• 更新日 : 2025年12月19日

雇用保険被保険者資格取得届の「12 雇用形態」番号の書き方は?

従業員を新しく雇用した際、雇用保険の加入条件に該当すれば「雇用保険被保険者資格取得届」の提出が必要です。従業員は、雇用保険の被保険者となることで、失業した際や育児休業をした際に、給付金を受け取ることができます。

「雇用保険被保険者資格取得届」を作成する際、「12. 雇用形態」欄の記載は、正社員やパート・アルバイト、派遣社員など、その従業員がどのような形態で雇用されているかを示す番号を記載します。

この記事では、雇用保険資格取得届における雇用形態の区分(番号)について、正社員やパート・アルバイトの具体的な書き方、各番号の意味をわかりやすく説明します。

雇用保険被保険者資格取得届とは、どのような書類?

雇用保険被保険者資格取得届とは、従業員が雇用保険の被保険者となったことをハローワーク(公共職業安定所)に届け出るための書類です。

雇用保険は、労働者が失業した場合や育児・介護で休業した場合などに、生活や雇用の安定を図るための給付を行う制度です。事業主は、適用事業所に雇用される労働者(一定の要件を満たす場合)の雇用保険の加入手続きを確実に行わなくてはなりません。

資格取得届の提出が必要な要件

以下の要件を両方満たす従業員を雇用した場合、原則として雇用保険の被保険者となるため、資格取得届の提出が必要です。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
  2. 31日以上の雇用見込みがあること。

この要件は、正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイト、契約社員など、名称にかかわらず適用されます。

参照:Q1雇用保険の加入の要件を教えてください。|厚生労働省

「12 雇用形態」欄には、何を書けばよい?

「雇用保険被保険者資格取得届」の「12 雇用形態」欄には、その従業員がどのような形態で雇用されているかを示す番号を記載します。

この番号によって、従業員が「一般被保険者」「短期雇用特例被保険者」「日雇労働被保険者」のいずれに該当するかが判断されます。

雇用保険被保険者資格取得届

雇用形態コード番号の一覧

「雇用保険被保険者資格取得届」の雇用形態コード番号は以下のとおりです。

コード番号雇用形態説明
1日雇日々雇用される労働者
2派遣派遣労働者(登録型など)
3パートタイム週所定労働時間が30時間未満の短時間労働者
4有期契約労働者有期契約の労働者(契約社員など)
5季節的季節的に雇用される労働者
6船員船員として雇用される者
7その他上記のいずれにも該当しない場合

無期雇用の正社員(フルタイム)、常用型の派遣労働者など

出典:雇用保険被保険者資格取得届 記載例 P2|厚生労働省

参照:雇用保険事務手続きの手引き 【第2編】 被保険者資格の取得・喪失編 【令和7年8月版】雇用保険被保険者資格取得届の記入例|厚生労働省

正社員の書き方

期間の定めがなく、週の所定労働時間が30時間以上の正社員(フルタイム)の場合、「7(その他)」を選択します。

時短正社員などで、週の所定労働時間が30時間未満の場合は、 「3(パートタイム)」を選択します。

パート・アルバイトの書き方

パート・アルバイト(パートタイム労働者)の場合は、契約期間と所定労働時間によって記載する番号が変わります。

1週間の所定労働時間が30時間未満の場合
  • 「3(パートタイム)」を選択(契約期間の定めの有無は問いません)
1週間の所定労働時間が30時間以上の場合
  • 雇用契約に期間の定めがある場合:「4(有期契約労働者)」を選択
  • 雇用契約に期間の定めがない場合:「7(その他)」を記載(フルタイムの正社員と同じ)

パート・アルバイトという呼称であっても、週の所定労働時間が30時間以上であれば、フルタイムの正社員と同じ「7(その他)」を選択します。

契約社員の書き方

契約社員(有期契約労働者)の場合は、「4(有期契約労働者)」を選択します。これは、週の所定労働時間が30時間以上の場合です。

もし契約社員という名称でも、週の所定労働時間が30時間未満であれば、「3(パートタイム)」が優先されます。

派遣社員の書き方

派遣社員の場合は、派遣の形態によって番号が異なります。

  • 登録型派遣(仕事がある時だけ雇用契約を結ぶ形態)の場合:「2」を選択
  • 常用型派遣(派遣会社の社員として常時雇用される形態)の場合:「7(その他)」を選択

季節的労働者の書き方

特定の季節(例:スキー場、夏の農作業など)に限定して、4ヶ月以内などの期間を定めて雇用される労働者の場合は、「5(季節的)」を選択します。 この形態は、一般の被保険者とは区別され「短期雇用特例被保険者」として扱われることがあります。

その他の書き方

「7(その他)」は、上記の「1」から「6」のいずれにも当てはまらない場合に選択するコードです。

主に以下のようなケースが該当します。

  • 無期雇用で週30時間以上の正社員
  • 常用型派遣の労働者
  • 無期雇用で週30時間以上のパート・アルバイト

雇用保険被保険者資格取得届の雇用形態を間違えたら?

「雇用保険被保険者資格取得届」で雇用形態を誤って届け出た場合は、速やかに「雇用保険被保険者資格取得・喪失等届訂正・取消願」を提出し、正しい情報に訂正する必要があります。

たとえば、本来は「7(パートタイム)」で届け出るべきところを「5季節的雇用」で提出してしまうと、従業員が将来受け取る失業給付(基本手当)の所定給付日数などに影響が出るおそれがあります。

訂正の手続き

  1. 「雇用保険被保険者資格取得・喪失等届訂正・取消願」を作成する
  2. 訂正の根拠となる資料(雇用契約書、労働者名簿、賃金台帳など)を添付する
  3. 上記書類を管轄のハローワークに提出する

雇用形態区分が異なると失業給付(基本手当)に影響する

雇用形態区分が異なると、失業した際に受け取れる基本手当の所定給付日数が変わる場合があります。たとえば「1(一般)」と「短期雇用特例被保険者」「日雇労働被保険者」では、給付日数の取り扱いが異なります。有期契約労働者の場合は、特定受給資格者や特定理由離職者に該当するかによって給付日数の取り扱いが異なることがあるため注意しましょう。

雇用保険被保険者資格取得届の入手(ダウンロード)先は?

ハローワークの窓口、またはインターネット上(e-Govやハローワークインターネットサービス)で入手できます。

紙の様式(OCRシート)が必要な場合と、電子申請(e-Gov)を利用する場合、または手書き用の帳票をダウンロードする場合で入手先が異なります。

ハローワークの窓口での受領

全国のハローワーク(公共職業安定所)の窓口で、複写式のOCR帳票(専用の用紙)を入手できます。手書きまたは印刷して提出する場合に利用します。

ハローワークインターネットサービスからのダウンロード

手書きやパソコンでの入力により作成する場合や、様式の見本を確認したい場合は、ハローワークインターネットサービスの「帳票一覧」からPDFファイルをダウンロードできます。

ただし、ハローワークに提出する際は、原則として専用のOCR帳票を使用するか、電子申請が推奨されています。ダウンロードしたPDFを印刷してそのまま提出することもできますが、印刷の設定が不適切だと利用できない場合がありますので、管轄のハローワークにご確認ください。

参照:雇用保険被保険者資格取得届 様式|ハローワークインターネットサービス

電子申請(e-Gov)の利用

政府の電子申請窓口「e-Gov(イーガブ)」を利用すれば、オフィスからオンラインで申請手続きが完結します。紙の様式を入手する必要はありません。

参照:雇用保険被保険者資格取得届(e-Gov電子申請)|e-Gov

提出期限や提出方法で注意すべき点は?

「従業員を雇用した日(資格取得日)の属する月の翌月10日まで」 に提出しなくてはなりません。雇用保険の手続きは、社会保険(健康保険・厚生年金)の手続きとは提出期限や提出先が異なるため、混同しないよう注意が必要です。

提出期限(いつまでに)

資格取得日(雇い入れ日)の属する月の、翌月10日までです。

例:4月1日入社 → 5月10日までに提出

この期限を過ぎてしまうと、遅延理由書の提出を求められる場合があります。また、さかのぼって加入する場合、雇用実態を証明する書類(賃金台帳や出勤簿など)が追加で必要になることがあります。

提出先(どこへ)

事業所の所在地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)です。

※社会保険が「年金事務所」であるのに対し、雇用保険は「ハローワーク」です

提出方法(3つの方法)
  • 窓口持参:管轄ハローワークの窓口に直接提出します。
  • 郵送:管轄ハローワーク宛に郵送します。
  • 電子申請:「e-Gov(イーガブ)」システムを利用して、インターネット経由で申請します。

雇用形態の番号を理解し届け出が、従業員を守ることにつながります

「雇用保険資格取得届」の「12. 雇用形態」欄は、社内の呼称ではなく労働時間と契約期間の有無で判断します。

正社員で期間の定めがなく週30時間以上働く場合は「7(その他)」、時短勤務など週30時間未満なら「3(パートタイム)」を選びます。

パート・アルバイトも同様に、週30時間以上であれば「7」、30時間未満なら「3」です。

契約社員のように期間の定めがある雇用で週30時間以上の場合は「4(有期契約労働者)」を選びます。

派遣社員は、登録型派遣なら「2(派遣)」、常用型派遣なら「7(その他)」です。

雇用形態を誤ると、失業給付や保険料に影響するため、迷ったときはハローワークで確認し、正しい番号で届け出ましょう。


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