• 更新日 : 2023年11月29日

ネイルサロンを開業するには?必要な資格や届出、経営に失敗しないためのポイントも解説!

ネイルサロンの開業の良いところは、店舗出店だけでなく自宅でも開業しやすいことです。

個人事業主として1人でネイルサロンの起業をしたい場合、どのような資格や届出が必要になるのでしょうか。サロン開業の流れから、開業方法ごとのメリット・デメリット、開業資金や必要な設備費用、サロン開業に使える助成金や成功のポイント、開業後の確定申告まで解説していきます。

ネイルサロンを開業する方法は?

個人事業主としてネイルサロンを開業する方法には、自宅で開業する方法、店舗で開業する方法、フランチャイズ契約を結んで開業する方法があります。それぞれどのような特徴やメリット・デメリットがあるのでしょうか。

自宅で開業する方法

ネイルサロンは、施術できる場所があれば自宅の一角を使って個人事業として開業できます。自宅開業のメリットは、少ない資金で開業できること、家庭との両立がしやすいことです。一方、仕事とプライベートの区別がつけにくいこと、対外的な信用が得にくいことがデメリットとして挙げられます。また、賃貸物件の場合は自宅開業が難しいでしょう。

ネイルサロンの自宅での開業は、自宅を所有している人で一角をサロンに転換できそうな場合、小規模から気軽にスタートしたい場合、家庭との両立を図りながらサロン経営をしたい場合に向いているでしょう。

自宅で開業するメリット・デメリットの詳しい説明は以下の記事をご覧ください。

店舗で開業する方法

テナント契約によりビルや商業施設の一角を借りて、独立した店舗として開業する方法もあります。店舗開業のメリットは、自宅開業と比べるとお店として認識されやすい点です。立地などの条件が良ければ、自宅開業よりも多くの集客が見込めます。

店舗開業のデメリットは、自宅開業に比べてコストがかかることです。特に初期費用やランニングコストが多くかかり、商用物件は個人の住宅と比べて家賃が高い傾向にあります。加えて、保証金や敷金も必要です。

店舗開業は、より多くの収益を挙げたい場合や資金的な余裕がある場合、一気に事業拡大を図りたい場合などに向いています。

フランチャイズで開業する方法

ネイルサロンはフランチャイズ募集もある業界です。フランチャイズ契約を結んで開業する方法もあります。

メリットは、フランチャイズ企業のブランド力を利用したり、ノウハウを習得したり、経営サポートを受けたりできることです。一方、運営方法に制限があって経営の自由度が下がること、毎月ロイヤリティが発生するため利益が圧迫されることがデメリットとなります。

フランチャイズでの開業は本部のブランド力が大きな魅力となるため、初めてネイルサロンの経営をする人や自分ひとりでは経営に不安がある人に向いた開業方法です。

フランチャイズ開業のメリット・デメリットは以下の記事でより詳しく解説しています。

ネイルサロンを開業するのに資格は必要?

ネイリストに関する資格はいくつかあります。しかし、ネイリストを雇用して自身は経営に専念する場合、資格は特に必要ありません。

一方、経営と並行して自身もネイリストとして施術する場合、スキルアップやお客様の信用にもつながるため、ネイリストに関連する資格はあった方がよいでしょう。代表的なものに、次のような資格があります。

JNECネイリスト技能検定

受験者数も多い歴史のある検定試験です。1~3級まであり、ネイリストに必要な知識や技能が問われます。筆記と実技があり実技の比重が高いのが特徴です。

JNAジェルネイル技能検定

人気のジェルネイルの知識や技術を証明する検定です。初級、中級、上級があり、筆記試験のほかに実技試験があります。

JNA認定ネイルサロン衛生管理士

JNAが制定した衛生管理自主基準の知識習得を証明する資格です。この資格を取得するには、認定校での講習受講と、筆記試験の合格が必要です。

このほかにも、JNA認定ネイルサロン技術管理者、JNA国際ネイリスト技能検定、I-NAIL-Aジェルネイル技能検定、などがあります。

ネイルサロンを開業する流れ・必要な届出は?

ネイルサロンの開業は、次のような手順で進めていくことが一般的です。

事業計画を立てる

まず、事業計画を立てます。事業計画ではネイルサロンのコンセプトやターゲットとする客層、料金設定などを決めていきます。

事業計画を立てることで、ネイルサロンの開業から開店後数年間までの道筋をはっきりさせることができ、事業を成功に導く可能性が高くなります。

マネーフォワード クラウドでは、ネイルサロンで使える事業計画書テンプレートをご用意しています。無料でダウンロードいただけるので、ぜひカスタマイズしてご活用ください。

ネイルサロンの事業計画書・創業計画書テンプレート・作成例

開業の方法を決める

事業計画と並行して、開業の方法を決定します。上述した「自宅で開業する方法」「店舗で開業する方法」「フランチャイズで開業する方法」の中から自分に合った開業の方法を決めましょう。

店舗開業などの場合は物件を決める

店舗開業など、自宅以外で開業する場合は、店舗を構える物件を決める必要があります。物件を決める際には、事業計画で決めたターゲット層にあった立地で、物件を選ぶ必要があります。例えば、OLをターゲットにする場合は、駅近物件やビジネス街に近い物件を選びましょう。

開業資金を調達する

ネイルサロンの開業には、一定の資金が必要です。特に自宅以外で開業するためには、敷金や礼金、内装工事代など多くの資金が必要となります。自己資金で開業資金のすべてを賄うことが難しい場合は通常、銀行など金融機関からの融資や自治体などの助成金を利用します。融資や助成金を利用する際には、しっかりとした事業計画書の作成が必要なので注意しましょう。

ネイルサロンに必要なものをそろえる

開業資金が用意できたら、ネイルサロンに必要なものを揃えます。詳細は後述しますが、ネイルチェアやネイルテーブル、ジェルやパーツなどの商材など、開業前に用意しないといけないものは多くあります。

必要があれば資格を取得する

ネイルサロンの開業には特別な資格は必要ありません。ただし、JNECネイリスト技能検定やJNAジェルネイル技能検定などスキルアップに役立つ資格もあります。必要に応じて資格を取得しましょう。

集客の準備を始める

集客の準備は、開業前から行います。集客のために重要なのが広告です。顧客のターゲット層に合った方法の広告活動をしましょう。例えば、学生やOLの場合はSNSやインターネット、主婦層の場合は新聞のチラシやポスティングなど、ターゲット層に合わせた集客方法を活用します。

個人事業の開業届を提出する

ネイルサロン開業にあたり、必要な申請手続きはありません。個人事業では、出店方法を決めて必要な機材を準備できればすぐに開業できます。

必要な届出は、管轄の税務署への「個人事業の開業届出」くらいです。開業届は、事業開始から1ヵ月以内に提出すればよいため、開業前にあわてて準備する必要はありません。所得税の青色申告承認申請書(青色申告を選択したい場合)など、必要に応じてまとめて税務署に提出するとよいでしょう。

開業届については以下の記事で書き方を含め詳しく解説しています。

ネイルサロンの開業にかかる資金の目安は?

ネイルサロンの開業ではどのくらいの資金が必要になるのでしょうか。自宅や店舗で開業するときに必要な資金の目安を紹介します。

自宅型ネイルサロンの開業資金の目安

自宅型ネイルサロン開業時に最低限必要な設備や商材、それぞれの金額の目安は次の通りです。

設備費用の目安
ネイルチェア1万円~
ネイルテーブル1万円~
照明1万円~
ネイルチップディスプレイ1万円~
LEDライトなどの機材5万円~
ジェルやパーツなどの商材10万円~

どの程度の設備や機材をそろえるか、どれほど商材をそろえるかで開業に必要な費用は変わってきますが、20~30万円程度の資金でもスタートできます。

ただし、自宅型であっても、ネイルサロンの雰囲気作りのために家具をそろえたり、区画を整備するために内装工事を行ったりする場合は、さらに資金が必要です。

店舗型ネイルサロンの開業資金の目安

店舗型ネイルサロンを開業した場合の設備や費用の目安は次の通りです。

設備費用の目安
敷金・礼金・前払家賃100万円~
内装・外装工事費100万円~
家具や備品50万円~
ネイルチェア1万円~
ネイルテーブル1万円~
照明1万円~
ネイルチップディスプレイ1万円~
LEDライトなどの機材5万円~
ジェルやパーツなどの商材10万円~

費用はだいたいの目安で、テナントの賃料がどれくらいか、内装や外装工事にどれくらいかけるか、テナントの広さはどのくらいか、などで開業資金が大きく変わってきます。自宅型ネイルサロンより少なくとも200~300万円多くかかると考えておいた方がよいでしょう。

また、自宅と違ってある程度の広さのスペースを借りることになります。ネイルチェアやネイルテーブルなどのような簡単な設備だけだと殺風景です。家具や備品など、お店の雰囲気作りにも費用がかかる点に注意しましょう。

フランチャイズ型ネイルサロンの開業資金の目安

フランチャイズ型ネイルサロンを開業した場合の設備や費用の目安は次の通りです。

設備費用の目安
加盟金・保証料150万円~
敷金・礼金・前払家賃100万円~
内装・外装工事費100万円~
家具や備品50万円~
ネイルチェア1万円~
ネイルテーブル1万円~
照明1万円~
ネイルチップディスプレイ1万円~
LEDライトなどの機材5万円~
ジェルやパーツなどの商材10万円~

フランチャイズ型ネイルサロンを開業する場合、フランチャイズ本部に支払う加盟金や保証料が必要になります。加盟金や保証料の金額はフランチャイズによって異なりますが、150~250万円は見ておいた方がよいでしょう。

ただし、物件の取得費や内装工事などは、フランチャイズ独自のサポートがあるため、店舗型ネイルサロンよりも低く抑えられることもあります。また、研修が必要な場合は別途、研修費も必要です。

フランチャイズ型ネイルサロンは、加盟金や保証料が必要なため開業資金は高くなりますが、サポートが充実しているため、開業資金の回収がしやすくなります。

個人事業主の開業資金については、以下の記事で詳しく解説しています。

ネイルサロンの資金調達に使える助成金は?

小規模事業者や中小企業者のさまざまな取り組みをサポートするのが助成金です。

代表的なものとして、厚生労働省が公募する、雇用調整助成金やトライアル雇用助成金などの雇用関係の助成金があります。ネイルサロンでスタッフを雇用したい場合に活用できるでしょう。

補助金を利用する方法もあります。代表的なのが、小規模事業者の販路開拓や業務効率化を支援する小規模事業者持続化補助金、地方自治体が公募する創業者向けの補助金です。

要件を満たせば支給される助成金と違って、補助金は申請しても採択されない可能性もありますが、個人事業主1人でも応募できるものがあります。資金繰りに困らないように、助成金や補助金をうまく活用していきましょう。

ネイルサロン経営者のリアルな年収はいくら?

求人ボックスのデータによると、ネイリストの平均年収は約368万円となっています。この数字を見て、少ないと感じる人も多いかもしれません。しかし、これはあくまでサロンに勤めている人の数字です。

ネイルサロンの各フランチャイズ企業がホームページなどに掲載している数字を確認すると、客席数などで異なりますが、概ね月250万円の売上、年収で250万円×12か月=3,000万円を目安にしているところが多いです。もちろん、規模によってそれ以上の金額が記載されているものもありますが、年収3,000万円が目安と考えられます。

参考:ネイリストの仕事の平均年収は368万円/平均時給は1,173円!給料ナビで詳しく紹介|求人ボックス

ネイルサロン経営で失敗しないためのポイントは?

ネイルサロン経営で失敗しないためのポイントとして、以下の5点が挙げられます。

コンセプトとターゲットを明確にする

ネイルサービスの市場規模は年々拡大しています。つまり、競合となるネイルサロンも多いということです。ネイルサロンで成功するには、競合との差別化を図るだけでなく、集客に力を入れることが重要です。差別化を図るためにも、どのようなお客さん向けにサービスを展開していきたいのかターゲットを絞りましょう。

競合との差別化を図り、独自の強みを作る

ネイルサロン業界で生き残るためには、競合店舗との差別化を図る必要があります。独自の強みを作らなければ価格競争に巻き込まれやすくなり、単価を下げざるを得ません。

競合店舗との差別化を図るには、オリジナルのメニューや季節に合わせたメニューなどの開発や、最新設備の導入をしましょう。また、ターゲット層に合わせた店舗(空間)づくりも重要です。オリジナルのメニューなどが思いつかない場合には、実際に顧客に聞いてみるのもよいでしょう。顧客目線を意識することで、サービスのヒントが見つかりやすくなります。

SNSを活用した集客に取り組む

開業からお客さんが入るようになるまでには、時間がかかることもあります。サロンの認知度を高め、どのようなサロンなのか知ってもらうためにも、集客に力を入れるとよいでしょう。

すぐに活用できるのがSNSやブログです。SNSやブログ上でネイルデザインを投稿することで、どのようなデザインができるのかもイメージしてもらいやすくなります。お客さんの利用のハードルも下がるはずです。

トレンドや新しい知識を常に取り入れる

ネイルは、トレンドや人気が変動しやすい業界です。コンスタントに売上を上げられるようにするには、トレンドや新しい知識を常に取り入れて、サロンで実践できるようにすることが大切です。

リピーターを育てる仕組みを作る

ネイルサロンの経営を安定・発展させるには、いかにサロンに来た客をリピーターにしていくかが重要です。

来場回数や金額によるポイント制度を導入する、定期的なDMやスマートフォンアプリを使ってお知らせをリマインドするなど、リピーターを育てる仕組みを作りましょう。

ネイルサロンを開業した際の確定申告は?

確定申告とは、税務署に納税する所得税額を申告する手続きです。儲け(収入-必要経費の額)のある個人事業主は、基本的に確定申告が必要です。

まずは、確定申告には期限がある点に注意しましょう。毎年1月1日から12月31日までの1年間分を、原則翌年の2月16日から3月15日の期間に申告します。

申告の方法は、確定申告書に必要事項を記載し、管轄の税務署に提出するだけです。税務署の窓口に提出する方法のほか、郵送や電子申告にも対応しています。申告書の提出だけでなく、所得税の納付も必要ですので納税額の用意もしておきましょう。

ネイルサロンの開業方法を理解して、正しく届出をしよう!

ネイルサロンの開業は、営業許可や資格などが必要ない分シンプルです。ただ、手続きとして税務署への開業届は必要になりますので、開業後は速やかに提出するようにしましょう。また、開業後は、基本的に毎年確定申告が必要になります。確定申告の方法や申告書の作成の仕方も把握しておきましょう。

ほかにも独立開業できる仕事を知りたい方は以下の記事も参照ください。


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