- 作成日 : 2022年7月29日
起業したいと思ったらやるべきこと、成功に必要な方法を解説
「自分でビジネスを立ち上げたい」「サラリーマンを辞めて独立したい」「温めていたサービスのアイデアを世に出してマーケットを作りたい」など、起業を目指す人は少なくありません。しかし、実際に起業する場合、何から始めればよいのでしょうか。特に初めて起業する人にとっては何をすればよいのか分からず、暗中模索の状態に陥りがちです。
そこで本記事は、これから起業を目指す人を対象に、起業したいと思ったらやるべきことのほか、起業の方法や手順、知識、起業したいけれどアイデアがない場合の対処法、さらに女性におすすめの起業職種などについて解説します。
目次
起業したいと思ったらやるべきこと
起業したいと思ったら、まずは下記5つのポイントを整理することが必要です。
- 何を(What)
- 誰に(To whom)
- いつ(When)
- どのように(How)
- いくらで(How much)
それぞれどのような意味を持つのか、順に解説していきます。
1. 何を(What)
最初にやるべきことは「売り物の明確化」です。特に何(What)を売り物にするかが明確にされていない状態で起業すると、在庫をまったく持たずに小売店を始めるような状態になってしまいます。
ここでいう「売り物」とは、言い換えれば「強み」ということができます。飲食店であれば看板メニュー、サービスであればどのような付加価値を提供するか、プロダクトであればどのような特性や独自性を持った製品を開発するか、コンテンツであればどのようなバリューやオリジナリティを持ったコンテンツを創造するかなど、強みを明確にすることが重要です。
起業するにあたり、まずは何(What)を売り物、強みにするかを考えましょう。
2. 誰に(To whom)
何(What)を売り物にするかを明確にしたら、次に誰に対して(To whom)、いつ(When)、どのようにして(How)、いくらで(How much)で売るか」をそれぞれ明確にしていきます。
誰に対して(To whom)については、可能な限り属性を絞ることが望ましいでしょう。特にBtoBのビジネスを立ち上げる場合、どの業界・業種の誰に対して売るかが明確にされている必要があります。
3. いつ(When)
いつ(When)についても、完全オンラインのみで販売するケースを除いて、出来るだけ明確にするべきでしょう。業界によっては繁忙期や閑散期で需要が上下することもあるので、そうした点も考慮する必要があります。
4. どのように(How)
どのように(How)についても、集客やマーケティング方法などを含めて明確にする必要があります。起業で失敗するケースで多いのは、この点が不明瞭な状態で起業してしまうケースです。いくら製品やサービスが優れていても、どのようにして売るかが不明瞭ではビジネスはうまくいきません。
5. いくらで(How much)
そして最後に、いくらで売るのかを決めます。価格を決める際には、市場や競合他社を分析し、適正な価格を打ち出すことが必要です。
もしも十分なリサーチを行ったうえで勝算が高い確率で計算できるなら、少し市場の平均価格よりも強気な価格帯で打ち出すこともできます。一方で、手探りの状態なら適正な価格を見極めることが重要になってくるでしょう。
価格は、その後の戦略にも大きく影響するため、慎重に決定することが大切です。
起業の方法・手順
上記5つのポイントが整理できたら、具体的に起業の準備を始めましょう。起業の準備は、以下の方法・手順で進めていきます。
- ビジネスプランを固める
- 起業資金を集める
- 起業の手続きをする
- 事業を開始する
起業の方法・手順についても順に解説していきます。
ビジネスプランを固める
何(What)を、誰に(To whom)、いつ(When)、どのように(How)、いくらで(How much)で売るかがそれぞれ明確になったら、それをドキュメントに落とし込みましょう。その落とし込まれたドキュメントが、すなわち「ビジネスプラン」です。ビジネスプランは、起業家のビジネスアイデアを実現するための具体的な行動計画となるものです。
ビジネスプランには、ビジネスアイデアの詳細に加え、ビジネスのスケジュール、市場や業界の環境、必要な資金と資金調達方法、当面のビジネスのゴールといった情報を盛り込みます。ビジネスプランは、必ずしも膨大である必要はなく、ビジネスアイデアの要点が明記されていれば十分です。
起業資金を集める
起業に必要な資金については、可能な限り自己資金を投じるのが望ましいでしょう。特に初めて起業するケースにおいては、金融機関から資金調達するハードルは高く、自己資金の範囲で賄えるビジネスで起業したほうがリスクは低いと考えられるからです。
では、手元にお金がない場合はどうすればよいのでしょうか。
例えば、起業に必要な資金の調達方法として、日本政策金融公庫から融資してもらうという方法があります。しかし、日本政策金融公庫から資金調達するにせよ、一定の自己資金の拠出は求められます。起業する場合、さまざまなリスクを考慮したうえで、できれば手元に十分な自己資金が貯まるまで起業を待つことをおすすめします。
起業の手続きをする
次に実際に起業する際に必要な手続きをみていきましょう。
起業する場合、主に会社(法人)または個人事業主で始めるケースが多いですが、会社を設立する場合は法人設立登記、個人事業主で始める場合は開業届の提出がそれぞれ必要になります。
ここで会社を立ち上げるべきか、それとも個人事業主として開業すべきか悩むところです。手続きの観点からいうと、特に法人のみしか取引できないといった事業でない限りは、個人事業主で開業するほうがスムーズに起業することができます。法人設立登記は、コストと手間がかかり、オペレーションもそれなりに労力が求められます。一方、個人事業主であれば、税務署へ開業届を提出するだけで、すぐに起業できるからです。
まずは個人事業主としてスタートし、事業が大きくなってきたら法人に切り替えるという選択肢もあります。特に事業の拡大は考えず、小規模な事業を計画している方には、個人事業主で起業することをおすすめします。
事業を開始する
事業を開始するタイミングは、どのように判断すべきでしょうか。
結論からいえば、起業家が事業開始を思い立ったときが事業開始のタイミングだといえます。業界的に明らかな閑散期であったり、どうみてもビジネスチャンスがなかったりというわけでなければ、起業家の判断で自由にスタートしましょう。
事業を開始したら、事業を開始したことを声高に宣伝しましょう。口コミをはじめとして、ホームページ、メール、ブログ、YouTube、FacebookやTwitterなどのSNS、ネット広告など、さまざまな手段を活用して宣伝します。
第一印象はとても重要です。そのため、起業してから宣伝方法を考えるのではなく、起業の準備段階からしっかりとした戦略を練って宣伝活動を行うことが大切です。
起業したい人が知っておくべき知識
起業したい人が知っておくべき最低限の知識として、以下の点が挙げられます。
- 税金
- 会計
- 法律
- マーケティング
会社員のときは、所得税や住民税などの税金は給料から差し引いて会社が税務署に納めていました。しかし、独立起業したら、すべて個人で行う必要があります。法人の場合にかかる法人税と、個人事業主の所得税では税率は異なるなど、ある程度基本的な知識がないときちんと納税できません。
また税金にも関連する売上管理なども自分で行わなければいけないことから、会計や簿記のほか、税法、民法などの法律の知識も重要です。会計や法務などは専門家に依頼することも可能ですが、何かトラブルが起きてからではせっかく起業したのに廃業に追い込まれる可能性もあるため、必要最低限の知識は知っておいたほうがよいでしょう。
そしてマーケティングの知識は、ビジネスを成功させるには、必要不可欠なものです。マーケティングに関する書籍やセミナーなどは数多くあるので、起業することを決めたらいろいろな考え方をインプットすることをおすすめします。
起業したいけどアイデアがない場合はどうする?
起業したいけれどアイデアがない場合はどうすればよいのでしょうか。
おすすめしたい方法として、「フランチャイズ」が挙げられます。フランチャイズは、特に飲食業や小売業などでよく採用されていますが、最近は介護、学習塾、ハウスクリーニング、フィットネス、整体、建設、不動産、美容、車整備、コインランドリーなどのさまざまな領域で行われています。加盟時のコストとロイヤリティ支払いの必要はありますが、優良なフランチャイズに加盟し、フランチャイジーとして活動を開始することで起業することができます。
フランチャイズで注意するべき点とは
注意するべき点は、フランチャイズの世界は「玉石混交」であることです。フランチャイザーの中には、フランチャイジーのビジネスプランを一緒に吟味し、オペレーションについてもバックアップしてくれる善良なフランチャイザーもいれば、フランチャイジーを単なる「金儲けの種」としかみていない、悪質なフランチャイザーもいます。
フランチャイズを検討する際は、既存のフランチャイジーから実際に話を聞くなど、十分なリサーチが必要です。また、最近はフランチャイズの情報に特化した専用ウェブサイトなどもあるので、そうしたところからも十分に情報を集めるべきでしょう。
「リーンスタートアップ」で起業する
起業したい人が知っておくべき知識のひとつとして、「リーンスタートアップ(Lean Startup)」というスキーム・コンセプトが挙げられます。リーンスタートアップは、1990年代頃よりシリコンバレーのベンチャー企業を中心に導入されたもので、出来るだけスモールスタートで起業し、時間をかけて育ててゆくという経営手法です。
最初から大規模にビジネスをスタートさせるよりも、小規模でスタートすることで相対的にリスクを抑えることができ、仮に失敗してもダメージを最小化できるといったメリットがあります。
もちろん、起業する際にはベースは必要ですが、起業してから少しずつビジネスを育て、グロースさせていくという考え方もあるので、参考にしてみてください。
女性が起業したい場合におすすめの職種
女性が起業したい場合、女性ならではの強みや優位性を活かせる領域で起業されることをおすすめします。具体的には下記のような職種が挙げられます。
- サービス業
- 医療
- 介護
- 飲食業
- 小売業
- EC
- 越境EC
特に、越境ECは起業されて成功された女性起業家も多いのでおすすめです。
女性起業家の成功事例
ある女性起業家は、海外に向けて日本の緑茶を販売するという事業計画を立て起業。京都の緑茶農家から仕入れた高級抹茶をもとに、小規模ECサイトを立ち上げ、主にアメリカとヨーロッパの消費者へ向けて販売を開始しました。
彼女は、購入者へ送る化粧箱に必ず和紙にお礼のメッセージを手書きしたものを同封し、一つひとつ丁寧に梱包。それを受け取ったある購入者はとても感激し、「日本からお茶を購入したら手書きのお礼メッセージが入っていた」とネットに投稿すると、評判は瞬く間に拡散され話題に。事業は一気に拡大し、大成功を収めました。
日本女性の細やかな心配りと丁寧な対応が功を奏し、購入者の心を打ったのです。女性ならではの気遣い・丁寧さといった強みを活かした好例といえるでしょう。
起業したいと思ったら、やるべきことを必ず確認しましょう!
何(What)を、誰に対して(To whom)、いつ(When)、どのようにして(How)、いくらで(How much)で売るかがそれぞれ明確になったとしても、それだけで必ずしも成功するとは限りません。そこで、実際に事業を立ち上げる前に、本当に消費者ニーズがあるのか確認しましょう。
事業立ち上げ前に行う簡単なこのテストを、アメリカではバリデーション(Validation)と呼んでいます。バリデーションは、「検証」「確認」などと訳されるもので、大規模に行う必要はありません。数人程度のモニターを募集し、実際に使ってもらって感想などをフィードバックしてもらうだけで十分です。
フィードバックを受けて改良を行い、それに対してさらにフィードバックをしてもらう。それを繰り返すことで製品のバリューを上げ、実際に市場に投入した際の「成功する確率」を高めてゆくのです。
事業の立ち上げが巧みな起業家の多くは、このバリデーションが上手なようにみえます。皆さんもご自分の事業を立ち上げる際は、バリデーションをしっかりと行うようにしてみてください。
よくある質問
起業したいと思ったらやるべきことは?
何(What)を、誰に(To whom)、いつ(When)、どのように(How)、いくらで(How much)で売るかをそれぞれ明確にし、ビジネスプランに落とし込むことが大切です。詳しくはこちらをご覧ください。
起業の成功確率を高めるポイントは?
実際に事業を立ち上げる前に、本当に消費者ニーズがあるのか確認するバリデーションをしっかりと行うことです。それにより実際に起業した際の成功率を高めることができます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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