• 更新日 : 2026年10月5日

年末調整の医療保険料控除とは?介護医療保険料控除の書類・書き方・計算方法を解説

Point年末調整の医療保険料控除とは?

年末調整の医療保険料控除は、正式には「介護医療保険料控除」であり、民間医療保険の支払保険料に応じて所得税・住民税が軽減される制度です。

  • 2012年以後の契約は新制度・上限40,000円
  • 必要書類は控除申告書と控除証明書の2点
  • 健康保険料は社会保険料控除で別扱い

Q. 新制度と旧制度はどう見分ける?

A. 契約日が2012年1月1日以後なら新制度(介護医療保険料控除)、2011年12月31日以前なら旧制度(一般の生命保険料控除)です。

医療保険料控除は、年末調整で受けられる生命保険料控除の一区分であり、正式には介護医療保険料控除と呼ばれます。本記事では、年末調整における医療保険料控除の対象条件、必要書類、給与所得者の保険料控除申告書の書き方、控除額の計算方法までを、国税庁の公表情報にもとづき整理して解説します。

年末調整における医療保険料控除とは?

医療保険料控除とは、民間の医療保険に加入している人が、支払った保険料に応じて所得税・住民税の負担が軽くなる仕組みです。2012年の税制改正以降、この控除は生命保険料控除の一区分である介護医療保険料控除として扱われています。

医療保険とは、病気やけがによる経済的負担を軽減するための保険で、ここでいう医療保険は民間保険会社が販売する商品を指します。傷病時に給付金が支払われる保険であり、公的医療保険(健康保険)とは制度上まったく別のものです。

医療保険料控除の対象となる条件

医療保険料控除の対象になるには、給付事由と受取人に関する条件を満たす必要があります。具体的には、医療費の支払いを事由として保険金が給付されること、保険金の受取人が保険料の支払者本人か、その配偶者・親族であることが求められます。

なお、契約期間が5年未満の貯蓄性保険や財形貯蓄は、上記の条件に該当していても控除の対象外となる点に注意が必要です。対象となる保険かどうかは、保険会社から送付される保険料控除証明書に明記されています。

公的医療保険(健康保険料)との違い

健康保険料など公的医療保険の保険料は、医療保険料控除ではなく社会保険料控除の対象です。両者は名称が似ているため混同されやすいですが、適用される控除区分がまったく異なります。

社会保険料控除は支払った保険料の全額が控除される一方、介護医療保険料控除には上限額が設けられており、計算方法も異なります。年末調整の書類作成時には、この違いを正しく認識しておく必要があります。

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年末調整で医療保険料控除を受けるために必要な書類は?

医療保険料控除(介護医療保険料控除)を受けるには、給与所得者の保険料控除申告書と保険料控除証明書の2つが必要です。この2点がそろわないと、勤務先での年末調整による控除適用が難しくなります。

給与所得者の保険料控除申告書は勤務先から配布される様式で、必要事項を記入したうえで保険料控除証明書とあわせて提出します。書き方のポイントは次章で詳しく解説します。

保険料控除証明書

保険料控除証明書は、加入している保険会社から毎年10月ごろに送付される書類です。この証明書には、契約が新制度・旧制度のいずれに該当するかや、実際に支払った保険料の金額が記載されています。

証明書は控除対象となる契約についてのみ発行されるため、加入している医療保険が控除対象外の場合は送付されません。年末調整に必須の書類のため、受け取ったら大切に保管しておきましょう。

控除証明書を紛失した場合の対処法

控除証明書を紛失した場合は、早めに加入先の保険会社へ連絡し、再発行を依頼することで対応できます。多くの保険会社ではマイページやコールセンターから再発行の手続きが可能です。

近年は控除証明書の電子データ交付にも対応する保険会社が増えており、電子交付を利用すれば紛失のリスク自体を減らすことができます。詳細は各保険会社の案内、または国税庁の電子的交付に関する情報を確認してください。

提出期限に間に合わない場合は確定申告で対応

年末調整の書類提出時点で保険料控除証明書が用意できない場合でも、法律上は控除を受けることが可能ですが、勤務先の事務負担の都合で受け付けてもらえないケースもあります。

その場合は、翌年の確定申告で医療保険料控除を申告することで、還付を受けることができます。年末調整で控除を反映できなかったときは、確定申告の選択肢を検討しましょう。

給与所得者の保険料控除申告書の書き方のポイントは?

申告書記入時の最大のポイントは、加入している保険が新制度と旧制度のどちらに該当するかを正しく判別することです。新旧の区分により、記入欄も控除額の計算方法も異なります。

保険料控除証明書には、新制度・旧制度いずれの契約かが必ず記載されており、生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除のうちどの区分に該当するかも保険料の金額とあわせて明示されています。

新制度・旧制度の見分け方

新制度・旧制度の区分は、契約日が2012年1月1日以後か、2011年12月31日以前かで決まります。2012年1月1日以後の契約は新制度、それ以前の契約は旧制度として扱われます。

新制度の医療保険は介護医療保険料控除の対象となり、所得税の控除上限額は40,000円です。一方、旧制度の医療保険は一般の生命保険料控除の対象となり、生命保険料と合算した所得税の控除上限額は50,000円となります。区分ごとに記入欄と計算方法が異なるため、証明書の記載を必ず確認しましょう。なお、個人年金保険料控除も同じ申告書内の別欄に記入する区分であり、あわせて確認しておくと申告漏れを防げます。

区分 契約時期 控除区分 所得税の控除上限額
新制度 2012年1月1日以後 介護医療保険料控除 40,000円
旧制度 2011年12月31日以前 一般の生命保険料控除 50,000円(生命保険料と合算)

参考:No.1140 生命保険料控除|国税庁

保険の更新・追加があった場合の取り扱い

保険を更新または追加した時期によって、適用される制度区分が変わります。契約日そのものだけでなく、更新・追加の有無も確認する必要があります。

保険を更新・変更・追加した場合は、契約内容や締結時期によって生命保険料控除の取扱いが変わる場合があります。特に、既存契約に新たな特約を付加した場合などは、新たに締結した部分が新制度の対象となることがあります。実際の区分は、保険会社が発行する保険料控除証明書の記載を確認しましょう。

また、既存の生命保険契約に2012年1月1日以後に医療保険を新たに追加した場合、従来からの生命保険部分は旧制度のまま、追加した医療保険部分のみ新制度が適用される点に注意しましょう。

医療保険料控除(介護医療保険料控除)額の計算方法は?

介護医療保険料控除の金額は、年間の支払保険料に応じた計算式に当てはめて算出します。新制度と旧制度で計算式が異なるため、証明書に記載された区分に沿って計算することが重要です。

計算式は国税庁のタックスアンサーで公表されており、年間払込保険料の金額帯によって4段階に区分されています。以下の表に沿って計算すれば、誰でも同じ結果を導けます。

新制度(介護医療保険料控除)の計算表

新制度が適用される契約では、以下の表にもとづいて所得税の控除額を計算します。年間払込保険料が20,000円以下であれば全額が控除対象です。

年間払込保険料 控除額(所得税)
20,000円以下 支払保険料の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

参考:No.1140 生命保険料控除|国税庁

旧制度(一般の生命保険料控除)の計算表

旧制度が適用される契約では、以下の表を用いて計算します。旧制度は新制度より控除の上限額がやや高く設定されています。

年間払込保険料 控除額(所得税)
25,000円以下 支払保険料の全額
25,000円超 50,000円以下 支払保険料×1/2+12,500円
50,000円超 100,000円以下 支払保険料×1/4+25,000円
100,000円超 一律50,000円

参考:No.1140 生命保険料控除|国税庁

具体的な計算例

実際の数値を当てはめると、計算の流れがより明確になります。以下の3パターンで確認してみましょう。

  1. 2013年契約・年払い30,000円の医療保険(新制度対象):控除額は30,000円×1/2+10,000円=25,000円。この金額は介護医療保険料の欄に記入します。
  2. 2010年契約・年払い30,000円の医療保険(旧制度対象):控除額は30,000円×1/2+12,500円=27,500円。この金額は一般の生命保険料の欄に記入し、「旧」に丸をつけます。
  3. 2008年契約の生命保険(年払い30,000円)に2014年に医療保険(年払い30,000円)を追加した場合:生命保険部分は旧制度のため控除額27,500円を一般の生命保険料欄に記入し、追加した医療保険部分は新制度のため控除額25,000円を介護医療保険料欄に記入します。

いずれのケースも、契約時期と更新・追加の有無を基準に新旧を判別してから、該当する表の計算式に当てはめる流れは共通しています。

2026年(令和8年)の税制改正で何が変わる?

令和7年度税制改正により、2026年分・2027年分(令和8年分・令和9年分)の所得税に限り、23歳未満の扶養親族がいる子育て世帯を対象に、一般の生命保険料控除の所得税上限が40,000円から60,000円へ引き上げられます。ただし、この拡充は一般の生命保険料控除のみが対象です。

根拠として、財務省の令和8年度税制改正大綱に、子育て世帯に対する時限的な控除拡充措置が明記されています。介護医療保険料控除と個人年金保険料控除の上限額、および3区分合計の適用限度額(所得税120,000円・住民税70,000円)は従来どおり据え置かれます。

介護医療保険料控除への影響は?

結論として、今回の税制改正は介護医療保険料控除の計算方法や上限額には影響しません。医療保険料控除の計算式・上限額は本記事で解説した内容のまま変わらず適用されます。

改正の対象となるのは、あくまで新制度における一般の生命保険料控除部分のみであり、適用も2026年分・2027年分に限られた時限措置です。医療保険に関する控除を申告する際は、この点を混同しないよう注意しましょう。

契約時期を確認し、正しい区分で申告しよう

年末調整における医療保険料控除は、正式には介護医療保険料控除として扱われ、給与所得者の保険料控除申告書と保険料控除証明書の提出により適用を受けられます。契約時期によって新制度・旧制度のどちらに該当するかが変わり、控除額の計算式や記入欄も異なるため、証明書の記載内容を確認しながら正確に申告することが重要です。


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