- 更新日 : 2025年12月23日
覚書に収入印紙は必要?印紙税の金額や不要になるケース、貼り忘れた場合のペナルティも解説
覚書とは、相手とのやりとりを記録しておくための書類やメモのことを指し、契約を補完する際によく用いられます。覚書も、一定の要件に当てはまる場合は収入印紙の貼付が必要です。
この記事では、どのような場合に覚書に印紙が必要なのか、印紙の金額はいくらか、第7号文書のような請負以外のケース、印紙の貼り方や消印の手続き、貼りすぎた場合の還付まで詳しく解説します。
目次
覚書に収入印紙は必要?
結論から言うと、覚書の内容が印紙税法の「課税文書」に該当する場合は、収入印紙の貼付が必要です。
覚書とよく似た意味の書類に契約書があります。覚書という名称であっても、その内容が契約書と同じく法的効力をもつものであれば、印紙の貼付が必要となります。
具体的には、その文書が印紙税法の課税文書に該当するかどうかにより判断されます。名前が覚書だからという理由ではなく、実際の文書の内容によって印紙の貼付が必要かどうかが決まるのです。
そもそも覚書とは?
覚書とは、当事者間が合意したことを証明するために作成する文書のことです。契約書を作成するほどではないものの、当事者が合意したということを書面に残す場合などに使われます。
例として、契約書を締結する前に内容に双方が合意したことを証明する場合や、一度契約書を締結した後に契約書の内容の一部を変更するような場合などがあります。
覚書と契約書の違いは?
覚書と契約書は、法的な効力において本質的な違いはありません。名称の違いだけで、どちらも当事者間の合意内容を示す証拠となります。
そのため、タイトルが覚書であっても、その内容が印紙税法上の課税文書に該当すれば、契約書と同様に収入印紙の貼付が必要です。
覚書と念書の違いは?
念書と覚書の違いは、念書が一方的な約束であるのに対し、覚書は双方の合意を記録する点です。
念書は、当事者の一方が他方に対して、一方的に義務の履行などを約束するために差し入れる書類です。これに対し覚書は、双方の当事者が合意した内容を確認・記録するために、双方(または複数)の当事者が署名・捺印するのが一般的です。
収入印紙が必要となる課税文書とは?
覚書に収入印紙が必要となるのは、その内容が印紙税法で定められた「課税文書」に該当する場合です。
課税文書に該当するかどうかは、印紙税法 別表第一により定められており、覚書の内容によって判断されます。
具体的には、課税文書となる文書が第1号から第20号まで列挙されており、主なものには不動産の譲渡に関する契約書(第1号文書)や請負に関する契約書(第2号文書)、約束手形、株券などが課税文書として挙げられています。
参考:印紙税法|e-Gov 法令検索、No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁
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覚書に貼付する収入印紙の金額は?
覚書に貼付する収入印紙の金額は、覚書の内容が印紙税法別表1のどの課税文書に該当するか、そして記載された契約金額によって異なります。代表的なケースとして、第1号、第2号、第7号文書について解説します。
覚書が第1号文書に該当する場合
第1号文書とは、不動産売買契約書、金銭借用証書、運送契約書などが該当します。これらは課税文書となるため、契約金額に応じて印紙の貼付が必要です。
第1号文書の印紙税額
| 契約金額 | 印紙税 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上10万円以下 | 200円 |
| 10万円超50万円以下 | 400円 |
| 50万円超100万円以下 | 1,000円 |
| 100万円超500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
| 1億円超5億円以下 | 10万円 |
| 5億円超10億円以下 | 20万円 |
| 10億円超50億円以下 | 40万円 |
| 50億円超 | 60万円 |
| 契約金額の記載がないもの | 200円 |
このように、契約金額により必要な印紙の金額が定められており、1万円未満の契約金額の場合を除き、第1号文書の場合は原則として印紙の貼付が必要です。
参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
なお、不動産の譲渡に関する契約書のうち、10万円を超える契約金額のものについては印紙税の軽減措置が設けられており、軽減後の印紙税の金額は以下の通りです。
不動産の譲渡に関する契約書の軽減措置後の印紙税額
| 契約金額 | 軽減後の印紙税額 |
|---|---|
| 10万円超50万円以下 | 200円 |
| 50万円超100万円以下 | 500円 |
| 100万円超500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 3万円 |
| 1億円超5億円以下 | 6万円 |
| 5億円超10億円以下 | 16万円 |
| 10億円超50億円以下 | 32万円 |
| 50億円超 | 48万円 |
この軽減措置は2027年3月31日までとされています。また、契約金額が10万円以下であり、かつ契約金額の記載がない文書については軽減措置はありません。
覚書が第2号文書に該当する場合
第2号文書とは、請負に関する契約書のことで、契約金額に応じた印紙が必要です。
代表的なものとしては建設工事の請負契約書などが挙げられます。その他にも、スポーツ選手や俳優の専属契約書なども第2号文書に該当します。
第2号文書の印紙税額
| 契約金額 | 印紙税 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上100万円以下 | 200円 |
| 100万円超200万円以下 | 400円 |
| 200万円超300万円以下 | 1,000円 |
| 300万円超500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
| 1億円超5億円以下 | 10万円 |
| 5億円超10億円以下 | 20万円 |
| 10億円超50億円以下 | 40万円 |
| 50億円超 | 60万円 |
| 契約金額の記載がないもの | 200円 |
また、第2号文書のうち、建設工事に関する請負契約書には印紙税の軽減措置が設けられており、軽減後の印紙税額は以下の通りです。
参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
建設工事に関する請負契約書の軽減措置後の印紙税額
| 契約金額 | 軽減後の印紙税額 |
|---|---|
| 100万円超200万円以下 | 200円 |
| 200万円超300万円以下 | 500円 |
| 300万円超500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 3万円 |
| 1億円超5億円以下 | 6万円 |
| 5億円超10億円以下 | 16万円 |
| 10億円超50億円以下 | 32万円 |
| 50億円超 | 48万円 |
この軽減措置の対象となるのは、第2号文書すべてではなく、建設工事にかかる請負契約が対象で、軽減措置は第1号文書と同様に2027年3月31日までとされています。
覚書が第7号文書に該当する場合
覚書が第7号文書に該当する場合、印紙税額は契約金額にかかわらず一律4,000円です。
第7号文書とは、「継続的取引の基本となる契約書」のことで、例えば、業務委託基本契約書、代理店契約書、特約店契約書、銀行取引約定書などがこれに該当します。
これらの基本契約書の内容を変更する覚書なども、第7号文書とみなされる場合があります。ただし、契約期間が3ヶ月未満であり、かつ更新の定めがないものなどは非課税となります。
参考:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁
覚書の収入印紙の貼付が不要なケースは?
覚書を作成した場合でも、一定の場合には印紙の貼付が不要となります。印紙が不要とされるのは主に以下の場合です。
1. 契約金額が1万円未満の場合
覚書の契約金額が1万円未満の場合、その内容が課税文書(第1号文書や第2号文書)であったとしても、印紙の貼付は不要(非課税)です。
2. 印紙税法上の非課税文書に該当する場合
覚書の内容が、印紙税法上「非課税文書」と定められているものに該当する場合、印紙は不要です。
具体的な業務形態別の非課税例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 雇用契約(雇用契約書)
- 賃貸借(建物の賃貸借契約書など)
- 秘密保持契約書(NDA)
- ソフトウェア利用許諾契約
- 委任契約(弁護士への委任契約、コンサルティング契約など、業務の遂行自体を目的とするもの)
※委任契約やコンサルティング契約は、仕事の完成を目的としない点で請負契約(第2号文書)とは区別され、非課税文書として扱われることが一般的です。
3. 電子契約の場合
覚書を電子契約として作成した場合も、印紙の貼付は不要です。
印紙税が課税されるのは、あくまで紙の課税文書を作成した場合であり、電子契約(PDFなどの電子データ)は文書の作成には当たらないとされているためです。
マネーフォワードクラウド契約では、契約書や覚書が電子化できるだけではなく、契約書の一元管理なども可能です。
覚書の契約金額の記載に関する注意点は?
印紙税額を決定する契約金額の記載については、間違いやすいポイントがあります。
契約金額が記載なしの場合
覚書の内容が第1号文書や第2号文書に該当する場合でも、契約金額の記載がない場合は、非課税(不要)にはならず、一律200円の収入印紙が必要です。
具体的には、契約金額そのものの記載がない、または計算できる情報が一切ない場合を指します。
単価、数量、記号のみ記載がある場合
契約金額そのものの記載がなくても、単価と数量などから契約金額が計算できる場合は、その計算結果の金額が記載金額とみなされ、その金額に応じた印紙税が課税されます。
例えば、「単価50万円、数量10台」と記載された覚書は、契約金額500万円の第2号文書または第1号文書として扱われ、所定の印紙が必要です。
また、単価のみを定める基本契約書(単価合意書)のような場合は、それ自体が第2号文書や第7号文書に該当する場合があります。
変更契約書として覚書を作成する場合の契約金額は?
当初契約書で定めた内容に変更があった場合、変更後の内容を覚書(変更契約書)として作成することがあります。この場合、変更後の内容によっては印紙の貼付が必要です。
変更前の契約金額が明らかな場合
変更前の契約金額が記載された契約書が作成されていることが明らかな場合は、変更前と変更後の契約金額との差額に応じた印紙の貼付が必要となります。ただし、金額を減額する変更契約書の場合、記載金額は「ないもの」とみなされ、一律200円となります。
例として、変更前の契約金額が100万円で変更後の契約金額が120万円の場合は、差額の20万円となり20万円に応じた印紙の貼付が必要です。なお、契約金額が記載された契約書が作成されているものの、作成した覚書には変更後の金額のみが記載されている場合は、変更後の金額に応じた印紙の貼付(例の場合は120万円)が必要です。
変更前の契約金額が明らかでない場合
変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかでない場合、変更後の金額が記載されている場合は、その記載金額の印紙の貼付が必要となります。
一方で、当初の契約金額との差額のみが記載されている場合(当初の契約金額から20万円増額するなど)は差額の金額に応じた印紙の貼付をします。
覚書の収入印紙の正しい貼り方と消印の方法は?
収入印紙を貼付した際は、必ず「消印」を押す必要があります。
収入印紙は、覚書の所定の欄(なければ左上の余白など)に貼り付けます。消印とは、印紙の再利用を防ぐために、文書と印紙の彩紋(模様)にまたがるように押印または署名(サイン)することです。
消印は、契約当事者双方または一方の印鑑(認印でも可)や署名で行います。ゴム印などは認められますが、誰が消したかを判別できなければならないため、単なる斜線や「(済)」の印は消印として認められません。消印を忘れると、印紙を貼付していないものとみなされ、過怠税の対象となる可能性があるため、必ず行ってください。
覚書の収入印紙を貼り間違えた場合の還付手続きは?
収入印紙を誤って多く貼りすぎた場合や、非課税文書に貼ってしまった場合は、印紙税の還付を受けることができます。
還付手続きは、所轄の税務署に対して「印紙税過誤納確認申請書」と、印紙を貼付した文書の原本を提出して行います。還付請求権は、文書を作成した日から5年で時効となります。
覚書の収入印紙を貼り忘れた場合のペナルティは?
収入印紙の貼付を忘れると、本来納付すべき印紙税額の3倍に相当する「過怠税」が課される可能性があります。
印紙貼り忘れは、単なるミスであっても過怠税の対象となります。もし意図的に印紙を貼付しなかったと判断された場合、脱税と見なされる可能性もあり、さらに重いペナルティ(刑事罰の対象)となるリスクもゼロではありません。
ただし、過怠税は税務調査が行われる前に、自主的に印紙の貼り忘れを申し出た場合は、1.1倍の金額で済みます。
なお、印紙の貼付は税法上の義務であり、貼り忘れた場合でも覚書(契約)自体の法的効力が失われるわけではありません。
覚書の収入印紙についてよくある質問
最後に、覚書の収入印紙についてよくある質問とその回答をまとめました。
収入印紙はどちらが貼る?
印紙税の貼付が必要な覚書を共同で作成した場合、印紙税は当事者が連帯して納付する義務を負います。
これは、印紙税法の規定により「課税文書を共同で作成した場合は、連帯して印紙税の納付義務を負う」とされているためです。したがって、完成した覚書に収入印紙の貼付が必要な場合は、当事者双方で負担することが一般的です。
覚書の収入印紙はどこで購入する?
収入印紙は、法務局や郵便局の窓口、コンビニエンスストアなどで購入できます。
ただし、コンビニエンスストアでは200円など、よく使われる低額な印紙しか取り扱っていない場合がほとんどです。高額な収入印紙が必要な場合は、郵便局や法務局で購入するのが確実です。
覚書が課税文書に該当する場合は印紙の貼付が必要
覚書を作成した際、その内容が印紙税法上の課税文書に該当すれば、収入印紙の貼付が必要です。契約書との違いは名称だけで、法的な扱いは変わりません。
貼付する印紙の金額は、第1号、第2号、第7号のようにどの文書に該当するか、また契約金額により異なります。
一方で、契約金額が1万円未満の場合や、委任契約・秘密保持契約などの非課税文書、電子契約として作成した場合などは印紙の貼付が不要です。
印紙貼り忘れは過怠税という重いペナルティを受ける可能性があり、脱税と見なされるリスクもあるため、消印の手続きや、万が一貼りすぎた場合の還付手続きなども含め、実務的なルールをよく確認し、適切に対応することが重要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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