• 更新日 : 2026年2月24日

ゲストハウスの開業に必要な事業計画書の書き方は?資金調達の方法も解説

Pointゲストハウスの事業計画書は、何をどう書けば融資と開業に通用する?

ゲストハウスの事業計画書は、需要根拠と収支再現性を示す設計書です。

  • 稼働率と客単価を数値化する
  • 競合と差別化を明示する
  • 資金計画と返済力を提示する

融資で最も見られる点は 客単価×部屋数×稼働率で算出した売上根拠です。無人受付・多言語対応など運営効率も評価されます。

ゲストハウスを開業する際、事業計画書を入念に作成しましょう。綿密な計画を立てることで資金調達がしやすくなり、事業の成功にもつながります。

この記事ではゲストハウスの事業計画の書き方や記入例、作成する際のポイントについてご説明し、資金調達の方法についてもご紹介します。

目次

ゲストハウスの開業に必要な事業計画書とは?

ゲストハウスを開業するには、一般的な宿泊施設とは異なる視点での準備と計画が求められます。自宅や空き家を活用するケースが多い一方で、法令対応や収支の安定性、地域との関係性が重要になります。ここでは、事業計画書の役割と内容を解説します。

事業計画書は宿泊業として成り立つことを示す計画書

事業計画書とは、事業の目的や内容、運営方針、収支の見通しなどを整理し、事業として継続可能であることを示すための資料です。ゲストハウスの場合、低価格で開業しやすい反面、ホテル・旅館・民泊など競合が多く、なぜこのゲストハウスが選ばれるのかを明確にする必要があります。そのため、立地やターゲット層、提供価値を具体的に記載することが重要です。

参考:事業計画書はなぜ必要か|J-Net21 独立行政法人中小企業基盤整備機構

ゲストハウス特有の初期費用と収支構造を整理する

ゲストハウスでは、建物の改修費や消防設備、衛生設備など、宿泊業特有の初期費用が発生します。また、観光シーズンによる稼働率の変動が大きいため、年間を通した収支計画が欠かせません。事業計画書では、宿泊単価や想定稼働率をもとにした現実的な売上予測と、固定費変動費を踏まえた資金繰りの見通しを示す必要があります。

地域性を活かした運営方針が重視される

ゲストハウスは単なる宿泊施設ではなく、地域との関わりを重視する業態です。地域の観光資源や文化、住民との関係性をどのように活かすかを事業計画書に盛り込むことで、他施設との差別化が可能になります。地域体験型のサービスや交流の場づくりなど、立地に根ざした運営方針を示すことが重要です。

事業計画書の概要については、以下のページもご確認ください。

ゲストハウスの事業計画書の書き方・記入例は?

ここからは記入例をもとにゲストハウスの事業計画書の書き方についてご紹介します。以下をご参考に適切な事業計画書を作成してみましょう。

創業動機・目的

事業の概要や創業の目的について記載します。「業種」に関しては「宿泊業(ゲストハウス)」と記載すれば問題ありません。「開業予定期」には開業予定の年と月を記入します。

業種 宿泊業(ゲストハウス)開業予定期 ○年○月

1.創業動機・目的

現職を退いた後は、従業員としてではなく、自分で事業を立ち上げようと考えていた。私の経験を生かすのであれば宿泊業が最適と考えているが、昨今のニーズや管理コストを総合的に考慮すると、ゲストハウスが適しているという結論に至った。

職歴・事業実績

代表者の方の学歴や職歴について記載します。履歴書の学歴・職歴欄のようなイメージです。過去の勤務先のほか、ゲストハウスの経営・運営に役立つ経験があれば、1行程度で簡潔に記載するとアピールにつながります。

2.職歴・事業実績(勤務先・役職・経験年数・資格等)
年次具体的内容
○年○月○○大学卒業
○年○月~○○ホテルに就職
○年○月~支配人として主に管理業務に携わる。
○年○月退職予定

取扱商品・サービス

「取扱商品・サービスの内容」では、ゲストハウスで提供するサービスの内容や価格について記載しましょう。

次に「セールスポイント 販売ターゲット・戦略」には、対象とする観光客層や、売りとなるサービス、集客方法などの戦略を記載します。また、「競合・市場などの分析」では、宿泊業界全体の動向や開業地の状況、競合の有無などを記載します。

3.取扱商品・サービス

取扱商品・

サービスの内容

宿泊サービス(簡易宿所)の提供(1,800円~/泊)
セールスポイント

販売ターゲット・戦略

  • ○○エリアへの観光客をメインターゲットとし、大きな需要が見込める訪日外国人観光客を目指す。
  • 多言語対応の受付ロボを配備し無人受付を基本とするが、セキュリティに配慮していることは前面に出して顧客からの安心と信用を獲得できる。
競合・市場などの分析
  • 観光や宿泊の分野では、特にインバウンド需要が高まっており、価格が高騰しつつある。
  • 訪日外国人観光客が利用しやすいサービスの提供が特に重要と考えられる。
  • 開設予定地の近隣は再開発が進められており、観光客も増えている。

取引先・取引関係

販売先や仕入先、外注先の売上・支払いのシェアや掛取引の割合、回収・支払いの条件について記載しましょう。ゲストハウスの顧客の大半は観光客であるため、販売先は「一般個人」とすれば問題ありません。従業員を雇う場合は人件費の支払条件も記載します。

4.取引先・取引関係

取引先名シェア掛取引の割合回収・支払の条件
販売先一般個人100%100% 末 日〆 翌月末 日回収
   日〆    日回収
   日〆    日回収
仕入先   日〆    日支払
   日〆    日支払
   日〆    日支払
外注先   日〆    日支払
   日〆    日支払
   日〆    日支払
人件費の支払

 末 日〆 翌月15 日支払

(ボーナスの支給月   月、  月)

従業員

常勤役員、従業員(3カ月以上継続して雇用する人)の人数について記載します。また、従業員に家族従業員やパート従業員が含まれている場合は、その人数も記載します。

5.従業員

常勤役員の人数

(法人のみ)

従業員数

(3カ月以上継続雇用者)

2人

(うち家族従業員)    0人

(うちパート従業員)    2人

借入の状況

代表者個人の借入状況について記載します。住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなどプライベートな借入れも漏れなく明らかにしましょう。

6.借入の状況(法人の場合、代表者の借入)

借入先名借入残高年間返済額
○○銀行

○○支店

□事業☑住宅□車□教育□カード□その他1,400万円130万円
□事業□住宅□車□教育□カード□その他万円万円
□事業□住宅□車□教育□カード□その他万円万円

必要な資金と調達方法

ゲストハウス開業に必要な資金(設備資金と運転資金)の内訳と見積先(仕入先候補)、金額および資金を調達する方法や金額を記載します。

必要な資金よりも調達資金の方が少ないとなると「不足している資金はどうするのか」ということになりますので、なるべく必要資金の合計と調達資金の合計は合致するよう算出しましょう。

7.必要な資金と調達方法

必要な資金見積先金額調達方法金額
設備資金店舗、工場、機械、車両など(内訳)

  • 物件取得費
  • 設備等導入費
  • リフォーム工事費
○○社

○○社

○○社

2,400万円

600万円

400万円

1,400万円

自己資金1,050万円
親、兄弟、知人、友人からの借入万円
日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入1,500万円
他の金融機関からの借入(内訳・返済方法)万円
運転資金商品仕入、経費支払資金など(内訳)

150万円

50万円

100万円

合計2,550万円合計2,550万円

事業の見通し

売上高や売上原価、人件費や家賃などの経費、利益がどれくらいになるか、開業直後と1年後もしくは軌道に乗ったときの見通しを記載します。また、その見通しを立てるに至った根拠についても明らかにしておきましょう。

8.事業の見通し(月平均)

創業当初1年後または軌道に乗った後

( 年 月頃)

見通しに関する根拠を記入する
売上高①97.5万円114万円(収支計画)

<創業当初>

① 売上高

平均客単価5,000円×部屋数10×平均稼働率65%×営業日数30日=97.5万円

② 原価率 0%

③ 経費

人件費:パート10万円×2人

家賃:0万円

支払利息:1,500万円×年1.6%÷12カ月=2万円

その他:光熱費、消耗品費等 22万円

<創業1年後>

① 売上高

3社のシミュレーション結果の平均値を採用し、稼働率76%として計算。売上高は114万円

② 原価率 創業当初の割合を維持

③ 経費

人件費:パート1人雇用

その他:4万円増加

売上原価②

(仕入高)

0万円0万円
経費人件費20万円30万円
家賃0万円0万円
支払利息2万円2万円
その他22万円26万円
合計③44万円58万円
利益①-②-③53.5万円56万円

ゲストハウス向け事業計画書の無料テンプレート

マネーフォワード クラウドでは、ゲストハウス向けの事業計画書のひな形(テンプレート)をご用意しております。事業計画書作成の参考として、ぜひダウンロードして、ご活用ください。

ゲストハウスの事業計画書を作成するポイントは?

ゲストハウスを成功させるには、事前の計画段階でどれだけ実現性の高い事業計画書を作れるかが鍵になります。特に宿泊業は行政の許認可が必要で、設備投資や収支管理、地域との調和も重視される業種です。ここでは、ゲストハウス開業に特化した事業計画書作成のポイントを整理します。

ターゲットと立地特性を具体的に設定する

ゲストハウスは、訪日外国人や一人旅、長期滞在者など、比較的明確なターゲット層を持つケースが多いため、誰に向けた宿泊施設なのかを明確にしましょう。加えて、立地がどのようなニーズに応える場所なのか(例:駅近・観光地近く・地方の古民家など)を、統計データや市場調査に基づいて説明できると説得力が増します。

必要な初期投資と運営費用を詳細に見積もる

ゲストハウスは民家を活用することも多いため一見低コストに見えますが、旅館業法や消防法に基づいた設備基準を満たすための改修費が必要です。加えて、ベッドやリネン、共用キッチンやシャワー設備の整備なども発生します。これらの初期費用だけでなく、運営中にかかる人件費、清掃費、水道光熱費などのランニングコストも含めて月次ベースで整理しておきましょう。

季節変動と稼働率を加味した収支予測を立てる

ゲストハウスは、地域の観光シーズンやイベントに左右される収入構造になることが多いため、通年での稼働率のブレを前提にした売上計画が必要です。繁忙期と閑散期の価格設定やイベント連動型のプロモーション施策なども含めて計画し、現実的な損益分岐点を設定することが信頼性につながります。

差別化ポイントとサービス内容を明記する

ホテルや民泊と差別化を図るために、地域資源を活かした特色あるサービス(例:地元食材の朝食提供、地元住民との交流イベント、体験アクティビティなど)を盛り込むと魅力が伝わります。加えて、レビューサイトでの評価戦略やSNS活用による集客施策も含めて記載できると良いでしょう。

許認可取得と地域連携の体制も含めておく

旅館業法の許可(簡易宿所営業など)や消防法令対応の準備状況、地域住民との調整経過なども、計画書内で触れておくと行政や融資機関への印象が良くなります。地域との共生が求められる業種であるため、騒音対策・外国語対応・トラブル時の対応フローなども簡潔に触れておきましょう。

ゲストハウスを開業するときの資金調達方法は?

ゲストハウスを開業する際には、建物の取得や改修、家具や備品の購入、許認可取得費用など、まとまった初期資金が必要になります。自宅や空き家を活用できる場合でも、旅館業法・消防法に対応するための設備投資が避けられないため、資金調達の準備は欠かせません。

【自己資金】計画の信頼性を高める基本

資金調達の第一歩は、自己資金の準備です。自己資金がまったくない状態では、金融機関からの融資も通りにくくなります。目安としては、総事業費の2〜3割を自己資金で用意しておくと、融資審査でも有利になります。特に、リノベーション前提での開業や地域の空き家活用型の場合でも、設計費・設備費などで最低数百万円が必要になるケースがあります。

【日本政策金融公庫】創業者の強い味方

個人でゲストハウスを開業する場合、最も一般的な融資先は日本政策金融公庫(JFC)です。創業資金を対象にした「新規開業資金」「生活衛生改善貸付」などの制度があり、無担保・無保証人での融資も選択肢に入ります。ゲストハウスのような生活衛生関連の業種では、設備投資資金や運転資金として最大2,000万円程度の融資が可能です。事業計画書と見積書、自己資金の証明が必要となるため、事前準備を入念に行いましょう。

【地方自治体の創業支援】制度融資や補助金も活用できる

自治体によっては、創業支援のための制度融資(信用保証協会付き融資)を実施しており、地元の銀行や信用金庫から金利優遇を受けながら資金を借りることができます。また、観光振興や空き家再生を目的とした補助金・助成金制度が設けられている地域もあります。たとえば、空き家の改修費を最大200万円まで補助する自治体も存在し、地域活性化と連動した開業には非常に有利です。

【クラウドファンディング】近年注目される支援者を集める方法

近年は、クラウドファンディングを通じてゲストハウスの開業資金を集める事例も増えています。地域の魅力やコンセプトを明確に打ち出し、「地域と旅人をつなぐ場」としてのビジョンを共感してもらうことで、支援を受けることが可能です。金銭的支援だけでなく、開業後の認知拡大にもつながるメリットがあります。

ゲストハウスを成功させるには収支計画書も大切

事業計画のなかでも特に重要なのは収支計画です。どんぶり勘定で計画を立ててしまうと「思ったよりも売上が得られなかった」「経費がかかりすぎてしまった」という事態にもなりかねません。特に開業時は物件の調達費や工事費など、かなりの資金が必要です。経費についてはしっかりと見積もりを取り、現実的な見通しを立て、売上についても慎重に見込みを算出することが大切です。

ゲストハウス開業の壁?事業計画書作成で約4割が苦戦する「財務計画」

ゲストハウスの開業には物件取得やリノベーションなどの多額の初期費用がかかるため、融資を受けるための事業計画書は極めて重要です。しかし、多くの起業家がこの作成プロセス、特にお金の計算に苦労しています。

融資審査を通過するための「数値的根拠」の重要性

マネーフォワードが事業計画書の作成経験者を対象に実施した調査によると、作成において最も困難だと感じたセクションは「財務・資金調達計画」で35.5%でした。次いで「販売戦略・マーケティング計画」が30.3%となり、多くの人が「お金の計画」と「集客の仕組み」の言語化に課題を抱えています。
約半数が一発では審査を通過できていない

銀行や投資家へ提出した際の結果として、44.9%の人が「再提出の指示」または「内容へのフィードバック(指摘)」を受けたと回答しました。ゲストハウス経営は季節変動や稼働率の影響を大きく受けます。審査担当者を納得させるには、どんぶり勘定ではなく、根拠に基づいた緻密な収支計画を作成し、手戻りを防ぐ準備が必要です。

出典:マネーフォワード クラウド、事業計画書の作成・依頼経験、作成が最も困難だと感じたセクション、提出時の不備・再提出の指示【事業計画書に関する調査データ】(回答者:事業計画書を作成・依頼した経験がある809名、集計期間:2026年1月)

ゲストハウスを開業するならまず事業計画書を作成しよう

ゲストハウスを開業する際に、事業計画書をしっかりと作り込めば、さまざまなリスクの軽減につながります。また、融資担当者の納得度も高まるので、資金調達もしやすくなるでしょう。まず事業計画書を作成し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。


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