- 作成日 : 2025年3月3日
整体免責事項同意書とは?効力や書き方・例文(無料テンプレートあり)
整体免責事項同意書とは、施術前に利用者の同意を得るための書類です。施術内容やリスク、注意点を明確に伝え利用者の理解と同意を得ることで後々のトラブルを防ぐ役割を果たします。
本記事では、整体免責事項同意書の意義や効力、書き方のポイントを詳しく解説します。実務で使えるテンプレートも用意していますので、ぜひ参考にしてください。
▼整体免責事項同意書のひな形・テンプレートを無料でダウンロードいただけます。
目次
整体免責事項同意書とは?
はじめに、整体免責事項同意書の基本を押さえましょう。ここでは、整体免責事項同意書の意義と目的、必要性について解説します。
整体免責事項同意書とは何か?
整体免責事項同意書とは、整体施術に関わるリスクと責任を明確にし、施術者と利用者の双方を保護するための重要な文書です。
施術前に施術内容やリスク、注意点を説明し、利用者から事前の同意を得ます。施術者側の責任範囲を明確にし、利用者にとっても事前にリスクや注意点について事前に説明を受けられることで、整体施術に関連するトラブルを未然に防ぐ効果があります。
免責事項とは?
免責事項とは、ある行為によって損害が発生した場合に、その行為を行った者が責任を負わない範囲を定めるものです。
整体免責事項同意書における免責事項は、整体施術によって利用者に損害が発生した場合に、施術者側が責任を負わない範囲を定めます。
ただし免責事項は、法律で認められる範囲内で定める必要があります。施術者の故意・重過失によって利用者に損害が発生した場合や、説明義務を怠った場合には、免責事項が無効となる可能性がある点に注意しましょう
整体免責事項同意書における免責事項の具体例は後述しますので参考にしてください。
整体免責事項同意書はなぜ必要か
整体施術は医療行為ではなく、リラクゼーションや身体の調整を目的としています。そのため、施術の効果や副作用には個人差があり、予期せぬ身体の変化を生じる可能性があります。
このような整体施術の特徴から、整体免責事項同意書が必要な主な理由は以下の3点です。
- 施術者側の責任リスク軽減
施術中や施術後に生じたトラブルにより、施術者は損害賠償責任を負う可能性があります。しかし、事前に整体免責事項同意書を作成し利用者に施術のリスクや注意事項を説明し同意を得ておくことで、施術者側の責任を軽減できます。
- トラブルの未然防止
整体免責事項同意書により利用者は施術内容やリスクについてより深く理解し、納得したうえで施術を受けられます。施術者側も、利用者の体質や既往歴などを把握し、より安全な施術を提供できます。
- 信頼関係の構築
施術前に、施術内容、施術方法、期待される効果、起こりうるリスクなどを丁寧に説明することは、施術者と利用者との信頼関係構築に効果的です。整体免責事項同意書を通じて利用者に対し誠実な姿勢を示すとともに、施術者としての責任感を伝えられます。
整体免責事項同意書を締結するケース
整体免責事項同意書は、新規利用者、特定の施術、健康状態の変化、施術内容の変更など、リスクが伴うケースで締結することが必要です。
初回施術時
初めて来院する利用者に対しては、必ず整体免責事項同意書を締結します。利用者の体質や既往歴、アレルギーなどを把握し、施術のリスクや注意事項を説明することで、トラブルを未然に防げます。
施術内容の変更
当初の施術内容を大幅に変更する場合にも、整体免責事項同意書を締結しておくべきでしょう。たとえば、新たな施術法を導入する場合や、施術の方法を変更する場合です。利用者に対し変更内容やリスクを説明し、理解と同意を得ることが重要です。
健康状態の変化
過去に同意済みの利用者であっても、健康状態に変化があった場合には整体免責事項同意書を再度締結しましょう。利用者の体調や健康状態の変化に応じた、施術リスクを再評価する必要があるためです。たとえば、妊娠や新たな持病の発生などが挙げられます。利用者が施術を受ける時点の状態を適切に把握し、施術可否を慎重に判断することが重要です。
リスクの高い施術
通常と比べてリスクが高いとされる特定の施術を行う場合にも、整体免責事項同意書を必ず締結するようにしましょう。たとえば、高齢者や持病を持つ患者に対する施術や、強い刺激が伴う施術を行う場合などです。このようなケースでは、施術の前にリスクと注意事項をとくに慎重に説明し、同意を得ることが重要です。
利用者から要望がある場合
利用者側から施術内容やリスクについて詳しく説明してほしい、という要望があった場合には丁寧な対応が求められます。整体免責事項同意書を用いて詳細に説明することで、利用者の不安を解消し、信頼関係の向上につながります。
未成年者や高齢者への施術
未成年者や高齢者への整体施術では、家族の同意を求められることがあります。とくに未成年者の場合、保護者の同意なしに施術を行うと、後に法的な問題へと発展するリスクがあります。そのため、親権者の署名を含む免責事項同意書を取得しておくべきでしょう。
整体免責事項同意書のひな形・例文
整体免責事項同意書を作成する際には、見本となるひな形を活用するのがおすすめです。以下のリンクからダウンロードができますので、一度チェックしてみてください。
同意書に必要な条項の具体例が記載されたひな形を利用すれば、全体構成を理解しながらカスタマイズすることが可能でしょう。
整体免責事項同意書に記載すべき内容や書き方
ここでは、前章で紹介したひな形をもとに整体免責事項同意書に記載すべき内容や書き方を詳しく解説します。
整体免責事項同意書には、おおまかに「表明事項」と「免責事項」を記載し、最後に利用者の「署名欄」を用意しましょう。
表明事項とは、利用者が整体を受けるにあたり、自身の健康状態や施術に関する理解について真実かつ正確に申告する内容を指します。
一方、免責事項とは、先述したように施術者が責任を負わない範囲を定めるものです。免責事項には以下のような内容を記載します。
<免責事項の例>
- 施術に伴うリスクや副作用について
- 施術中の事故やトラブルについて
- 施術後のケアに関する注意事項
- 施術による痛みや不快感が生じるおそれ
- 施術後の症状悪化のリスク
- 施術中の予期せぬ事態に対する免責(故意または重大過失をのぞく)
- 利用者による持病や既往歴の事前申告義務
整体免責事項同意書を作成する際の注意点
整体免責事項同意書を作成する際には、効力を持たせるための要件を満たし、適切な文言を使用することが重要です。不備のある同意書はトラブルの原因となるため、以下のポイントに注意しましょう。
免責事項の明確化
整体免責事項同意書には、整体の施術が医療行為ではないこと、施術による効果が保証されないこと、利用者の体調や既往歴によってはリスクを伴う可能性があることを明記することが重要です。
また、施術後の痛みや体調の変化について、整体院側が責任を負わないことを明確に示しましょう。
たとえば、施術後に痛みが増したことを理由に、整体院に責任を追及するトラブルが考えられます。
このようなケースを想定して同意書には「施術後の体調変化には個人差があり、整体院は一切の責任を負わない」旨を明記することが重要です。
利用者の理解を得る工夫
免責事項を一方的に記載するだけでなく、利用者が内容を十分に理解し、納得したうえで署名できるように配慮することも欠かせません。
専門用語を避け、誰にでもわかりやすい表現で記載し、必要に応じて口頭で説明を行いましょう。
後のち利用者から「説明を受けていない。」、「内容をよく読まずに署名した。」などの主張がされるリスクもゼロではありません。利用者に同意書の内容を丁寧に説明し、施術前に納得したうえで署名を求めることが不可欠です。
同意書が有効になるための要件確保
整体免責事項同意書の効力を発生させるためには、必要条項を記載し不備がないよう細心の注意が必要です。
たとえば、当事者の明確化(整体院名および利用者氏名)、表明事項・免責事項の正確な記載、同意書の署名・捺印漏れの防止など、十分なチェックが欠かせません。また、署名・捺印された同意書は、個人情報保護の観点からも適切に保管・管理しましょう。
整体免責事項同意書の保管期間、保管方法
利用者が署名・捺印した整体免責事項同意書は、法的リスクを軽減し、将来的なトラブルを防ぐために適切な保管が必要です。
保管期間と保管方法について以下でみていきましょう。
保管期間
整体免責事項同意書の保管期間は、法令で明確に定められているわけではありません。
しかし、民法上の消滅時効や、医療機関における診療録の保存義務などを考慮すると、一般的に「施術終了後5年間」は少なくとも保管しておくことが望ましいと考えられます。
ただし、リスクの高い施術を行った場合には、利用者とのトラブルが発生した場合に備えて、施術終了後10年間などより長い保管期間を確保すると安全といえるでしょう。
保管方法
整体免責事項同意書は、個人情報保護の観点から従業員以外が閲覧できない場所に保管し、保管期間中を通じて適切に管理する必要があります。
以下に紙による保管と電子データによる保管の2つの方法を紹介します。
保管媒体 | 紙による保管 | 電子データによる保管 |
---|---|---|
保管方法 | ・紙の同意書をファイリングし鍵のかかるロッカーや耐火キャビネットなど、安全な場所に原本保管する。 | ・紙で署名・捺印された同意書をスキャンしてデータ化し、PCやサーバーに保管する。 |
メリット | ・紙をそのまま保管するため、管理の手間が少ない。 | ・アクセス制限や暗号化、バックアップ等により安全にデータを保管できる。 ・データベース化できるため効率的な顧客管理が可能となる。 |
デメリット | ・保管場所の確保が必要となる。 ・紙の劣化や紛失、盗難など滅失リスクがある。 | ・紙を電子化する手間がかかる ・システム利用料などのコストがかかる場合がある。 |
整体免責事項同意書の電子化は可能?
整体免責事項同意書の電子化は可能です。
電子化のメリットは、ペーパーレス化やデータベース化による管理の効率化が期待できる点です。さらに、適切なセキュリティ管理ができることで、紛失や改ざんリスクの低減につながります。
一方で、紙による署名・捺印と同様の法的効力を得るためには、電子署名法に準拠した手続きが必要です。
たとえば、デジタル署名による本人確認、タイムスタンプの付与、電子データの改ざん防止措置などのセキュリティ対策が求められます。
電子化には専門知識が必要なだけでなく、手間とコストが大きな負担となるでしょう。この際、電子契約システムならば、安全かつ手軽に電子化を実現できます。
整体免責事項同意書は施術者と利用者を守るための必須書類
本記事では、整体の免責事項同意書について、その意義、必要性、締結ケース、免責事項の内容、作成時の注意点、保管期間と方法、電子化の可否までを網羅的に解説しました。
整体の免責事項同意書は、施術者と患者の双方を保護するために不可欠な書類です。施術者にとっては、リスクを明確にし、利用者の理解と同意を得ることで、トラブルを未然に防げます。
また利用者にとっても、適切な同意書の提示と丁寧な説明を受けることで、安心して施術を受けられ、満足度の向上につながるでしょう。リスクを軽減し、顧客満足度を高めるために、整体の免責事項同意書を早めに準備し、適切に運用していきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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