- 更新日 : 2025年6月23日
建物賃貸借契約更新契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
建物賃貸借契約更新契約書とは、建物賃貸借契約を更新する際に建物の賃貸人と賃借人が締結する契約書です。
この記事では、建物賃貸借契約更新契約書の書き方についてご紹介します。建物賃貸借契約更新のポイントや契約書を作成する際の注意点についても見ていきましょう。
目次
建物賃貸借契約とは
建物賃貸借契約とは、賃貸人(建物を貸す人。大家さん)と賃借人(建物を借りる人。入居者)が締結する契約です。この契約を締結することで賃借人には建物を使用する権利が、賃貸人にはその対価として賃料を受け取る権利が発生します。
建物賃貸借契約は満了期間が決められており、契約が満了したら契約を更新するか賃借人が物件から退去します。
建物賃貸借契約の更新に必要な手続き
建物賃貸借契約を更新する場合、一般的には契約満了日の1~3か月前までに賃貸人から賃借人に契約満了日が近づいている旨と契約更新に関する通知が出されます。賃借人は建物賃貸借契約更新契約書に署名押印をして賃貸人に返送したうえ、建物賃貸借契約更新にかかる費用を指定された期日までに支払います。
建物賃貸借契約の更新にかかる費用
建物賃貸借契約の更新に必要となる費用としては更新料、更新保証料、損害保険料が挙げられます。
更新料とは、賃借人が賃貸人もしくは管理会社に対して支払う手数料です。更新保証料とは、賃借人が保証会社と保証委託契約を締結している場合に、保証会社に対して賃借人が支払う手数料です。損害保険料とは住宅火災保険や住宅総合保険の保険料を指します。加入者は賃貸人となりますが、一般的には実際に建物を使用している賃借人が負担します。
建物賃貸借契約の更新料の相場
更新料の金額は契約によって異なります。概ね賃料の0.8~1か月分が目安となります。なお、地域によって更新料の有無も異なり、関東は更新料がかかる物件が多く、一方で関西や九州では更新料を不要としている物件が多いようです。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い45個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
実際の契約に合わせてカスタマイズしていただきながら、ご利用くださいませ。
【弁護士監修】チェックリスト付き 改正下請法 1から簡単解説ガイド
下請法の改正内容を基礎からわかりやすく解説した「改正下請法 1から簡単解説ガイド」をご用意しました。
本資料では、2025年改正の背景や主要ポイントを、弁護士監修のもと図解や具体例を交えて解説しています。さらに、委託事業者・受託事業者それぞれのチェックリストを収録しており、実務対応の抜け漏れを防ぐことができます。
2026年1月の施行に向けて、社内説明や取引先対応の準備に役立つ情報がギュッと詰まった1冊です。
弁護士監修で分かりやすい! 契約書の作り方・書き方の教科書
弁護士の南陽輔氏(一歩法律事務所所属)が監修している「契約書の作り方・書き方の教科書」ガイドです。
契約書作成の基本知識、作成の流れ・記載項目、作成時の注意点・論点が、分かりやすくまとまっています。手元に置ける保存版としてぜひご活用ください。
自社の利益を守るための16項目 契約書レビューのチェックポイント
契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
契約書のレビューを行う企業法務担当者や中小企業経営者の方にもご活用いただけます。
建物賃貸借契約更新契約書の作成が必要なケース
前述の通り、建物賃貸借契約更新契約書は建物賃貸借契約を更新する際に締結します。とはいえ、すべてのケースで建物賃貸借契約更新契約書の締結が必要であるわけではありません。
建物賃貸借契約は原則として当初の期間満了時に「自動更新」されるものとなっています。そのため、わざわざ建物賃貸借契約更新契約書を用いて契約更新しなくても契約期間が満了したら当初の建物賃貸借契約が自動的に更新されるようになっています。
そのため、建物賃貸借契約更新契約書は、更新を契機にそれまでの賃貸借契約の内容を変更する場合や変更点がない場合でも賃貸借契約の内容を当事者で確認するために作成する書面という位置づけになります。
建物賃貸借契約更新契約書のひな形
特に最近賃貸経営をはじめたばかりで建物賃貸借契約更新契約書を作成した経験がない方は、どのように書けばいいのか、どのような内容を盛り込むべきか、悩まれるかと思います。そこで、この記事では建物賃貸借契約更新契約書のひな形をご用意しました。以下からダウンロードできるので、ぜひこちらを参考に作成してみましょう。
建物賃貸借契約更新契約書に記載すべき内容
ここからはひな形をもとに建物賃貸借契約更新契約書に含めるべき内容について項目別にご紹介します。
契約者名
まずは賃貸人と賃借人の氏名と、両者が建物賃貸借契約更新契約を締結する旨を記載します。なお、賃貸人と賃借人の氏名は「甲」「乙」、建物賃貸借契約更新契約を「本契約」と置き換えることで、契約書の文面がスマートになります。
建物賃貸借契約更新の合意
両者が建物賃貸借契約更新に合意した旨とその日付、契約の有効期間、対象となる建物の概要と部屋番号を記載します。
更新料
更新料の具体的な金額と支払い方法、振込手数料の負担者、支払期限を明記します。なお、賃借人が更新料の支払いを延滞した場合の遅延損害金についても記載しておきましょう。
敷金
建物賃貸借契約締結時に賃借人が支払った敷金の引き継ぎについて記載します。
費用の負担
建物賃貸借契約の更新に必要となる費用の負担者について明らかにしておきます。
契約解除
建物賃貸借契約更新契約の解除ができる条件を記載します。一般的には賃借人が更新料を支払わなかったケースなどを規定します。
損害賠償
当事者のいずれかが建物賃貸借契約更新契約書の内容に反した行為をしたことで相手方に対して損害を与えた際に、それを賠償する旨について記載します。
合意管轄
当事者間にて訴訟が必要になった際に訴えを起こす裁判所を指定します。
協議
契約書に規定されている事項では解決が難しい事態が発生した際に、当事者同士が誠実に話し合って解決を目指す旨を記載します。
署名押印欄
契約書の末尾に契約を締結した年月日と両当事者の署名押印欄を記載します。ここに署名押印した時点で契約に同意したとみなされます。
建物賃貸借契約更新契約書を作成する際の注意点
ここからは建物賃貸借契約更新契約書を作成する際、あるいは建物賃貸借契約を更新する際の注意点について見ていきましょう。
建物賃貸借契約更新契約の対象を明確にしておく
建物賃貸借契約更新契約はどの建物賃貸借契約を更新するかを明確にしておく必要があります。「建物賃貸借契約更新の合意」の項目で建物の住所や種類、構造、床面積、部屋番号をしっかりと明記しておきましょう。
更新料の金額や支払い方法を明確にしておく
特に建物賃貸借契約を更新する際にトラブルになりがちなのは更新料です。やはりこれに関しても「●●円」と契約書に明記しておくことが大切です。また、支払い方法や期限についても明らかにしておきましょう。
賃貸人は無碍に更新を拒絶できない
賃借人が迷惑行為や家賃滞納などを起こして、あるいは自身で建物を使用する高い必要性があるなど、何らかの事情があって更新を拒絶したいと考えられている大家さんもいらっしゃるかもしれません。だからといって賃借人を無碍に追い出したり更新を拒絶したりすることはできません。更新拒絶をするためには「正当事由」があることが求められます。仮に更新を拒絶する場合は過去の判例なども参考に、正当事由を主張できるようにしておきましょう。
建物賃貸借契約を更新し忘れるとどうなる?
建物賃貸借契約を更新し忘れた場合でも、契約が解除されるわけではありません。建物賃貸借契約の更新には「合意更新」と「法定更新」の2種類があります。合意更新とは賃貸人と賃借人が合意して建物賃貸借契約を更新することです。一方、法定更新とは合意更新がなかった場合に、法律によって契約が更新されることです。この場合、契約の内容は従前の契約と同一になります。
建物賃貸借契約の更新を忘れたまま契約満了を迎えたとしても、賃借人はそのままその物件を利用し続けられるようになっているのです。
建物賃貸借契約更新契約書でもう一度契約の内容を見直そう
一般的に建物賃貸借契約は自動更新が行われるケースが多く、仮にその旨が建物賃貸借契約書に盛り込まれていなかったとしても、契約期間が満了すれば法定更新によって建物賃貸借契約が継続します。
しかし、例えば家賃を変更するなど、建物賃貸借契約の内容を変える場合は、建物賃貸借契約更新契約書による再契約が必要となります。建物賃貸借契約の満了期間が近づいてきたら一度契約内容を見直し、変更する必要があるのであれば、しっかりと建物賃貸借契約更新契約書を用いて契約を締結し直されることをおすすめします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
割印とは?正しい押し方や位置、失敗した場合の対処法などを解説
割印とは、独立した複数の文書にまたがって印鑑を押し、それらの文書の一貫性や関連性を証明する行為です。例えば、契約書とその控え(写し)の2部にまたがって押すことで、両者が同一の取引に基づくものであり、改ざんされていないことを示します。 今回は…
詳しくみるパーソナルトレーナー業務委託契約書とは?例文・テンプレートを紹介
パーソナルトレーナー業務委託契約書は、ジム運営会社とトレーナーが対等な立場で締結する文書です。近年、トレーナーを従業員として雇用契約を結ぶのではなく、業務委託契約を締結するジムが増えてきました。この記事ではパーソナルトレーナー業務委託契約書…
詳しくみる取締役会の成立要件とは?有効な決議を行うための定足数や招集手続きなど解説
企業の重要な意思決定を担う取締役会。その決定が法的に有効と認められるためには、会社法に定められた「成立要件」や「決議要件」を正しく満たす必要があります。 本記事では、そもそも取締役会とは何かという基本から、成立に不可欠な定足数、有効な決議の…
詳しくみる契約書の自動作成はエクセルでできる?メリットやテンプレートを紹介
契約書はインターネット上にさまざまなひな形・テンプレートが公開されていますが、エクセルでフォーム型のテンプレートを作成し、自社オリジナルの契約書を作ることも可能です。 本記事では、エクセルで契約書を自動作成するメリットや、テンプレートの作成…
詳しくみる利率変更契約とは?ひな形をもとに契約書の書き方や注意点を解説
「利率変更契約書」は、既存の契約で定めていた利率を変更するときの契約を文書化したものです。どのような場面で作成し、どのように作成するのかについて、具体例を含めた書き方やポイントを取り上げながらここで詳しく解説をしていきます。利率の変更を求め…
詳しくみる債権質権設定契約書とは?ひな形をもとに記載項目や作成時の注意点を解説
債権質権設定契約書とは、債権に対して「質権」を設定する契約書です。主に保険金請求権や売掛金債権などの債権を、借入債務の担保として提供する際に締結されます。本記事では債権質権設定契約書の書き方や規定すべき事項の具体例、作成・レビュー時のポイン…
詳しくみる



