• 作成日 : 2026年2月16日

経営の種類とは?会社形態や事業目的、経営資源、マネジメント手法による分類を解説

Point経営の種類とは?

法律上の会社形態に加え、重視する経営資源や意思決定手法による多角的な分類の総称です。

  • 組織形態:責任範囲やコストで選ぶ4つの会社形態
  • 経営資源:ヒト・モノ・カネ・情報の優先順位
  • 運営手法:DXやティール組織等の自律型マネジメント

最適な経営形態を選ぶには、事業目的を軸に、責任の範囲、資源の強み、経営者の資質の4ステップで適合性を判断するのが最適です。

経営の種類には、株式会社や合同会社といった法律上の分類だけでなく、事業目的や運営手法、重視する経営資源による多角的な分類が存在します。 現代のビジネス環境では、単に組織の形を整えるだけでなく、社会的な役割やデジタル化への対応、人的資本の活用など、自社のビジョンに合わせた経営スタイルを選択することが重要です。

本記事では、経営の多様な分類とそれぞれの特徴をわかりやすく解説します。組織運営の最適解を見つけるための参考にしてください。

法律上の会社形態による経営の種類は?

日本における主な経営形態は、責任の範囲や設立コストによって「個人事業主」「株式会社」「合同会社」「合名・合資会社」の4つに大きく分けられます。

1. 個人事業主

個人事業主は、法人格を持たず個人として事業を行う、最もハードルの低い経営形態です。税務署へ「開業届」を提出するだけで即座に活動を開始でき、設立費用もかかりません。小規模な店舗やフリーランスに適していますが、負債に対して全財産で責任を負う「無限責任」である点や、法人に比べて社会的信用を得にくい側面には注意が必要です。

2. 株式会社

株式会社は、株式を発行して資金を募る、日本で最も一般的な会社形態です。最大のメリットは社会的信用の高さにあり、金融機関からの融資や大手企業との取引、採用活動において有利に働きます。設立には20〜25万円程度の費用がかかり、維持管理の手間も発生しますが、将来的に事業拡大や上場を目指す場合には最適な選択肢です。

3. 合同会社(LLC)

合同会社は、低コストで設立でき、かつ迅速な意思決定が可能な現代的な形態です。設立費用が6〜10万円程度と株式会社の半分以下で済み、決算公告の義務もないため維持費も抑えられます。近年ではAmazonやGoogleの日本法人も採用しており、認知度が高まっています。株式会社にこだわらず、実利を優先して法人化したい場合に合理的です。

4. 合名会社・合資会社

これらは出資者が会社の負債に対して無制限に責任を負う、現在では採用例の少ない形態です。万が一の倒産時に個人の資産を失うリスクが極めて高いため、現代のビジネスにおいてあえて選ぶメリットはほとんどありません。特別な理由がない限りは、責任が限定される株式会社や合同会社を選択するのが賢明と言えます。

事業目的や社会的役割による経営の種類は?

「何のために事業を行うか」という目的によって、以下の3つに大別され、それぞれ運営のあり方が異なります。

1. 営利組織(株式会社・合同会社など)

営利組織は、事業活動を通じて得た利益を出資者に配当することを主目的とした組織です。現代の日本における民間企業の主流であり、株式会社のように「所有と経営」を分離するものから、合同会社のように一致させるものまで存在します。利益の追求が持続的なサービス提供の原動力となります。

2. 非営利組織(NPO法人・一般社団法人)

非営利組織は、社会貢献活動や公益の増進を主目的とする経営形態です。「非営利」とは利益を上げてはいけないという意味ではなく、得た利益を構成員で分配せず、すべて次年度以降の活動資金に充当することを指します。NPO法人や一般社団法人がこれに該当し、独自の使命感に基づいた運営が行われます。

参考:NPOのイロハ|内閣府NPOホームページ

3. 公的組織(公社・公団・独立行政法人)

公的組織は、国や自治体が主体となり、市場原理だけでは維持できない公共インフラやサービスの提供を目的とする形態です。郵便や水道、先端技術の研究開発などが挙げられ、多くは独立行政法人への移行や民営化が進んでいます。公共の利益を最優先し、社会の基盤を支える役割を担っています。

参考:総務省|独立行政法人制度等

経営資源(4大資源)による経営の種類は?

営とは、限られた資源を効率的に配分し、価値を最大化する活動です。何を重視して資源を投下するかで、経営の方向性は大きく変わります。

1. ヒト(人的資源)

ヒトに関する経営は、人材の確保・育成・配置を通じて組織全体のパフォーマンスを飛躍させることを目指します。 従業員を単なる労働力(コスト)ではなく、価値を生む資本と捉える「人的資本経営」がその代表例です。モチベーション管理やエンゲージメント向上に投資することで、個々の能力を最大限に引き出し、持続的な企業価値の向上を図るアプローチが重視されています。

2. モノ(物的資源)

モノに関する経営は、商品、設備、原材料などの物理的な資産を最適に管理し、提供価値を安定させることに注力します。 在庫の最適化や設備の稼働率向上、サプライチェーンの効率化が主な課題となります。特に製造業や小売業においては、この物的資源の管理精度が収益性に直結するため、無駄を削ぎ落とすリーン経営や徹底した品質管理が不可欠な戦略となります。

3. カネ(資金資源)

カネに関する経営は、資金調達資金繰り、投資判断を適切に行い、事業の持続可能性を担保するものです。 どのタイミングで外部から資金を募り、得られた利益をどの事業に再投資するかという判断は、経営者の手腕が最も問われる部分です。自己資金を重視する着実な経営から、レバレッジを効かせた急成長を狙う経営まで、資金戦略によって企業の姿は一変します。

4. 情報(知的資源)

情報に関する経営は、データ、ノウハウ、知的財産を戦略的に活用し、市場での優位性を確立する手法です。 現代においては、蓄積されたデータをAIで分析し、経営判断や顧客体験の向上に活かす「DX経営」が欠かせません。物理的な資源とは異なり、一度確立したノウハウやブランドといった情報資源は、他社との差別化を図る強力な武器となります。

経営者の資質やタイプによる経営の種類は?

経営者の性格や得意分野によって、社風や成長の仕方は大きく異なります。自身のタイプを理解することが強みを活かす近道です。

経営者のタイプ主な特徴と強み向いている事業
クラフトマン技術や製品の質に徹底的にこだわる職人気質伝統工芸、専門技術サービス
仕組みづくり型誰がやっても成果が出るシステム構築が得意フランチャイズ、ITプラットフォーム
演出家(プロデューサー)独自の世界観やブランドイメージの創出に長けるファッション、エンタメ、ブランド
フェローシップ仲間を集め、楽しさや共感を重視するリーダーコミュニティ、スタートアップ

組織運営のマネジメント手法による経営の種類は?

マネジメント手法は、意思決定のプロセスや組織の階層構造によって分類されます。市場のスピード感に合わせて最適な手法を選ぶことが重要です。

1. トップダウン経営・ボトムアップ経営

トップダウン経営は経営層が迅速に意思決定を行う一方、ボトムアップ経営は現場の意見を吸い上げて組織を動かす手法です。

トップダウンは変化の激しい市場での迅速な判断に優れますが、現場の自律性を損なう恐れがあります。一方、ボトムアップは現場の創意工夫を活かしやすい反面、合意形成に時間がかかるため、事業のフェーズに応じた使い分けが重要です。

2. ティール組織・ホラクラシー経営

ティール組織やホラクラシー経営は、従来の上下関係を排し、メンバーが自律的に意思決定を行う次世代型の経営手法です。組織全体を一箇所の生命体のように捉え、変化への高い適応力を発揮します。ただし、この形態を機能させるには、メンバー全員に高い自己管理能力と理念への深い共感が求められます。

3. 持株会社制(ホールディングス経営)

持株会社制は、親会社がグループ全体の戦略を担い、各事業会社が実務に専念する多角化経営に適した形態です。事業部ごとの独立採算制を明確にでき、M&Aや事業承継をスムーズに進められるメリットがあります。大企業が複数の異なるビジネスを展開する際によく用いられる構造です。

現代のビジネスシーンで注目される新しい経営の種類は?

社会情勢の変化に伴い、従来の枠組みに捉われない新しい経営のあり方が注目されています。 これらは企業の生存戦略としての側面を強めています。

1. DX経営

DX経営は、デジタル技術を駆使して製品やビジネスモデル、組織そのものを根本から変革する経営の種類です。 単なるITツールの導入にとどまらず、蓄積されたデータを経営判断に活用することで、競争優位性を確立することを目指します。 変化の激しい現代において、顧客ニーズへ迅速に対応し続けるための必須戦略となっています。

2. サステナブル経営(ESG経営)

サステナブル経営は、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の視点を取り入れ、長期的な価値向上を目指す経営手法です。 短期的な利益追求だけでなく、地球環境の保護や社会課題の解決を事業戦略に組み込むことで、投資家や消費者からの信頼を獲得します。持続可能な社会の実現と企業の成長を両立させる、現代の標準的な経営モデルです。

自社に最適な経営スタイルを選択するための手順は?

本記事で解説した多角的な経営の分類を、以下のステップで検討することで、自社にとっての最適解を導き出すことが可能です。

1. 事業目的や社会的役割を定義する

まずは、組織の事業目的や社会的役割を明確化します。

  • 営利組織:利益を上げて配当を行いたい場合に選択します。
  • 非営利・公的組織:社会課題解決や公共サービスを主目的とする場合に検討します。

2. 責任の範囲と資金調達計画を策定する

次に、具体的な法律上の会社形態(株式会社・合同会社など)を決定します。

  • 株式会社:外部から広く資金を募り、社会的信用を重視して拡大を目指す場合に最適です。
  • 合同会社:設立コストを抑え、少人数で迅速に意思決定したい場合に適しています。

3. 経営資源の優先順位を分析する

自社が持つ4大資源(ヒト・モノ・カネ・情報)のうち、どこに強みがあるか、何を最重視するかを明確にします。

  • 人的資本経営・DX経営:「ヒト」や「情報」を重視するなら、これらの現代的な経営スタイルを軸に据えます。
  • リーン経営:「モノ」や「カネ」の効率を重視する製造・小売業などで採用を検討します。

4. 組織文化と意思決定の仕組みを決定する

経営者の性格と、望ましい組織のあり方を合致させます。

  • トップダウン・ホールディングス:迅速な判断や多角化を狙う場合に選択します。
  • ティール組織・ホラクラシー:現場の自律性や共感を重視する「フェローシップ型」のリーダーに適しています。

5. 社会的要請(DX・ESG)への対応方針を確認する

最後に、現代のビジネス環境で生き残るための新しい経営の手法を戦略に組み込みます。

  • DX経営:デジタル変革を組織の前提として組み入れます。
  • サステナブル経営(ESG経営):長期的な信頼獲得のため、環境や社会への配慮を実務に落とし込みます。

時代に適した組織運営と経営形態の選択を

経営の種類には、法律上の枠組みから運営の手法まで多岐にわたる選択肢が存在します。大切なのは、これらを固定的なものと考えず、事業の目的や規模に合わせて柔軟に使い分けることです。

自社のビジョンに最適なスタイルを構築し、持続可能な組織作りを目指しましょう。


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