- 作成日 : 2025年9月22日
キッチンカーを差し入れに呼ぶには?メリットと料金相場を解説
イベントや職場、撮影現場などで、参加者に特別な「おもてなし」をしたいと考えたとき、キッチンカーで差し入れをするという方法もあるでしょう。しかし、実際に依頼するとなると、費用は総額でいくらかかるのか、どうやって呼べばいいのか、わからないことも多いのではないでしょうか。
この記事では、キッチンカーを呼びたい主催者の方へ、差し入れが喜ばれる理由から料金の仕組み、依頼の詳しい手順、主催者が確認すべき注意点までを解説します。
目次
キッチンカーの差し入れが喜ばれる理由とメリット
デリバリーや従来のケータリングと比べて、キッチンカーの差し入れにはどのようなメリットがあるのでしょうか。多くのイベント主催者や企業に選ばれている理由を見ていきましょう。
できたての温かい料理が提供できる
最大のメリットは、その場で調理したできたての料理を提供できることです。デリバリーのように冷めてしまう心配がなく、温かいものは温かく、冷たいものは冷たいまま、一番おいしい状態で楽しんでもらえます。
会場が盛り上がる
キッチンカーが会場にあるだけで、非日常的で華やかな雰囲気が生まれます。おしゃれな車体や調理の音、食欲をそそる香りが五感を刺激し、参加者の満足度を高め、イベント自体を盛り上げてくれます。
主催者の手間が少ない
キッチンカーは調理から提供、後片付けまでを車内で完結してくれます。主催者側で食器を用意したり、配膳スタッフを手配したり、大量のゴミを処理したりする必要がなく、運営の負担を大幅に軽減できます。
SNS映えし、記憶に残りやすい
カラフルなキッチンカーやおしゃれに盛り付けられた料理は、絶好の写真撮影スポットになります。参加者がSNSに投稿すれば、イベントのPRにもつながり、参加者にとっても楽しい思い出として記憶に残りやすくなります。
キッチンカーの差し入れにかかる費用や料金プラン
キッチンカーを呼ぶ際の料金プランは、主に2種類あります。イベントの目的や参加者の費用負担の有無によって、最適なプランを選びましょう。
① 買取プラン(主催者が全額負担)
差し入れとして、参加者に無料で食事を提供したい場合に選ばれるプランです。主催者があらかじめ決めた食数分の料金を、キッチンカー事業者に支払います。
- 料金の仕組み:「単価 × 食数 + 交通費(出張費)」で計算されます。
- 料金の相場:ランチ・食事系は1食あたり800円~2,000円、スイーツ・カフェ系は1食あたり500円~1,000円が目安です。
- 費用例:100人に単価1,000円のカレーライスを提供する場合、1,000円 × 100食 = 100,000円(+交通費)となります。
50人に単価600円のクレープを提供する場合、600円 × 50食 = 30,000円(+交通費)が費用の目安です。
交通費は、プランに含まれている場合もあれば、数万円まで幅があり、業者によって異なります。
② 売上保証プラン(主催者が一部負担する可能性あり)
学園祭や地域のイベントなど、参加者が各自で食事代を支払う場合に利用されるプランです。主催者は、キッチンカー事業者に対して「最低でも〇〇円は売り上げます」という最低保証金額を設定します。
- 料金の仕組み:当日の売上が保証金額を上回った場合は主催者の負担は0円ですが、保証金額を下回った場合は主催者が差額分を支払います。
- 売上保証金額の相場:20,000円~50,000円程度が目安ですが、大型イベントなどの場合は50,000円〜100,000円程度になる場合もあります。
このプランは、ある程度の集客が見込めるイベントで、主催者の費用負担を抑えたい場合に適しています。
キッチンカーの差し入れを依頼する5ステップ
実際にキッチンカーを呼ぶ際の流れを、5つのステップで具体的に解説します。
STEP1:イベントの目的・予算・人数などを固める
まず、主催者側でイベントの基本情報を整理します。これが曖昧だと、キッチンカー探しや見積もりがスムーズに進みません。
- 目的:ランチ提供、休憩時間のカフェ、イベントの目玉など
- 日時:〇月〇日の〇時~〇時まで
- 場所:会社の敷地内、イベント会場、撮影スタジオなど
- 人数:おおよその参加人数
- 予算:買取プランの場合、総額でいくらまで出せるか
- 希望メニュー:ごはん系、スイーツ系、ドリンク専門など
STEP2:キッチンカーを探す
次に、希望に合ったキッチンカーを探します。探し方は主に3つあります。
STEP3:問い合わせと見積もり依頼
依頼したいキッチンカーが見つかったら、問い合わせて見積もりをお願いします。その際、STEP1で固めた情報を正確に伝えることが大切です。
- 会社名・担当者名・連絡先
- イベント名と目的
- 希望日時(開始・終了時間)
- 出店場所の正確な住所
- 想定来場者数・提供したい食数
- 予算(買取プランの場合)
- 希望するメニューのジャンル
- 電源・水道の有無
STEP4:契約と打ち合わせ
見積もり内容に納得できたら、正式に契約を結びます。メニューの詳細、提供方法、アレルギー対応、支払い方法、キャンセルポリシーなど、細かい部分をしっかりと打ち合わせで確認しましょう。
STEP5:イベント当日までの準備と流れ
契約後は、当日スムーズに運営できるよう準備を進めます。主催者側では、キッチンカーの駐車スペースの確保、参加者への事前告知などを行います。当日は、キッチンカーの搬入・搬出の誘導や、何かトラブルがあった際の窓口として対応します。
キッチンカーの差し入れに人気のメニュー例
キッチンカーの差し入れとしてとくに人気があり、さまざまなシーンで喜ばれるメニューを紹介します。
ジャンル | メニュー例 | おすすめのシーン |
---|---|---|
食事・ランチ系 | カレーライス、タコライス、ロコモコ丼、ガパオライス、ピザ | 企業のランチイベント、学園祭、地域のお祭り |
軽食・スナック系 | 唐揚げ、フライドポテト、ホットドッグ、ケバブサンド | スポーツイベント、音楽フェス、展示会 |
スイーツ系 | クレープ、ワッフル、チュロス、ドーナツ、かき氷 | 撮影現場の休憩、企業のファミリーデー、商業施設イベント |
カフェ・ドリンク系 | 本格コーヒー、カフェラテ、タピオカドリンク、レモネード | 会議やセミナー、住宅展示場、アパレル店の催事 |
キッチンカーの差し入れを呼ぶ際の許可や注意点
キッチンカーを呼ぶにあたり、主催者側で確認・準備すべきことがいくつかあります。とくに「場所の許可」は大切なポイントです。
依頼者は場所の使用許可を確認する
キッチンカー事業者は、食品を提供するための「保健所の営業許可」を持っていますが、どこでも営業して良いわけではありません。キッチンカーを停めて営業する場所の所有者や管理者からの許可が別途必要になります。この許可を取る責任は、原則として主催者側にあります。
- 自社の敷地内(駐車場など)
自社の所有地であれば、基本的には問題ありません。ただし、賃貸のオフィスビルなどの場合は、ビルの管理規約を確認し、管理会社の許可を得る必要があります。 - レンタルスペース・イベント会場
会場の利用規約で、キッチンカーの乗り入れや外部からの飲食物提供が許可されているかを確認します。 - 公道や公園
公道上で営業するには「道路使用許可」と「道路占用許可」が必要で、取得は非常に困難です。また、公園で営業するには、公園管理者(自治体など)の正式な許可が必要となり、個人が単発で依頼するのは難しいのが実情です。
電源・水道の確保は必要か
多くのキッチンカーは、発電機と給排水タンクを搭載しているため、電源や水道がない場所でも営業できます。ただし、発電機は騒音や排気ガスが発生するため、屋内や住宅が近い場所では使用できない場合があります。会場に電源設備(屋外コンセントなど)があれば、それを借りるのが最もスムーズです。電源の有無は、見積もり依頼の際に必ず伝えましょう。
車両の搬入経路と駐車スペースの確認
キッチンカーは軽トラックサイズから2tトラックサイズまでさまざまです。依頼するキッチンカーが敷地内に入れるか、搬入経路の道幅、高さ、曲がり角などを事前に確認しておきましょう。
また、営業中は車のドアや提供口を開けるため、駐車スペースには車両サイズ+αの余裕が必要です。地面が平坦で、安全に営業できる場所を確保しましょう。
キッチンカーの差し入れは経費になる?
企業や事業者がキッチンカーを呼んだ場合、その費用は経費として計上できるのでしょうか。結論から言うと、事業に関連する目的であれば、経費として認められます。 誰を対象とした差し入れかによって、会計処理で使う「勘定科目」が異なります。
従業員向けの差し入れは「福利厚生費」
社内イベントや慰労会などで、自社の従業員を対象にキッチンカーを呼んだ場合の費用は、「福利厚生費」として計上するのが一般的です。福利厚生費として認められるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 全従業員を対象としていること:特定の役員や部署だけが対象ではない
- 社会通念上、妥当な金額であること:高額なものは給与とみなされる場合がある
従業員のモチベーション向上やコミュニケーション活性化を目的とした差し入れは、正当な経費となります。
取引先向けの差し入れは「接待交際費」
取引先や顧客、事業に関係する外部の人を招待するイベントや、撮影現場への差し入れなどでキッチンカーを呼んだ場合の費用は、「接待交際費」に該当します。事業を円滑に進めるための「おもてなし」にかかる費用とみなされます。
ただし、不特定多数の一般消費者を対象とした新商品発表会や展示会などでキッチンカーを呼ぶ場合は、イベントの宣伝広告が主な目的となるため、「広告宣伝費」として計上できることもあります。
経費として計上するための注意点
どちらの勘定科目で処理するにしても、税務調査などで質問された際に、事業との関連性を明確に説明できるようにしておくことが大切です。そのため、キッチンカー事業者から受け取った領収書や請求書は必ず保管し、イベントの目的、開催日時、参加者、人数などを記録した書類(稟議書や報告書など)もあわせて残しておきましょう。
キッチンカーの差し入れで記憶に残るイベントを演出しよう
キッチンカーの差し入れは、単に食事を提供するだけでなく、その場を盛り上げ、参加者に特別な体験をプレゼントできる喜ばれるおもてなしの方法です。料金プランには、主催者が全額を負担する「買取プラン」や、費用を抑えられる「売上保証プラン」などがあり、イベントの目的に合わせて選べます。
キッチンカーの差し入れを成功させるためには、事前の計画と準備が大切です。とくに、出店場所の許可を主催者が責任をもって確認することが、トラブルを避ける上で大切な点になります。
この記事を参考に、イベントにぴったりのキッチンカーを呼んで、参加者の記憶に残る一日を演出してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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