• 作成日 : 2025年12月2日

スプレッドシートの時間を表示形式でカスタマイズするには?

Googleスプレッドシート(以下、スプレッドシート)で時間データを扱う際、表示形式をカスタマイズすることで、データの可読性が大幅に向上します。

本記事では、スプレッドシートの時間表示形式の基本から、カスタム日付設定まで、初心者向けに詳しく解説します。営業時間の記録や業務時間の管理、タイムシートなど、日々の業務で活躍するテクニックをご紹介します。

目次

スプレッドシートで時間データを扱う基本的な考え方

スプレッドシートで時間データを正しく管理するには、データの保存形式と表示形式を区別することが重要です。 セルに入力された時間は、内部的には小数値(例:0.5は12時間)として保存されます。一方、表示形式を変更することで、この内部値をユーザーが理解しやすい形で画面に表示できるのです。

例えば「12:30」という時間をセルに入力すると、スプレッドシートの内部では0.520833…という小数値として認識されます。表示形式を「時間:分」に設定することで、この小数値が「12:30」として画面に表示されます。表示形式の設定を理解することで、時間データの扱いがぐんと効率化されます。

スプレッドシートで利用できる標準的な時間表示形式

時間表示の標準フォーマット一覧

スプレッドシートには、時間を表示するための複数の標準フォーマットが用意されています。最も一般的なのは「hh:mm」形式で、時間と分を2桁で表示します。例えば「09:30」や「14:45」といった表記です。秒まで含める場合は「hh:mm:ss」形式を選択すると、「09:30:45」というように3つの要素が表示されます。

このほか「h:mm」形式なら「9:30」というように時間の頭のゼロが省略され、より簡潔な表記になります。業務の性質によって、どのフォーマットが最適かを選ぶことが重要です。

12時間制と24時間制の表示形式

スプレッドシートでは、24時間制と12時間制の両方で時間を表示できます。24時間制は「hh:mm」で「14:30」というように午後2時30分を表記します。一方、12時間制は「h:mm am/pm」という形式で「2:30 PM」のように表示されます。

国や地域によって、どちらの形式が一般的かは異なります。日本では24時間制が一般的なため「hh:mm」を使用することがほとんどです。ただし、国際的なプロジェクトやグローバル企業では、12時間制が必要になる場合があります。

経過時間を表示する場合の特別な形式

プロジェクトの所要時間や作業時間の合計を表示する場合、「[h]:mm」という特殊な形式を使用します。通常の「hh:mm」形式では、23時間59分を超えると24時間でリセットされてしまいます。一方、「[h]:mm」形式なら「25:30」「100:15」といったように、24時間を超える経過時間も正確に表示できます。

この形式は、タイムシートで日数をまたいだ累積作業時間を記録する場合や、プロジェクト全体の所要時間を計算する場合に活躍します。

スプレッドシートの時間表示形式を変更する手順

表示形式を変更したいセルを選択する

まず、スプレッドシートで時間表示を変更したいセルまたはセル範囲を選択します。単一のセルなら直接クリック、複数のセルなら範囲をドラッグして指定します。列全体の表示形式を統一したい場合は、列番号をクリックして列全体を選択します。

メニューから表示形式を開く

画面上部のメニューバーから「表示形式」をクリックすると、表示形式のオプション一覧が表示されます。ここから「時間」というカテゴリを選択すると、時間表示の標準フォーマットが複数表示されます。スプレッドシートは最初から複数の時間フォーマットを用意しているため、そのまま選択するだけで即座に適用できます。

別の方法として、セルを右クリック(Macの場合は「Control+クリック」)して表示されるコンテキストメニューから「表示形式」を選択しても、同じ画面に到達できます。

標準フォーマットから最適な形式を選択する

表示形式のメニューで「時間」を選ぶと、「13:30」「13:30:45」「1:30:45」など、複数のプリセット形式が表示されます。業務に合わせて最適な形式をクリックすると、選択したセルの表示形式がその場で変わります。

スプレッドシートは変更を自動保存するため、別途保存操作は不要です。複数のセルを選択している場合、すべてのセルに同時に同じ形式が適用されます。

カスタム表示形式で時間を自由にフォーマットする方法

カスタム表示形式が必要な場面

標準的な時間表示形式では対応できない場合、カスタム表示形式を設定することで、より柔軟な表記が可能になります。例えば、「14時30分」というように日本語で時間を表示したい、あるいは「14:30:45.5」というように小数第1位の秒を表示したい場合です。

カスタム表示形式を使うことで、業務や企業の要件に合わせた独自の表示が実現できます。

カスタム表示形式を設定する手順

表示形式を変更したいセルを選択した後、メニューから「表示形式」→「カスタム日付または時間形式」を選択します。スプレッドシートは画面下部に「カスタム日付形式」というテキスト入力欄を表示します。

ここに独自のフォーマットコードを入力することで、時間をカスタマイズできます。例えば「hh”時”mm”分”」と入力すれば、「14時30分」というように日本語で表示されます。

カスタム表示形式の基本的なコード

スプレッドシートのカスタム表示形式では、特定の記号が意味を持ちます。「h」は時間、「m」は分、「s」は秒を表します。「hh」なら2桁の時間表記(例:09)、「h」なら1桁のときは頭にゼロがない表記(例:9)になります。

ダブルクォーテーションで囲まれたテキストは、そのまま表示されます。例えば hh:mm:ss” 時間” と入力すれば、「14:30:45 時間」というように、時間情報の後ろに「時間」というテキストが付加されます。

よく使われるカスタム表示形式の例

「mm”分”ss”秒”」と入力すれば、分と秒をそれぞれ日本語で表示します。例えば「30分45秒」となります。「[h]:mm”時間”」と入力すれば、24時間を超える経過時間を「25時間30分」というように表示できます。

営業時間を「09:00~18:00」というように範囲で表示したい場合は、別々のセルに開始時間と終了時間を入力し、それぞれに「hh:mm」を適用した後、計算セルで結合するという工夫が必要です。

日付と時間を組み合わせた表示形式

日付と時間を同時に表示する場合

スプレッドシートで「2024年1月15日 14:30」というように、日付と時間を同時に表示したい場合があります。このとき、表示形式に「yyyy”年”m”月”d”日” hh:mm」と入力すれば、この形式で表示されます。

日付と時間を組み合わせる場合、セルの内部値は依然として小数値です。スプレッドシートが日付と時間の情報を一つの値として解釈し、表示形式に基づいて画面に表示しているのです。

ISO形式で日付と時間を表示する

国際的なデータ交換では、ISO 8601形式(例:2024-01-15T14:30:00)が標準化されています。スプレッドシートでこの形式を使用したい場合、「yyyy-mm-dd”T”hh:mm:ss」と入力すれば実現できます。

このフォーマットは、プログラミングやAPIとの連携が必要な場面で活躍します。

月と日をカスタマイズして表示する方法

月を数値で表示する場合

「m」を使用すると、月が数値で表示されます。「yyyy-mm-dd」と入力すれば「2024-01-15」というように表示されます。一方、「mmm」を使用すると、月を3文字の英字で表示します(例:Jan、Feb)。スプレッドシートのシステムロケーションが日本語に設定されている場合、「mmmm」は日本語月名(1月、2月)で表示される場合があります。

日を2桁で表示する場合

「d」を使用すると、日が1桁または2桁で表示されます。例えば「d」なら5日は「5」、「dd」なら「05」となります。月の表示と同様に、「ddd」で曜日の3文字表記(例:Mon、Tue)、「dddd」で曜日のフル表記(例:Monday、Tuesday)が表示されます。

スプレッドシートの時間計算と表示形式の相互作用

時間データを加算する場合の注意点

スプレッドシートで時間を計算する場合、表示形式は計算結果に影響を与えません。 例えば「9:30」と「14:30」を足すと、内部的には1.0(1日)という小数値になります。これを「25:00」と表示したい場合は、結果セルの表示形式を「[h]:mm」に設定します。

時間の計算を正確に行うためには、元データが正しく時間形式で認識されていることが重要です。もし時間がテキストで入力されている場合、計算が正常に動作しません。

時間と数値の混在を避ける工夫

大量の時間データを扱う場合、一部のセルが誤ってテキスト形式で入力されていると、計算がエラーになることがあります。対策として、データ入力時に表示形式を「時間」に統一しておくことが重要です。スプレッドシートは入力データをセルの表示形式に基づいて自動判別するため、先に表示形式を設定することで入力エラーが減少します。

よくある時間表示形式のトラブルと対処法

時間が「####」で表示される場合

セルが狭くて、表示形式に指定された時間情報が表示しきれない場合、「####」という記号が表示されます。対処法は、列の幅を広げることです。列と列の境界線をドラッグして列を広げれば、時間が正常に表示されます。

時間がシリアル値(数値)で表示される場合

セルの表示形式が「数値」のままになっていると、時間が「0.520833」というような小数値で表示されてしまいます。この場合、セルの表示形式を「時間」に変更すれば、正常に「12:30」というように表示されます。

計算結果の時間がおかしくなる場合

時間の計算後、結果が「1:30」と表示されるべきが「49:30」と表示される、あるいはその逆という場合があります。これは表示形式が正しく設定されていないか、計算式内の時間の単位が統一されていないことが原因です。表示形式を確認し、必要に応じて「[h]:mm」に変更します。

スプレッドシートで時間データを扱う業務別の実例

タイムシートでの時間表示

従業員の勤務時間管理では、出社時間と退社時間をそれぞれ「09:00」「18:00」という形式で記録し、両者の差を計算して勤務時間を出します。このとき、計算結果の表示形式を「h:mm」に設定すれば、「9:00」というように正確に表示されます。

複数日にわたる累積勤務時間を表示する場合は、「[h]:mm」を使用することで「48:30」というように24時間を超える時間も正確に表示できます。

営業記録での時間記載

営業活動の記録では、顧客訪問の時間や電話対応の時間を記載します。「2024-01-15 14:30」というように日付と時間を組み合わせた表示形式を使用することで、いつ、何時に活動が行われたかが一目瞭然になります。

プロジェクト管理での所要時間表示

プロジェクトの各タスクに要した時間を記録する場合、表示形式を「[h]:mm」に統一することで、タスク間の時間比較が容易になります。例えば「3:45」「5:20」「2:30」というように、所要時間が視覚的に比較できます。

スプレッドシートでカスタム日付形式を組織全体で統一する工夫

表示形式のルール化と共有

複数のチームメンバーがスプレッドシートを編集する場合、時間の表示形式を統一することが重要です。「営業時間は24時間制のhh:mm形式」「プロジェクト時間は[h]:mm形式」といったルールをドキュメント化し、チーム全体で共有することで、データの一貫性が保たれます。

スプレッドシート自体にこのルールをメモ欄に記載しておくと、後から編集する人にも分かりやすくなります。

テンプレートシートの活用

頻繁に使用する表示形式がある場合、その形式をあらかじめ適用したテンプレートシートを用意しておくと便利です。新しいシートが必要なときにテンプレートをコピーし、新規データを入力するだけで、表示形式が統一されたシートが完成します。

スプレッドシートのテンプレート機能を使用すれば、企業全体の時間記録形式を統一でき、業務効率が向上します。

スプレッドシートの時間表示形式を最大限に活用するポイント

スプレッドシートで時間データを扱う際、表示形式の理解が不可欠です。標準フォーマット(「hh:mm」や「hh:mm:ss」)から、カスタム形式(「hh”時”mm”分”」や「[h]:mm」)まで、業務のニーズに合わせて柔軟に設定できます。

カスタム表示形式を使う際のポイントは、「h」「m」「s」といった基本的なコードと、ダブルクォーテーションで囲んだテキストの組み合わせです。

日付と時間の組み合わせ、24時間を超える経過時間の表示、さらには国際的なISO形式の対応まで、スプレッドシートの時間表示は非常に多機能です。本記事で紹介した各手法を理解し、タイムシート管理、営業記録、プロジェクト管理など、様々な業務で活用することで、データ管理の精度と効率が大幅に向上します。


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