- 作成日 : 2025年9月22日
飲食店のインボイス登録番号の確認方法は?検索の仕方や経費処理を解説
飲食店のインボイス登録番号は、主に「グルメサイトでの事前確認」「レシートや領収書」「国税庁の公表サイト」「店舗への直接の問い合わせ」で確認できます。会社でお店を予約する際に、グルメサイトから登録状況を事前に確認できる点は、知っておくと大変便利です。
この記事では、飲食店のインボイス番号の基本的な確認手順から、店舗名しかわからない場合に登録番号を調べる方法、個人事業主の場合、未登録だった際の経理処理まで、わかりやすく解説します。
目次
飲食店のインボイス登録番号の確認方法は4つ
飲食店を利用した際のインボイス登録番号を確認するには、主に4つの方法があります。お店を利用する前にチェックできる方法から、支払い後に確かめる方法までさまざまです。それぞれの特徴を理解し、状況に応じて最も効率のよい方法を選びましょう。
1. グルメサイトで事前に確認する
経費での利用が前提の場合、お店を探したり予約したりする際に、グルメサイトでインボイスの登録状況を事前に確認できる場合があります。
食べログ、ホットペッパーグルメ、ぐるなびといった主要なグルメサイトでは、店舗の基本情報ページにインボイス登録事業者であるかどうかの記載があります。「適格請求書発行事業者 登録済み」といった表示や、「登録番号:T〇〇〇」のように具体的な番号が掲載されていることも少なくありません。
ただし、情報の更新は各店舗の申請にもとづくため、最新の状況が100%反映されているとは限りません。あくまでお店選びの参考とし、さらに確認が必要な場合は、会計時に領収書で確かめるのが確実でしょう。
2. レシートや領収書で確認する
飲食店から受け取ったレシートや領収書にもインボイス登録番号は書かれています。
インボイス制度に登録している事業者は、発行する請求書や領収書に登録番号を記載することが義務づけられています。記載場所は厳密に決められているわけではありませんが、一般的には店名や住所、電話番号などが記載されている箇所に一緒に印字されていることが多いようです。
まずは受け取った書類に「登録番号:T〇〇〇」といった記載がないかを探してみましょう。ただし、手書きの領収書で記載が漏れていたり、そもそもインボイス未登録の事業者であったりする場合には、この方法では確認できません。
3. 国税庁の公表サイトで検索する
領収書にインボイスの登録番号が記載されておらず、わかるのが店舗名だけという場合でも、飲食店の運営形態(法人か個人か)に応じて、登録番号を調べることができます。
まずは、その飲食店を運営している会社名を調べます。公式サイトの「会社概要」ページや、求人情報サイトの掲載内容などから、運営元の法人名(例:株式会社△△)を確認しましょう。
次に、国税庁の「法人番号公表サイト」にアクセスし、確認した法人名を入力して検索します。すると、その法人の13桁の法人番号が表示されます。
法人の場合、原則としてこの13桁の法人番号の先頭に「T」を付けたもの(例:T1234567890123)がインボイス制度の登録番号となります。
最後に、国税庁の「インボイス制度 適格請求書発行事業者公表サイト」でこの「T+13桁の番号」を入力し、登録事業者として間違いなく掲載されているかどうかを確認すれば、登録番号を把握することができます。
出典: 国税庁 法人番号公表サイト|国税庁、適格請求書発行事業者公表サイト|国税庁
個人経営の飲食店は登録番号の特定が難しい場合も
個人事業主が運営している飲食店の場合は、法人のように店舗名や屋号からインボイス登録番号を直接検索することは、難しいかもしれません。
というのも、国税庁の公表サイトでは、個人事業主の情報はすべて本名(氏名)で登録されており、店舗名や屋号で検索することはできません。また、プライバシー保護の観点から、登録者の氏名から番号を逆引きする機能も提供されていません。
そのため、個人経営と思われる飲食店の登録番号を知りたい場合は、「グルメサイトで確認する」または「店舗に直接問い合わせる」といった間接的な方法をとるのが現実的です。
4. 飲食店に直接問い合わせる
飲食店へインボイス登録番号を直接問い合わせるのも確実な方法でしょう。
電話や問い合わせフォームなどを通じて、「経費精算のため、インボイス登録番号を教えていただけますでしょうか」と確認します。とくに屋号で営業している個人事業主の場合、この方法が最も有効な場面は少なくありません。
事業者側も問い合わせを受けることには慣れている場合が多いと考えられますが、相手の営業に支障が出ないよう、忙しい時間帯を避けるなどの配慮をすると、よりスムーズなやりとりが期待できるでしょう。
なぜ飲食店のインボイス番号の確認が必要なのか
会社の飲み会といった飲食代の経費処理でインボイス番号が必要なのは、その有無で会社が支払う消費税額が変わるからです。
会社には、経費として支払った消費税を、国に納める税金から差し引ける「仕入税額控除」という仕組みがあります。
たとえば、33,000円(税3,000円)の飲食代の場合、インボイス番号付きの領収書があれば、会社はその3,000円分を納税額から差し引けます。しかし、番号がなければ原則差し引くことができず、会社がその3,000円分を余分に負担することになります。
つまり、インボイス番号がない領収書は、会社の税負担を増やしてしまう可能性があるのです。
そのため、経費精算の際には番号の確認がおこなわれます。これは、会社の資金を適切に管理するための手続きです。
インボイス未登録の飲食店を利用した場合の経理処理
もし、利用した飲食店がインボイスに登録しておらず、登録番号の記載された領収書がもらえなかった場合、経理上はどのように処理すればよいのでしょうか。
インボイス制度への移行による影響を緩和するため、インボイス未登録の事業者(免税事業者など)からの仕入れについても、一定期間は仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられています。
期間 | 控除できる割合 |
---|---|
2023年10月1日~2026年9月30日 | 仕入税額相当額の80% |
2026年10月1日~2029年9月30日 | 仕入税額相当額の50% |
たとえば、未登録の飲食店で11,000円(うち消費税1,000円)の支払いをした場合、2026年9月30日までの期間であれば、1,000円の80%にあたる800円を仕入税額控除の対象にできます。
この経過措置の適用を受けるためには、帳簿に通常の記載事項に加えて、その取引が経過措置の対象である旨を明記しておく必要があります。たとえば、摘要欄に「80%控除対象」や「免税事業者からの仕入れ」などと記載する方法が考えられます。
使用している会計ソフトが経過措置に対応している場合は、専用の税区分やチェックボックスが用意されていることも多いため、設定を確認してみましょう。
この経過措置を知っていれば、インボイス未登録の店舗を利用した際にも、適切な会計処理をおこなえるようになります。
出典: インボイス制度の経過措置|国税庁
飲食店のインボイス登録番号を確認し適切な経費処理をしよう
接待や会議など、事業で飲食店を利用した際の経費を正しく処理するうえで、インボイス登録番号の確認が必要です。インボイス登録番号を確認するには「グルメサイトでの事前確認」や「レシートや領収書での確認」「国税庁サイトでの照合」「店舗への問い合わせ」といった方法があります。
また、店舗名しかわからない場合でも、運営元が法人であれば調べる方法があります。万が一、利用した店舗がインボイス未登録であったとしても、2029年9月までは経過措置が設けられています。日々の経理業務で迷うことがないよう、この記事で解説した手順を参考に、正確な処理を心がけていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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