- 更新日 : 2026年1月14日
一般社団法人とは?設立するメリット・デメリットや手続きの流れ、費用を簡単に解説
「一般社団法人」という言葉を聞いたことがあっても、株式会社やNPO法人と具体的に何が違うのか、設立にどのようなメリットがあるのかを正確に理解している方は少ないかもしれません。
本記事では、一般社団法人の定義から、設立のメリット・デメリット、費用、税制面での扱いまで、設立を検討する上で必要な情報を解説します。
目次
一般社団法人とは?
一般社団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)」に基づき設立される社団法人です。
参考:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律|e-Gov 法令検索
最大の特徴は、「営利を目的としない(非営利)」という点にあります。「非営利」の定義については誤解されやすいため、以下の2点を正しく理解する必要があります。なお「非営利型一般社団法人」は“法人税の扱い”に関する区分で、要件を満たすと収益事業以外(会費・寄付等)が原則非課税になります。
- 収益事業は行ってよい:利益を出してはいけないわけではありません。収益事業を行い、その利益を団体の活動に充てることは認められています。
- 分配(配当)が禁止:株式会社との決定的な違いは、「生じた利益を構成員(株主等)に分配(配当)してはいけない」という点です。
一般社団法人の種類は?
一般社団法人は、運営実態や定款の定めによって大きく2つのタイプに分類され、税制上の扱いが異なります。
- 非営利型法人:原則、収益事業から生じた所得のみ課税(会費・寄付などは原則非課税)。
- 非営利型以外(普通法人扱い):原則としてすべての所得が課税対象(株式会社等と同様)となる。
一般社団法人の設立要件は?
一般社団法人の設立要件は、以下の通りです。ここで「社員」とはいわゆる従業員ではなく、議決権をもつ法人の構成員を意味します。
- 設立時の人数:社員2名以上
- 活動内容:適法であれば制限なし(公益性は必須ではない)
- 設立資金:0円から設立可能(資本金制度がない)
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一般社団法人と他の法人の違いは?
一般社団法人とよく比較される他の法人形態との違いを解説します。
一般財団法人との違いは?
一般財団法人も一般社団法人と同様、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)」に基づき設立されます。
しかし、組織や団体に法人格が与えられる一般社団法人とは違い、一般財団法人では財産に法人格が与えられます。
その他、以下のような違いもありますので覚えておきましょう。
- 設立時の人数:最低7名(設立者1名以上、評議員3名以上、理事3名以上)
- 設立時に必要な拠出金:300万円以上
一般財団法人は財産を基礎にする法人で一般社団法人とは異なります。、一般財団法人になると設立時に一定額の財産拠出(一般に300万円以上とされることが多い)や、評議員・理事等の機関設計が必要になります。
公益社団法人との違いは?
一般社団法人のうち、公益性を認定されたものが「公益社団法人」になります。一般社団法人の活動については適法であれば制限がないのに対し、公益社団法人の主な目的は公益(公共の利益)活動です。公益目的事業を費用で計る場合、50%以上の比率である必要があります。
| 項目 | 一般社団法人 | 公益社団法人 |
|---|---|---|
| 事業内容 | 適法なら制限なし | 公益目的事業がメイン(比率50%以上) |
| 監督 | 特になし | 行政庁による監督・報告義務あり |
| 税金 | 一部は収益事業のみ課税 | 公益目的事業は非課税(優遇措置あり) |
NPO法人(特定非営利活動法人)との違いは?
一般社団法人は登記のみで設立できますが、NPO法人の場合、所轄庁から設立の認証を受ける必要があります。
また、一般社団法人の事業が適法であれば目的は自由です。しかし、NPO法人の事業は法律で定められた20種類の分野(医療、福祉、環境保全、まちづくり等)に該当するものに限られています。
参考:特定非営利活動(NPO法人)制度の概要|内閣府NPOホームページ
一般社団法人を設立するメリットは?
一般社団法人を設立する主なメリットは、以下の通りです。
1. 設立手続きが簡単でスピーディー
一般社団法人は、公証役場での定款認証と法務局での登記のみで設立が完了します。NPO法人(特定非営利活動法人)のように所轄庁の認証を待つ必要がないため、準備から設立までの期間が短く、手間も少ないのが大きなメリットです。
2. 資金0円から設立できる
一般社団法人には資本金制度がないため、手元資金が少なくても設立可能です。株式会社の資本金にあたる「基金」という制度を用いますが、拠出は義務ではありません。300万円以上の拠出金が必須である「一般財団法人」と比較しても、金銭的なハードルは非常に低いと言えます。
3. 事業目的の自由度が高い
適法であれば、公益目的に限らずあらゆる事業が可能です。公益社団法人やNPO法人のように活動内容が限定されません。収益事業をメインにすることも可能であり、同窓会、学会、業界団体、資格認定機関など、幅広い目的で活用されています。
4. 法人格による信用度の向上
法人名義での契約や口座開設が可能になり、社会的信用が得られます。任意団体や個人事業主では契約や口座開設でつまずくことがありますが、法人化することでこれらの課題を解消できます。大手企業や行政との取引もしやすくなります。
5. 税制上の優遇措置(非営利型の場合)
要件を満たして「非営利型一般社団法人」となれば、税制面で大きなメリットがあります。通常の法人は全ての所得に課税されますが、非営利型であれば「収益事業以外の所得(会費や寄付金など)」は非課税となります。これにより、利益を効率よく活動資金に回すことができます。
一般社団法人を設立するデメリット・注意点は?
設立のしやすさが魅力である一方、運営面や利益配分においてはデメリットや制約も存在します。
1. 利益の分配(配当)ができない
最大のデメリットは、株式会社のように利益を「配当」として分配できない点です。事業で得た利益は、翌年度の活動資金や法人の財産として蓄積する必要があります。そのため、出資者へのリターンを目的とするビジネスモデルには適していません。
2. 事務負担とコストが発生する
法人としての厳格な運営義務とコストが発生します。
- 社員総会の開催義務:意思決定機関として「社員総会」の開催が必要です。重要事項の決定や議事録の作成・保管など、厳格な運営が求められます。
- 社会保険の加入義務:従業員を雇用する場合(法人の役員を含む)、一般に強制加入の適用事業所となります。保険料の会社負担が発生するため、個人事業主から法人化する場合はコスト増となる可能性があります。
3. 怪しいと誤解される場合がある
過去の節税スキームのイメージから、警戒されることがあります。かつて、持ち分がない性質を利用した過度な相続税逃れに使われた事例があったためです。現在は税制改正で対策されていますが、一部でネガティブなイメージを持つ人がいることは留意すべき点です。
一般社団法人を設立する流れは?
ここでは、一般社団法人を設立する流れをご紹介します。
1. 理事・社員の選定
まず、理事・社員の選定を行います。理事は最低1名、社員は2名以上必要です。理事は法人でない社員が兼任することも可能です。社員は法人でも構いません。
2. 定款の作成と認証
定款を作成し、法人を設立する予定の所在地を管轄する公証役場で公証人に認証してもらいます。定款には以下の内容を必ず記載しましょう。
- 目的
- 名称
- 主たる事務所の所在地
- 設立時社員の氏名(名称)・住所
- 社員の資格喪失に関する規定
- 公告方法
- 事業年度
3. 設立登記の申請
定款の認証が終わったら、法務局で設立登記を申請します。申請は法人の設立者が自ら行うこともできますが、司法書士に代行してもらうことも可能です。
登記完了後、登記事項証明書などが取得可能になります。
一般社団法人の設立にかかる費用は?
一般社団法人の設立には次のような費用がかかります。
※金額は目安です。定款内容や依頼先、自治体等により変動します。
| 費用項目 | 支払先 | 金額目安 |
|---|---|---|
| 定款認証費用 | 公証役場 | 約5万円 |
| 登録免許税 | 法務局 | 6万円 |
| 実印作成・証明書 | 印鑑店・役所 | 数千円〜3万円台 |
| 司法書士報酬 | 司法書士 | 5万円〜10万円(依頼する場合) |
手続きは一般社団法人の設立者本人でも行えますが、「時間をかけたくない」「手間がかかるのが困る」という場合には司法書士に依頼するとよいでしょう。ただし、依頼する場合には報酬の支払いが必要です。
一般社団法人のお金に関する制度は?
ここでは、一般社団法人の運営にあたって知っておくべきお金の仕組みを解説します。
基金制度
一般社団法人には株式会社のような「資本金」の制度はありませんが、活動の原資として「基金」という制度を設けることができます。基金とは、法人に対して拠出された金銭や財産のことを指します。
この基金制度を採用するかどうかは法人の自由であり、不要であれば設ける必要はありません。基金の額に制限はないため、0円でも法人の設立は可能です。もし基金制度を導入したい場合は、設立時に定款でその旨を規定する必要があります。
なお、基金に金銭等を拠出した人が必ずしも社員(構成員)となる必要はなく、逆に社員が必ず拠出しなければならない義務もありません。
給与・役員報酬の仕組み
一般社団法人では、「役員」「社員」「従業員」それぞれの報酬や給与の扱いが異なります。
- 役員
理事や監事といった役員への報酬は、定款で定めるか、または社員総会の決議によって決定します。 - 社員
法人の構成員である社員は株式会社における株主のような立場であり、労働力を提供する立場ではありません。一般社団法人では利益分配(配当)が禁止されているため、社員であること自体に対して給与や配当が支払われることはありません。ただし、社員が役員を兼任する場合や、従業員として労働を提供する場合には、それぞれの対価として報酬や給与が発生します。 - 従業員
法人の従業員として雇用され労働力を提供する人に対しては、株式会社と同様に給与が支払われます。
法人税の取り扱い
一般社団法人の税金は、その法人が「非営利型」の要件を満たしているかどうかで大きく異なります。
「非営利型法人」に該当する場合、税制上の優遇措置として、収益事業から生じた所得のみが課税対象となります。つまり、会費や寄付金などの収益事業以外の所得には税金がかかりません。
一方で、「非営利型以外の法人(普通法人扱い)」となる場合は、株式会社などと同様に、すべての所得が課税対象となります。設立時にどちらの区分を目指すかを明確にし、定款の内容や運営実態を整えることが重要です。
一般社団法人の特徴を理解して設立を検討しましょう
一般社団法人は、株式会社よりも設立コストを抑えつつ、NPO法人よりも自由かつスピーディーに事業を開始できる法人形態です。
- メリット:設立が容易、資金0円でOK、事業目的が自由。
- デメリット:利益分配が不可、事務負担がある。
「非営利型」の要件を満たせば税制メリットも享受できます。ご自身の活動目的が、利益追求(配当)にあるのか、社会貢献や業界の発展にあるのかを見極め、特徴やメリット・デメリットをよく確認したうえで設立を検討してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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