- 更新日 : 2025年6月19日
マイナ保険証の住所変更は必要?手続き方法と注意点を解説
引越しや転職をしたとき、「マイナ保険証の住所変更って必要なの?」と疑問に思う方も多いでしょう。マイナ保険証はマイナンバーカードと一体になっているため、従来の保険証と手続き方法が異なります。
本記事では、マイナ保険証の仕組みや住所変更時の流れ、注意点を解説します。健康保険証の廃止に備えて、今のうちに必要な準備を確認しておきましょう。
マイナ保険証の仕組み
マイナ保険証とは、マイナンバーカードに健康保険証の機能を追加したものです。医療機関や薬局でカードを提示するだけで、健康保険証として利用できる仕組みになっています。
見た目は、通常のマイナンバーカードと変わりはありません。しかし、マイナ保険証として利用するには「マイナポータル」や、専用端末を通じた利用登録が必要です。
マイナ保険証は、従来の紙やプラスチックの保険証と違って、カードの再発行を待たずに利用を継続できます。また、薬剤情報や特定健診の結果などと連携することで、スムーズな受診や適切な医療を受けやすくなるといった利便性の高さも魅力です。
以下の記事では、マイナ保険証について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
マイナ保険証の住所変更は必要?
マイナ保険証の住所変更が必要かは、多くの人が気になるポイントです。結論、個別の手続きは不要です。しかし、マイナンバーカードの住所変更を適切に行う必要があります。
以下で詳しく解説していきます。
マイナンバーカードの住所変更をすれば自動で反映される
マイナ保険証は、マイナンバーカードと一体になっているため、保険証単体での住所変更手続きは必要ありません。引越し後に住民票の異動とあわせて、マイナンバーカードの住所変更を役所で行えば、その情報が自動的にマイナ保険証にも反映されます。
紙の保険証のように差し替えや再発行を待つ必要がなく、手間が軽減されるのがメリットです。なお、住所変更の届出は、異動日から14日以内に行うことが法律で定められています。引越し後は忘れずに手続きを済ませましょう。
参考:総務省|引っ越しの際は
以下の記事では、マイナンバーの申請手続きについて解説していますので、あわせてご覧ください。
転居・転職後もマイナ保険証はすぐに使える
必要な手続きを済ませていれば、引越し直後や転職直後でも、マイナ保険証はすぐに使用できます。
また、マイナ保険証を利用することで、これまでの薬剤情報や健診データを医療機関の間で共有可能です。新たな診療先でも、自分の医療履歴をスムーズに引き継げるため、初診時の負担も軽減されます。
2024年12月以降、従来の健康保険証は廃止へ
2024年12月2日をもって、現在使われている従来の健康保険証は新規発行・再発行が停止されます。今後はマイナ保険証が基本の保険証となる方針が示されています。
すでに保有している保険証は、最大で2025年12月1日まで使用可能です。しかし、それ以降は利用できなくなるため、早めの移行が推奨されています。
なお、マイナ保険証を登録していない方には、医療機関で使える「資格確認書」が無料で交付されます。ただし、医療情報の自動連携やデータ共有など、マイナ保険証の便利な機能は利用できません。
マイナンバーカードの住所変更手続き
引越しをしたら、住民票の異動だけでなく、マイナンバーカードの住所も更新する必要があります。マイナ保険証の情報とも連動しているため、正しく手続きをしないと医療機関で使えなくなるおそれがあるため注意が必要です。
ここでは、マイナンバーカードの住所変更手続きについて詳しく解説します。
同一市区町村内の転居(転居届)の手続き方法
同じ市区町村内で引越す場合は、役所に「転居届」を提出し、そのあとにマイナンバーカードの住所変更(券面記載)手続きを行います。手続きは市区町村の窓口で対応しており、完了すると新住所がカード裏面に記載されます。
この手続きでは、交付時に設定した4桁の暗証番号が必要になるため、事前に確認しておくとスムーズです。家族全員が一緒に引越す場合は、全員分のマイナンバーカードと暗証番号を持参すれば、まとめて対応してもらえます。
市区町村をまたぐ引越し(転出・転入)の手続き方法
市区町村をまたぐ引越しでは、「転出届」と「転入届」の提出が必要です。マイナンバーカードを所持していれば、「特例転出制度」が使えます。そのため、紙の転出証明書なしでも手続き可能です。
転出届は、マイナポータルからオンライン申請もできます。ただし、転出日から30日以内、かつ転入後14日以内に「継続利用手続き」を行わないと、マイナンバーカードが失効してしまう恐れがあります。
転入先の役所での手続き時には、暗証番号の入力も必要になるため、日程管理をしっかり行うことが大切です。
住所変更時に必要な持ち物と手続き先
住所変更の手続きは、引越し先または現住所の市区町村役所の窓口で行います。本人が手続きをする場合、マイナンバーカードと設定済みの暗証番号が必要です。
家族分をまとめて手続きする際には、全員分のマイナンバーカードと、手続き者自身の本人確認書類を用意しましょう。
代理人による手続きも可能ですが、委任状や必要事項を記載済みの書類が必要になることもあります。そのため、あらかじめ自治体の公式サイトで必要書類を確認しておくと慌てずに済むでしょう。
電子証明書の更新・再発行の手続きも必要
マイナンバーカードには、「利用者証明用電子証明書」と「署名用電子証明書」の2種類が搭載されています。住所変更を行った場合でも、利用者証明用電子証明書はそのまま使用できますが、署名用電子証明書は失効します。
今後もe-Taxで電子申請を行う予定がある場合は、役所窓口で署名用電子証明書の再発行手続きが必要です。再発行は無料で対応しており、手続き時には暗証番号の入力や申請書類の記入が求められるため、忘れずに持参しましょう。
カード裏面の記載欄が埋まった場合の対応方法
マイナンバーカードの裏面には、これまでの住所変更履歴が記載される欄があります。引越しを繰り返し、この欄が埋まってしまった場合、カードの再発行手続きが必要です。
再発行は無料で受けられますが、新しいカードが届くまでに約2ヶ月程度かかる場合もあります。その間、マイナ保険証や各種証明機能が一部使えなくなるため、早めの対応がおすすめです。
再発行が必要になりそうなタイミングで、事前にスケジュールを調整しておきましょう。
保険証の住所変更も必要|国保と社保の手続き
マイナンバーカードの住所を変更しただけでは、健康保険の情報が完全に更新されるとは限りません。加入している保険制度が国民健康保険か社会保険かによって、必要な手続きが異なります。
また、マイナ保険証を利用していない場合は、資格確認書の住所修正も必要です。ここでは、それぞれの保険制度に応じた住所変更手続きの方法と注意点を解説します。
国民健康保険の住所変更方法
国民健康保険に加入している場合、住所変更の手続きは市区町村の役所で行う必要があります。引越し日から14日以内の手続きが原則とされており、遅れると医療費が全額自己負担になるリスクもあるため注意が必要です。
同じ市区町村内での転居なら「転居届」の提出のみで、保険証の住所も自動更新されます。一方、異なる市区町村へ移る場合は、転出届と転入届に加え、新たな保険加入手続きが必要です。
マイナンバーカードをマイナ保険証として利用していれば、住所変更で保険情報も自動で更新される仕組みですが、念のために自治体での確認を行うと安心です。
社会保険は勤務先に住所変更を報告
社会保険に加入している場合は、住所変更の手続きは原則として勤務先が行います。従業員本人が健康保険組合に直接申請する必要はなく、社内の人事・総務部門が保険者への届出を代行するのが一般的です。
ただし、住所が変わったことを勤務先に報告する必要があります。報告が漏れてしまうと、会社側で保険者に届け出られず、登録住所が古いままになる可能性があります。
また、マイナンバーと基礎年金番号が正しく紐づいている場合は、住民票の異動に伴って健康保険や厚生年金の住所も自動更新される仕組みです。そのため、従業員本人による追加対応は不要なケースも多くあります。
ただし、下記のような例外もあります。
- 健康保険組合に個別加入している場合
- 海外勤務や扶養のみの被保険者など、マイナンバーとの連携がされていない場合
さらにマイナ保険証を利用している方は、市区町村窓口でカード券面の住所記載を自分で更新することが必要です。手続き漏れがあると、医療機関での受診時に保険証情報が正しく読み取れず、トラブルの原因になるため、注意しましょう。
以下の記事では、従業員に住所変更があった場合の社会保険の手続きについて詳しく解説しています。
マイナ保険証がない方の住所変更方法
マイナンバーカードやマイナ保険証を持っていない場合、保険証の代わりとして「資格確認書」が交付されます。資格確認書はカードではなく紙の証明書で、新しいものが再発行されるわけではありません。
住所変更時には、手書きで記載内容を修正して使うのが一般的です。
社会保険に加入している場合、保険者への住所変更は勤務先が行います。しかし、資格確認書の修正は本人が行う必要があります。
記載住所と住民票上の住所が一致していないと、医療機関での受付時にトラブルが発生する可能性もあるため、必ず最新情報に更新しておきましょう。
マイナ保険証の住所変更に関するよくある質問
ここでは、マイナ保険証の住所変更に関するよくある質問を紹介します。事前に把握し、トラブルや手続き漏れを未然に防ぎましょう。
マイナンバーカードを住所変更しないとどうなる?
マイナンバーカードを住所変更せずに放置してしまうと、マイナ保険証として正常に機能しないもしくは失効扱いになる可能性があります。
住所情報が最新でないと、医療機関で保険資格の確認ができず、医療費を一時的に全額自己負担しなければならないケースも考えられます。マイナンバーカードに記載された情報に変更があった場合は、14日以内に住所変更の手続きを行うことが望ましいです。
手続きや住所変更前に病院に行きたいときは?
引越し前後で住所変更手続きが完了していなくても、医療機関の受診は可能です。ただし、マイナ保険証は、正しい保険情報と紐づいていないと使えません。そのため、従来の保険証や資格確認書を持参しておくと安心です。
また、保険証の記載住所と現住所が異なると、窓口で本人確認や現住所の確認を求められる場合があります。
もし医療費が全額負担になっても、後日、正規の手続きを行えば払い戻しが可能です。なお、払い戻しには申請が必要です。時効は2年以内と定められているため、早めに手続きを行いましょう。
オンライン(マイナポータル)だけで住所変更は完結できる?
現在、マイナンバーカードの住所変更はオンラインだけでは完結できません。転居後には、市区町村の役所窓口での手続きが必要です。
ただし、2023年からスタートした「引越しオンラインサービス(ワンストップサービス)」を利用すれば、マイナポータル上で転出届の提出や転入先の予約申請が可能です。そのため、役所での手続きの一部を簡略化できます。
とはいえ、マイナンバーカードの券面記載(住所追記)については、今のところ窓口での対応が必要なので、完全にオンライン化されているわけではありません。
参考:
デジタル庁|引越し手続オンラインサービス
マイナポータル|引越し手続について
マイナンバーカードをお持ちの方は、マイナポータルから転出届をオンラインで提出できます!
引越し先でマイナ保険証が使えない原因と対処法は?
引越し後にマイナ保険証が使えない場合、下記のような原因が考えられます。
- マイナンバーカードの住所変更が完了していない
- 署名用電子証明書が失効している
- 医療機関がマイナ保険証に対応していない
まずは、マイナポータルで保険情報が正しく反映されているか確認しましょう。それでも不明点がある場合は、勤務先や市区町村に問い合わせるのが適切です。
また、どうしてもその日に医療機関を受診しなければならないときは、資格確認書や従来の保険証を提示すれば診療が受けられます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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