- 作成日 : 2025年2月20日
信用保証協会の創業融資とは?必要書類や記入例、審査のポイントも解説
信用保証協会の創業融資とは、信用保証協会を通じて金融機関から創業のための融資を受けることです。信用保証協会に保証を肩代わりしてもらえるため、小規模事業者や中小企業も利用しやすいメリットがあります。
この記事では、信用保証協会の創業融資における基本知識やメリット・デメリット、必要書類、審査のポイントなどを解説します。
目次
信用保証協会の創業融資とは
信用保証協会の創業融資とは、信用保証協会に公的な保証人となってもらい、金融機関から創業のための融資を受けることです。
信用保証協会とは、小規模事業者や中小企業が金融機関から事業資金を調達する際にサポートする公的機関を指します。
小規模事業者や中小企業が民間の金融機関から融資を受けやすくするために、保証協会が保証を肩代わりするもので、信用保証協会から資金を調達するわけではありません。
信用保証協会は全国47都道府県に設置されており、全国共通の保証と、各地域に合わせた保証を提供しています。
一例として、以下の詳細を確認してみましょう。
- 東京信用保証協会の創業融資
- 全国信用保証協会の創業関連保証
東京信用保証協会の創業融資とは
東京信用保証協会による創業融資とは、以下を指します。
- 都創業融資(略称:創業)
- 都創業融資(略称:創業)
| 都創業融資(略称:創業) | 創業経営者保証不要型(略称:創業経保) | |
|---|---|---|
| 融資限度額 | 3,500万円 | |
| 融資期間 | 運転資金:7年以内 設備資金:10年以内 | 10年以内 |
| 融資利率 | 固定金利: 1.5%以内~2.2%以内 変動金利: 短プラ+0.2%以内~0.4%以内 | 固定金利: 1.5%以内~2.0%以内 変動金利: 短プラ+0.2%以内 |
| 信用保証料 | 全事業者に対して東京都が信用保証料の3分の2を補助 | 創業関連保証の信用保証料率(0.35%~0.60%)に0.2%を上乗せした信用保証料から、東京都が3分の2を補助 |
| 返済方法 | 原則として分割返済 | |
| 融資形式 | 証書貸付・手形貸付 | 証書貸付 |
| 保証人 | 必要となる場合がある | 不要 |
| 物的担保 | 原則として不要 | 不要 |
それぞれの創業融資の融資対象は、以下のとおりです。
【「創業」の融資対象】
以下条件のいずれかに該当する方
- 現在、事業を営んでいない方で、1ヶ月以内に新たに個人で、または2ヶ月以内に新たに会社を設立して東京都内で創業しようとする具体的計画をお持ちの方
- 創業した日から5年未満の中小企業者、組合
- 分社化をしようとする会社または分社化により設立された日から5年未満の会社
【「創業経保」の融資対象】
- 国の「スタートアップ創出促進保証制度要綱」の要件に該当する方
全国信用保証協会の創業関連保証とは
全国信用保証協会による創業関連の保証制度は、以下のとおりです。
- 創業関連保証
- 再挑戦支援保証
- スタートアップ創出促進保証制度
| 創業関連保証 | 再挑戦支援保証 | スタートアップ創出促進保証制度 | |
|---|---|---|---|
| 制度概要 | 個人による創業や、新たな法人設立による事業に必要な資金調達を支援するもの | 経営状況の悪化による事業廃止または会社の解散経験がある方の再挑戦を支援するもの | 創業関連保証の保証料率に0.2%上乗せすることで、経営者保証を不要とするもの |
| 保証限度額 | 3,500万円 | ||
| 備考 | 分社化による創業では利用不可 | ||
それぞれの保証制度は、併用可能です。併用した場合の保証限度額は、各制度の合計3,500万円となります。
各制度の対象者には細かい条件があるため、信用保証協会の公式サイトなどでご確認ください。
参考:一般社団法人 全国信用保証協会連合会 創業をお考えの方
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信用保証協会の創業融資を利用するメリット
信用保証協会の創業融資を利用することには、以下のようなメリットがあります。
- 起業したばかりでも融資を受けやすい
- 担保なしで創業融資が受けられる
- 個人事業主なら連帯保証人も不要
それぞれ詳しく見ていきましょう。
起業したばかりでも融資を受けやすい
1つめのメリットは、起業したばかりの小規模事業者や中小企業でも融資を受けやすい点です。
事業実績がない創業時の小規模事業者や中小企業にとって、民間の金融機関から直接融資を受けることは難しいでしょう。民間の金融機関から「貸し倒れのリスクが高い」とみなされやすいためです。
一方、信用保証協会の創業融資には、万が一事業者の支払いが滞ってしまった場合、信用保証協会が代わりに返済してくれる仕組み(代位弁済)があります。そのため、保証協会を通じて融資を受けることで、起業したばかりの小規模事業者や中小企業でも融資を受けやすくなります。
ただし、代位弁済が行われたとしても、債務が消えるわけではありません。信用情報にも傷がつくため「困ったら信用保証協会に肩代わりしてもらえばよい」と、安易に頼ることは避けるべきでしょう。
担保なしで創業融資が受けられる
2つめのメリットは、無担保で創業融資を受けられることです。
多くの融資制度では、利用の際に担保を求められます。一方、信用保証協会の創業融資では、原則として担保は必要ありません。
創業を目指す小規模事業者や中小企業にとって、担保を用意することが簡単ではないケースもあります。無担保で融資を受けられる信用保証協会の創業融資であれば、スムーズに事業をスタートできるでしょう。
個人事業主なら連帯保証人も不要
基本的に連帯保証人を立てる必要がない点も、信用保証協会による創業融資のメリットです。
個人事業主の場合、原則として連帯保証人は不要です。法人であっても、基本的に代表者以外の連帯保証人を立てる必要はありません。「連帯保証人を立てたくない」というケースでも利用しやすいでしょう。
信用保証協会の創業融資を利用するデメリット
信用保証協会の創業融資には、デメリットもあります。主なデメリットは、以下の2つです。
- 信用保証料を支払う必要がある
- 金融機関の融資よりも審査に時間がかかる
それぞれ詳しく解説します。
信用保証料を支払う必要がある
1つめのデメリットは、信用保証料を支払う必要がある点です。
信用保証協会の創業融資を受ける場合、金融機関に支払う利息とは別に、信用保証を委託する対価として「信用保証料」を支払う必要があります。
信用保証料は一律ではなく、貸付金額・保証期間・経営状況などによって異なります。
東京信用保証協会による「信用保証料簡易シミュレーション」では、信用保証料の目安をチェックすることが可能です。
金融機関の融資よりも審査に時間がかかる
2つめのデメリットは、金融機関の融資(プロパー融資)よりも審査に時間がかかる点です。
信用保証協会の創業融資を受けるためには「信用保証協会」と「金融機関」の2つの審査をクリアする必要があります。そのため、一般的な融資に比べて審査時間が長くなる傾向があります。
相談してから融資を受けるまでにかかる時間の目安は、1ヶ月~3ヶ月程度です。審査過程において、訪問や面談が実施されることもあります。融資を受けるまでに時間がかかることを考慮して、余裕を持った計画を立てておくとよいでしょう。
また「金融機関の審査は通過したものの、信用保証協会の審査はクリアできなかった」という結果になる可能性もあります。
信用保証協会の創業融資の申し込み方法
信用保証協会の創業融資の主な申し込み方法は、以下の2つです。
- 金融機関経由で申し込む
- 信用保証協会で申し込む
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
金融機関経由で申し込む
1つめは、金融機関の窓口から融資を申し込む際に、信用保証協会への手続きを行う方法です。
金融機関から「融資が適切である」とみなされた場合、金融機関経由で信用保証協会に必要書類を提出します。
信用保証協会への保証依頼・連絡なども含め、金融機関にまとめて対応してもらえるメリットがあります。
信用保証協会で申し込む
2つめは、管轄区域の信用保証協会の窓口で相談し、直接申し込む方法です。申込書を受け取り、必要書類とあわせて提出します。
信用保証協会から「融資が適切である」とみなされれば、金融機関に融資をあっせんしてもらうことが可能です。
なかには直接の申し込みに対応していない信用保証協会もあるため、訪問前に確認しておきましょう。
参考:一般社団法人 全国信用保証協会連合会 お近くの信用保証協会
信用保証協会の創業融資の必要書類
信用保証協会の創業融資において必要となる主な書類は、以下のとおりです。
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 信用保証委託申込書(保証人等明細) | |
| 信用保証依頼書 | 金融機関にて作成 |
| 申込人(企業)概要 | |
| 個人情報の取扱いに関する同意書 | |
| 確定申告書 | 法人の場合は決算書 |
| 商業登記簿謄本 | 写し |
| 印鑑証明書 | 写し |
| 事業計画書(創業計画書) | 経営実績がない創業時に融資を受ける際に必要 |
スムーズな審査通過を目指すためにも、書類の不足や不備には注意が必要です。
信用保証協会やケースによって必要書類が異なるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
信用保証協会の創業融資に必要な事業計画書・創業計画書の記入例
経営実績がない創業時に信用保証協会の創業融資を受けるためには、事業計画書・創業計画書の提出が必要です。
事業計画書・創業計画における一般的な記入項目や記入例は、以下のとおりです。
- 計画業種・開業予定期
- 創業動機・目的(開業を決意したきっかけ ・事業を通じて実現したいビジョン・開業にかける想いなど)
- 職歴・事業実績(勤務先・役職・経験年数・資格等)
- 取扱い商品・サービス(事業コンセプト・事業内容など)
- 取引先・取引関係
- 従業員
- 借入の状況(法人の場合、代表者の借入)
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し(月平均)
各地域の信用保証協会などが提供する指定書式がないか、確認してみましょう。
なお、一般的な事業計画書・創業計画書のテンプレートを提供するマネーフォワード クラウド会社設立では、業種別のテンプレートや作成例(記入例)もご用意しております。ぜひ、参考にしてみてください。
信用保証協会の創業融資の審査に通過するためのポイント
信用保証協会の創業融資は金融機関からの直接融資に比べてハードルが低いとはいえ、審査にクリアできないケースもあります。
ここでは、信用保証協会の創業融資の審査に通過するために意識しておきたいポイントを紹介します。
事業計画書・創業計画書で念入りな返済計画を立てる
提出書類の事業計画書・創業計画書で、念入りな返済計画を立てましょう。審査にあたっては、事業者の返済能力が重視されやすいためです。
利息を含めて無理なく返済できることが伝わるように、事業計画書・創業計画書では、特に以下のポイントについて、入念に返済計画を立てることが大切です。
- 融資の希望額
- 調達した資金の使用目的
- 調達した資金によって得られる成果
- 毎月の返済額
- 長期的に返済の原資となる利益をあげるための計画
- 返済の原資となる利益をあげるための月次計画
想定される売上や利益と返済額がかけ離れ過ぎないように「妥当性」を考慮し、説得力のある計画を立てましょう。
保証審査のポイントが公開されていないか確認する
保証審査のポイントが公開されていないかどうか、事前に確認しておきましょう。信用保証協会によっては、公式サイトなどで保証審査のポイントを公開しているケースがあります。
たとえば東京信用保証協会の場合、以下の4点を重点に、技術力・将来性などを総合的・多角的に検討して保証を決定しています。
申請前に、管轄区域の信用保証協会の情報をチェックしておきましょう。
会社設立の際は信用保証協会の創業融資を検討してみましょう
信用保証協会の創業融資は、原則として担保不要・連帯保証人不要で利用できます。事業実績がなく、金融機関から直接融資を受けることが難しい小規模事業者や中小企業は、利用を検討してみるとよいでしょう。
信用保証協会の創業融資を受けるためには、事業計画書・創業計画書などの提出が必要です。妥当性を考慮した、説得力のある返済計画を立て、審査の通過を目指しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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