• 更新日 : 2026年2月17日

建設業の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例、書き方のポイントを解説

Point建設業の事業計画書の書き方は?

建設業の事業計画書は、29の専門業種から自社の強みを特定し、融資獲得と経営安定を図るための指針です。

  • 9業種から専門を絞り、施工実績で信頼を示す
  • 支払先行の特性を考慮し、余裕ある資金計画を立てる
  • テンプレートを使い、独自の強みと集客方法を明文化する

融資審査においては、実績・資格による「事業の完遂能力」と、入金ラグを考慮した「現実的な資金繰り」が特に重視されます。

建設業での開業をする場合、事業計画書を作成し、開業後の事業の流れについて短期および中期的な計画を立てておくことは、事業や経営の安定を図る指針の一つとなります。

この記事では、建設業開業のために役立つ事業計画書の書き方について、テンプレートと共に詳しく解説します。

建設業の事業計画書の役割とは?

建設業向けの事業計画書のひな形、テンプレート

出典:建設業向けの事業計画書テンプレを自由にダウンロード! – マネーフォワード クラウド会社設立

建設業における事業計画書は、事業の展望を「見える化」し、経営の安定を図るための指針です。計画を書類に落とし込むことで、目標がクリアになり、潜在的な課題にも気づけるようになります。

経営の指針として活用できる

事業計画書を作成する最大の目的は、事業の進むべき方向性を明確にし、経営の安定を図るための指針を得ることです。事業の種類、自社の強み、収益の見通しなどを具体的に数値化・言語化することで、漠然としていた目標がクリアになります。また、作成の過程で自社の弱点や潜在的な課題を早期に発見できるため、開業後のトラブル回避にもつながります。

融資を受ける際の必須書類になる

金融機関から開業資金の融資を受ける際、事業計画書は事業の妥当性と返済能力を証明するための重要な書類です。特に建設業は資材費や外注費などの先行投資が大きいため、融資が不可欠なケースが多くあります。銀行や日本政策金融公庫は、計画書の内容から「この事業に将来性があるか」「貸したお金が確実に返ってくるか」を厳格に審査するため、精度の高い書類作成が求められます。

複数人で開業する場合もトラブルを防げる

共同経営や複数人で開業する場合、事業計画書は各自の役割分担と責任の所在を明確にする契約書のような役割を果たします。あらかじめ理念や収益の分配、担当業務を文書化しておくことで、経営方針のズレによる衝突を未然に防げます。組織としての一体感を高め、円滑な事業運営をスタートさせるための基盤となります。

建設業許可の取得手続きを効率化できる

将来的な建設業許可の取得を見据えている場合、事業計画書の作成過程で許可要件の確認ができるため、手続きをスムーズに進められます。建設業許可には「経営業務管理責任者」や「専任技術者」の配置といった複雑な要件があります。これらを計画段階で整理しておくことで、将来の法人化や事業拡大時に、許可取得ができずに立ち往生するといったリスクを排除できます。

建設業の事業計画書で他業種より力を入れるべき項目は?

建設業は業種が細かく分かれ競合も多いため、自身の専門性と他社にはない独自の売りを明確にすることが重要です。

29業種における専門性を明確に打ち出す

建設業は29の業種に分類されているため、自身がどの分野のスペシャリストであるかを特定して記載する必要があります。「建設業を営む」という曖昧な表現ではなく、土木、建築、内装工事など、どの業種で勝負するのかを明記します。その分野における深い知見と、なぜその市場を選んだのかという根拠を提示することで、事業の解像度を高めます。

独自の強みを具体化して記載する

競合他社が多いため、価格競争に巻き込まれないための「自社ならではの強み」を明確にすることが不可欠です。特殊な工法に対応できる技術力、特定の地域に特化したネットワーク、徹底したアフターフォローなど、顧客が自社を選ぶ理由を具体化します。この売りが明確であるほど、事業の継続可能性が高まります。

過去の施工実績を提示して信頼を得る

建設業の開業では、これまでの業界経験や具体的な施工実績が、そのまま事業の信頼性の裏付けとなります。これまでの経験年数の長さ、担当したプロジェクトの規模、保有資格、役職などを詳細に記載しましょう。過去にどのような現場を納めてきたかを可視化することで、融資担当者や取引先に「この人なら確実に仕事を完遂できる」という安心感を与えられます。

建設業の事業計画書の具体的な書き方・記入例は?

建設業の事業計画書を作成する際は、創業動機から収益見通しまで、客観的なデータと熱意をバランスよく盛り込むことが大切です。以下の項目に沿って、論理的に構成していきましょう。

創業の動機・目的

創業の動機には、「なぜ今、独立が必要なのか」という理由と、事業を通じて実現したい社会的な価値を記載します。単なる個人の希望だけでなく、「地域の住宅改修ニーズに応えたい」「既存の会社では対応できない専門技術を提供したい」といった客観的な動機が重要です。自身の熱意と市場ニーズが合致していることを論理的に伝えましょう。

職歴・事業実績

これまでの職歴は、勤務先名だけでなく、具体的な現場名(可能な範囲で)や、そこでの自身の役割をアピールします。施工管理として現場を動かしていたのか、職長として技術を提供していたのかによって評価が変わります。自分が主導したプロジェクトの成果を具体的に記し、培ってきたスキルが独立後にどう活かされるかを明確化します。

取扱商品・サービス

どのような工事を、どのような手法で受注し、提供するのかという具体的なビジネスモデルを記述します。自社の施工技術の高さだけでなく、それをどうターゲットに届けるかという営業手法についても言及します。SNSの活用、Webサイトによる集客、あるいは既存のネットワークを活用した紹介など、現実的なアプローチを記載します。

取引先・取引関係

販売先(請負先)だけでなく、原材料の仕入れ先や協力会社(外注先)との関係性を明らかにします。元請けか下請けかの別、取引の条件(末締め翌月払いなどのサイト)を詳細に記入しましょう。建設業は資金繰りが重要になるため、支払と回収のタイミングを明確にすることが、健全な財務計画の証明になります。

従業員

一人親方としてスタートするのか、従業員を雇用してチームで動くのかという組織体制を記載します。従業員を雇う場合は、その人数、役割、給与条件などを明記します。現場を回すために必要な人員が確保できているか、あるいは確保の目途が立っているかを示すことで、事業の実行力をアピールします。

借入の状況

代表者個人の住宅ローンやカーローン、その他の債務状況については、正直かつ正確に記載する必要があります。融資審査では必ず個人の信用情報が確認されるため、隠さず開示することが信用につながります。個人の債務が事業運営に支障をきたさない範囲であることを、併せて説明できるようにしておきましょう。

必要な資金と調達方法

事務所の契約費、倉庫代、車両費、工具費などの「設備資金」と、数カ月分の「運転資金」を正確に算出します。見積書に基づいた根拠のある数字を積み上げることが大切です。建設業は工事完了まで入金が遅れることが多いため、手元の資金が底をつかないよう、運転資金は余裕を持って見積もることが重要です。

そして、必要な資金の総額に対し、自己資金をいくら用意し、残りをどこから借り入れるかを計画します。自己資金の比率が高いほど、事業に対する本気度と準備の良さが評価され、融資の採択率が高まります。必要資金の合計と調達額の合計が必ず一致していることを確認し、無理のない返済計画を立てましょう。

事業の見通し

売上や利益の予測は、楽観的な願望ではなく、営業ルートや地域の需要に基づいた現実的な数字を記載します。「既に〇件の受注見込みがある」といった具体的な根拠を添え、毎月の固定費を支払った後でも十分に利益が残る計画にします。創業1年目、3年目といった段階的な予測を立てることで、事業の成長性を示します。

参考:事業計画書の作成例|起業マニュアル|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

建設業向けの事業計画書のひな形、テンプレート

マネーフォワード クラウド会社設立では、建設業向け事業計画書のひな形、テンプレートをご用意しております。

無料登録後のページにある「会社設立ナビ」にて、建設業向け事業計画書を含む、40種類以上の事業計画書をダウンロードしていただきますので、ぜひお気軽にご利用ください。

建設業の開業で活用できる融資制度は?

建設業の開業資金調達には、政府系金融機関や地域の信用保証制度を活用するのが一般的です。

日本政策金融公庫の創業融資

日本政策金融公庫の創業融資は、実績のない開業時でも原則無担保・無保証人で利用できます。他の金融機関と比較して審査期間が短く、保証料も不要というメリットがあります。自己資金の要件を確認し、事業計画書の完成度を高めて挑むことが重要です。

参考:創業融資のご案内|日本政策金融公庫

信用保証協会の保証付融資

地域の民間金融機関(銀行・信用金庫)から融資を受ける際、信用保証協会の保証を付けることで、審査に通りやすくなります。開業後5年以内であれば利用できる「創業融資制度」があり、公庫よりも大きな枠での調達が期待できる場合があります(最大3,500万円など)。保証料は発生しますが、長期的な銀行との取引関係を築くのにも適しています。

参考:初めての融資と信用保証|一般社団法人 全国信用保証協会連合会

地域の信用金庫による融資

地元の建設業に詳しい信用金庫は、地域密着型の支援を行っており、独自の融資相談に乗ってくれるケースがあります。大手銀行では相手にされにくい小規模な開業であっても、地域への貢献度や代表者の人柄を評価してくれることがあります。日頃から相談に行き、信頼関係を構築しておくことが有効です。

補助金・助成金

補助金や助成金(ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金など)は、原則として後払いであり、開業資金そのものを補填するものではありません。これらは事業が軌道に乗った後の設備投資や販路拡大を支援するものです。開業時の資金計画には組み込まず、あくまで事業のさらなる発展のためのプラスアルファとして活用しましょう。

参考:ものづくり補助金小規模事業者持続化補助金

建設業の事業計画書作成で多くの人が苦戦するポイントは?

事業計画書の作成において、実際にはどのような点につまずきやすいのでしょうか。マネーフォワードでは、事業計画書の作成経験がある809名を対象に調査を実施しました。

事業計画書の作成時に「最も困難だと感じたセクション」について質問したところ、最も多かった回答は「財務・資金調達計画」で35.5%、次いで「販売戦略・マーケティング計画」が30.3%でした。建設業は資材費や外注費の先行支払いが発生するため、精緻な資金繰り計画が求められますが、多くの事業者がこの数値計画の作成に課題を感じていることがわかります。

また、銀行や投資家に提出した際の結果について調査したところ、「再提出の指示があった」または「内容へのフィードバック(指摘)があった」と回答した人は合わせて約45%に上りました。一方で、指摘なく一発で通過した人は31.7%にとどまっています。融資審査や許可申請での手戻りを防ぐためには、独自の判断だけで進めるのではなく、テンプレートを活用して記載すべき項目を網羅し、根拠のある数値を積み上げることが重要です。

出典:マネーフォワード クラウド、作成が最も困難だと感じたセクション、提出時の不備・再提出の指示【事業計画書に関する調査データ】(回答者:809名、集計期間:2026年1月実施)

建設業の事業計画書作成で失敗しないためのポイントは?

建設業の事業計画書で作成した計画を確実に実行し、事業を軌道に乗せるためには、以下の3つのポイントを最終的に意識することが重要です。

自身の強みと市場のニーズを合致させる

自分の持っている技術や実績が、ターゲットとする市場で本当に求められているかを冷静に分析することが重要です。建設業界は競合が多いため、単に工事ができるというだけでは不十分です。特定の工法に精通している、地域に密着したネットワークがある、あるいは極めて短納期で対応できるなど、顧客が自社を選ぶ明確な理由を計画書に反映させ、戦略的に差別化を図りましょう。

余裕のある資金計画を立てる

建設業特有の「支払いが先、入金が後」という資金サイクルを理解し、手元資金が不足しない余裕のある計画を立てる必要があります。工事規模が大きくなるほど、材料費や外注費の先行支払い負担が増大します。見積書に基づいた正確な設備投資額だけでなく、入金までのラグを考慮した運転資金を算出しましょう。現実的な資金繰り表が作成されているかは、融資審査における最大の評価ポイントとなります。

専門家のアドバイスを積極的に活用する

第三者の視点、特に税理士や行政書士などの専門家の意見を取り入れることで、計画書の精度と信頼性は格段に向上します。自分一人では気づけない数値の矛盾や、融資担当者が重視するポイントを事前に補強できます。商工会議所などの公的機関も活用しながら、万全の体制で開業に臨んでください。

建設業の事業計画書を作成し事業を成功に導こう

建設業の開業を成功させるには、事業計画書を通じて自社の専門性と収益性を具体的に示すことが重要です。事業計画書 建設業を作成する際は、29業種の中での強みや施工実績を明記し、融資先や取引先からの信頼を獲得しましょう。日本政策金融公庫などの融資制度を活用する際も、事業計画書の完成度が審査結果を左右します。整合性の取れた計画を練り上げ、専門家の助言も活用しながら、安定経営の第一歩を踏み出してください。


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