- 作成日 : 2025年12月11日
合同会社の登記簿(登記事項証明書)とは?記載事項や取得・閲覧方法を解説
合同会社を運営していく上で、登記簿(現在は一般的に「登記事項証明書」と呼ばれます)は、会社の信用を公的に証明するための重要な書類です。金融機関での融資、行政の許認可、重要な取引先との契約など、様々な場面で提出を求められます。
この記事では、合同会社の登記簿(登記事項証明書)とは何か、種類や必要な場面、法務局やオンラインでの具体的な取得方法、登記簿の見方、そして閲覧のみを行いたい場合の安価な方法まで詳しく解説します。
目次
合同会社の登記簿とは?
合同会社の登記簿とは、法務局に登録された会社の基本情報(商号、本店、役員、資本金など)を記録した公式な台帳データのことです。
会社法に基づき、合同会社を含むすべての会社は、設立時に必ず法務局で「設立登記」を行う義務があります。この登記によって、会社が法的に実在することを国が証明し、社会的な信用が生まれます。
登記事項証明書と登記簿謄本の違いは?
現在の正式名称は「登記事項証明書」であり、「登記簿謄本(とうきぼとうほん)」や「会社の謄本」は旧来の呼び名(俗称)です。
かつては紙のバインダー(登記簿)で管理されており、その内容をそのままコピー(謄本)して証明したため「登記簿謄本」と呼ばれていました。現在は登記記録がデータ化(磁気ディスク)されており、その登記データの内容を紙に印刷し、法務局の登記官が「原本の写しに相違ない」と証明したものが「登記事項証明書」と呼ばれます。
提出先によっては今でも「登記簿謄本」と呼ばれることがありますが、通常は次に説明する「履歴事項全部証明書」を指すことがほとんどです。
登記事項証明書の種類は?
登記事項証明書には、記載される情報の範囲によって主に4つの種類があります。
提出先から特に指定がない限り、一般的には「履歴事項全部証明書」を取得すれば問題ありません。
| 証明書の種類 | 主な内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 履歴事項全部証明書 | 現在の情報 + 過去(3年前の1月1日以降)の変更履歴(役員変更、本店移転など) | 最も一般的に使用される。融資、許認可、不動産契約、重要な取引など。 |
| 現在事項全部証明書 | 現在の情報のみ。過去の履歴は記載されない。 | 現在の登記内容をシンプルに証明したい場合。(例:現在の代表者の確認) |
| 閉鎖事項全部証明書 | 解散、清算結了、他管轄への本店移転などで閉鎖された登記記録。 | 過去に存在した会社や、移転前の情報を証明する必要がある場合。 |
| 代表者事項証明書 | 会社の代表権を持つ者(合同会社の場合は代表社員)に関する情報のみ。 | 代表者の資格証明のみが必要な場合。(例:訴訟手続き、一部の契約) |
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合同会社の登記簿(登記事項証明書)が必要な場面は?
登記事項証明書が必要となるのは、その合同会社が「法的に実在しているか」「代表者は誰か」といった情報を、第三者が公式な書類で確認する必要がある場面です。
契約相手や行政機関は、登記事項証明書を最も信頼性の高い一次情報として扱います。
合同会社の登記簿(登記事項証明書)の記載事項は?
登記簿(履歴事項全部証明書)には、商業登記法および商業登記規則に基づき、会社の基本的なプロフィールが記載されています。ここでは、合同会社の「履歴事項全部証明書」を例に、各項目の見方を解説します。
会社法人等番号
会社ごとに割り当てられる12桁の識別番号です。
法人版のマイナンバーのようなもので、各種行政手続き(税務、社会保険など)でこの番号を使用します。自社の番号は控えておくと便利です。
商号区
会社の正式名称(商号)と、会社の住所(本店所在地)が記載されています。
履歴事項証明書の場合、過去に商号や本店を変更した履歴も記載されます。変更前の情報は下線(アンダーライン)で示されます。
会社状態区
会社の現在の法的状態(例:清算中、登記記録閉鎖など)が示されます。
正常に活動中の会社であれば、ここは空欄であることが多いです。
目的区
その合同会社が行う(または行う予定の)事業内容(事業目的)が、箇条書きで記載されています。
許認可を申請する際、この「目的」欄に必要な事業内容が明記されているかが審査されます。事業内容を追加・変更した場合も、その履歴が記載されます。
資本区
会社の資本金の額が記載されています。
合同会社の場合、ここに「社員の出資の目的及びその価額」といった、出資に関する情報が記載されることもあります。
役員区
合同会社の社員(株式会社でいうところの取締役や代表取締役)に関する情報が記載されます。いつ就任したか、いつ登記内容が変更されたかの日付も記載されています。
- 代表社員:会社を代表する権限を持つ社員です。契約などに必要な重要な役職で、氏名と住所が登記されます。
- 業務執行社員:会社の業務を行う社員です。定款で特に定めない限り、社員全員が業務執行社員となります。
合同会社の登記簿(登記事項証明書)を取得する方法は?
合同会社の登記簿(登記事項証明書)の取得方法は大きく分けて3つの方法があります。
1. 法務局(登記所)の窓口で直接取得する方法
全国の法務局・登記所の窓口に「登記事項証明書交付申請書」を提出し、手数料(収入印紙)を支払うことで即日交付されます。
- 訪問する法務局を決める
登記事項証明書は、全国どこの法務局・登記所でも取得可能です(自社の管轄法務局である必要はありません)。最寄りの法務局の場所や開庁時間(通常、平日8:30〜17:15)を確認します。
参考:管轄のご案内|法務局 - 申請書に記入する
法務局に備え付けられている「登記事項証明書交付申請書」に必要事項(最低限、取得したい会社の商号(会社名)と本店(住所))を記入します。
※会社の「法人番号(会社法人等番号)」が分かると、より正確かつスピーディーに検索してもらえます。 - 収入印紙を購入・貼付する
法務局内にある印紙販売窓口で、手数料(1通600円)分の収入印紙を購入し、申請書の所定欄に貼り付けます。 - 窓口に提出する
申請書を証明書発行窓口に提出します。混雑状況にもよりますが、通常10分〜30分程度で登記事項証明書が交付されます。
2. 郵送で取得する方法
申請書、手数料分の収入印紙、返信用封筒を同封し、法務局に郵送することで取得できます。
- 申請書を準備する
法務局のWebサイトから「登記事項証明書交付申請書」のPDFをダウンロードして印刷し、必要事項を記入します。 - 収入印紙を貼付する
手数料(1通600円)分の収入印紙を郵便局などで購入し、申請書に貼り付けます。 - 返信用封筒を準備する
自分の住所・氏名を記入し、必要な額の切手を貼った返信用封筒を用意します(速達を希望する場合は速達料金分の切手も貼ります)。 - 郵送する
「申請書(印紙貼付済)」と「返信用封筒」を封筒に入れ、法務局宛に郵送します。手元に届くまで数日〜1週間程度かかります。
3. オンラインで申請・取得する方法
法務省の「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」を利用し、オンラインで請求手続きを行う方法です。手数料が最も安くなります。
この方法は、登記事項証明書を郵送で受け取るか、指定した法務局の窓口で受け取るかを選べます。
- 郵送で受取:1通 500円
- 法務局の窓口で受取:1通 480円
手数料はインターネットバンキングやPay-easy(ペイジー)で電子納付します。
- 「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」にアクセス
検索エンジンで「登記ねっと」などと検索し、公式サイトにアクセスします。 - 利用者登録(初回のみ)
初めて利用する場合は、氏名やメールアドレスなどを登録して「かんたん証明書請求」のIDを取得します。 - ログインして請求
ログイン後、「かんたん証明書請求」メニューに進みます。 - 会社情報を入力
会社の商号・本店所在地、または「会社法人等番号」で請求対象の会社を検索します。 - 証明書の種類と受取方法を選択
「履歴事項全部証明書」などの種類と必要な通数を選び、受取方法として「郵送」または「窓口受取」を選択します。 - 手数料の電子納付
画面の案内に従い、インターネットバンキングやATM(Pay-easy対応)で手数料を納付します。 - 証明書の受領
- 郵送の場合:申請から1〜2営業日後に発送されます。
- 窓口受取の場合:申請の翌営業日以降(時間帯による)に、指定した法務局の窓口で受け取れます。
合同会社の登記簿(登記事項証明書)を閲覧する方法は?
法務局の「登記情報提供サービス」を利用すれば、登記事項証明書とほぼ同等の情報(PDF)を、オンライン上で安価に閲覧できます。
これは、登記事項証明書(紙)を請求する「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」とは別のサービスです。あくまで登記内容をPCの画面で確認したい場合に非常に便利です。
登記事項証明書と登記情報(PDF)の違いは?
最大の違いは、法的な証明力(登記官の公印)の有無です。
登記情報提供サービスで取得できるPDFには公印がなく、法的な証明力はありません。あくまで内容確認用であり、これを印刷して銀行や役所に公式な提出書類として使うことはできません。
| 項目 | 登記事項証明書 (オンライン請求) | 登記情報提供サービス (閲覧) |
|---|---|---|
| 取得物 | 紙の証明書 (郵送/窓口) | PDFデータ (ダウンロード・印刷可) |
| 証明力 | あり (公印あり) | なし (公印なし) |
| 主な用途 | 公的な提出用 (融資、許認可) | 確認用 (自社チェック、取引先調査) |
| 費用 (履歴情報) | 490円~520 円 | 331円 (2025年10月時点) |
登記情報提供サービスの利用シーンは?
「取引先の与信調査」「自社の登記内容の最新版の確認」「M&Aの初期調査」など、法的な提出が不要な場面で活用できます。
登記事項証明書(紙)を取得するほどではないが、最新の登記情報をすぐに・安く確認したい場合に最適です。
合同会社の登記簿(登記事項証明書)の内容を変更する方法は?
合同会社の登記内容に変更が生じた場合、法務局で「変更登記」の手続きを行う必要があります。
会社法および商業登記法により、登記内容に変更があった場合、原則として2週間以内に変更登記を申請する義務が定められています。これを怠ると過料(罰金)の対象となる可能性があります。
変更登記が必要な主なケース
- 本店移転
- 商号変更
- 事業目的の変更・追加
- 代表社員や業務執行社員の変更(新任・退任・辞任)
- 資本金の増加・減少(増資・減資)
※合同会社の場合、特に代表社員の住所変更だけでも変更登記が必要になるため注意が必要です。
変更登記の手続きの流れ
- 必要書類の作成
変更内容に応じて「社員総会議事録」や「総社員の同意書」など、社内で決定したことを証明する書類を作成します。併せて「変更登記申請書」も作成します。 - 法務局への申請
これらの書類一式を、管轄の法務局に提出します。(※登記事項証明書の取得と違い、変更登記は管轄の法務局でしか行えません) - 登録免許税の納付
申請時に、変更内容に応じた「登録免許税」(収入印紙で納付)が必要です。(例:本店移転(管轄内)3万円、役員変更1万円等) - 登記完了
申請後、法務局での審査(通常1~2週間)を経て、登記簿が新しい内容に書き換えられます。
変更登記の手続きは、必要書類の作成が複雑で専門知識が必要なため、司法書士に依頼するのが一般的です。自分で申請する(セルフ登記)ことも可能ですが、書類不備のリスクを避け、本業に集中するためにも専門家への依頼を検討するのが賢明です。
合同会社の登記簿(登記事項証明書)に関するFAQ
最後に、合同会社の登記簿についてよくある質問とその回答をまとめました。
登記簿は誰でも取得できますか?
はい、手数料を支払えば誰でも取得可能です。
商業登記の制度は、会社の情報を広く一般に公開することで、取引の安全性を確保することを目的としています。そのため、その会社の従業員や関係者でなくても、手数料(1通490円〜600円)を支払えば、どこの会社の登記事項証明書でも取得することができます。
登記簿の取得に代表印(会社実印)や身分証明書は必要ですか?
いいえ、不要です。
登記事項証明書の交付請求は誰でも行えるため、申請書に会社の情報(商号・本店)を正確に記入できれば、代表印の押印や窓口での身分証明書の提示は原則不要です。
登記簿の有効期限はありますか?
登記簿(登記事項証明書)自体に有効期限はありません。
ただし、提出先(金融機関や行政機関など)から「発行後3ヶ月以内のもの」といった有効期限を指定されることが一般的です。提出先に必要な発行時期を確認してから取得するようにしてください。
合同会社の登記簿は会社の公的な身分証
合同会社の登記簿、すなわち「登記事項証明書」は、会社の信用を対外的に証明する、いわば「公的な身分証」です。
重要な契約や手続きには欠かせない書類であり、その取得方法を知っておくことは不可欠です。「法務局の窓口」なら最速、「オンライン請求」なら最安値で取得できます。また、内容を確認するだけなら「登記情報提供サービス」が安価で便利です。
自社の状況や目的に合わせて、これらの方法を適切に使い分けましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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