• 更新日 : 2026年3月12日

ケアマネジャーとして独立するには?収入の目安や開設の手順を解説

Pointケアマネジャー独立の要点まとめ

自ら居宅介護支援事業所を開設し、組織の制約なく中立的に支援を行う働き方です。

  • 管理者となるには主任ケアマネジャー資格が原則必須
  • 収入源は介護報酬で、包括や病院等の紹介ルートを確保
  • 個室相談室や鍵付き書庫などの設備基準を満たす

事務作業を効率化するには、介護ソフトや会計ソフト等の活用が有効です。

介護支援専門員(ケアマネジャー)の独立は制度的に認められており、特定の組織に所属しないことで、地域にある多様な介護サービスをより柔軟に組み合わせて提案できるという特徴があります。

自ら居宅介護支援事業所を立ち上げ、独立した立場でお客様をサポートする働き方になります。

ケアマネジャーで独立できる?必要な資格は?

ケアマネジャーが独立して働く場合、基本的には「居宅介護支援事業所」を自ら開設し、都道府県または市町村から「指定」を受ける必要があります。

独立後の主な仕事内容

独立しても、ケアプランの作成や給付管理、関係機関との調整といった基本的な仕事内容は変わりません。

大きな違いは、「自社サービスの利用を優先させる」といった組織的な制約がなくなることです。利用者の状況に合わせて、地域のデイサービスや訪問介護事業所の中から、本当に適していると思える先を自由に選べるようになります。

開設に必要な要件

事業所を立ち上げるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 法人格を有すること
  • 人員基準を満たすこと→配置基準にのっとって「管理者」や「介護支援専門員」を配置する
  • 設備基準を満たすこと
  • 運営基準を満たすこと
    *介護支援専門員には、資格取得が必要です

参照:介護支援専門員|公益財団法人社会福祉振興・試験センター

周辺知識の習得

独立すると、介護保険外の相談(権利擁護や身元保証など)を受ける機会も増えるため、行政書士などの士業との連携方法を学んでおくと、業務の幅が広がります。

ケアマネで独立したら収入の目安は?

独立後の収入は、受け持つ利用者の数と、事業所として算定する「加算」の種類によって決まります。

原則報酬は利用者からではなく「介護保険」から支払われる

一般的な介護サービス(デイサービスや訪問介護など)は、利用者が費用の1〜3割を自己負担しますが、ケアマネジャーが行う「居宅介護支援」については、利用者の自己負担は原則ありません。

「介護報酬」として、各市区町村(保険者)から支払われます。そのため、利用者から直接料金を徴収する手間や、未払いのリスクがほとんどないのがこのビジネスの大きな特徴です。

収益の仕組みと年収イメージ

売上の柱は「居宅介護支援費」です。

要介護度により1件あたりの支給限度額(16,580〜35,830円)が規定されています。加算によって異なるため、確認は重要です。

雇用されているケアマネジャーの平均年収は約429.6万円ですが、独立した場合は、件数上限(通常39件、ICT活用で44件など)まで担当することで、月間の売上は約45万〜55万円程度になります。

ここから経費を引いた額が所得となるため、年収で500万円〜600万円程度を目指すことが可能です。さらに「特定事業所加算」を取得できれば、年収700万円以上を狙うことも可能です。

項目目安額備考
月間売上45万〜55万円40件前後を担当し、加算を含めた場合
年間経費120万〜180万円家賃、ソフト代、車両維持費など
推定年収500万〜700万円加算の取得状況や経営効率による

参照:介護支援専門員/ケアマネジャー|job tag 厚生労働省 職業情報提供サイト

ケアマネの独立に必要な資金は?

独立開業には、事務所の準備や法人設立のためのまとまった費用が必要です。

初期費用の内訳(目安:150万〜300万円)

  • 法人設立費用 会社を作るための手数料や登録免許税(合同会社で約10万円〜、株式会社で約25万円〜)。
  • 事務所関連: 敷金・礼金、机や椅子、鍵付きの書庫などの備品代(50万〜150万円程度)。
  • ICT環境: パソコン、プリンター、介護ソフトの導入費(30万〜50万円程度)。

運転資金の重要性

前述の通り、報酬は「介護保険」から支払われますが、入金までに時間がかかります。サービスを提供した月の翌月に「国民健康保険団体連合会」へ請求し、実際に入金されるのはそのさらに翌月(提供月から約2ヶ月後)です。

このため、最初の数ヶ月は売上入金がゼロでも、家賃や通信費、自身の生活費を賄えるだけの予備費(3ヶ月分程度)を確保しておく必要があります。

ケアマネで独立する方法・流れは?

居宅介護支援事業所を開設するには、行政が定める基準をクリアし、指定を受けるための手続きを漏れなく進める必要があります。

STEP1:法人を設立する

個人では事業所の指定を受けられないため、まずは会社を作る必要があります。一人で始める場合は、設立費用が安い「合同会社」を選択するケースが多いです。

STEP2:設備基準を満たす事務所を借りる

事務所には、自治体ごとに定められた細かい基準があります。これを満たさないと指定が受けられません。

横浜市の例を紹介します。

  • 事務専用のスペース:
    事務作業を行うための専用の部屋が必要です。自宅兼用の場合は、生活スペースとパーテーション等で明確に区分けされている必要があります。
  • プライバシーに配慮した相談室:
    利用者や家族が相談に来た際、プライバシーを守るために「原則として個室」であることが求められます。
  • 会議室:サービス担当者会議等を行うための会議室が必要です。椅子3脚と車椅子が利用できる空間が望ましく、相談室と兼用で使用することは可能です。
  • 鍵付き書庫: 個人情報が含まれる書類(アセスメントシートやプランなど)を保管するため、鍵がかかるキャビネットが必須です。
  • 衛生設備: 手洗い設備(洗面台)や、手指消毒のための備品が必要です。

参照:介護保険事業における設備等のガイドライン(令和7年1月版)|横浜市 (出典:横浜市健康福祉局介護事業指導課 )

STEP3:人員基準を整える

  • 管理者: 介護支援専門員の資格を有すること。
  • 員数: 介護支援専門員:常勤の者1名以上

STEP4:行政への指定申請

必要書類(運営規定、事業計画書、平面図など)を揃えて自治体の窓口に提出します。受理から指定(開業)までには通常1〜2ヶ月ほどかかります。

ケアマネで独立するメリット・デメリットは?

会社員から経営者になることで、自由度が増す一方で、全ての責任を個人で負うことになります。

独立のメリット

  • 自分の判断で動ける:
    会社の上司に相談することなく、利用者のために必要だと思った支援をすぐに行えます。
  • サービスを自由に選べる:
    「自社のデイサービスを優先する」といったしがらみがなく、地域の事業所の中から、利用者に最も合った先をフラットに紹介できます。
  • 働く時間を調整しやすい:
    訪問スケジュールを自分でコントロールできるため、家庭の事情に合わせた柔軟な働き方が可能です。

独立のデメリット

  • 事務作業の負担が重い:
    ケアマネ業務のほかに、経理、給与計算、社会保険の手続き、レセプト請求などを全て自分で行わなければなりません。
  • 休みが取りにくい:
    一人事業所の場合、自分が休むと対応できる人がいなくなります。急な電話対応なども含め、仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。
  • 相談相手がいない:
    困難事例に直面したとき、職場内で気軽に相談できる同僚がいないため、外部のネットワーク(ケアマネ会など)を自ら作る必要があります。

ケアマネで独立する成功・失敗ポイントは?

事業を長く続けるためには、ケアマネジャーとしての腕だけでなく、事業を効率的に回す工夫が求められます。

成功のポイント:紹介ルートを確保する

独立直後は利用者がゼロの状態です。地域包括支援センターや病院のソーシャルワーカーへ挨拶に行き、自分の事業所の強み(例:終末期の対応ができる、難病のケースが得意など)を伝えておくことが、新規依頼の獲得につながります。

また、一人事業所であっても、緊急時に利用者をサポートしてくれる近隣の事業所と協力関係を結んでおく必要もあります。このネットワークがあることで、自分に万が一のことがあっても利用者を守ることができ、信頼感にもつながります。

失敗を避けるコツ:ITツールで「事務・会計」を自動化する

一人で全ての仕事をこなすと、書類作成に追われて現場へ行く時間がなくなります。

  • スマホでの音声入力記録を活用する。
  • クラウド型の介護ソフトを使い、外出先でもプラン作成ができるようにする。
  • クラウド会計ソフトを使い、日々の帳簿付けや確定申告など経理にかかる時間を短縮する。
  • 入金管理や経費精算をシステム化することで、事務負担を大幅に軽くする。

こうしたITツールを導入し、一緒に対策を行うことで、事務時間を削り、本来の支援業務に集中できる環境を作ることが重要です。

ケアマネ独立後の経理・仕訳のポイントは?

経営者として、毎月の収支を管理し、確定申告に備える必要があります。

よく使う経費の種類

内容勘定科目備考
利用者宅へのガソリン代・駐輪代旅費交通費車やバイクの維持費もここに含まれます。
ケアマネ更新研修の費用諸会費・教育研修費仕事を続けるために不可欠な経費です。
介護ソフトの月額料金通信費毎月の固定費として計上します。
ケアマネ賠償責任保険損害保険料事故や個人情報漏洩への備えとして必須です。

開業費の計上と仕訳例

開業届を出す(法人設立する)前にかかった準備費用は、「開業費」の資産の勘定科目でまとめて計上できます。

これには、名刺作成代、印鑑代、パソコン購入費、挨拶回りの手土産代、開業セミナーの参加費などが含まれます。

「開業費」は「任意償却」が認められています。つまり、開業1年目が赤字であれば経費にせず繰り越し、利益が出た黒字の年に好きな金額を経費化(償却)して、税金を抑えることができます。

【仕訳例】開業準備にかかった費用を計上する場合

開業日(4月1日)より前に、個人のクレジットカードや現金で研修費など合計30万円を支払っていた場合。

借方科目金額貸方科目金額摘要
開業費300,000事業主借300,000開業準備費用一式
(名刺、研修費等)

領収書やレシートは、「いつ・何のために使ったか」を証明する重要な書類ですので、開業前のものもしっかり保管しておきましょう。

ケアマネとして独立し、納得できる働き方を目指す

ケアマネジャーとしての独立は、主任ケアマネジャーの資格を取得し、自分の理想とする支援を形にしたい人にとって、非常にやりがいのある働き方です。

経営者としての事務負担は増えますが、ICTツールをうまく活用して効率化を一緒に対策すれば、収入面でもやりがいの面でも、組織にいたとき以上の実感が得られるでしょう。

報酬が利用者ではなく「介護保険」から支払われるという安定した仕組みを活かしつつ、中立な立場で地域を支える拠点を作ってみてはいかがでしょうか。

まずは、自分の住んでいる地域の指定基準を自治体のホームページで確認し、どのような事務所が必要か具体的にイメージすることから始めてみてください。


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