- 作成日 : 2026年1月14日
社団法人とは?財団法人との違いや作り方、メリット、理事への給料まで簡単に解説
社団法人とは、ある目的のために集まった人の集団に対して法的な人格(法人格)が付与された非営利法人のことです。かつては設立に厳しい許可が必要でしたが、2008年の公益法人制度改革以降は、登記のみで設立できる「一般社団法人」と、より公益性が高いと認定された「公益社団法人」の2種類に大別されるようになりました。
本記事では、社団法人の定義から、一般社団法人・公益社団法人の違い、株式会社やNPO法人との比較、そして設立のメリット・デメリットまで、初心者にもわかりやすく解説します。
目次
社団法人とは?
社団法人とは、ある目的のために集まった「人の集団」に対して法人格が付与された非営利法人です。
ここで言う「非営利」とは、「利益を出してはいけない」という意味ではなく、「利益を構成員(社員や株主など)に分配してはいけない」という「分配禁止の原則」を指します。
従来の民法とは異なり、現在は登記のみで設立可能な「一般社団法人」からスタートし、さらに高い公益性が認められれば「公益社団法人」へと移行する仕組みになっています。ボランティア団体や業界団体だけでなく、収益事業を行う受け皿としても活用されています。
社団法人の英語表記
一般社団法人の英語表記は、一般的に「General Incorporated Association」が用いられます。
名刺やWebサイト、定款の翻訳などで英語表記が必要な際は、法人名の後にこの表記を添えるか、略称である「G.I.A.」を使用するのが通例です。一方で、公益認定を受けた公益社団法人の場合は、「Public Interest Incorporated Association」と訳されます。
海外との取引や外国人向けの案内を行う可能性がある場合は、法人格の性質を正しく伝えるために、これらの正式な英語表記を使い分けることが重要です。
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一般社団法人と公益社団法人の違いは?
一般社団法人と公益社団法人の違いは、以下の通りです。
| 比較項目 | 一般社団法人 | 公益社団法人 |
|---|---|---|
| 設立の難易度 | 登記のみ | 認定審査あり |
| 事業の制限 | 原則なし | あり (公益目的事業が50%以上) |
| 税制優遇 | 原則なし (非営利型は優遇あり) | あり (寄付金控除などが適用) |
| 社会的信用 | 普通~高い | 非常に高い |
| 監督官庁 | 原則なし | 内閣府または都道府県 |
設立の難易度
設立の手続きにおいて、一般社団法人は法務局での登記のみで完了するため、難易度は低めです。公証役場での定款認証などは必要ですが、行政庁の許認可は不要で、最短2週間程度で設立できます。
一方、公益社団法人は、一般社団法人として設立した後に、内閣府または都道府県の公益認定等委員会による認定審査を受ける必要があります。この審査は非常に厳格であり、申請書類の作成から認定までに数ヶ月から半年以上の期間を要することも珍しくありません。
事業の制限
事業内容の自由度に関しては、一般社団法人の方が圧倒的に高く、法令に違反しない限りどのような事業でも行うことができます。収益事業を主軸にすることも可能です。
対して公益社団法人は、「公益目的事業の比率が全体の50%以上であること」などの認定基準を満たし続ける必要があります。収益事業を行うことは可能ですが、あくまで公益目的事業を支えるための活動という位置付けであり、事業運営には制約が伴います。
税制優遇
税制面では、公益社団法人が大きなメリットを享受できます。公益社団法人は法人税等の優遇措置に加え、寄付をした個人や法人が「寄付金控除」を受けられるため、寄付金を集めやすい環境が整っています。
一般社団法人は、原則として株式会社と同じ「普通法人」として全所得に課税されます。ただし、「非営利型一般社団法人」の要件(剰余金の分配禁止規定など)を満たせば、収益事業以外の所得が非課税になる措置を受けることが可能です。
社会的信用
社会的信用度は、国の認定を受けている公益社団法人の方が高いと評価されます。公益認定を受けていること自体が、組織の透明性や公益性を国が保証している証明となるためです。
一般社団法人も法人格を持つため、個人事業主や任意団体に比べれば信用力はあり、銀行口座の開設や契約締結はスムーズに行えます。しかし、誰でも比較的容易に設立できるため、公益社団法人ほどの圧倒的なブランド力はありません。
監督官庁
運営中の監督体制について、一般社団法人には原則として特定の監督官庁が存在しません。自分たちで定めた定款や法令(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)に則って自律的に運営します。
一方、公益社団法人は内閣府または都道府県が監督官庁となり、認定後も定期的な報告義務が発生します。適切な運営が行われているか厳しい監督下に置かれるため、事務負担は一般社団法人よりも重くなります。
社団法人とその他の法人の違いは?
社団法人とその他の法人の違いについても解説します。
財団法人との違いは?
社団法人は「人」の集まりに法人格が与えられるのに対し、財団法人は「財産(お金や土地)」に法人格が与えられます。
- 社団法人:設立には社員(構成員)が2名以上必要です。人の意思決定(社員総会)によって運営されます。同窓会、学会、業界団体などが典型的です。
- 財団法人:設立には300万円以上の財産拠出が必要です。寄付された財産の運用益などで事業を行い、評議員会などが運営を監督します。美術館や奨学金財団などがこれにあたります。
株式会社との違いは?
株式会社は利益を株主に配当できますが、社団法人は利益を分配できません。
株式会社は「営利法人」であり、事業で得た利益を株主に配当として還元することが主な目的の一つです。一方、社団法人は「非営利法人」であるため、余剰利益が出ても社員(構成員)に分配することは法律で禁止されています。ただし、役員報酬や従業員への給与として支払うことは正当な対価として認められています。
NPO法人(特定非営利活動法人)との違いは?
一般社団法人はNPO法人に比べ、設立までの期間が短く、活動内容に制限がありません。
- NPO法人:活動内容は20種類の特定非営利活動に限定されます。所轄庁の認証が必要で、設立まで約3〜5ヶ月かかります。
- 一般社団法人:法令に違反しない限りどのような事業でも行えます。認証が不要なため、最短2週間程度で設立可能です。
参考:特定非営利活動(NPO法人)制度の概要|内閣府NPOホームページ
一般社団法人の設立手順は?
一般社団法人の設立は、定款の作成から登記申請まで、大きく5つのステップで完了します。
1. 基本事項の決定
法人の名称、主たる事務所の所在地、事業目的、役員(理事など)、社員(設立時社員として2名以上必要)を決定します。
2. 定款の作成
組織のルールブックである「定款」を作成します。ここには、名称や目的のほか、機関設計(理事会の設置有無など)を明記します。
3. 公証役場での定款認証
作成した定款は、公証役場で公証人の認証を受ける必要があります。これにより、定款が法的に正当なものであると証明されます。株式会社と異なり、定款認証の手数料は約5万円かかりますが、電子定款の場合は印紙代(4万円)は不要です。
4. 設立時理事の選任
定款で定めていない場合、設立時社員の決議によって理事や監事を選任します。
5. 法務局への設立登記申請
管轄の法務局へ登記申請書類を提出します。この申請日が「法人設立日」となります。提出から1〜2週間程度で登記が完了し、履歴事項全部証明書が取得できるようになります。
社団法人を設立するメリットは?
社団法人を設立することには、資金面でのハードルの低さや、法人格取得による信用の向上など、組織化を目指す団体にとって多くのメリットがあります。
資本金0円で設立可能
株式会社を設立する場合や財団法人を設立する場合とは異なり、社団法人は資本金や基本財産の拠出が法律上求められていません。
制度上、資本金0円でのスタートが可能であるため、初期費用を抑えたいボランティア団体や、資金力が少ないコミュニティの法人化にとって非常に大きなメリットです。
ただし、定款認証手数料や登録免許税などの法定費用(約11万円〜)は別途必要となるため、手元資金が全く不要というわけではない点には注意が必要です。
法人格による社会的信用の獲得
個人や任意団体のままでは難しかった契約や手続きが、法人格を持つことでスムーズに行えるようになります。
具体的には、個人名義ではなく法人名義での銀行口座開設、事務所の賃貸契約、携帯電話の契約などが可能になります。
対外的な信用力が増すことで、大手企業との取引や行政からの業務委託などが受けやすくなり、活動の幅を大きく広げるチャンスにつながります。
事業承継や継続性の高さ
社団法人は「人」が集まってできた組織ですが、法的には構成員個人とは切り離された存在です。そのため、中心人物が引退したりメンバーが入れ替わったりしても、組織自体は存続します。
個人事業主の場合、本人が亡くなると事業資産や契約関係の承継手続きが煩雑になりがちですが、社団法人であれば代表者の変更登記などを行うだけで、組織としての活動を永続的に維持することができます。この継続性の高さは、長期的な活動を行う上で重要な基盤となります。
社団法人を設立するデメリット・注意点は?
メリットが多い一方で、社団法人には非営利法人特有の制約や、運営上の厳格なルールが存在します。
配当禁止の原則
社団法人は「非営利法人」であるため、どれだけ大きな利益が出ても、それを社員(構成員)に配当という形で分配することは法律で固く禁じられています。
株式会社であれば、利益を株主に配当して還元することが可能ですが、社団法人では余剰利益が出た場合、翌年度の事業活動や法人の財産としてプールしなければなりません。そのため、投資家から出資を募り、利益をリターンとして返すようなビジネスモデルには構造的に不向きです。
厳格な事務手続き
公益社団法人を目指す場合や認定を受けた後は、事務負担が非常に大きくなるというデメリットがあります。公益認定を受けるための審査基準は23項目にも及び、認定後も事業計画書や決算書類を定期的に行政庁へ提出する義務が生じます。
一般社団法人であっても、理事会の開催や議事録の保存など、法令に基づいた運営が求められます。個人事業のような自由気ままな運営はできず、バックオフィス業務に一定のリソースを割く必要があることを覚悟しなければなりません。
社団法人についてよくある質問
最後に、社団法人についてよくある質問とその回答をまとめました。
儲かる事業を行ってもいいですか?
はい、株式会社と同様に収益事業を行い、利益を上げることは問題ありません。
ただし、社団法人には「分配禁止」のルールがあります。株式会社が利益を株主に配当として分配できるのに対し、社団法人は利益が出ても社員に分配することはできません。余った利益は、翌年度の事業活動や法人の財産としてプールする必要があります。
理事への給料や役員報酬は支払えますか?
はい、理事や監事への役員報酬、従業員への給料は労働の対価として支払うことができます。
「非営利=無給」というのはよくある誤解です。健全な運営を行い、優秀な人材を確保するためには、適切な報酬を支払うことがむしろ重要です。ただし、不当に高額な報酬を設定した場合は、実質的な「利益分配」とみなされ、税務上の問題や非営利性の否定につながる可能性があるため、常識的な範囲内で設定する必要があります。
ご自身の活動目的に合わせた法人格の選択を
社団法人とは、人の集まりに法人格を持たせた組織であり、スピード重視で自由度の高い「一般社団法人」と、高い公益性と税制優遇を持つ「公益社団法人」に分かれます。株式会社のように利益の配当はできませんが、NPO法人よりも設立や事業の自由度が高く、同窓会や業界団体、あるいはソーシャルビジネスの受け皿として非常にバランスの取れた選択肢です。
ご自身の活動が収益中心なのか、社会貢献中心なのか、また将来的に寄付金を募りたいのかなどに合わせて、最適な法人格を選択してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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