- 更新日 : 2026年2月24日
美容クリニックの事業計画書の書き方・無料テンプレート【簡単解説】
美容クリニックの事業計画書は、自由診療の収益性と医療機関としての信頼性を示す設計書です。
- 施術単価×来院数の根拠
- 高額設備投資の回収計画
- 医療法・広告規制への対応
融資で最も見られるのは再現性ある収支計画かどうかです。医療広告ガイドラインを前提にした集客設計や、機器ごとの投資回収期間などを確認されます。
美容クリニックの事業計画書は、創業動機やサービス内容、売上高などを記載する書類です。融資を受けるためや、安定経営を続けるために必要になります。
本記事では、美容クリニックの事業計画書について、テンプレートを基にした書き方や、作成のコツなどを解説します。事業計画書のテンプレートが必要な場合は、以下からダウンロード可能です。
目次
美容クリニックの事業計画書とは?
美容クリニックを開業する際に作成する事業計画書は、事業の全体像と収益性を整理し、安定した経営を実現するための重要な資料です。自由診療を中心とする美容医療では、一般的な医療機関とは異なる視点が求められ、事業計画書の内容が経営の成否を大きく左右します。
事業計画書は経営の全体像を示す計画書
事業計画書とは、事業の目的や内容、運営方針、収支見込みなどを体系的にまとめた書類です。金融機関からの融資や投資判断に用いられるほか、開業準備や開業後の経営判断の指針としても活用されます。数値と根拠をもとに、第三者が理解できる形で記載することが基本です。
参考:事業計画書はなぜ必要か|J-Net21 独立行政法人中小企業基盤整備機構
美容クリニックの診療内容と収益モデルを明確にする
美容クリニックは自由診療が中心のため、診療メニューと価格設定が収益に直結します。施術内容、単価、想定患者数を整理し、売上構造を明確にすることが重要です。医療脱毛や注入系、外科施術など、主軸となるメニューを明確にすることで、事業の方向性が定まります。
集客戦略と競合との差別化を示す
美容医療は競争が激しい分野であり、集客戦略は事業計画書の重要な要素です。立地条件やターゲット層を踏まえ、Web広告やSNS、口コミなどの集客方法を具体的に記載します。また、価格、技術、専門性など競合との差別化ポイントを明確にすることが不可欠です。
人員体制と法令遵守への対応を整理する
医師や看護師、カウンセラーなどの人員配置と人件費計画も重要です。あわせて、医療法や広告規制への対応、リスク管理体制を明示することで、美容クリニックとしての信頼性と継続性を示す事業計画書となります。
美容クリニックの事業計画書のひな形、テンプレート

マネーフォワード クラウドは、美容クリニック向けの事業計画書のひな形、テンプレートをご用意しております。事業計画書作成の参考として、ぜひダウンロードして、ご活用ください。
美容クリニックの事業計画書の書き方・記入例は?
美容クリニック開業のための事業計画書について、それぞれの項目ごとに内容や書き方を解説します。全体を通して一貫性のある内容にし、思い描いた事業を実現可能にする道しるべとして活用できるよう意識して記載しましょう。
創業の動機・目的
創業の動機・目的は、事業への思い入れや事業を通じて実現したいことを記載する重要な部分です。動機や目的は、経営理念やコンセプトに反映され、事業の継続力にもかかわります。融資審査においても重視されるため、事業計画書全体で一貫性をもつようにしてください。
動機や目的が明確で一貫性がある事業計画書は、金融機関からの信頼を得やすくなり、開業後の安定した経営にもつながります。
(記入例)
皮膚科、美容クリニックでの職務経験を通じて美容への関心が高まり、独立開業し独自の運営方針で美容医療の提供をしたいと考えるようになった。さまざまな不安やストレスを抱える患者に対し、安心して施術を受けられるクリニックとするのが大きな目的である。
職歴・事業実績
職歴・事業実績では、自身の職歴、事業実績、保持資格を記載します。
勤務先名や役職、担当業務などを可能な限り詳細に記載してください。履歴書のように経歴を羅列するだけでなく、開業する上で必要な知識や経験、スキルを示しましょう。これまでの経験を通して学んだことも記載すると、より説得力が増します。
(記入例)
〇年〇月 〇〇大学卒業
〇年〇月 〇〇皮膚科に就職 お客様の不安に寄り添う施術を学び、顧客満足度1位を獲得
〇月〇月 〇〇クリニック院長に就任。クリニックの経営に必要な知識や、スタッフのモチベーション向上につながるリーダーシップスキルを学ぶ
取扱商品・サービス
取扱商品・サービスでは、以下の内容を記載します。
- 取扱商品・サービスの内容
- セールスポイント・販売ターゲット・戦略
- 競合・市場などの分析
取扱商品やサービスの具体的な内容を詳細に記載してください。たとえば、ターゲットとする顧客層に対してどのようなサービスを提供し、競合と比べてどのように優れているかを具体的に示すと良いでしょう。
市場や競合の調査を基にターゲット・戦略を練り、詳細なサービス内容を決定することで、事業計画書全体が一貫性を持ち、根拠のあるものとなります。
(記入例)
- 取扱商品
サービスシミ取り・肝斑取り - セールスポイント
特定の悩みを持つ顧客からの信頼感や安心感の獲得を図る - 販売ターゲット
シミや肝斑に悩む女性 - 戦略
定期的にモニターになってもらう方を募集し、広告効果を狙う競合・市場などの分析主な競合は近隣の「〇〇クリニック」
特化型で競合となるクリニックは近隣にはない
取引先・取引関係
取引先・取引関係は、販売先や仕入先、外注先を記載する項目です。
美容クリニックの販売先は主に患者のため「一般個人」と記載してください。仕入先には、備品や設備の供給元を記載します。美容クリニックの場合、外注先は広告・宣伝に関する業者となるケースが一般的ですが、事業計画書の作成時点で決まっていない場合は、空白で問題ありません。
(記入例)
- 販売先一般個人
- 仕入先医療機器供給元:株式会社〇〇メディカル備品供給元:株式会社△△
従業員
従業員の項目は以下の内容を記載します。
- 常勤役員の人数:事業運営に直接関与する役員数
- 従業員数(3ヶ月以上継続雇用者):3ヶ月以上継続して雇用を予定している従業員数
- うち家族従業員数:従業員として従事する予定の家族数
- うちパート従業員数:パートタイムで雇用を予定している従業員数
事業開始直後は従業員数をできる限り少なくし、人件費を抑えることが成功のポイントです。
(記入例)
- (法人の場合)常勤役員の人数:1名
- 従業員:5名
- うち家族従業員数:0名
- うちパート従業員数:3名
借入の状況
借入の状況は、経営者個人の借入を記載する項目です。
金融機関の融資を利用する場合、金額の間違いや記載漏れがあると、審査に悪影響を与えます。住宅ローンやオートローン、カードローンなど、すべての借入を正確に記載しましょう。
すべての借入を正確に記載することで、金融機関に対して信頼性を高め、審査における評価が向上します。
(記入例)
| 借入先名 | 内容 | 借入残高 | 年間返済額 |
|---|---|---|---|
| 〇〇銀行〇〇支店 | 自動車ローン | 200万円 | 60万円 |
必要な資金と調達方法
設備・運転に必要な資金と資金調達の方法を記載します。
設備資金は初期費用、運転資金はランニングコスト(継続して支払う費用)が主な内容です。
(記入例)
| 必要な資金 | 調達方法 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 内容 | 見積先 | 金額 | 金額 | ||
| 設備資金 | 内装工事 医療機器 備品 | ~~ | 1,700万円 | 自己資金 | 900万円 |
| 運転資金 | 商品仕入 人件費 広告宣伝費 | ~~ | 400万円 | 日本政策金融公庫からの借入 | 1,200万円 |
| 合計 | 2,100万円 | 合計 | 2,100万円 | ||
事業の見通し(月平均)
事業の見通しの項目は、開業直後および開業1年後に予想される「売上高」「売上原価」「経費」を記載します。見通しの根拠を基に、収益性を明確に伝えることが重要です。
売上高は「平均客単価×顧客数×診療日数」で予測できます。調査を基にした数値を計算して算出しましょう。
経費には、人件費や消耗品費、家賃などが含まれます。売上高から経費を差し引いた後の利益を確認し、事業の収益性を判断しましょう。
具体的な数値と根拠を基にした予測を行うことで、事業の安定性や成長性について説得力のある説明が可能となります。
(記入例)
| 創業当初 | 1年後 | 見通しに関する根拠 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 280万円 | 364万円 | 〈創業当初〉 売上高 平均客単価10万円/月×顧客数28人/月=280万円 経費 人件費:従業員数40万円×2人、パート従業員12万円×3人 〈1年後〉 リピーター獲得、紹介制度により月間顧客数が1.3倍に増加の見込み 280万円×1.3=364万円 経費 人件費:従業員ひとりを増員 |
美容クリニックの事業計画書作成のポイントは?
美容クリニックの事業計画書を作成する際は、感覚的な見込みではなく、調査と数値に基づいた計画が不可欠です。自由診療を中心とする美容医療では、価格設定や設備投資、集客施策が経営に直結します。事前に根拠を整理し、開業後も安定して運営できる計画を示しましょう。
診療分野ごとの売上相場を根拠付きで示す
美容クリニックは施術ごとに自由に価格設定できる一方、相場から大きく外れると経営に影響します。競合クリニックの料金帯や患者数を調査し、主力施術ごとの売上見込みを立てることが重要です。適切な相場を把握することで、利益率と集客力のバランスが取れた計画になります。
医療機器・設備の初期費用と維持費を正確に把握する
美容クリニックでは、医療脱毛機器やレーザー機器など高額な設備投資が必要です。早めに見積りを取得し、初期費用だけでなく保守・メンテナンス費用も含めて計画に反映させましょう。具体的な金額を示すことで、資金調達や返済計画の説得力が高まります。
スタッフの採用・育成計画を具体的に盛り込む
医師、看護師、カウンセラーなどの人材確保は、美容クリニック経営の安定性を左右します。必要なスキル水準、採用方法、採用コスト、研修期間や教育費用を明確にし、人件費として事業計画書に反映させましょう。人材面の現実性は金融機関からも重視されます。
集客・広告戦略を収支と結び付けて示す
競争の激しい美容医療では、集客施策が売上を大きく左右します。Web広告やSNS、口コミ対策など、実施する施策と費用を明確にし、収支計画に組み込みましょう。リピーター施策やキャンペーンを行う場合は、その効果を数値で示すことが、事業の将来性を伝えるポイントです。
美容クリニックの事業計画書作成の注意点は?
美容クリニックの事業計画書を作成する際は、売上や成長性だけでなく、医療機関としてのリスクや制約にも十分配慮する必要があります。自由診療で高収益が期待できる一方、法規制や評判リスクの影響を受けやすいため、楽観的すぎない現実的な計画が重要です。
売上の伸びを過度に前提とした計画にしない
美容医療市場は競争が激しく、開業直後から患者が安定して集まるとは限りません。広告効果や口コミの立ち上がりには時間がかかるため、初期から高い来院数を前提にした計画はリスクが高くなります。立ち上がり期間を想定した慎重な売上見込みが必要です。
広告規制や医療法への配慮を欠かさない
美容クリニックは医療広告ガイドラインの影響を強く受けます。事業計画書に記載する集客施策が、実際には実施できない内容であれば、信頼性を損ねます。誇大広告や表現規制への理解不足は、開業後のトラブルにつながるため注意が必要です。
設備投資の回収期間を軽視しない
高額な医療機器を導入しても、稼働率が低ければ投資回収は進みません。機器の導入理由や使用頻度、回収期間を考慮せずに計画を立てると、資金繰りに悪影響を及ぼします。設備投資の妥当性を冷静に検証する視点が求められます。
医師個人への依存度が高すぎないか確認する
特定の医師の技術や知名度に依存した計画は、休職や退職時に事業継続が難しくなるリスクがあります。診療体制や業務分担を明確にし、属人性が高くなりすぎない運営体制を意識することが、長期的な経営の安定につながります。
融資担当者が見る美容クリニックの事業計画書のチェックポイントは?
美容クリニックの事業計画書は、融資担当者にとって「医療機関としての安全性」と「事業としての返済能力」を同時に判断する重要資料です。自由診療で高収益が見込める一方、競争や法規制の影響も大きいため、数値の妥当性と運営の持続性が細かく確認されます。
① 収支計画に再現性があり返済可能性が示されているか
融資担当者が最も重視するのは、借入金を継続的に返済できるかどうかです。美容クリニックの場合、売上は「施術単価×来院数」で成り立つため、来院数の想定に根拠があるかが確認されます。広告開始直後から急成長を前提とした計画は評価されにくく、段階的な売上成長を示す方が信頼性は高まります。
② 設備投資と資金使途が明確で妥当か
美容医療では高額な医療機器や内装費が必要になるため、資金使途の妥当性は重要なチェックポイントです。どの施術にどの機器を使い、どの程度の売上につながるのかが説明できているかを見られます。設備投資と収益計画が結び付いていない場合、過剰投資と判断される可能性があります。
③ 人員体制と人件費が現実的に組まれているか
医師・看護師・カウンセラーなどの人員配置が、診療内容に対して適切かどうかも確認されます。人件費が売上に対して過度に高くないか、逆に無理な少人数体制になっていないかがポイントです。特定の医師に依存しすぎない体制になっているかも評価対象となります。
④ 法令遵守とリスク管理への意識が示されているか
美容クリニックは医療法や広告規制の影響を強く受けるため、法令遵守への意識は融資判断に直結します。広告表現への配慮、トラブル時の対応体制、保険加入状況などが具体的に記載されている計画書は、事業リスクが低いと判断されやすくなります。
美容クリニックの事業計画書作成の実態と難易度
最大の壁は「財務・資金調達計画」
美容クリニックの事業計画書は「実現性」と「信頼性」が重要
美容クリニックの開業において、事業計画書は融資を受けるためだけの書類ではなく、安定した経営を目指すための指針となるものです。自由診療を中心とする美容医療では、診療メニューや価格設定、集客戦略が収益に直結するため、根拠のある数値と現実的な成長シナリオを示す必要があります。また、医療法や広告規制への対応、医師やスタッフの体制など、医療機関としての信頼性も重視されます。
第三者の視点を意識し、再現性のある収支計画とリスク管理を盛り込んだ事業計画書を作成することで、資金調達の可能性を高め、長期的に安定した美容クリニック経営につなげることができます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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