- 更新日 : 2024年9月4日
同意書に印鑑は必要?適切な記入方法を解説
取引に際して、契約書とは別に同意書のやり取りを行うことがあります。契約書と同様、作成に関して厳密に決められているわけではないのですが、印鑑の使用についてはどうなのでしょうか。今回の記事では、同意書に印鑑が必要なのかどうか、法的な有効性や電子化に関する話題にも言及します。
目次
同意書に印鑑は必要?
まずは同意書とは何か、「承諾書」や「合意書」との違いなどを整理しておきましょう。
同意書とは
「同意書」とは、法律行為や事実行為も含む将来の行為について、あらかじめ同意の旨を表明するための文書です。ある行為に際してかかる制限、条件、リスクなどについて事前に了承を得ておく目的で作成されます。
例えば、未成年者と契約を締結するときや、医療機関がインフォームド・コンセントを得るとき、個人情報の提供を受けるときなどに作成され、その他さまざまな場面で同意書は利用されています。
同意書は法的にも効力を持ち、同意があったかどうかについて争いが生じたときには、同意書を示すことで対外的にもその証明をすることが可能となります。
そこで「特定の事項について約束を交わしていたことを示す」という意味では契約書と違いがないともいえます。
ただし、契約書の場合、より詳細に双方の権利義務関係が記載されていることが多いです。同意書も双方の納得があってのものですが、交渉により双方が歩み寄って決めていくというより、一方的にその内容を提示し、他方がこれを受け入れる形で成立に至るケースが多いです。
他に「承諾書」や「合意書」と呼ばれる書類も存在しますが、これらは名称の違いでしかなく内容としては基本的に同じです。契約書や法令で使われている文言に寄せて「承諾書」や「合意書」、「同意書」などと使い分けているケースがあります。
承諾書について、詳しくは下記記事で紹介しています。
同意書にも印鑑を使用するのが一般的
印鑑の使用についてですが、「同意書」という名称の書面であっても契約書と同じように印鑑を使うのが一般的です。印鑑が使われていないと無効になるということではありませんが、契約書で印鑑を使用するのと同じ目的で使用します。
つまり、同意書によって、同意の意思表示をした本人が作成したことを、署名(または記名)押印によって示すのです。
後々「そんな同意書は作成していない」「自分以外の誰かが勝手に名前を記載した」などと主張してくるのを防ぐために印鑑を使います。
同意書に押印するときのやり方
同意書への押印のやり方も、契約書の場合と同じで良いです。署名または記名欄の末尾、あるいは名前に被せるようにして押します。
なお、印鑑の使用自体は法的に義務とされていませんし、やり方についても厳格なルールはありません。
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※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
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同意書のテンプレート
同意書は契約書に比べ記載内容もシンプルですし、作成するのもそれほど難しい作業ではありません。以下のページから同意書のテンプレートがダウンロードできますので、テンプレートを参考に記載内容を書き換えればすぐに同意書として利用することができるでしょう。
同意書に記載すべき事項は?
同意書の作成方法にルールがないとはいえ、似た様式で収まることが多いです。また、同意が得られたことの証拠として使うためにも、最低限本人を特定する情報や同意する内容などは記載されていなければなりません。
そこで次の事項は記載することになるでしょう。
- 表題
例:「個人情報の取扱いに関する同意書」 - 同意をした日付
- 同意をした本人または代理人の氏名、住所、押印
- 同意をする内容
当然、同意をする内容は取引内容によって異なります。
個人情報の取扱いに関する同意書の場合、「個人情報保護管理責任者」や「個人情報の利用目的」「第三者への開示」などを明記して取扱い内容について同意を得る必要があります。医療行為を受ける場合は、病名や症状、手術内容やその日程、術後に起こり得る症状などの情報を明記することになるでしょう。
具体的な記載事項については、法令の内容も照らし合わして定めていく必要があります。
法令上同意が求められている事項は特に要チェック
「法令上、同意が必須とはされていないが、今後のトラブルを予防するために一応同意を得ておく」というケースもあれば、「特定の行為をするにあたり同意を得ておくことが法令上求められているから同意書を交付する」というケースもあります。
後者の場合は、同意の内容を特にチェックしておき、漏れのないように同意書に盛り込んでおく必要があります。
どの取引で、どんな同意を得ておく必要があるのか、弁護士に相談してチェックしておくと安心です。
同意書は電子化できる?
同意書は基本的に電子化して相手方に交付することが可能です。
また、電子化することで、同意書の交付からその返答を得るまでの期間も短縮することができますし、その後の原本の管理も容易になります。書面の保管にかかる手間はなくなる上、電子契約システム等を導入しておけば、効率的に同意書の作成から保管まで対応できることでしょう。
電子署名やタイムスタンプに対応した電子契約システムであれば、効率的な運用を実現するだけでなく真正性も確保されるなど、多くのメリットが得られます。
同意書のやり取りが多い医療分野だと、すでに活用している例もあります。日々大量の同意書の作成から交付、受取までを行っている組織にとって電子化で得られる恩恵は大きいです。用紙やインクの消費も減りますし、社内外いずれの情報共有も円滑になります。
同意書にも印鑑等による真正性付与が必要
同意書に印鑑は必須ではありません。印鑑がなくてもそれだけで違法になるなどの問題は起こりません。しかしながら、「誰が同意書を作成したのか」という点が争われた際、印鑑が使われていると、問題を解決しやすくなります。
そのため、押印は基本的に必要なものと捉えておくべきでしょう。
同意書を電子化することも可能です。その場合は押印をすることができませんが、電子署名を施すことで真正性を付与することができます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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