- 更新日 : 2025年12月19日
【テンプレ付】健康保険被扶養者(異動)届の用紙はどこで入手?ダウンロード先と提出方法を解説
従業員が多い職場は、結婚や出産、あるいはご家族の就職など、ライフイベントにともなう扶養家族の変更手続きが頻繁に発生するでしょう。その際に必要な「健康保険被扶養者(異動)届」の用紙は、日本年金機構のウェブサイトからダウンロードするか、管轄の年金事務所(または事務センター)の窓口、下記のダウンロード先からも入手できます。しかし、市役所では原則扱っていません。
従業員から「家族を扶養に入れたい」と相談された際、まず用紙をどこで入手すればよいか迷うこともあるでしょう。
この記事では、「健康保険被扶養者(異動)届」の用紙の入手場所やダウンロード先、書き方、提出方法をわかりやすく解説します。
目次
健康保険被扶養者(異動)届の用紙はどこで手に入る?
健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)の用紙は、主に「日本年金機構のホームページ、管轄の年金事務所の窓口などで入手できます。
この届出は、全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している会社の従業員(被保険者)が、家族を扶養に入れたり外したりする際に使用するものです。健康保険組合など、全国健康保険協会(協会けんぽ)以外の健康保険の被保険者の配偶者が被扶養者となる場合は、「国民年金第3号関係者届」のみを提出します。 手続きの窓口は、事業所を管轄する日本年金機構(年金事務所または事務センター)となっています。
日本年金機構からダウンロード
日本年金機構のウェブサイトからダウンロードする方法です。
PDF形式で提供されており、印刷して使用します。また、電子申請(e-Govなど)を利用する場合は、紙の用紙は不要です。
▼ ダウンロード先(日本年金機構)
被扶養者となっている家族に異動があったとき(家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき)|日本年金機構
▼ 記入例
参照:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするときの手続き|日本年金機構
協会けんぽの場合
自社が協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入している場合、被扶養者(異動)届の用紙は「日本年金機構」のウェブサイトからダウンロードします。
「協会けんぽの手続きなのに、なぜ日本年金機構のサイトから?」と疑問に思うかもしれません。 これは、協会けんぽの健康保険に関する届出の受付や保険料の徴収といった業務が、日本年金機構に委託されているためです。
そのため、協会けんぽの被保険者の扶養異動手続きも、日本年金機構が提供する共通の様式を使用して、日本年金機構(年金事務所または事務センター)へ提出する流れとなっています。
▼ 協会けんぽ加入者のダウンロード先(日本年金機構)
手続きの際は「健康保険被扶養者(異動)届」をご使用ください。
健康保険組合(組合健保)の場合
勤務先が「協会けんぽ」ではなく、企業独自の「健康保険組合(組合健保)」(例:〇〇健康保険組合)に加入しているケースがあります。
その場合、日本年金機構の様式ではなく、その健康保険組合が独自に定めた書式(フォーマット)を使用する必要があります。多くの場合、各健康保険組合のウェブサイトで専用の届出用紙がダウンロードできますので、必ず自社が加入している健康保険組合の指示に従ってください。ただし、被保険者の配偶者が国民年金の第3号被保険者となる場合は、「国民年金第3号関係者届」を日本年金機構(年金事務所または事務センター)に提出する必要がありますので注意しましょう。
用紙の無料テンプレート
マネーフォワード クラウドでは、今すぐ実務で使用できる、テンプレートを無料で提供しています。以下よりダウンロードいただき、お役立てください。
市役所(区役所)では配布していないため注意
原則として市役所、区役所、町村役場の窓口では、会社員が使用する「健康保険被扶養者(異動)届」の用紙は配布していません。
市役所などの自治体窓口が主に扱うのは、国民健康保険や国民年金(第1号被保険者)に関する手続きです。 国民健康保険は自営業者や退職者などが加入するもので、会社員が加入する健康保険(協会けんぽや組合健保)とは制度が異なります。
担当者の方が手続きで混同しやすい点ですが、「会社で入る健康保険の手続きは、年金事務所(または健康保険組合)」、「自営業や退職後の国民健康保険の手続きは、市役所」と覚えておくとよいでしょう。
扶養から外れる場合も同じ用紙ですか?
家族を扶養に入れる場合も、扶養から外れる場合も、「異動」届という名称のとおり、同じ「健康保険被扶養者(異動)届」の用紙を使用します。
用紙には「被扶養者になった日」を記入する欄と、「被扶養者でなくなった日」を記入する欄があります。
扶養から外れるときの記入ポイント
従業員の子供が就職した場合や、配偶者の収入が扶養基準額を超えた場合など、扶養から外す手続き(非該当)が必要です。
その際は、「被扶養者でなくなった日」の欄に該当する日付を記入し、「被扶養者でなくなった理由」欄で「死亡」「離婚」「就職・収入増加」「75歳到達」など、該当する事由を選択または記入します。
扶養から外れる場合、それまで使用していた資格確認書は使えなくなります。事業主(会社)は、従業員から扶養削除する家族の資格確認書(発行されている場合のみ)を必ず回収し、この被扶養者(異動)届に添付して提出しなければなりません。添付できない場合は「資格確認書回収不能届」を併せて提出する必要があります。組合健保によっては、保険証の添付が不要な場合もあります。
なお、2024年12月2日から従来の健康保険証の新規発行が終了し、マイナンバーカードに健康保険証を利用登録したマイナ保険証で医療機関を受診する仕組みに移行されています。従来の健康保険証は2025年12月2日から使用できない予定でしたが、移行期の暫定措置として、2026年3月末まで使えることになりました。
健康保険被扶養者(異動)届の提出が遅れるとどうなる?
健康保険被扶養者(異動)届の提出が遅れると、過去にさかのぼって保険料の支払いが必要になったり、使用した医療費の返還(不当利得)を求められたりする可能性があります。
実務上、従業員からの申告が遅れてしまうケースは少なくありませんが、速やかな提出を促す体制が求められます。
扶養追加が遅れた場合、さかのぼって認定されないリスク
扶養の事由(結婚、出産、退職など)が発生してから原則として「5日以内」に提出するのがルールです。 提出が大幅に遅れた場合、健康保険組合によっては、届出を受理した日からしか扶養認定しない(=事実が発生した日にさかのぼって認定しない)ケースもあります。
もし、さかのぼっての認定が認められないと、扶養認定されるまでの期間(例:出産日から届出日までの間)、その家族は国民健康保険に加入し、別途保険料を納めなければならない事態が起こる可能性があります。
扶養から外れる届出が遅れると医療費返還のリスク
特に注意が必要なのが、扶養から外れる届出(削除)の遅れです。 例えば、子供が4月1日に就職して新しい会社の保険証を持ったにもかかわらず、親の会社の扶養から外す届出が遅れたとします。もし、その子供が4月中に親の保険証を使って病院にかかっていた場合、それは「資格喪失後の受診」となります。
後日、協会けんぽや健康保険組合がその事実を把握すると、資格がなくなった期間に使用した医療費(総医療費の保険者負担分)を、被保険者(従業員)へ返還請求することになります。これは従業員にとって大きな金銭的負担となるでしょう。
こうしたトラブルを防ぐため、企業の人事・総務担当者は、従業員に対して「扶養家族に異動(就職、収入変動、結婚、離婚、死亡など)があった場合は、すぐに会社へ申告する」よう、日頃から周知しておくことが大切です。
健康保険被扶養者(異動)届の主な記入項目は?
健康保険被扶養者(異動)届の用紙を入手したら、正確に記入を進める必要があります。この届出には、事業主の情報、被保険者(従業員)の情報、そして扶養異動する家族の情報を記入します。
マイナンバー(個人番号)の導入により、以前より記入項目が簡素化された部分もありますが、扶養認定の審査に必要な情報を正しく申告します。
事業主・被保険者(従業員)の記入欄
届出を提出する事業主(会社)の情報を記入します。
- 事業所整理記号:年金事務所から各事業所に割り当てられた固有の記号と番号です。
- 事業所所在地・名称・電話番号:会社の情報を正確に記載します。
- 事業主確認欄:被扶養者を追加する場合、扶養認定を受ける人が所得税法上の控除対象配偶者・扶養親族であることを事業主が確認して〇をすることによって、収入金額が確認できる書類の添付を省略できます。
- 事業主受付日:従業員から届出を受け付けた日付を記入します。
「被保険者」の欄に、手続きの対象となる従業員(被保険者)の情報を記入します。
- 被保険者整理番号:健康保険証に記載されています。
- 氏名、生年月日
- マイナンバー(個人番号):マイナンバーを記入した場合、基礎年金番号の記入は不要です。
- 収入(年収):被保険者の年間収入見込み額を記入します。
被扶養者(異動者)の記入欄
扶養に追加する家族、または削除する家族の情報を記入します。
- 氏名、生年月日、性別
- 日付:被保険者が事業主に届出書を提出した日を記入します。
- マイナンバー(個人番号):記載すると、続柄確認や住所確認のための添付書類(住民票など)が原則不要となります。
- 住所
- 続柄:例:「妻」「子」「母」など。
- 被扶養者になった日 / でなくなった日:扶養の追加(該当)か削除(非該当)かによって記入欄が異なります。出産日や就職日など、事実が発生した日付を記入します。
- 理由:「出生」「結婚」「離職」「同居」「収入減少」「就職」「収入増加」など、該当する理由の番号を○で囲みます。
- 職業と収入:扶養認定の要件確認のために記入します。
子供や配偶者を扶養に入れる場合の添付書類
被保険者と被扶養者のマイナンバーを記入し、事業主が被保険者と被扶養者の続柄を戸籍謄本等で確認し、備考欄の「続柄確認済み」のボックスにチェックを入れることで、続柄を確認する書類の添付は原則不要となりました。しかし、扶養認定の理由によっては、別途添付書類を求められることがあります。
- 退職した場合:「退職証明書」や「雇用保険受給資格者証」のコピーなど
- 収入がある場合:「(非)課税証明書」や「給与明細」のコピーなど
- 別居している家族を扶養に入れる場合:「預金通帳の写しや仕送りの事実がわかるもの(振込明細など)」
必要な添付書類は、日本年金機構や各健康保険組合のウェブサイトで確認するか、直接窓口に問い合わせておくとスムーズです。
参照:2-3:家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき|日本年金機構
参照:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするときの手続き|日本年金機構
健康保険被扶養者(異動)届の用紙は早めに入手しよう
「健康保険被扶養者(異動)届」の用紙は、日本年金機構のウェブサイトからのダウンロード、または年金事務所の窓口で入手、もしくは上記のテンプレートからダウンロードできます。協会けんぽ加入の場合も、年金機構のサイトを利用します。市役所(区役所)では扱っていない点を押さえておきましょう。
ただし、企業独自の健康保険組合に加入している場合は、組合指定の様式が必要となるため注意してください。 扶養の異動手続きは、遅れると医療費の返還など思わぬトラブルにつながる可能性もあります。従業員から申告があった際は、速やかに用紙を準備し、提出(電子申請含む)対応を進めることが大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
法定福利厚生とは?種類や費用、法定外福利厚生との違いを解説!
会社が費用を負担する従業員の福利厚生のうち、法律で定められているものを福利厚生、法律で定められていないものを法定外福利厚生といいます。法定福利厚生は健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険、子ども・子育て拠出金の6種類です。その…
詳しくみる社会保険料の負担割合とは?計算方法や注意点を解説!
給与から控除する健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの保険料は、従業員が全額自己負担するのではなく、労使双方が負担して納付します。負担割合は、社会保険の種類や業種によって異なります。ここでは、社会保険料の基礎知識や各種保険ごとの保険料の計算…
詳しくみる労災の休業補償の振込が遅い!時期の目安や遅れる理由、対応方法を解説
労災によるケガや病気で働けなくなったとき、頼りになるのが「労災保険の休業補償」です。しかし、いざ申請しても「なかなか振り込まれない」「どのくらいで支給されるのか分からない」と不安になる方は少なくありません。 本記事では、休業補償金が振り込ま…
詳しくみる厚生年金の受給に必要な加入期間 – 10年未満の場合はどうなる?
日本の公的年金制度は2段階です。会社勤めで厚生年金保険に加入していた方は、国民年金の制度で受け取れる老齢基礎年金に加え、老齢厚生年金が上乗せされます。 国民年金の支給額が年間約78万円のため、厚生年金がいくらもらえるか気になる方も多いでしょ…
詳しくみる労災がおりるまでの期間の生活費は?傷病手当金や失業手当なども解説
仕事中や通勤中の事故や病気によって労災保険を申請したものの、実際に給付が開始されるまでには一定の時間がかかります。中には数ヶ月かかるケースもあり、その間の生活費に不安を抱える方も少なくありません。 この記事では、労災保険の給付を受け取るまで…
詳しくみる社会保険労務士(社労士)とは?試験の内容や業務内容について解説!
社会保険労務士の資格は人気の国家資格の1つです。人気の理由は、企業の人事・総務で労働・社会保険の手続き、就業規則の作成、ハラスメント対策などの実務を行うことも、独立して開業することもできることにあります。 今回は、年金問題、働き方改革、ハラ…
詳しくみる