- 作成日 : 2024年12月3日
レベニューシェア型契約書の作成ポイントは?主要条項の具体例や注意点を解説
レベニューシェアとは、契約方法の1つです。契約する際の契約書の作成について、どのような項目が必要か悩んでいる方も多いでしょう。
事業を成功させるためには、事前に役割分担やコストなどをしっかりと協議することが重要です。今回の記事では契約書の作成ポイントや、注意点などを詳しく紹介します。
目次
レベニューシェアとは
発注者と受注者で事前に定めた配分で事業収益を分け合う契約方式のことです。発注者・受注者双方がリスクと報酬を共有して、成果や売上など事業の結果に応じて報酬を決定します。
固定性の報酬とは違って、事業の結果に応じて報酬が変動する点が特徴です。事業が成功すればその分報酬は増えますし、逆に思ったように収益があげられない場合は報酬も少なくなります。
報酬は収益をあげた時点で発生することになるため、開発者側にとっては初期費用がかからないという利点があります。コストがかからないため開発者側は取り組みやすいといえますが、安易に取り組んではいけません。
この契約では双方が共同で事業に取り組むことになるため、単にプロジェクトを契約するというのではなく、事業提携のようなイメージに近いです。信頼できる相手でなければ、かえって事業の負担になってしまう点には注意しましょう。
詳細や契約の特徴については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
レベニューシェアの活用ケース
さまざまなシーンで活用されますが、売上が数値でわかりやすいIT業界などで採用されているケースが多いです。たとえばスマートフォン用のアプリを開発する事業の場合で、レベニューシェア契約を結んだ場合を見てみましょう。
アプリの開発会社は、一度開発すれば終わりというわけではなく、アプリのダウンロードなどによる収益が発生するたびに報酬が支払われます。固定型報酬であれば一度の報酬しか発生しませんが、一定の報酬が長期にわたって発生する点が特徴です。そのためWebサイト制約やアプリ開発、システム開発などの業務でよく採用されています。
プロフィットシェアとの違い
この2つの違いはレベニューシェアが売上に応じた配分で報酬が支払われるのに対し、プロフィットシェアでは利益を分配します。
指標が売上と利益という点に違いはありますが、一定期間報酬が発生するという点では同じです。同じ契約形態の中で、分配の指標にする項目に違いがあると理解しておきましょう。
プロフィットシェアでは、事業を行った結果、仮に売上を超える諸経費が発生してしまい利益が発生しなかった場合、受注者は報酬を受け取れません。利益を生むことを前提としているため、利益が発生しなければ報酬も発生しないという契約です。
一方でレべニューシェアは売上に応じた配分のため、利益が発生していなくとも報酬は受け取れます。利益が発生していなくても報酬が受け取れるという意味では、より受注者側に有利な契約内容といえるでしょう。
ロイヤリティ
定期的に発生する報酬の1つにロイヤリティがあります。ロイヤリティは特許権など財産の利用に対する報酬のことです。
フランチャイズのブランド名やノウハウなどを利用する際に支払われる報酬も、ロイヤリティの1つです。定期的に発生する報酬という意味では同じですが、利用に対する対価と契約形態の1つという意味では、それぞれの性質に違いがあるといえるでしょう。
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レベニューシェア型の契約書作成時の主要な条項
契約書に含めるべき項目には、以下のようなものがあります。
- 契約の目的
- 業務範囲
- 費用負担
- 報酬の比率や計算方法
- 契約期間や終了ルール
- 成果物の帰属
それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
契約の目的
開発する対象物を明確にして、利益を双方で分け合う内容の契約であることを明記しましょう。また事業の運営に際しては、お互いに協力する旨も記載します。
【記載例】
第1条(契約の目的)
甲と乙は、甲が開発・運営を行うアプリのダウンロードを目的として、業務提携し、双方が相互に協力することに合意する。
業務範囲
記載の通り、双方が行う業務の範囲を決める項目です。どの業務をどちらがどこまで負担するかは話し合いですが、できるだけ細かく具体的に決めておくようにしましょう。ここでしっかりと明記しておかないと、後々トラブルになりかねません。また、必要に応じて定期的なミーティングなども実施しましょう。
【記載例】
第2条(各自の役割)
- 本提携に関し、甲は、本アプリにかかる運営全般の業務を行う。
- 本提携に関し、乙は、以下の各業務を行う。
(1)アプリの開発
(2)アプリの管理運用、メンテナンス
費用負担
業務で発生する費用についても、詳しく記載しておきましょう。事業を行っていくうえで当初想定していなかった突発的な費用が発生することは、珍しくありません。このような突発的な費用が発生した場合も対応も決めておくことで、トラブルを防げます。
【記載例】
第3条(費用分担)
- 各自の業務に関する費用は、甲乙別途合意がない限り、各自が負担する。
報酬の比率や計算方法
報酬の分配方法などを記載します。どちらがどのような売上を受領するのか、対象や期間を明確に決めておきましょう。またいつまでの報酬をいつ支払うのか、なども重要です。
【記載例】
第4条(売上と分配)
- 乙は遂行の対価として、以下のとおりの対価を受ける。
(1)対価の方式
収入配分(レベニューシェア方式)とする。
(2)料率・割合
- アプリにおいて甲が売りあげた商品の売上に対して20%の割合によって定める金額
- 甲と乙は、ある計算期間における乙業務の多寡によって、乙業務対価の料率が変更されるものではないことを相互に確認する。
契約期間や終了ルール
契約期間や、どのような場合に契約が解除されるかを記載します。また契約が解除したあとの資料の取り扱いや、守秘義務、使用したデータなどの取り決めも重要です。個人情報を扱う場合は、保存期間なども慎重に決めておきましょう。
【記載例】
第5条(契約終了)
- 本契約が終了した際は、終了事由の如何を問わず双方は、物品、資料について、返還または破棄しなければならない。
成果物の帰属
契約終了後の成果物についての取り決めも、重要な項目です。契約ごとにさまざまな場合がありますが、双方に帰属する場合もあればどちらか保有する場合もあります。共有する場合は、双方の管理や歩み寄りが必要です。後々のトラブルを防ぐためにも、細かく決めておくようにしましょう。
【記載例】
第6条(成果物の帰属)
- 本契約終了後のアプリの保守・運営は、引き続き乙が自己の費用で負担する
レベニューシェア型の契約書作成・レビュー時の注意点
契約書を作成する際、レビューの際には以下の点に注意しましょう。
- 報酬割合の対象が明確か
- 収益分配比率が適正か
- ビジネスモデルに適した契約書になっているか
- リスクやコストの負担を協議できているか
報酬割合の対象が明確か
分配となる売上の対象は、明確に決めておく必要があります。単純にある商品の売上を指標にするのではなく、開発したサイト経由の売上に限定する、などのように具体的に決めておきましょう。
対象を明確にしておかなければ、いざ報酬が発生した際にトラブルになってしまいかねません。双方が協力しながらビジネスを進めていく必要があるため、対象の明確化は事前にしっかりと決めておきましょう。
収益分配比率が適正か
事業を長く成功させるためにも、収益分配率は適正に定める必要があります。事業運営にかかるコストも踏まえ、リスクとリターンを見極めた分配比率にしましょう。適正な分配率を定めるためには、業務の役割分担も明確にしなければなりません。負担する業務にかかるコストやリスクを踏まえて、利益のあげられるリターンを目指しましょう。
ビジネスモデルに適した契約書になっているか
さまざまなビジネスモデルがある中で、内容や規模、商慣習に合った契約書にしましょう。ビジネス特有のリスクや業界慣習などを無視した契約では、あまり意味がありません。事業や会社ごとの個々の事情を踏まえ、業務の内容にふさわしい契約書作成を意識しましょう。
リスクやコストの負担を協議できているか
適切な収益分配率や契約書を作成するためには、業務分担を明確にしたうえで、リスクやコストの負担も協議しなければなりません。リスクやコストの見込みが甘ければ、事業が失敗してしまうかもしれません。
事業成功のためには双方でしっかりと協議を行い、リスクやコストの負担についてもお互いに理解を深めておきましょう。一般的な常識にとらわれることなく双方が納得感のあるルールを制定することが、成功の秘訣です。
レベニューシェア型契約を採用するメリット・デメリット
レベニューシェア型の契約は発注側・受注側ともにメリットの多い契約です。しかし契約する際にはメリットだけでなく、デメリットも理解しておくようにしましょう。メリット・デメリットについて、双方の立場から解説していきます。
メリット
それぞれの立場のメリットは、次の通りです。
受注側のメリット
一番のメリットともいえるのが、継続して報酬を得られる点です。固定報酬モデルでは成果物がどれだけ利益を生んでも報酬はかわりませんが、長期にわたって売上に応じた報酬を受け取れます。もちろん売上を生んでいることが前提ですが、長期にわたって安定的に収益を得られ経営を安定させられます。
発注側のメリット
発注する側からすれば、初期投資を抑えられるメリットが大きいです。そのため事業を立ち上げる資金が限られている場合や、ベンチャー企業でも事業を始めやすくなるでしょう。また初期投資が少ないことで、万が一事業が失敗した場合の損失も最小限にとどまります。このように資金面で楽になることが、大きなメリットといえるでしょう。
デメリット
続いてデメリットを見ていきましょう。
受注側のデメリット
事業が成功しても、売上が伸びるまでは報酬が得られません。そのため初期投資を行っている場合は回収までに時間がかかってしまいます。コストに見合った十分なリターンが得られない可能性がある点が、デメリットといえるでしょう。
発注側のデメリット
固定の報酬に比べると、長期間にわたって報酬を支払う必要があります。売上があがるほど支払う報酬も増えるため、契約内容によっては固定の場合よりも高くなるかもしれません。また双方の協力が必要なため、意思決定のスピードも遅くなってしまいます。
レベニューシェアを活用して事業を拡大しよう
レベニューシェアとは、事前に定めた配分で事業収益を分け合う契約方式のことです。双方が協力して事業に取り組むため、単に注文を依頼するのではなく事業提携に近いような契約方法です。そのため、事業を成功させるためには事前契約内容をしっかりと決めておく必要があります。
初期負担が少なく、一定期間にわたって安定的に収益をあげられることから新規事業立ち上げや、ベンチャー企業にもおすすめです。メリット・デメリットを理解したうえで、うまく活用して事業拡大に繋げましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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