- 更新日 : 2024年8月29日
地上権設定契約書とは?ひな形をもとに役割や書き方を解説
地上権設定契約書とは、地上権を設定する契約締結で作成する契約書です。地上権は建物や工作物などを所有するために土地を使用する権利を指します。地上権者は土地所有者の承諾なく権利を自由譲渡でき、抵当権の設定も可能です。
本記事では、地上権設定契約書の概要やテンプレートに沿った基本事項の書き方などを解説します。
目次
地上権設定契約書とは?
地上権とは、建物や工作物などを所有するために、他人の土地を使用する権利のことです。
地上権設定契約書は、地上権を設定するために契約をかわす書面です。地上権の内容を明確にする役割があります。
同じ土地を借りる権利に借地権はありますが、借地権は賃料を払い使用させてもらう「債権」であるのに対し、地上権は「物権」であり、物や権利を直接に支配できる権利です。
住宅を建てるために地上権が設定されることはほとんどなく、主に以下のような用途で設定されます。
- 太陽光発電パネルの設置
- 地下鉄のトンネル
- 鉄道の高架を設営など
特に、太陽光発電パネルの設置で地上権を設定するケースが少なくありません。太陽光発電の設置は投資目的で行われることも多く、太陽光発電の所有者が変わっても地上権は自由に譲渡できるためです。
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地上権設定契約書の基本事項
地上権設定契約書に記載する基本事項について、項目ごとに内容をみていきましょう。
契約の目的
契約書の冒頭には、まず次のような文言を記載します。
土地所有者◯◯(以下「甲」という。)と地上権者◯◯(以下「乙」という。) とは、以下のとおり、甲所有の別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)に ついて、地上権設定契約(以下「本契約」という。)を締結した。
それに続けて、地上権の目的を記載します。
次のような文言になります。
甲と乙は、乙の◯◯の目的のために本件土地に地上権を設定するものとする。
◯◯には、契約を設定するそれぞれの目的を記載してください。
地上権の存続期間
地上権をいつまで使用するか、期間を記載します。
記載例を紹介しましょう。
本契約による地上権の存続期間は、本契約の締結日から ◯年◯月◯日 までとする。
期間の満了に際して、甲及び乙は、事前の協議により本契約を更新することができる。
地代等
地上権で支払う地代について記載します。次のような内容です。
本契約の地代は月額◯◯円とし、乙は毎月末日限り翌月を甲が指定する口座へ振り込む方法により支払うものとする。ただし、振込手数料は、乙の負担とする。
登記
地上権の登記について記載します。記載例は次のとおりです。
乙は、本契約締結後、速やかに地上権の設定登記を行えるものとし、甲はこれに必要な書類等を乙に提出するものとする。ただし、地上権設定の登記費用は乙の負担とする。
通知義務
所定事項がある場合、土地所有者から地上権者へ通知すべき義務を記載します。通知義務を定めたほうがよい事由は、以下のような場合です。
- 住所、商号などの変更を行ったとき
- 仮差押え、差押え、その他の強制執行、もしくは競売の申し立てなどを受けたとき
- 破産手続開始、民事再生手続開始などの申し立てがあったとき
善管注意義務
善管注意義務とは、社会通念上もしくは客観的に見て当然要求される注意を払う義務のことです。土地所有者が、土地を善良な管理者の注意をして使用し、土地の原状回復が困難となるような使用をしてはならないことを記載します。
契約解除権
地上権者が支払いを延滞したときや破産手続などの申し立てがあったときに通知・催告を要することなく契約を解除できることを記載します。
また、契約当事者双方が契約に違反し、違反の程度が著しく信頼関係を損なうものである場合にも通知・催告なく契約を解除できることを記載するのが一般的です。
地上権の消滅
災害や公用土地収用など、当事者の責任がない事由で目的に沿った利用ができなくなったときは地上権が消滅し、契約が解約されることを記載します。
原状回復
契約が存続期間満了もしくは契約解除その他の事由で終了したときは、地上権者は直ちに土地を原状回復して土地所有者に明け渡し、返還しなければならないことを記載します。
権利の譲渡
土地所有者が土地を第三者に譲渡しようとするときは、事前に地上権者に通知し、土地の優先交渉権を地上権者に与えることを記載します。
また、地上権者は土地所有者に書面の通知をして地上権を第三者に譲渡できるため、その旨も契約書に記載します。
費用負担
土地に関する税金と、契約書に貼付する印紙代の費用負担について記載します。土地の税金は土地所有者の負担となり、契約書に貼付する印紙代は地上権者が負担します。
損害賠償義務
契約当事者双方は自己の責任で相手方に損害を与えたとき、直ちに損害賠償をする義務があることを記載します。
管轄裁判所の合意
契約に基づく権利義務に関する紛争がある場合、管轄になる地方裁判所または簡易裁判所を記載し、合意することを記載します。
規定外事項
契約に定めのない事項や契約の各条項の解釈に疑義を生じた事項がある場合、当事者双方が誠意をもって協議し、解決を図るという趣旨の文言を記載します。
地上権設定契約書に収入印紙は必要?
地上権設定契約書は、国税庁が設定する印紙税が必要な「第1号文書」に分類され、印紙税がかかります。書面に記載された契約金額によって金額が異なります。契約金額とは土地の地上権設定にかかる代金であり、契約に際して相手方に交付し、後日返還されることが予定されていない金額のことです。
契約書に記載された地代等の金額が1万円未満のものは課税されず、収入印紙の貼付は不要です。10万円以下は200円、10万円を超えて50万円以下の場合は300円など、金額ごとに設定されています。例えば、地代が5万円の場合、契約書には200円の収入印紙を貼付します。
参考:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
地上権設定契約書は基本事項を確認しよう
地上権とは建物や工作物などを所有するために土地を使用する権利のことで、設定には地上権設定契約書の作成が必要です。契約書には記載すべき基本事項があり、契約内容と合致しているかよく確認しなければなりません。地代の金額によっては印紙税がかかり、収入印紙の貼付が必要です。
契約書を作成するときは、テンプレートの使用がおすすめです。その際は、紹介した無料ダウンロードをご活用ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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