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  • 更新日 : 2021年10月8日

ERPと販売管理システムの違いは?役割やメリットについてわかりやすく解説

ERPと販売管理システムの違いは?役割やメリットについてわかりやすく解説

業務システムを導入する際に、ERP(統合基幹業務システム)と販売管理システムのどちらを導入すればよいかお悩みの方は多いでしょう。

どちらを導入すべきかは、自社の課題や求めている成果によって変わります。今回は、ERPと販売管理システムの違いやそれぞれの役割、メリットについて解説します。

ERPと販売管理システムの違いとは?

ERPと販売管理システムはどちらも業務システムですが、厳密には両者は異なるものです。

ERPも販売管理システムも、受発注や仕入れをはじめとした業務システムがパッケージ化されているという点では似通っています。しかし、ERPは商品の原材料の仕入れから販売に至るまでの一連のプロセスに関わる業務システムのデータがシームレスに連携されていて情報がリアルタイムで反映され、さらに会計データや人事労務データも1つのシステム内で管理します。

一方で、販売管理システムは主に販売管理業務・購買管理業務・在庫管理業務に関する「モノ」と「カネ」のデータを一元管理できるシステムです。したがって、販売管理システムだけを単独で導入する場合もあれば、ERPの中で、販売管理も含む基幹業務のシステムが統合化されている場合もあります。

また、ERPではリアルタイムで複数の基幹業務のデータが連携され、生産と販売を一元管理できるので、精度の高いシミュレーションによる生産計画・販売計画の最適化も可能です。

導入する目的の違い

前述のとおり、ERPと販売管理システムは機能の範囲が異なります。ERPも販売管理システムも商品を製造するために原材料を仕入れて、生産状況や需要予測などを加味しながら適正在庫を判断し、適切な生産計画を立てる点では共通しています。生産した商品はスムーズに在庫に反映され、最適な販売計画が導き出されます。

注文が入れば在庫から自動的に引き落とされ、受注確認や出荷作業が進められて、注文にもとづいた代金回収が行われます。販売管理システムは、この「在庫の引き落としをかけて受注確認と出荷作業を行い、代金回収する」一連の機能のみを担うことから、ERPの業務データの中で販売管理だけが独立したシステムといえるでしょう。

ERPは他業務のデータも連携させて社内全体の生産状況や販売状況、在庫状況などを可視化することにより、経営層がスムーズに経営判断を下せる環境を整えることを目的としています。一方で販売管理システムは、販売管理だけの効率化やコスト削減、データの可視化が目的です。

ERP(統合基幹業務システム)とは

ERPは「Enterprise Resources Planning」の頭文字を取った言葉で、「統合基幹業務システム」とも呼ばれます。企業はヒトやモノ、データ、金銭などさまざまな経営資源を有しており、ERPはこれらの資源を最も効率的に活用するために利用されるシステムです。

もともとは生産管理を行うために利用されていたMRP(Material Resource Planning)から発展したもので、生産管理の効率化だけでなく、経営活動全般を効率化するために生まれました。

前述のとおり、ERPには販売管理だけでなく、生産管理や購買管理、会計管理や人事管理など、さまざまなデータを1つのシステムで一元管理するための機能が備わっています。あらゆる基幹業務で蓄積されたデータがリアルタイムで連携されており、現在の企業全体の経営状況を一目で把握できるようになっています。

ERPの役割

ERPの役割は、業務効率化を推進するとともにコスト削減を図ることです。例えば生産管理データの分野では、工場で最も効率的に製品を生産するにはどのようなスケジュールで稼働するべきかを導き出します。在庫管理においては、過去に蓄積した販売データを分析して適正在庫を算出し、過剰在庫や欠品を防止します。

また、ERPの役割は、単に各業務の生産性を向上させることだけではありません。各業務データを連携させ、可視化することによって、企業の経営者や現場の担当者が速やかに判断を下せるようにすることも役割のひとつです。

ERPは各機能から収集したデータを分析することによって、企業活動の中で起こるさまざまな変化を瞬時に把握し、スピード感のある経営判断を実現する役割を担っているのです。

ERPの主な機能

ERPは特定の業界や業種に特化しているものもありますが、一般的にはどのような業界でも対応できるように基本機能が網羅されているものが多いです。ERPの代表的な基本機能は、「販売・購買管理」「生産管理」「会計管理」「人事労務管理」ですが、ERPによっても搭載されている機能は異なります。

生産管理機能は、製品を生産するにあたってどの原材料をどのくらい使って、どのようなスケジュールで生産するのかを管理するものです。さらに、原価管理や、検収、検品なども生産管理に含まれます。販売管理では受注や出荷、請求など、商品の販売に関する金銭の流れを管理します。

会計管理は財務処理全般を行うためのシステムで、会計監査などの際に自社の財務状態を正確に伝えられるようにする上で重要です。また、「管理会計」も会計管理に含まれます。管理会計とは、IRなどで外部に発表するためではなく、自社内で経営に活かすために作成する会計データを指します。

「販売・購買管理」の中には、在庫管理機能が含まれます。在庫は資産でもあるため、資産管理や債権管理や会計の一環となります。

資産管理では自社が所有するソフトウェアやハードウェア、ライセンス、機器類などを管理します。債権管理では、未回収の売掛金を回収するための期限管理や残高確認などを行います。

ERPの導入メリット

ERPを導入するメリットは、社内全体の生産性向上や企業活動の可視化のほか、会計情報の一元管理、経営判断の迅速化、蓄積データの活用などが実現することです。

ERPを活用することによって、各部門のデータを連携して可視化することで、経営判断を最適化できるようになるため、状況に応じて柔軟にスケジュールや仕入れを最適化できます。無駄のない経営を行えるようになるため、社内全体の生産性が向上するでしょう。

これまでは個々の業務システムを個別に利用していたため、社内全体の会計情報を管理するためにはそれぞれのシステムのデータを取りまとめる必要がありました。そのため、各システムのデータを財務会計システムに入力し直すといった手間がかかっていましたが、ERPなら自動的に業務データが連携されるため、再入力の手間がかかりません。

これによって、前述の「経営判断の迅速化」を実現できます。さらに、ERPでは蓄積したデータがリアルタイムで反映されるため、データ分析の精度も向上します。

販売管理システムとは

販売管理システムは、売上・仕入・在庫の領域を一元管理できるシステムです。そもそも販売管理とは、企業が顧客から注文を受けてから商品を納品するまでの間に発生する、商品とお金の流れを管理することです。つまり販売管理システムは、「顧客から注文を受けて、商品を納品するまでの流れを管理するためのシステム」といえます。

冒頭でもお伝えしたように、ERPに比べると販売管理システムの機能の範囲は限定的です。販売管理システムに搭載されている機能はERPにもあるため、「販売管理システムはERPの機能の一部を切り出したもの」という見方もできます。

販売管理システムの役割

販売管理システムの役割は、販売管理システムは主に販売管理業務・購買管理業務・在庫管理業務に関する「モノ」と「カネ」のデータを一元管理することです。

近年は売上管理や仕入管理、在庫管理のそれぞれをシステム化する企業が増えていますが、単体のシステムを稼働させている企業も多いことでしょう。そのため、「受注情報はExcelで管理しているが、在庫管理だけはシステム化されている」「受注情報はシステムで管理しているが、在庫の引き落としは手動で行っている」といった状況になっており、これらの作業がかえって負担になっているケースも少なくありません。

販売管理システムを導入すれば、このような問題を解決することができます。これまでは個々に導入しなければならなかった販売管理業務・購買管理業務・在庫管理業務に関する「モノ」と「カネ」のデータを一元管理できるため、人的工数を最小限に抑えて自動化が実現し、業務の効率化やヒューマンエラーの削減を図れます。

販売管理システムの主な機能

販売管理システムの主な機能は、主に販売管理業務・購買管理業務・在庫管理業務をサポートするシステムです。中でも、「受注管理」「在庫管理」「出荷管理」「請求管理」「購買管理」などがありますが、システムの種類によっても搭載されている機能は異なります。

販売管理業務に含まれる受注管理では、顧客からの要望をもとに見積書を発行したり、注文が入った案件の受注確認を行ったりします。現在受けている注文の内容を一覧で確認できるので、アナログ的管理による抜け漏れや金額のミスなどを防止できます。

また、請求管理では、注文内容をもとに請求書を発行してから売掛金を回収するまでの一連の流れを管理します。商品の販売後、代金回収が完了しなければキャッシュフローが悪化するため、請求管理は非常に重要です。

在庫管理業務では、商品の在庫がどのくらいあるのかを可視化できます。在庫を可視化することによって過剰在庫や欠品を防ぎ、適正在庫を維持しやすくなります。

出荷管理では、どの商品を誰に向けていつ納品するのかを管理します。システム上で一括管理することで、納期の遅れや出荷ミスなどのトラブルを防止できるでしょう。

購買管理では、商品の仕入れや発注を行います。これらの情報を適切に管理することで収支を正しく把握できるため、経営状況が明らかになります。

販売管理システムの導入メリット

販売管理システムを導入すると、業務負担の軽減による業務効率化が図れます。また、過去の購買データを分析して、今後の経営に活かすこともできます。

販売管理業務、在庫管理業務、購買管理業務をアナログで管理していると、手入力や再入力、手動の集計業務など多くの手間がかかります。販売管理システムを利用すれば、受注管理のタイミングで入力したデータが在庫管理や出荷管理などにも反映されるため、何度も同じデータを入力する必要がありません。

手入力や転記作業があると、入力ミスや抜け漏れなどが発生します。その結果受注情報や在庫情報の精度が低くなり、経営状況を正しく把握できなくなります。販売管理システムなら一連の作業を自動化できるため人的ミスが減り、情報管理の精度が高まります。

ERPと販売管理システムを理解して自社の状況に最適な方を選択しましょう

ERPと販売管理システムは似ているようで、その性質と役割は異なります。それぞれの特徴や機能を十分理解した上で、自社の状況に最適なシステムを選択することが課題解決につながり、大きなメリットをもたらします。

まずは現在自社が抱えている課題を洗い出して、自社に必要な機能を把握しましょう。その上で、どのシステムを利用すれば課題を解決できるのかを検討することをおすすめします。

よくある質問

ERPと販売管理システムの違いは?

ERPは、部門間の複数の基幹業務データが連携され、全社的な経営状況の可視化に役立つシステム。販売管理システムは、主に販売管理業務・在庫管理業務・購買管理業務のデータ活用をサポートするシステムです。詳しくはこちらをご覧ください。

ERPと販売管理システムの目的は?

ERPの目的は、業務効率化・コスト削減、経営状況の可視化。販売管理システムの目的は、販売管理業務・在庫管理業務・購買管理業務の効率化です。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:世吹 祐希(SAP認定コンサルタント)

外資系コンサルティングファーム出身。SAP認定コンサルタントとして、主に会計領域の業務改善や、デジタル化推進に参画。現在はライターとして、IT・金融のジャンルを中心に、さまざまな媒体で記事や書籍の執筆に携わる。好きなものは美術鑑賞と近代文学。