- 更新日 : 2026年1月14日
起業家とは?実業家・経営者との違い、向いている人の特徴、MBTI診断のESTPについても解説
起業家とは、リスクを取り、新しいビジネスを立ち上げる挑戦者を指します。しかし、その定義は広く、個人事業主からスタートアップの創業者まで様々です。
この記事では、起業家の意味や実業家・経営者との違い、向いている人の特徴、そして成功するための具体的なステップまでを、アントレプレナーを目指すすべての人にわかりやすく解説します。
目次
起業家とは?
起業家とは、自ら新しいビジネスや事業を立ち上げ、運営する人を指します。単に会社を作る人(設立者)というだけでなく、革新的なアイデアやサービスによって市場を創造し、事業を成長させる役割を担う人を指す場合が多いです。
起業家に法律上の明確な定義はない
起業家という言葉は、法律で明確に定義された用語ではありません。法律上は「会社の代表取締役(経営者)」や「個人事業主」といった区分はありますが、「起業家」という資格や法的な地位が存在するわけではないからです。
起業家の語源、経済学的な意味
起業家の語源は、フランス語の「entreprendre(アントルプランドル)」で、「(事業などを)企てる、始める」という意味を持ちます。
この言葉が経済学の文脈で重視されるようになったのは、経済学者ヨーゼフ・シュンペーターの影響が大きいです。シュンペーターは起業家を「イノベーション(革新)を遂行する主体」と定義しました。彼は、既存の枠組みを破壊し、新しい生産方法や技術、市場を導入する「新結合(ニュー・コンビネーション)」こそが経済発展の原動力であり、それを担うのが起業家であると説きました。
起業家と間違えやすい肩書きとの違いは?
起業家、経営者、実業家、企業家、事業家は、事業のどのフェーズに焦点を当てているかで区別されます。
起業家と経営者の違いは?
起業家は「事業の創始者」であり、経営者は「事業の運営責任者」であるという点が異なります。
起業家は必ずしも経営者であり続けるとは限らず、逆に経営者は必ずしも起業家(創業者)ではありません(例:雇われ社長、2代目社長)。
起業家と実業家の違いは?
起業家は「立ち上げ」に焦点を当てるのに対し、実業家は「実際に手広く事業を行っている実績」に焦点を当てます。
実業家と呼ばれる人は、既に複数の事業を成功させ、財を成しているケースが多いです。立ち上げたばかりのスタートアップの創業者は「起業家」ですが、まだ「実業家」とは呼ばれないのが一般的です。
起業家と企業家の違いは?
この2つはほぼ同義で使われますが、「企業家」の方がより経済学的な文脈や、シュンペーターの定義(イノベーションを起こす人)に近いニュアンスで使われることがあります。
実務上は明確な使い分けはありませんが、メディアなどが革新性を強調したい場合に「企業家精神」といった使われ方をします。
起業家と事業家の違いは?
起業家は「0→1」の役割が強いのに対し、事業家は「1→10」や「10→100」など、事業を巧みに拡大・運営する能力(事業手腕)に焦点を当てた言葉です。
経営者と近い意味を持ちますが、より「事業そのもの」に精通し、多角化やM&Aなどを得意とする人物像を指すことが多いです。
起業家が担う役割は?
起業家の役割は「新しい価値を創造し、リスクを取り、資源を集め、組織を率いること」であり、仕事内容は事業フェーズに応じて多岐にわたります。事業をゼロから立ち上げ、自走できる組織にするためには、アイデア出しから実務的な管理まで、あらゆる機能をカバーする必要があるためです。
新しい価値の創造(イノベーション)
起業家の中核的な役割は、市場や顧客がまだ気づいていない、あるいは満たされていないニーズを発見し、それを解決する新しい商品やサービスを生み出すことです。これが起業家の最も中核的な存在意義(パーパス)です。
意思決定
起業家は、事業の成否に関する最終的なリスク(金銭的、時間的、信用的)を引き受け、不確実な状況下で重要な意思決定を下す役割を担います。起業は常に失敗の可能性と隣り合わせであり、その全責任を負う覚悟が求められます。
経営資源の調達
起業家は、事業に必要な「ヒト(人材)・モノ(設備・情報)・カネ(資金)」といった経営資源を外部から集めてくる役割を担います。特に資金調達(ファイナンス)や優秀な人材の採用は、創業者の重要な仕事です。
組織を率いるリーダーシップ
起業家は、ビジョン(未来像)を示し、チームメンバーを動機づけ、同じ目標に向かって組織を導く役割を担います。起業家一人の力には限界があり、チームの力を最大化することが事業成長の鍵となります。
起業家に向いている人の特徴は?
起業家に向いているのは、自ら考え、リスクを恐れず行動し、失敗から学び続けられる人です。起業は「答えのない問題」に連続して挑む行為であり、指示を待つ人や安定を最優先する人には困難な道となるためです。
行動力・決断力がある
迅速な行動力と、限られた情報で素早く決断する力を持つ人です。計画に時間をかけすぎず、「まずやってみる(Do First)」という姿勢が求められます。ビジネスチャンスは刻々と変化します。完璧な計画を待っていては、市場や競合に先を越されてしまうため、スピードが何よりも重要です。
課題発見力・問題解決力
人々が日常で感じている「不便」や「不満」に敏感で、それを「どうすれば解決できるか?」と考えるのが好きな人です。優れたビジネスの多くは、既存の大きな課題を解決することから生まれています。
リスク許容度が大きい
金銭的・時間的な損失や失敗の可能性を理解した上で、それを「必要なコスト」や「学びの機会」として受け入れられる能力(リスク許容度)を持つ人です。リスクを全く取らなければ、大きなリターンも得られません。失敗を恐れすぎず、冷静にコントロールできる姿勢が求められます。
学習意欲と柔軟性がある
未知の分野でも貪欲に学び続ける意欲と、計画がうまくいかない時に固執せずやり方を変えられる柔軟性を持つ人です。起業家はあらゆる分野の知識を求められます。また、市場や顧客の反応を見て、計画を素早く修正(ピボット)できる順応性が成功の鍵となります。
忍耐力・レジリエンスがある
事業が軌道に乗るまでの困難な時期を耐え抜く精神的な強さ(忍耐力)と、失敗や逆境から立ち直る力(レジリエンス)を持つ人です。起業後は、ほとんどの時間が思い通りにいかないことの連続です。それでも諦めずに粘り強く続けられるかが試されます。
MBTI診断におけるESTP(起業家型)とは?
MBTI診断において、特定のタイプだけが起業家に向いているという事実はありませんが、一般的に関連付けられやすいタイプは存在します。
- ESTP(起業家型):MBTIで「起業家」と名付けられているタイプです。現実的で行動力があり、リスクを取ることを恐れず、問題解決に長けているとされます。
- ENTP(討論者型):アイデアが豊富で、新しい可能性を見出すのが得意です。革新的なビジネスモデルを考えるスタートアップ創業者に多いタイプです。
- INTJ(建築家型):長期的なビジョンと戦略的思考に優れ、複雑なシステムを構築するのが得意です。テスラやSpaceXのイーロン・マスクがこのタイプではないかと言われることがあります。
- ESFJ(領事官型):人をまとめ、コミュニティを作るのが得意です。人を巻き込む力や顧客との関係構築が重要なサービス業やスモールビジネスの創業者に向いています。
起業家を目指す人が最初にやるべきことは?
起業家を目指す人が最初にやるべきことは、壮大な計画を立てることではなく、何を解決したいかを明確にし、小さく試してみることです。リスクを最小限に抑えつつ、そのアイデアが本当にビジネスとして成立する可能性があるのか(=顧客がお金を払う価値があるか)を確かめることが、独立開業の第一歩だからです。
とはいえ、アイデアを試すだけでは事業は進みません。検証と並行して、事業化のための具体的な準備も進める必要があります。
1. アイデアの検証(スモールスタート)
まずは「スモールスタート」から始めることをおすすめします。会社を辞めずに、低リスクでアイデアを試す方法です。失敗しても生活基盤を失わないため、精神的な余裕を持って挑戦を続けられます。
- 副業から始める:本業の傍ら、週末や夜間を使ってアイデアを形にし、実際に顧客に提供してみます。
- スキルテストをする:自分のスキルが市場で通用するかを、クラウドソーシングサイトなどで試してみます。
- アイデア検証を行う:課題を抱えていると思われるターゲット層に直接インタビューし、本当にお金を出してでも解決したい悩みなのかを確認します。
2. 事業計画と資金計画の策定
アイデアの検証と並行し、事業計画を具体化します。 完璧なものである必要はありませんが、「誰に」「何を」「どうやって提供し」「どう収益を上げるか」を明文化することで、ビジネスモデルが明確になります。これは、融資や出資を受ける際の基礎資料にもなります。
資金計画(ファイナンス)も不可欠です。 事業開始に必要な初期費用(イニシャルコスト)と、事業が軌道に乗るまでの運転資金(ランニングコスト)を試算します。自己資金でどこまで賄うか、不足分をどう調達するかを計画します。
参考:事業計画書の作成例|起業マニュアル|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
3. 事業形態の決定
事業をどのような形態で始めるかを決定します。 まずは手続きが簡単な個人事業主 として始めるか、社会的信用や節税メリットを考慮して法人(株式会社や合同会社など)を設立するかを検討します。
4. 許認可の確認
事業に必要な資格や許認可の有無を調査します。 例えば、飲食業であれば「食品衛生責任者」の資格と「飲食店営業許可」、中古品売買であれば「古物商許可」が必要です。許認可が必要な業種で、無許可のまま営業すると法律違反となるため、必ず事前に確認します。
5. 法的手続き
事業が小さく軌道に乗り始めたら、法的な手続きが必要になります。スモールスタートの段階では必須ではありませんが、売上が安定してきたら以下の手続きを検討します。
起業家の有名な成功事例は?
国内外に、革新的なアイデアと実行力で世界を変えた有名な起業家が数多く存在します。彼らの成功事例は、起業家精神(アントレプレナーシップ)を学ぶ上で貴重な教材となります。
日本の起業家
- 孫正義氏(ソフトバンクグループ)
日本のインターネット産業の黎明期から、情報革命を掲げて巨大な投資会社・テクノロジー企業群を築き上げた起業家 - 柳井正氏(ファーストリテイリング/ユニクロ)
「SPA(製造小売)」というビジネスモデルを確立し、一つの地方衣料品店から世界的なアパレルブランドへと成長させた起業家 - 三木谷浩史氏(楽天グループ)
「楽天市場」というEコマースプラットフォームを軸に、金融、通信など多岐にわたる「楽天経済圏」を創出した起業家
海外の起業家
- スティーブ・ジョブズ(アップル)
パーソナルコンピュータ、スマートフォン(iPhone)など、人々のライフスタイルを根本から変える革新的な製品を世に送り出した起業家 - ビル・ゲイツ(マイクロソフト)
「すべてのデスクにコンピュータを」というビジョンのもと、OS(Windows)でPC市場のスタンダードを築いた起業家 - イーロン・マスク(テスラ、SpaceX)
電気自動車、宇宙開発、AIなど、複数の破壊的イノベーションを同時に推し進める現代を代表する起業家
起業家が成功するためのポイントは?
起業家が成功確率を高めるためには、情熱だけでなく、合理的な検証と着実な実行ステップを踏むことが不可欠です。
1. ニーズのあるビジネスアイデアを見つける
自分がやりたいこと(情熱)と、市場が求めていること(ニーズ)が重なる領域でアイデアを見つけることが最初のステップです。
「こんなものがあったら便利だ」という自分の課題感や、他人の不便に注目することが起点となります。
2. 小さく検証する
完璧な製品を最初から作らず、最小限の機能を持つ試作品を素早く作り、顧客に使ってもらってフィードバックを得る手法です。
これは「リーン・スタートアップ」と呼ばれる手法で、大きな失敗を避け、顧客が本当に求めるものだけを開発するための鍵となります。
3. 起業家仲間やパートナーと補完関係を作る
自分にないスキルや視点を持つ共同創業者(パートナー)や、相談できる起業家仲間(メンター)を見つけることです。
一人の能力には限界があります。技術、営業、管理など、お互いの強みを補完できるチームは成功に不可欠です。
4. 経理・税務・資金管理の仕組みを整える
事業のお金の流れ(キャッシュフロー)を正確に把握し、税務や会計を疎かにしない体制を最初から作ることです。
会計ソフトの導入や税理士との契約など、お金の管理を後回しにすると、資金繰りの悪化(黒字倒産)や税務トラブルの原因となります。
5. マーケティングと顧客理解を深める
「誰が顧客なのか」を明確に定義し、その顧客にどうやって製品の価値を届けるか(マーケティング)を常に考え、実行することです。
「良いものを作れば売れる」のではなく、「価値を伝えなければ存在しないのと同じ」という意識が重要です。
6. 失敗を前提に改善し続ける
一度の失敗で諦めず、失敗をデータとして捉え、次の行動を改善し続ける(PDCAサイクルを回す)ことです。
成功する起業家は、うまくいかない方法を一つ学んだと考え、素早く方向転換(ピボット)します。
起業家として成功を収めるために
この記事では、起業家の多面的な意味、向いている人の特徴、様々な種類、そして気になる年収の実態、成功への具体的なステップを網羅的に解説しました。
起業家とは、単に会社を作る人ではなく、自らのビジョンに基づきリスクを取り、社会に新しい価値を生み出そうと行動し続ける挑戦者です。その道は不安定で困難も多いですが、会社員では得難い大きなリターンと成長、そして何より自らの手で未来を創るやりがいに満ちています。もしあなたが創業者としての一歩を踏み出したいと考えるなら、まずは副業やスモールスタートから、あなたのアイデアを小さく試してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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