- 更新日 : 2025年6月30日
AVERAGE関数の使い方とエラー対策まとめ
「複数の数値の平均を求めたい」と思ったとき、手計算で合計して個数で割るのは大変です。Excel の AVERAGE 関数 を使えば、セル範囲を指定するだけで自動的に平均値(算術平均)を計算できます。本記事では初心者の方でも理解できるように、 AVERAGE関数の基礎から応用、エラー対策までを丁寧に解説します。この記事を読み終えるころには、日々の業務や家計簿、学習管理などさまざまなシーンで自信をもって AVERAGE 関数を活用できるようになるでしょう。
目次
AVERAGE関数とは?基本を押さえよう
AVERAGE関数の構文
=AVERAGE(数値1, [数値2], …)
数値1 … 必須の入力項目。平均を求めたい最初の数値またはセル範囲。
数値2 以降 … 省略可能な入力項目。追加で平均したい数値またはセル範囲(最大 255 個まで)。
AVERAGE関数が返す値の意味
AVERAGE 関数は渡された数値の「算術平均(合計 ÷ 個数)」を返します。算術平均とは、すべての値を合計して、値の個数で割った結果のことで、統計学における代表値(データの中心傾向を示す指標の1つ)です。例えば、 [10, 20, 30] の平均は (10+20+30) ÷ 3 = 20 になります。
範囲と個別セルを混在させてもOK
引数(関数に与える値や範囲)には(A1:A10)のような範囲指定と、(B1,C1)のような個別セルを同時に指定することができます。このように引数を指定することで、Excel が自動でまとめて平均値を計算します。
バージョン互換性
AVERAGE 関数は Excel 95 以降すべてのバージョンで利用できます。Microsoft 365 や Web版のExcel、Mac版のExcelでも同じように動作します。
AVERAGE関数の使い方【基本編】
セル範囲を平均する基本式
売上データが A2:A13 に入力されている場合、平均売上を求める式は次のとおりです。
=AVERAGE(A2:A13)
この式を入力してEnter キーを押すだけで平均値が表示されます。
複数の離れた範囲を平均する
複数列に散らばったデータをまとめて平均するには、カンマで区切って複数の範囲を指定します。
=AVERAGE(B2:B10, D2:D10)
これにより、2つの範囲のすべての値が合算され、合計個数で割った平均値が返されます。
ショートカットで素早く入力する
- セルに =av と入力。
- ↓ キーで 「AVERAGE」 を選択し Tab キー(Macの場合は Enterキー)を押すと、 =AVERAGE( が自動で入力されます。
- その後、範囲をドラッグして Enterキーを押せば、平均が即座に表示されます(メニューから操作する場合は「数式」タブ →「関数ライブラリ」→「統計」→「AVERAGE」で入力可能)。
オートフィルで相対参照を活用
表形式のデータにおいて、平均を複数行にわたって求めたい場合は、AVERAGE 関数を1行目に入力後、右下のフィルハンドルをドラッグしてコピーすると、セル参照が自動調整され、効率よく計算できます(Macでは Command + D でオートフィルが可能)。
AVERAGE関数の利用シーン
売上や予算の平均を算出
月ごとの売上データから年間平均を求めたり、複数プロジェクトのコスト平均を計算したりといったビジネス上の報告書や資料作成に活用できます。
テスト結果の平均点を求める
生徒の点数データを範囲指定するだけで、クラスの平均点や学年全体の平均点を素早く計算できます。手計算による計算ミス(ヒューマンエラー)を防げるのもポイントです。
日付・時刻データの平均を取る
作業開始時間や終了時間の差を平均することで、1件あたりの作業にかかる平均時間を算出できます。時刻データは実数として扱われる点を押さえましょう。 Excelでは時刻も実数(1日を1とした小数値)として扱われるため、AVERAGE関数で計算可能です(例:1時間30分は 0.0625)。
AVERAGE関数の応用テクニック
AVERAGEIF / AVERAGEIFS で条件付き平均
- AVERAGEIF(範囲, 条件, [平均対象範囲])
- AVERAGEIFS(平均対象範囲, 条件範囲1, 条件1, …)
例えば「販売数が 100 個以上の商品だけの平均価格」を求める場合:
=AVERAGEIF(B2:B100, “>=100”, C2:C100)
AVERAGEIF(アベレージイフ)関数は、条件を満たすデータだけの平均を出す関数です。
「条件が1つだけ」の場合に使い、複数条件をかけ合わせたい場合は「AVERAGEIFS(アベレージイフエス)関数」を使います。
ゼロや空白を除外した平均
=AVERAGEIF(範囲, “<>0”)
このようにすると、0(ゼロ)の値を除外した平均が求められます。売上が入力されていない月(0や空白)を除いて平均を出したい場合に便利です。なお、”<>” は「等しくない」という意味の演算子です。
IFERROR でエラーを抑制
AVERAGE 関数は、数値が存在しないときなどに #DIV/0! (ゼロ除算エラー)を返します。シートを閲覧する人にエラーを見せたくない場合は、IFERROR関数で包み込むとよいでしょう。
=IFERROR(AVERAGE(A2:A13), “データなし”)
なお、IFERROR関数とは、「指定した計算式でエラーが出た場合に、代わりの値を表示する」関数です。
統計関数との組み合わせ
AVERAGE関数だけでなく MEDIAN関数(中央値)や STDEV関数(標準偏差)などの統計関数を組み合わせることで、データのばらつきや外れ値をより詳しく分析できます。
AVERAGE関数でよくあるエラーと対処法
#DIV/0! エラー
原因:平均対象のセルに数値が 1 つもない場合や、0で割り算しようとしたときに発生します。
対処法:範囲内に少なくとも 1 つは数値が入っているか確認しましょう。
=IF(COUNT(A2:A13)>0, AVERAGE(A2:A13), “-“)
COUNT関数は、「数値が入っているセルの数」を数えます。この方法を用いることで、数値がない場合に「-」などの代替表示が可能です(MacやWeb版Excelでも同様に動作します)。
#VALUE! エラー
原因:テキストが混在していたり、数値として認識できない文字列(例:全角スペース付きの数値)が含まれていたりする場合に発生します。
対処法:以下の点を確認してください
- 値が正しく数値として入力されているか
- 全角スペースやシングルクォート(’)が前後に含まれていないか
- 文字列として入力されたセルがないか
#N/A エラー
原因:VLOOKUP (検索関数)などと組み合わせて使用した場合、参照先の値が見つからないときに表示されます。
対処法
=IFNA(AVERAGE(A2:A13), “該当なし”)
または、
=IFERROR(AVERAGE(A2:A13), “計算不可”)
IFNA関数は「#N/A」だけを処理するのに対し、IFERRORはすべてのエラーを処理対象とします。
IFERROR 関数でまとめてエラー処理
=IFERROR(AVERAGE(A2:A13), “計算不可”)
これで、すべてのエラーをカスタムメッセージに置き換えることができます。
AVERAGE関数をマスターして分析の第一歩を踏み出そう
AVERAGE 関数は「平均」を求めるだけでなく、条件付き平均やエラー処理と組み合わせることで、実務でも役立つ分析が可能になります。基本構文をしっかり押さえたうえで、AVERAGEIF/AVERAGEIFS や IFERROR など関連関数を使えば、より柔軟でエラーに強いシートを作成できます。この記事を参考に、ぜひ明日からの業務や学習に活かしてみてください。
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