- 更新日 : 2025年11月5日
年末調整で「配偶者控除」を受けられないケースとは?具体的な年収をもとに解説
年末調整のシーズンがやってきました。毎年11月頃になると勤務先から書類の提出を求められますが、後回しにしてまだ手続きをしていない方もいることでしょう。
2017年度の税制改正の影響を受け、「配偶者控除」の仕組みが変わりました。主な変更点を確認しましょう。
夫の年収1,220万円で「配偶者控除」なし
2017年度の税制改正で「配偶者控除及び配偶者特別控除」の見直しがあり、配偶者控除の額が改正されています。
これまで最大控除額の38万円が適用される対象は、配偶者の年収(※ここでは給与のみを前提にする)が103万円以下の場合のみでした。しかし、改正後は配偶者の年収が150万円の場合まで基準額が引き上げられています。

引用:平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて|国税庁
ただ、これは年末調整を行う“給与所得者本人”の年収が1,120万円以下のケースの話。
2017年までは給与所得者本人の年収による制限はありませんでしたが、2018年からは本人の年収が1,120万円以下の場合、1,120万超~1,170万円以下の場合、1,170万超~1,220万円以下の場合ごとに控除額が分かれ、1,220万円を超えると配偶者(特別)控除の適用を受けられなくなりました。
例えば、これまではパートの妻の収入が103万円を超えないよう気を付け、夫が年末調整を行い、38万円の配偶者控除を受けていたとしても、そもそも夫が年収1,220万円を超えていたら控除対象外になってしまいます。
配偶者控除の恩恵を受けていた家庭も、2018年以降は税負担が増える場合があるので要注意です。
配偶者の年収201万円以下まで控除対象
とはいえ、最大額の38万円とまでは言わなくても、配偶者控除は受けたいものです。
2017年までは、配偶者特別控除の対象となるには、配偶者の年収が141万円未満でなければなりませんでしたが、2018年以降は年収201万円まで対象となります。
次の図の「【参考】配偶者の収入が給与所得だけの場合の配偶者の給与等の収入金額」の欄では、配偶者の「年収ベース」で控除額を確認できます。(※「配偶者の合計所得金額」とは、細かい計算方法はありますが、平たく言うと<収入>から<経費>を差し引いた金額です。収入金額とは異なるので注意しましょう)

出典:配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて|国税庁
「源泉所得税の改正のあらまし(平成29年4月)」を加工して作成
控除を受けられる配偶者の年収額は引き上げられましたが、収入が増えるといわゆる「130万円の壁」と言われる社会保険の話が出てきます。
配偶者が、社会保険への加入が必要なケースがありますので、ここにも注意しながら、いくらまで稼ぐかを家庭で検討する必要があります。ただし、従業員数が101人以上の企業で一定の要件を満たしていれば、130万円未満であっても、社会保険に加入する場合もあるため注意が必要です。
新たな書類! 「配偶者控除等申告書」が増えた
またガラッと変更があったのは、新たな書類として「配偶者控除等申告書」が増えたことです。
2017年までは、配偶者控除の申告は「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」という保険料控除の申告も兼ねた1枚の書類で手続きしていました。
しかし、配偶者控除の改正があり記入項目が増えたことで、「給与所得者の保険料控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」が別々の2枚の書類に分かれています。
2018年以降の年末調整では、配偶者控除を受けるには「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出する必要があるので注意しましょう。
【参考】
■配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて(国税庁)
http://www.nta.go.jp/users/gensen/haigusya/index.htm
■平成 30 年分の年末調整における留意事項等(国税庁)
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2018/pdf/04-07.pdf
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
年末調整の修正方法 やり直しが必要なパターン3選
年末調整はやり直しができないと思っていませんか? 年末調整を行った後であっても、所得税額が変更されるような事情が生じた場合は、再度年末調整を行うことができます。 例えば、年末調整後に子どもが産まれたり、妻の給与が扶養控除の範囲を超えてしまっ…
詳しくみる独身者用の年末調整の書き方と記入例を紹介!
年末調整は、所得税を正確に納付するための手続きです。年末調整の時期が近づくと、会社員は必要な書類に記入し、勤務先に提出しなければなりません。年末調整に必要な書類にはさまざまな種類があり、独身者であっても所定の書き方で記入のうえ、会社に提出す…
詳しくみる住宅ローン控除は定額減税に影響がある?税額がすべて控除された場合
住宅ローン控除とは、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が所得税等から控除される制度です。定額減税も、年末調整時に年間所得税額との精算を⾏うことは住宅ローン控除と同様です。本記事では、住宅ローン控除により税額がすべて控除された場合、定額減税に…
詳しくみる【2025年】給与支払報告書とは?総括表・個人別明細書の書き方徹底ガイド【テンプレート付き】
給与支払報告書と総括表は、住民税を計算するために、会社から各従業員の住む市区町村へ提出するものです。 ここでは給与支払報告書と総括表の書き方を項目ごとに紹介するとともに、給与支払報告書を市区町村へ提出しなかった場合、会社はどのようなペナルテ…
詳しくみる定額減税について年末調整時の対応を解説!人事労務担当者が行うこと
令和6年6月から実施された定額減税は、企業の担当者にとって煩雑な税務処理だと言えるでしょう。年末調整時の年調減税は、令和6年9月頃から国税庁HPに随時掲載する予定とされているため、頭の痛い問題です。 本記事では、現時点で確認できる年調減税の…
詳しくみる【2025年・令和7年】独身者の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方や注意点【記入例付き】
年末調整で提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、独身かどうかに関わらず、会社やアルバイト先などから給与を受け取って働いている人すべてにとって重要な書類です。この申告書を正しく理解し、記入することで、年間の所得税の過不足が調整さ…
詳しくみる