- 作成日 : 2024年1月26日
新たな加工食品の原料原産地表示制度とは?改正内容や注意点を紹介
2022年4月1日から、新たな加工食品の原料原産地表示制度が全面施行されました。対象となる加工食品の販売事業者は、新表示制度に準拠した原料原産地の表示を行う必要があります。本記事では、新たな加工食品の原料原産地表示制度の改正内容や注意点などを解説します。
目次
新たな加工食品の原料原産地表示制度とは?
食品に関する表示方法は、食品衛生法に基づく「食品表示基準」で定められています。
2017年9月1日に施行された改正食品表示基準により、新たな加工食品の原料原産地表示制度が導入されました。同制度には経過措置が設けられていましたが、2022年4月1日以降は全面施行されるに至っています。
新たな加工食品の原料原産地表示制度では、加工食品の原料原産地の表示について、従来から主に以下の変更が行われました。
①原料原産地表示の対象となる加工食品の拡大
従来は22食品群と4品目に限られていましたが、新制度では輸入品を除くすべての加工食品について原料原産地表示が義務付けられました。
②原料原産地表示の対象原材料の変更
従来は製品に占める重量割合が50%以上である原材料と、個別に定めた4品目の原材料について原産地を表示すべきものとされていましたが、新制度では原則として、製品に占める重量割合1位の原材料が原産地表示の対象とされました。
③新たな原料原産地表示方法の追加
従来は原則として、国別・重量順の表示が義務付けられていました。新制度でも引き続き国別・重量順の表示が原則ですが、これが困難な場合には「又は表示」や「大括り表示」が認められるようになりました。
④製造地表示
また、対象原材料が中間加工原材料である場合には、原則として製造地表示を行うものとされました。
⑤おにぎりののり
おにぎりに使用したのりの原料(原そう)について、原産地を国別・重量順に表示すべきものとされました。
⑥業務用加工食品
業務用加工食品について、原料原産地表示義務の対象範囲が拡大されました。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ30選
業務委託契約書など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
導入で失敗したくない人必見!電子契約はじめ方ガイド
電子契約のキホンからサービス導入の流れまで、図解やシミュレーションを使いながらわかりやすく解説しています。
社内向けに導入効果を説明する方法や、取引先向けの案内文など、実務で参考になる情報もギュッと詰まった1冊です。
紙も!電子も!契約書の一元管理マニュアル
本ガイドでは、契約書を一元管理する方法を、①紙の契約書のみ、②電子契約のみ、③紙・電子の両方の3つのパターンに分けて解説しています。
これから契約書管理の体制を構築する方だけでなく、既存の管理体制の整備を考えている方にもおすすめの資料です。
自社の利益を守るための16項目!契約書レビューのチェックポイント
法務担当者や経営者が契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
弁護士監修で安心してご利用いただけます。
法務担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ
法務担当者がchat GPTで使えるプロンプトのアイデアをまとめた資料を無料で提供しています。
chat GPT以外の生成AIでも活用できるので、普段利用する生成AIに入力してご活用ください。
加工食品の原料原産地の適切な表示方法は?
現行の食品表示基準では、輸入品以外のすべての加工食品について原料原産地名の表示が義務付けられています(3条2項)。
原料原産地表示が義務付けられているのは、使用した原材料に占める重量の割合が最も高い原材料(=対象原材料)です。ただしその他の原材料についても、対象原材料と同様の要領で表示できます。
生鮮食品である対象原材料については、国産品であれば「国産」、輸入品であれば原産国名を記載します。加工食品である対象原材料については、「国内製造」「(原産国名)製造」などと記載します。
ただし、国産品である対象原材料については、「国産」「国内製造」の表示に代えて、都道府県名その他一般に知られている地名を用いた表示を行うこともできます。
(例)
<原料原産地を原材料の次に括弧を付して表示する場合>
豚肉(鹿児島県)
豚肉(アメリカ)
りんご果汁(国内製造)
りんご果汁(ドイツ製造)
<原材料名とは別に原料原産地名を表記する場合>
原材料名 豚肉
原料原産地名 鹿児島県(豚肉)
原材料名 豚肉
原料原産地名 アメリカ(豚肉)
原材料名 りんご果汁
原料原産地名 国内製造(りんご果汁)
原材料名 りんご果汁
原料原産地名 ドイツ製造(りんご果汁)
また、新たな加工食品の原料原産地表示制度では、「又は表示」と「大括り表示」が認められる場合があります。いずれも過去の産地別使用実績および今後の産地別使用計画から見て、国別・重量順の表示が困難な場合に、根拠書類の保管を条件として認められます。
| 「又は表示」とは |
|---|
| 原料原産地の可能性がある複数国を、過去の使用実績等に基づき、使用が見込まれる重量割合の高いものから順に「又は」で繋いで表示する方法です。 原産国が3か国以上ある場合は、重量割合の高いものから順に国名を表示したうえで、3か国目以降を「その他」と表示できます。 なお「又は表示」を行う際には、使用実績順に原料原産地を記載している旨を明記しなければなりません。 (例) 豚肉(アメリカ又はカナダ又はその他) ※豚肉の産地は、○年の使用実績順 <原材料名とは別に原料原産地名を表記する場合> 原材料名 豚肉 ※豚肉の産地は、○年の使用実績順 |
| 「大括り表示」とは |
|---|
| 3か国以上の外国の原産地表示を「輸入」と括って表示する方法です。輸入品と国産品を混合して使用する場合は、重量割合の高いものから順に表示します。 (例) 豚肉(国産、輸入) <原材料名とは別に原料原産地名を表記する場合> 原材料名 豚肉 ※上記の例ではいずれも、
|
加工食品の原料原産地表示制度のガイドライン等
加工食品の原料原産地表示制度を含む食品表示については、消費者庁ウェブサイトにおいて事業者向けの「早わかり食品表示ガイド」が公表されています。
参考:パンフレット|消費者庁
参考:早わかり食品表示ガイド(令和5年3月版・事業者向け)|消費者庁
また、新たな加工食品の原料原産地表示制度については、消費者庁ウェブサイトにおいて改正のポイントがまとめられています。
参考:新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報|消費者庁
加工食品の販売事業者は、上記の各公表資料の内容をチェックし、適切な食品表示に努めましょう。
加工食品の原料原産地表示制度について事業者が気をつけるべきポイント
加工食品の販売事業者は、自ら販売する加工食品の原料原産地表示について、新制度に沿った内容になっているかどうか確認する必要があります。
従来の表示を漫然と使い続けていると、消費者庁から食品表示義務違反を指摘され、措置命令や公表処分を受けることになりかねません。これらの行政処分を受けた場合、販売事業者としてのレピュテーションは大きく毀損されてしまうでしょう。
新たな加工食品の原料原産地表示制度への対応が済んでいない販売事業者は、早急に自社商品の食品表示を見直し、新制度に適合した内容に改めることをおすすめします。
新制度に対応して、適切な加工食品の原料原産地表示を
加工食品を含む食品に関する表示方法のルールは、食の安全性に関する社会通念の変化などを反映し、時代に合わせて変更されていくものです。
特に近年では、加工食品の原料原産地表示について、一般消費者の関心が高まっています。加工食品の販売事業者は、最新の法令改正の内容を正しく理解し、新制度に沿った原料原産地表示を行いましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
独占禁止法とは?違反した企業の事例や規制内容、罰則をわかりやすく解説
独占禁止法は公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることを目的とする法律で、中小企業を含む事業者が対象です。独占禁止法に違反すると公正取引委員会から排除措置命令が出され、無視すると罰則が科されます。事業者…
詳しくみる意匠法とは?概要や事業者が知っておくべき点をわかりやすく解説
意匠法(いしょうほう)とは、意匠の保護と利用を図る法律です。意匠の創作を奨励し、産業の発達に寄与するために作られました。意匠法とは何か、また、意匠登録をするべきケースや手順、注意点などについて解説します。意匠法について事業者が知っておくべき…
詳しくみるフリーランス新法対応の発注書の書き方・無料テンプレート
「フリーランス新法対応の発注書」とは、2024年に施行されたフリーランスの働き方の透明性を高めるための法律に基づき、発注者がフリーランスに業務を依頼する際に用いる文書です。 業務内容や報酬、納期などの重要事項を明確にすることで、双方のトラブ…
詳しくみる下請法3条書面とは?記載事項、サンプル、書き方やメール交付、5条との違いを解説
「下請法3条書面」とは、下請法に基づいて親事業者に交付義務が課されている書面です。3条書面には、下請法および公正取引委員会規則に定められた事項を、漏れなく記載する必要がありますが、具体的な書き方がわからずに困っている方もいるでしょう。 そこ…
詳しくみる個人情報保護法に違反した場合の罰則は?企業や従業員個人へのペナルティを解説
個人情報保護法とは、個人情報の取り扱いについて定めた法律です。違反があった際の罰則規定も定められており、近年の改正により罰則内容が強化されました。 本記事では、個人情報保護法違反があった時の罰則規定について解説します。罰則が科されるケースや…
詳しくみるフリーランス新法で個人事業主は何を確認すべき?メリットや違反への対応を解説
フリーランス新法で個人事業主の権利が強化されます。2024年11月施行予定のこの法律は、フリーランスの労働環境を保護し、多様な働き方をサポートすることになるでしょう。 本記事では、新法のメリットや個人事業主が確認すべき点、違反への対応方法な…
詳しくみる


