- 作成日 : 2024年12月2日
飲食店の間借りに必要な転貸借契約書とは?ひな形をもとに書き方を解説
すでに営業している飲食店を間借りして別の飲食店を出店する場合は、転貸借契約を締結する必要があります。この記事では転貸借契約書とはどのようなものなのかという概要や書き方、盛り込むべき内容について、ひな形をもとにご説明します。
▼飲食店向け転貸借契約のテンプレートは以下よりダウンロードいただけます。
目次
飲食店の間借りに必要な転貸借契約書とは
転貸借契約書とは、賃貸物件の借主が、第三者に物件を転借(又貸し)する際に締結する契約です。飲食業の場合、営業時間外のお店を間借りして別のお店が出店するケースもあります。例えば夜間しか営業していないバーを別の会社が借りてランチ営業をするというイメージです。
転借人(間借りする方)は開店費用を抑えられる、すぐに営業を開始できるなど、転貸人(貸し出す方)は転借料が得られるなど、双方にメリットがあります。
転貸借契約書と賃貸借契約書の違い
転貸借契約と賃貸借契約の大きな違いは契約者です。賃貸借契約の場合は物件を借りる人と物件を貸す人(物件の所有者。大家さん)が契約を締結します。一方、転貸借契約は間借りで利用する人と物件を借りている人が締結する契約です。
例えばAさんが所有する物件でBさんがバーを経営する場合は、BさんはAさんと賃貸借契約を締結することで物件を利用して居酒屋を開店できるようになります。レストラン業を営むCさんがBさんのお店を利用したい場合、CさんとBさんが転貸借契約を締結することで、CさんはBさんのお店を間借りしてレストランを営業できるようになります。
ただし、物件を転借する際には物件の所有者の承諾を得ておきましょう。賃貸借契約を締結する際には、無断転借を禁止する旨、あるいは転借する場合は物件の所有者の承諾を得る旨が定められているケースが一般的です。この場合、もし勝手に転借してしまえば重大な契約違反行為とみなされる恐れもあります。また、こうした規定がなくともトラブルを防ぐために、物件の転貸人と転借人は、事前にしっかりと物件の所有者に話を通しておくことが大切です。
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飲食店の間借りに必要な転貸借契約書の書き方
ここからは賃貸借契約書に盛り込むべき内容について、項目ごとに詳しくご紹介します。より理解を深めていただくためにも、ぜひ今回ご用意したひな形もご覧になりながら読み進めてください。
契約者と対象物件の情報
まずは契約者(転貸人と転借人)の氏名や会社名と物件の所在地、建物名、構造などを明らかにします。転貸人を「甲」、転借人を「乙」、対象物件を「本件建物」、当該転貸借契約を「本契約」と置き換えることで、文書が読みやすくなります。
目的
転貸人が転借人に対して物件所有者の同意のもと物件を転貸する旨を記載します。また、物件の利用目的(飲食店の経営)についても明記します。
契約期間
転貸借契約の期間を「令和〇年〇月〇日から令和●年●月●日まで」というように具体的に記載します。
善管注意義務
転借人が転貸人や物件の所有者、近隣に迷惑をかけないよう、物件の維持管理や清掃について規定します。
施設・設備の使用
転借人が物件に備えられている施設や設備を利用できるか否か、どの範囲まで利用できるのか、新設や変更したい場合の手続きなどについて定めます。
転借料
転借人が転貸人に支払う転借料の金額や支払期限、支払方法や振込手数料の負担について定めます。また、水道光熱費などの諸経費や物件の修繕・補修費の取り扱いについても明確にしておきましょう。
契約解除
転貸人が転貸借契約を解除できる条件について規定します。転借人に契約違反行為があった時、騒音などのトラブルを起こし注意したのにも関わらず改善されなかった時などを条件として定めるのが一般的です。
原状回復と損害金
転貸借契約が終了した際に転借人が費用負担をして原状回復(物件を元通りの状態にするための工事)を行うことと、それが行われなかった場合の対応、原状回復がなされなかった場合に転貸人に生じた損害の賠償について定めます。
反社会的勢力の排除
転貸人、転借人双方が暴力団や暴力団関係企業、その関係者などの反社会的勢力でないことを約束する条項です。
協議
契約書で取り決められている内容で解決できないような問題が発生した際に、両当事者が話し合って解決を目指す旨を規定します。
合意管轄
転貸人と転借人との間に紛争が発生した際の訴訟を起こす裁判所を指定します。「本件建物の所在地を管轄する地方裁判所」というように、物件の所在地を管轄する裁判所を指定するケースもあれば、「●●地方裁判所」というように具体的な裁判所を指定するケースもあります。
署名押印欄
末尾に両当事者が契約書を保管する旨と、契約日、両当事者の氏名と住所を記入する欄と押印欄を設けます。ここに署名押印した時点で契約に同意したとみなすことができます。
転貸借契約書のひな形・テンプレート
このサイトでは初めて転貸借契約書を作成する方のためにひな形を用意しました。書き換えるだけですぐに使えますので、ぜひご活用ください。
転貸借契約書を作成するときの注意点
転貸借契約を締結する際には、以下のような点に注意しましょう。
物件の所有者に必ず同意を得て契約書もチェックしてもらう
前述の通り飲食店を転貸する場合は、物件の所有者に必ず同意を得ましょう。転貸する飲食店のオーナーが占有していても、物件の所有権は所有者にあります。他人のものを勝手に貸し出すのは道義的とはいえません。後々トラブルに発展する恐れもあり、最悪の場合転貸した飲食店オーナーも物件を利用できなくなる、損害賠償請求をされるなどのリスクもあります。
ルールと違反した際の対応をしっかりと定めておく
物件を第三者に転貸すると騒音を発生させる、ゴミ捨てのルールを守らない、施設や設備を勝手に使用されて破損や汚損をさせてしまうなど、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。契約書で禁則事項を明確にし、仮に違反した際の対応(契約解除や損害賠償など)に関してもしっかりと取り決めておきましょう。
原状回復の負担者を明確にしておく
転貸人と転借人の間では「原状回復を誰が負担するか」で揉め事が起こるケースがしばしばあります。契約が終了した際にどちらが原状回復費を負担するのか、その取り決めが守られなかった場合にどう対応するのかについても明らかにしておきましょう。
飲食店の間借りに必要な転貸借契約以外の手続き
間借りして飲食店を開業する場合、転貸借契約の締結以外にも以下のような手続きや資格取得が必要です。
飲食店の営業許可を申請する
飲食店を営業する場合は食品衛生法に基づき、保健所からの営業許可を取得しなければなりません。所管する保健所に申請を行い、検査を受けて一定の基準を満たしていれば、営業許可が下されます。間借りして飲食店を開業する場合も、飲食店営業許可は必須となります。
食品衛生責任者の資格を取得する
飲食店には食品衛生責任者の有資格者を配置しなければなりません。一定の研修を受けて試験に合格する必要がありますが、それほど難易度は高くはないようです。開業前に取得しておきましょう。
防火管理者の資格を取得する
収容人数が30人以上の店舗では防火管理者も置かなければなりません。こちらは消防署が実施している研修を受けて試験に合格することで資格を取得できます。こちらも開業前に取得しておく必要があります。
間借りで飲食店を開業するなら必ず転貸借契約を締結しよう
飲食店を間借りして開業する場合は、必ず転貸人と転貸借契約を書面で締結しましょう。知り合いや友人の店舗を使う場合でも、思わぬトラブルが発生する恐れもありますので、しっかりと契約書でルールを定めておく必要があります。
スムーズに開業し、転借人や物件の所有者、近隣とのトラブルを防ぐためにも、今回の記事でご紹介したポイントを押さえて準備を進めていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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