で6万円です。

1. 法定費用(登録免許税)

  • 管轄内移転:3万円
    同一法務局の管轄内での移転の場合、一律3万円です。
  • 管轄外移転:6万円
    異なる法務局の管轄へ移転する場合、旧法務局(3万円)と新法務局(3万円)の合計で6万円です。

2. その他の費用

  • 司法書士報酬
    登記申請を司法書士に依頼する場合、別途報酬が発生します。相場は手続きの難易度(管轄内/外、定款変更の有無)によりますが、数万円程度が一般的です。
  • 書類取得費
    移転後に新しい「登記事項証明書(登記簿謄本)」や「印鑑証明書」を取得する際に、1通あたり数百円の実費がかかります。

合同会社の本店移転後に必要な手続きは?

法務局での登記変更が完了した後、税務署や都道府県、社会保険事務所など、多数の行政機関への届出が別途必要です。

1. 税務関係の届出

提出先 主な書類名 備考
税務署 異動届出書 法人税消費税の管轄変更
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 従業員を雇用している場合
都道府県税事務所 異動届(または事業開始等申告書) 法人事業税・法人住民税
市町村役場 異動届(または事業開始等申告書) 法人住民税

2. 社会保険・労働保険関係の届出

従業員を雇用している場合(役員のみでも社会保険加入義務がある場合)は、以下の手続きも必要です。

提出先 主な書類名 備考
年金事務所
(管轄が変わる場合)
健康保険・厚生年金保険 適用事業所所在地変更届 社会保険
労働基準監督署 労働保険 名称・所在地等変更届 労災保険
ハローワーク 雇用保険 事業主事業所各種変更届 雇用保険

3. その他の変更手続き

  • 金融機関(銀行、信用金庫など)への住所変更届
  • 許認可(建設業、飲食業など)を受けている場合、管轄行政庁への変更届
  • Webサイト、名刺、請求書、契約書などの住所表記の変更
  • リース契約、取引先への通知

合同会社の本店移転をスムーズに進めるために

合同会社の本店移転(事務所移転)は、単なる引っ越しではなく、法的な登記手続きと、その後の行政手続きが伴う重要な業務です。

合同会社の所在地変更を決定したら、まずは新しい住所が「管轄内」か「管轄外」かを法務局のWebサイトで確認し、費用や必要書類の全体像を把握することから始めましょう。「合同会社本店移転登記申請書」はダウンロード可能であり、オンライン申請もできるため、自分で手続きすることも可能です。不安な場合は司法書士などの専門家に相談することも有効な選択肢です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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