- 作成日 : 2025年11月6日
キッチンカーでソフトクリームを販売するには?必要な許可・値段設定から利益、中古車両の費用まで解説!
キッチンカーのメニューとして、子供から大人まで絶大な人気を誇るソフトクリームは、多くの開業希望者にとって魅力的な選択肢です。しかし、その手軽そうなイメージとは裏腹に、専門的な機材の導入や「ソフトクリーム販売の許可」に関する正しい理解が不可欠です。
この記事では、キッチンカーでソフトクリーム販売を始めるための具体的な手順、必要な許可の種類、中古車両を含めた費用、そして利益を最大化するコツを専門家の視点から徹底解説します。
目次
キッチンカーでソフトクリームを販売するメリットは何か?
キッチンカーでソフトクリームを販売する主なメリットは、高い利益率が期待できること、オペレーションがシンプルであること、そして幅広い客層にアピールできる点です。
これらの理由は、ソフトクリームの原材料費が比較的安価であることや、提供工程が単純で回転率を上げやすいという特性に基づいています。
高い利益率が期待できる
ソフトクリームの原価は、主に液体原料である「ソフトミックス」とコーン・カップ代で構成されます。一般的に、販売価格に対する原価率は25%~35%程度に抑えることが可能であり、これは他の飲食メニューと比較しても利益率が高い部類にはいります。トッピングなどで付加価値をつければ、さらに利益率を高めることも可能です。
オペレーションが簡単で提供がスピーディー
基本的な作業は、ソフトクリームサーバー(フリーザー)から抽出し、コーンやカップに盛り付けるだけです。注文ごとに調理する手間がないため、お客様を待たせることなくスピーディーに商品を提供できます。この高い回転率は、イベント会場や行列のできる出店場所で大きな強みとなります。
子供から大人まで幅広い客層に人気
ソフトクリームは、性別や年齢を問わず多くの人に愛されるスイーツです。ファミリー層が集まる公園や商業施設、若者が集まるイベント、観光地など、あらゆる場所で安定した需要が見込めます。特に暖かい季節や日中の時間帯には、その集客力は絶大です。
デメリットや注意すべき点はあるか?
ソフトクリーム販売の主なデメリットは、売上が天候や季節に大きく左右される点、専門機材が高価で導入コストがかかる点、そして安定した電力確保が必須である点です。
これらの課題は、ソフトクリームが嗜好品であり、その消費が気候に影響されやすい性質を持つこと、また専用機材が事業の根幹をなすために発生します。
天候や季節による売上の変動
当然ながら、ソフトクリームの需要は気温に大きく影響されます。暖かい春や夏は売上が伸びますが、寒い冬や雨の日は客足が遠のきがちです。年間を通じた売上計画を立てる際には、季節変動を考慮し、温かいドリンクなどのサブメニューを用意する対策も必要です。
専門機材(サーバー)が高価
事業の核となるソフトクリームサーバーは、新品で購入する場合、安価な卓上型でも50万円以上、高機能なモデルでは100万円から200万円以上するものもあります。この高額な初期投資は、開業時の大きなハードルとなりえます。
安定した大容量の電力確保が必須
ソフトクリームサーバーは消費電力が非常に大きいため、キッチンカーの営業には大容量の発電機が不可欠です。発電機の購入費用や燃料代はもちろん、稼働時の騒音対策も出店場所によっては重要な課題となります。
キッチンカーでのソフトクリーム販売に必要な許可や資格は?
キッチンカーでソフトクリームを販売するには、「食品衛生責任者」の資格と、保健所から「飲食店営業」または「アイスクリーム類製造業」の営業許可が必要です。どちらの許可が必要になるかは、販売形態によって異なります。
これは、食品衛生法に基づき、安全な食品を提供するためにすべての飲食店事業者に課せられた義務です。
1. 資格:食品衛生責任者
各キッチンカーに1名、食品衛生責任者を配置する必要があります。これは各都道府県の食品衛生協会が開催する講習を受講すれば取得できます。
2. 営業許可:販売形態によって種類が異なる
ソフトクリームをキッチンカーで販売する場合、必要となる営業許可は主に「飲食店営業」と「アイスクリーム類製造業」の2種類があり、どちらを取得するかは販売形態によって決まります。
ほとんどのキッチンカーは「飲食店営業」許可を取得します。これは、業務用に販売されている完成品の「ソフトクリームミックス」を仕入れ、それをサーバーに注いで抽出・提供する場合に適用されます。この方法であれば、車内での調理工程が簡略化されるため、キッチンカーの標準的な設備で許可基準を満たしやすくなります。
一方で、「アイスクリーム類製造業」の許可が必要となるのは、牛乳や卵、砂糖といった原材料からご自身で調合し、オリジナルのソフトクリームミックスを「製造」するケースです。この「製造」行為には、より厳格な衛生管理と施設基準が求められるため、キッチンカー単体でこの許可を取得するのは非常に難しいのが実情です。
したがって、キッチンカーでソフトクリーム販売を始める際は、既製品のミックスを使用し「飲食店営業」の許可を取得するのが現実的な選択といえるでしょう。
開業に必要な機材と費用はどのくらいか?
キッチンカーでのソフトクリーム販売には、車両費用とは別に、最低でも100万円以上の機材投資費用を見込む必要があります。特に高価なソフトクリームサーバーの選択が、費用全体を大きく左右します。
開業費用は、「車両」「内装・設備」「専門機材」の3つに大別されます。
主要な専門機材
- ソフトクリームサーバー(フリーザー):サーバーには、冷却方式やサイズによっていくつかの種類があります。
- 空冷式:設置が比較的簡単で多くのキッチンカーで採用されますが、排熱が大きいため車内の温度管理に注意が必要です。
- 水冷式:冷却効率が高いですが、給排水設備が必要となり構造が複雑になります。
- 価格帯:新品で50万円~200万円以上。中古品であれば20万円程度から探すことも可能です。
- 業務用フリーザー(冷凍庫): ソフトクリームミックスを保管するために必須です。キッチンカーの限られたスペースに収まる、省スペースな前開きタイプ(引き出し式)が人気です。
- 価格帯:5万円~20万円程度。
- 大容量発電機 :ソフトクリームサーバーとフリーザーを同時に稼働させるため、定格出力3.0kVA以上の静音タイプが推奨されます。
- 価格帯:20万円~40万円程度。
カセット抽出器という選択肢
近年、高価なサーバーを導入せずにソフトクリームを提供できる「カセット式(ポーションタイプ)」の抽出器も登場しています。 これは、専用の使い切り容器(カセット)をセットして抽出する仕組みです。
- メリット:サーバーに比べて導入費用が安く、洗浄の手間が少ない。
- デメリット:1杯あたりの原価が割高になる傾向がある。
- 価格帯:抽出器本体は10万円~20万円程度。
開業費用の概算
以下は、中古の軽トラックをベースにしたキッチンカーで開業する場合の費用目安です。
| 項目 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 車両(中古軽トラック) | 50万円~100万円 | 年式や走行距離による |
| キッチンボックス製作 | 100万円~200万円 | 内装・給排水設備など |
| ソフトクリームサーバー | 20万円~150万円 | 中古か新品かで大きく変動 |
| 業務用フリーザー | 5万円~20万円 | |
| 発電機 | 20万円~40万円 | |
| その他(調理器具・備品) | 10万円~20万円 | |
| 合計 | 約205万円~530万円 |
ポイント: 初期費用を抑えるには、「中古のキッチンカー」を探すのが有効です。アイスクリーム販売仕様の中古車両であれば、必要な機材がすべて揃った状態で200万円~300万円程度から見つかる場合もあります。
ソフトクリームの値段と利益の目安は?
ソフトクリームの販売価格は1個あたり400円~600円が相場で、原価率を30%前後に設定した場合、1個あたり約280円~420円の粗利益が見込めます。
利益計算は、販売価格から原価を差し引いて算出します。原価にはミックスやコーン代だけでなく、トッピングやスプーン、ナプキンなどの費用もすべて含める必要があります。
原価計算の例(販売価格500円)
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| ソフトミックス代 | 100円 |
| コーン・カップ代 | 30円 |
| トッピング・備品代 | 20円 |
| 合計原価 | 150円 |
- 原価率:150円 ÷ 500円 = 30%
- 粗利益:500円 – 150円 = 350円
1日の売上・利益シミュレーション
平日(オフィス街)と休日(イベント)でシミュレーションしてみましょう。
| 平日(客単価500円 x 50個) | 休日(客単価550円 x 150個) | |
|---|---|---|
| 売上 | 25,000円 | 82,500円 |
| 原価(30%) | 7,500円 | 24,750円 |
| 粗利益 | 17,500円 | 57,750円 |
ここから、出店料、燃料費、人件費などの経費を差し引いたものが最終的な営業利益となります。休日のイベントに継続的に出店できるかどうかが、収益を大きく左右することがわかります。
ソフトクリーム販売で成功するためのコツは?
キッチンカーのソフトクリーム販売で成功するには、出店場所の特性に合わせた商品戦略と、SNSを活用した積極的な情報発信が不可欠です。また、企業向けの福利厚生など、新たな需要を開拓することも有効です。
競合との差別化を図り、リピーターを獲得するための独自の価値を提供することが、長期的な成功につながります。
トッピングやアレンジメニューで差別化する
基本的なバニラソフトクリームに加えて、以下のような工夫で客単価アップと差別化を図りましょう。
- 豊富なトッピング:チョコレートソース、キャラメルソース、フルーツ、ナッツ、クッキーなどを複数用意し、お客様が選べる楽しさを提供する。
- アレンジメニュー:ソフトクリームを使ったパフェ、コーヒーフロート、アフォガートなどを開発する。
- 季節限定フレーバー:桜、抹茶、栗、かぼちゃなど、季節感のあるフレーバーはSNSでの注目度も高まります。
出店場所の特性を見極める
- 公園・商業施設:ファミリー層向けに、子供が喜ぶカラフルなトッピングや、少し小さめのキッズサイズを用意する。
- イベント会場:見た目のインパクトが重要。「写真映え」するようなデコレーションを施したメニューは、SNSでの拡散が期待できます。
- オフィス街:ランチ後のデザート需要を狙う。コーヒーとのセット販売も効果的です。
企業向け「差し入れ」需要を開拓する
近年、企業の福利厚生の一環として、キッチンカーをオフィスに呼んで従業員に食事やスイーツを振る舞う「差し入れ」の需要が高まっています。 アイスクリームキッチンカーは特に人気が高く、安定した収益源となりえます。キッチンカーのプラットフォームサービスに登録し、企業案件を獲得するのも一つの有効な戦略です。
移動販売での成功を目指して
キッチンカーでのソフトクリーム販売は、高い収益性とシンプルなオペレーションが魅力ですが、高額な初期投資や季節変動といった課題も存在します。成功の鍵は、これらの課題を理解した上で、綿密な事業計画を立てることにあります。
特に、保健所の「営業許可」の種類を正しく理解し、出店戦略と魅力的なメニュー開発を両立させることが重要です。この記事を参考に、あなただけの素敵なキッチンカーで、多くの人に笑顔を届けるソフトクリーム販売を実現してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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