- 作成日 : 2024年6月6日
保険代理店の定款の書き方は?ひな形を基に事業目的の記載例を解説
保険代理店を起業する際に欠かせないのが定款の作成です。定款とは会社経営におけるルールを定めた文書で、会社を設立する際には作成する必要があります。
この記事では、保険代理店の定款に記載する必須項目や記載例について解説します。そのほか、定款を電子申請する方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。正しい知識を身につけて、適切に定款を作成できるようになりましょう。
目次
保険代理店における定款とは?
定款は、会社設立にあたって作成義務のある書類です。定款では、会社経営におけるルールがまとめてあります。
定款に記載する内容は、以下の3つです。
- 絶対的記載事項:必ず記載しなければならない事項
- 相対的記載事項:記載していないと効力が生じない事項
- 任意的記載事項:会社が任意で記載できる事項
会社をすでに運営している人で、今回新たな経営を始める場合は定款変更が必要になるため、注意しましょう。
定款の必須項目(絶対的記載事項)
絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項です。記載漏れや事業目的に違法行為を挙げている場合、定款そのものが無効になってしまいます。
株式会社における絶対的記載事項は、以下の項目です。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
- 発起人の氏名又は名称及び住所
保険代理店の定款作成から会社設立の流れ
定款作成から会社を設立までの流れは、以下のとおりです。
会社の重要事項(商号や住所、事業目的など)を決定する
- 印鑑証明書(個人)を取得しておく
- 会社の代表印を作成する
- 定款を作成し、公証役場にて認証を受ける
- 資本金(出資金)の払い込みを行う
- 登記書類を作成する
- 登記を申請する(登記完了までは、約1週間)
また、保険代理店を起業して商品を取り扱うためには、保険会社からの承認が必要です。一般的な承認作業の流れは以下のようになっています。
- 代理店契約を結びたい保険会社に連絡する
- 保険会社の担当者と、事業計画について話し合う
- 取扱商品やインセンティブなど、契約に関する内容を話し合う
- 保険会社が事業計画の審査を実施する
- 審査通過後に保険会社と業務委託契約を結ぶ
業務委託契約を結ぶことで、その保険会社の商品を取り扱えるようになります。なお、加盟金が必要になるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
保険代理店の定款テンプレート・ひな形
定款作成には、テンプレート・ひな形の使用がおすすめです。定款へは業種に添った内容を盛り込む必要があります。どういった内容を盛り込めばよいかわからないという場合は、専用のテンプレート・ひな形の利用を検討するとよいでしょう。
保険代理店の定款の書き方
ここでは、実際に定款のひな形をもとに、記載内容や書き方のポイントを解説します。
商号
商号には会社の社名を記載します。株式会社の場合、商号に株式会社の文字を入れる必要があるため注意しましょう。
<記載例>
第○条 当会社は、○○株式会社と称する。
なお、同じ住所に同じ商号の会社は登記できません。有名企業と似ている商号や他社の商標権を侵害するような商号も避けるようにしましょう。
商号に使用できる文字は、法務省のサイト(以下リンク参照)で確認できるため、こちらも参考にしてください。
事業目的
事業目的では、会社が行う事業を列挙します。保険代理店の事業目的としては、以下のような内容を記載するとよいでしょう。
<記載例>
第○条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
生命保険の代理店業
生命保険の募集にかかる業務
生命保険契約締結の代理
生命保険加入見込者の紹介業務
生命保険契約の見込客の紹介
損害保険の代理業
損害保険の損害調査及び鑑定業務
損害保険及び自動車損害賠償保障法に基づく保険の代理
前各号に附帯する一切の事業
最後の号に「前各号に附帯又は関連する一切の事業」と書いておくと、関連分野に事業を少し広げたときでも定款変更せずにすみます。
本店の所在地
本店の所在地とは、会社の本店所在地のことです。
<記載例>
第○条 当会社は、本店を○県○市○丁目○番○号に置く。
上記のように住居表示まで書くか、「○県○市」と市町村、東京の23区など最小行政区画まで書くか、どちらかのパターンで書きましょう。
発行可能株式総数
発行可能株式総数とは、当会社の発行可能株式総数のことです。
<記載例>
第○条 当会社の発行可能株式総数は○○株とする。
設立に際して出資される財産の価額
財産の価額には、設立時に出資される財産価額もしくは最低額を記載します。あわせて、資本金額や発行株式数、発行可能株式総数を書くこともあります。
<記載例>
第○条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金○○○万円とする。
発起人の氏名又は名称及び住所
発起人に関しては、発起人が引き受ける株数とあわせて書くことが一般的です。
<記載例>
第○条 当会社の発起人の氏名又は名称及び住所、割当てを受ける設立時発行株式の数、及び設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額は、次のとおりである。
○県○市○丁目○番○号
発起人 ○○ ○○ 普通株式○○○株 金○○万円
○県○市○丁目○番○号
発起人 □□ □□ 普通株式○○○株 金○○万円
保険代理店の「事業目的」の考え方や記載例
事業目的では、設立した会社が何を事業とするのかを具体的に示します。登記簿にも記載されるため、どのような活動をするか正しく伝えるようにしましょう。
事業目的は取引の安全性の確保を大きな目的として作成されるものです。そのため、事業目的を設定する際は、適法性・営利性・明確性を押さえておく必要があります。
適法性とは、事業目的が違法ではないことを指すものです。営利性とは、事業目的が営利目的の活動内容になっているかを意味します。明確性は、第三者が見てもわかりやすいように事業目的が記載されているかどうかを表したものです。
上記の3点を意識して、取引相手や融資先からの信頼を得られるような内容に仕上げましょう。
また、記載する事業数には上限はありませんが、とりあえず多く書くことはやめてください。事業目的があまりにも多いと、取引先や金融機関からどういった会社なのか疑わしく思われる可能性が出てくるため、注意しましょう。
事業目的は、業態に応じて変わるものです。保険代理店の事業目的としては、以下のような事例があるので、参考にしてください。
業態例 | 事業目的の例 |
---|---|
生命保険の代理店 | 生命保険の募集に関する業務 |
損害保険の代理店 | 損害保険代理業 |
経営コンサルタント | 経営コンサルタント業務 |
ファイナンシャルプランニング | ファイナンシャルプランニング業務 |
保険代理店の定款を電子申請するには
定款には紙定款と電子定款の2種類が存在します。電子定款の場合、会社設立にかかる手間や費用を抑えられる点がメリットです。
両者の主な違いは、以下のとおりです。
- 作成・保存媒体
- 費用
紙定款は紙で印刷したものに捺印をして作成・保存するのに対し、電子定款はPDF化したファイルに電子署名をしてデータで保存します。
紙定款は役場で認証を受ける際に収入印紙代(4万円)がかかりますが、電子定款は収入印紙代が不要です。さらに、電子定款はオンラインで手続きが完了するため、定款作成にあたっての手間が少ないのが魅力といえるでしょう。
電子定款を作成して、会社設立にかかる手間や費用を抑えたい人は、「マネーフォワード クラウド会社設立」サービスをぜひご活用ください。
保険代理店を起業する場合は定款作成から始めよう
定款は保険代理店を起業する際に作成する必要のある書類です。記載内容には、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項の3つがあります。それぞれ業種ごとの特徴を盛り込んだ内容に仕上げる必要があるため、書き方のコツを押さえましょう。
書き方がわからないという人は、今回紹介したひな形をもとに作成してみてください。また、会社の定款について具体的にどういったものなのか知りたいという人は、以下の記事も参考になります。定款作成時にお役立てください。
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