- 更新日 : 2021年5月7日
フリーランスのための保険活用法
フリーランスには2つの大きな課題があると言われています。それは「収入の安定化」と「傷病時の保障」です。特に「傷病時の保障」の選択肢はとても限られています。
一般に企業へ就職すると、会社の健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険に強制的に加入することになります。保険料は給与からの天引きですが、健康保険と厚生年金に関しては支払うべき金額の半額を会社が負担、雇用保険も一定割合を会社が負担し、労災保険に至っては全額を会社が負担しています。
フリーランスはこうした恩恵を受けることができないというのが日本の現状です。しかし、状況は変わりつつあります。そこで、フリーランスが活用できる保険についてみてみましょう。
フリーランスが加入できる健康保険
フリーランスが加入できる健康保険には4つの選択肢があります。
・国民健康保険に加入:ほかの要件にあてはまらないすべての人が強制的に加入。
・前職(会社員)の健康保険の任意継続:退職時に会社加入の国民健康保険組合の契約を延長。ただし、原則2年までで、会社負担はなし。
・国民健康保険組合への加入:フリーランスが所属できる健康保険組合あり。
・健康保険の被扶養者:親族・配偶者が加入している健康保険の被扶養者になる。ただし、要件あり。
フリーランスが所属できる国民健康保険組合
国民健康保険の保険料を割高に感じているフリーランスがいちばん注目しているのは、国民健康保険組合への加入でしょう。
国民健康保険組合とは、国民健康保険法改正(1958年)による国民皆保険体制の確立以前から継続している制度です。2014年現在、全国に164組合あり、137組合が全国国民健康保険組合協会に加入しています(参照:国民健康保険組合へのリンク〔業種選択〕|全国国民健康保険組合協会)。
国民健康保険組合への加入には、組合加盟の各団体の会員(およびその会員の家族)になる必要があります。団体によってはフリーランスの会員を受け入れていないところもありますので、職種ごとに関係団体へ受け入れが可能かどうかを確認してください。
文芸美術国民健康保険組合の場合
フリーランスの受け入れを行っている団体が多く加入している国民健康保険組合のひとつに文芸美術国民健康保険組合があります。
加入資格
国内に住所があること。著作活動(文芸や美術など)に携わっていること。当組合加盟の各団体の会員(およびその家族)であること(参照:加盟団体一覧表|文芸美術国民健康保険組合)。
手続きに必要なもの
・申込書(所属団体の承認印が押印されたもの)
・保険料を引き落とす口座の振替依頼書
・世帯全員の住民票
・著作活動従事の証明書類(確定申告書Bの控え)
・所得証明(70歳以上がいる世帯の場合)
国民年金の補完方法
国民年金は厚生年金に比べて給付率も給付額も少ないのが現状です。これを補完するには、次のような方法があります。
・国民年金付加年金:「国民年金の一般保険料」+「付加保険料(400円/月)」で、給付される老齢基礎年金に付加年金が上乗せされる制度。(参照:国民年金付加年金制度のお知らせ(PDF))
・国民年金基金:これも国民年金に上乗せするかたちの年金制度。加入には地域型と職能型のどちらかを選び、給付には老齢年金と遺族一時金の2種類がある。国民年金付加年金との併用は不可。(参照:国民年金基金)
・個人型確定拠出年金:別名日本版401k。フリーランスや自営業者(国民年金第1号被保険者)などが対象で、これも国民年金に上乗せする制度。運用商品や掛金、受け取り方法は自由に選ぶことができる。国民年金付加年金および国民年金基金との併用が可能で、多くの金融機関が取り扱っている。(参照:個人型確定拠出年金)
労災保険・傷病手当などについて
社員であれば、業務中のケガに対して労災保険の適用があります。また、傷病手当や健康診断の補助なども付加されています。フリーランスではこれらを自分で備えなければいけません。
以下は、フリーランスが加入できる労災補償共済事業や休業補償プランを紹介しているサイトです。
•あんしん財団
•日本フルハップ公益財団法人
•全国商工会議所の休業補償プラン|日本商工会議所
フリーランスは保険をうまく活用しよう
フリーランスの保険にもいくつかの選択肢があります。会社員では普段意識しない保険についても、フリーランスだからこそ正しく理解して将来に備えたいところですね。これを機会にご自身の保険について見直しをしてみてはいかがでしょうか。
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