• 更新日 : 2026年3月11日

許認可とは?種類や開業に必要な業種一覧、取得方法、違反時のリスクなどを徹底解説

Point許認可の概要と重要ポイント

許認可とは、特定の事業活動を行うため行政機関から得る許可や承認の総称です。

  • 規制強度により届出・登録・認可・許可・免許の5種類に分類
  • 飲食・建設・運送など公共性や安全性が問われる業種で取得必須
  • 無許可営業は懲役・罰金のほか、5年間の欠格期間等の制裁がある

業種によりますが、許認可の取得にかかる期間は2週間〜2ヶ月、費用は数万円〜9万円程度です。許可が下りるまで営業できないため、スケジュール調整が重要です。

起業をして事業を始める際、もっとも注意すべき手続きの一つが「許認可」です。ビジネスには、思い立ってすぐに始められるものもあれば、行政機関の許可がなければ営業できないものもあります。許認可が必要な業種であるにもかかわらず、手続きをせずに営業すると、営業停止や刑事罰の対象となる恐れがあります。

本記事では、会社設立や開業前に必ず知っておくべき許認可の種類、必要な業種一覧、申請の流れやリスクについて解説します。

許認可とは?

許認可とは、特定の事業を行うために必要な、行政機関からの許可や承認の総称です。

原則として、誰でも自由にビジネスを始めることができますが、公共の安全や秩序を守るため、特定の業種については法律で規制がかけられています。これらの規制をクリアし、国や都道府県などの行政機関から承認を得る手続きが許認可です。

法律で定める審査基準(ヒト・モノ・カネなどの要件)を満たしていなければ、申請は認められません。

参考:行政手続法|e-Gov 法令検索

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許認可の5つの種類とは?

許認可は、規制の強さや手続きの難易度によって5つの種類に分類されます。

届出

行政機関に対して「この事業を始めます」と通知する手続きです。行政庁からの許可(応答)を待つ必要はなく、形式が整った書類を提出した時点で手続きが完了し、営業を開始できます。

届出の代表例
  • 酒類提供飲食店営業開始
  • クリーニング所の開設など

登録

行政機関が管理する公簿(登録簿)に名前や事業内容を記載してもらう手続きです。一定の要件を満たして申請すれば、行政庁には登録する義務が生じます(登録拒否事由に該当しない限り登録されます)。

登録の代表例
  • 旅行業
  • 貸金業
  • ペットショップ(動物取扱業)など

認可

第三者(事業者)が行った行為に対して、行政庁が同意を与えることで法的な効力を完成させる行為です。事業の設立自体は認められていても、その効力を発生させるために認可が必要となるケースが多くあります。許認可の代表例として、私立学校の設立などが挙げられます。

※警備業や運転代行業は用語として「認定」などが使われますが、性質上は許可に近い厳しい審査があります。

許可

法令によって一般的に禁止されている行為について、特定の条件を満たした場合にその禁止を解除する行政行為です。多くの許認可ビジネスがこれに該当します。要件を満たしているか厳格な審査が行われます。

許可の代表例
  • 飲食店営業
  • 建設業
  • 運送業
  • 産業廃棄物処理業など

免許

特定の人や法人にのみ、特別に地位や権利を与える行政行為です。行政法学上は「許可」や「特許」に分類されることもありますが、一般的に公益性が高く、厳格な要件が課されます。

免許の代表例
  • 酒類販売業
  • 宅地建物取引業
  • 医師
  • 美容師など

開業に許認可が必要な主な業種【一覧表】

実際にどのようなビジネスで許認可が必要になるのか、代表的な業種と申請先を整理しました。

業態手続区分主な申請先
旅行業登録都道府県 または運輸局
貸金業登録都道府県 または 財務局長
倉庫業登録運輸局
飲食業許可保健所
建設業許可都道府県 または 国土交通大臣
運送業許可運輸局
介護事業許可都道府県 または 市町村
警備業許可(認定)警察署(公安委員会)
自動車運転代行業許可(認定)警察署(公安委員会)
宿泊業許可保健所
職業紹介業許可労働局
不動産業免許都道府県 または 国土交通大臣
酒類の販売免許税務署長
美容業許可都道府県(保健所)

旅行業

旅行業法に基づき、業務範囲(第1種〜第3種、地域限定など)に応じた登録が必要です。特に「基準資産額」の要件が重要で、例えば第1種であれば純資産などの財産的基盤が厳しく審査されます。また、営業所ごとに「旅行業務取扱管理者」を選任する必要があります。

参考:旅行業法|観光政策・制度|観光庁

貸金業

貸金業を営むには、純資産額が5,000万円以上あることが要件の一つです。さらに、貸金業務取扱主任者の設置、指定信用情報機関(JICC、CIC)への加入、紛争解決機関との契約締結など、サービスの内容によっては消費者保護のための厳格な体制整備が求められます。

参考:貸金業法|e-Gov 法令検索

倉庫業

保管する物品の種類や倉庫の設備に応じて、「1類倉庫」「冷蔵倉庫」などの区分で登録を行います。火災防止や防犯などの施設基準を満たす建物であることや、倉庫管理主任者の選任が必要です。

参考:倉庫業法|e-Gov 法令検索

飲食業

飲食店を開業するには、保健所の「飲食店営業許可」が必須です。厨房のシンクの数や手洗い場の設置など、具体的な施設基準をクリアする必要があります。また、各店舗に「食品衛生責任者」を1名以上置くことが義務付けられています。

建設業

「軽微な建設工事(500万円未満の工事など)」以外を請け負う場合、建設業許可が必要です。経営業務の管理責任者がいること、専任技術者がいること、そして500万円以上の自己資本などの財産要件を満たす必要があります。営業エリアによって知事許可か大臣許可かに分かれます。

参考:建設産業・不動産業:建設業の許可とは|国土交通省

運送業(貨物自動車運送事業)

運送業(貨物自動車運送事業)の許可は、取引先やグループ会社の荷物を運搬する場合や引越業を行う場合、積載車で自動車を運搬する場合などに必要です。

車両数(最低5台など)、適切な駐車場(車庫)、休憩施設の確保、運行管理者や整備管理者の配置など、安全運行のための要件が非常に細かく定められています。

参考:貨物自動車運送事業法|e-Gov 法令検索

介護事業

介護保険適用の事業を行うには、「指定事業者」としての指定(許可)を受ける必要があります。法人格(株式会社や合同会社など)を持っていることが前提で、サービスの種類ごとに定められた人員基準(介護職員や看護師の数など)、設備基準、運営基準を満たす必要があります。

警備業

警備業法に基づき、公安委員会の認定を受けます。警備員指導教育責任者の選任に加え、役員や警備員が欠格事由(前科や暴力団関係など)に該当しないことが厳しくチェックされます。また、認定は5年ごとの更新制です。

参考:警備業について|警察庁

自動車運転代行業

自動車運転代行業を営む場合は、顧客を同乗させて運転することから、第二種免許を取得した運転手がいることが求められます。ほかにも、認定にあたり、損害賠償の基準を満たした保険への加入、安全運転管理者の配置などの要件を満たすことが必要です。

参考:自動車運転代行業について|国土交通省

宿泊業(旅館業・民泊)

ホテルや旅館を開業する場合、用途地域などの立地条件や、消防・建築設備の基準をクリアして許可を得ます。なお、民泊(住宅宿泊事業)の場合は届出制ですが、年間営業日数の上限(180日)などの制限があります。本格的に宿泊ビジネスを行うなら簡易宿所営業などの許可取得を検討しましょう。

職業紹介業(人材紹介)

有料職業紹介事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要です。財産要件として「基準資産額1営業所あたり500万円以上」「現金預金150万円以上」などが求められます。また、事業所が風俗店密集地にないことや、個人情報の管理体制なども審査されます。

参考:職業紹介事業|厚生労働省

不動産業(宅地建物取引業)

土地建物の売買や仲介を行うには、宅建業の免許が必要です。事務所ごとに、従業員の5人に1人以上の割合で「専任の宅地建物取引士」を設置する義務があります。あわせて、営業保証金を供託する、もしくは保証協会に加入し弁済業務保証金分担金を納付することが求められます。

参考:建設産業・不動産業:宅地建物取引の免許について|国土交通省

酒類の販売業

お酒を販売するには、販売方法に応じた免許(一般酒類小売業免許、通信販売酒類小売業免許など)を税務署から取得します。「酒税が確実に保全されるか」という観点から、経営の基礎的要件や場所的要件(飲食店と明確に区分されているか等)が審査されます。

美容業

美容室の開設には、保健所への届出と確認検査が必要です。作業面積や照明、換気、消毒設備などの構造設備基準を満たすことに加え、施術者は美容師免許(国家資格)保持者でなければなりません。2人以上の美容師がいる場合は「管理美容師」も必要です。

許認可の取得にかかる費用と期間の目安は?

許認可の手続きには、法定費用(申請手数料や登録免許税)と審査期間がかかります。これらは事業計画における重要なコスト・時間要因です。

主な許認可の目安は、以下の通りです。

飲食店営業許可
  • 費用:約1.5万〜3万円
  • 期間:2週間〜1ヶ月
古物商許可
  • 費用:19,000円
  • 期間:約40日
宅地建物取引業免許
  • 費用:3.3万円(知事免許の場合)
  • 期間:1ヶ月〜1.5ヶ月
建設業許可
  • 費用:9万円
  • 期間:1ヶ月〜2ヶ月

上記はスムーズに進んだ場合の目安です。書類不備があれば期間は延びます。基本的に許認可が下りるまでは営業できないため、この期間の家賃や人件費は「空家賃」として持ち出しになります。「店舗契約・内装工事」と「許認可申請」のスケジュール調整が重要です。

許認可を取得しない場合のリスクは?

許認可が必要な業種で、許可を得ずに(または期限切れで)営業することは違法です。「バレなければ大丈夫」と安易に考えると、以下のような重大なリスクを負うことになります。

1. 刑事罰(逮捕・罰金)

多くの許認可法規には罰則規定があります。例えば、建設業を無許可で営んだ場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金などが科される可能性があります。経営者として前科がつくことは、その後の事業活動に致命的な影響を与えます。

2. 営業停止・行政指導

無許可営業が発覚すると、即座に業務の停止を命じられます。また、許可を取得していても、更新手続きを忘れていたり、名義貸しなどの違反行為があったりした場合も、営業停止処分や免許取消処分の対象となります。

3. 取引上の制限

コンプライアンス(法令順守)重視の現代において、許認可を持っていない業者とは取引しない企業が増えています。例えば、銀行融資の条件として許認可証の提示を求められたり、大手企業との契約時に許可番号の記載が必須であったりします。許認可がないことは、ビジネスチャンスの喪失に直結します。

4. 再取得の制限(欠格期間)

一度、無許可営業などで処罰を受けると、「その後5年間は許可を受けられない」といった欠格期間が設けられることが一般的です。つまり、一度の失敗で、数年間はその業界でビジネスができなくなってしまいます。

許認可申請の流れと手続き方法は?

許認可申請は、個人事業主か法人か取得する許認可の種類によって必要書類が異なりますが、一般的な流れは以下の通りです。

  1. 要件の確認(事前相談)
    管轄の窓口で、要件を満たしているか確認します。
  2. 事業所の確保・法人設立
    法人で申請する場合は、先に法人登記を済ませる必要があります。
    定款の「事業目的」に、許認可に関連する正しい文言が入っていないと許可が下りないため注意が必要です。(例:警備業なら「警備業法に基づく警備業」など)
  3. 申請書類の作成・収集
    申請書に加え、住民票、身分証明書、登記簿謄本、図面などを作成・収集します。
  4. 申請・手数料納付
    窓口へ提出し、手数料を納めます。
  5. 審査・実地調査
    書類審査に加え、担当者が現地(店舗や営業所)を確認に来る場合があります。
  6. 許可証の交付
    審査に合格すれば許可証が発行され、営業開始となります。

許認可の相談はどこにすべき?

許認可手続きは専門性が高く、書類作成も煩雑です。自力で行うのが難しい場合は、以下の窓口を活用しましょう。

行政書士

行政書士は、官公庁に提出する書類作成のプロフェッショナルです。許認可申請の代行は行政書士の独占業務であり、相談から書類作成、提出代行までを一貫して依頼できます。「自分のケースで許可が取れるか」「最短で取るにはどうすればいいか」といった実務的なアドバイスを得られるのが最大のメリットです。

各種省庁・自治体の相談窓口

申請先となる役所(保健所、警察署、都道府県庁の担当課など)には、相談窓口があります。手続きの不明点を直接確認できますが、基本的には「申請の手引き」に沿った回答となるため、要件を満たすための具体的な工夫やコンサルティングまでは期待できない場合があります。

許認可取得はビジネスのスタートライン

許認可の取得には、ヒト、モノ、カネといった要件をクリアし、適切な手順を踏む必要があります。これらを後回しにして、「会社を作ったのに許可が取れず営業できない」「無許可営業で摘発された」といった事態になれば、事業はスタート地点で躓いてしまいます。スムーズにビジネスを開始するためにも、事業計画の段階で必要な許認可を特定し、行政書士などの専門家の力も借りながら、計画的に準備を進めることをおすすめします。


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