- 更新日 : 2025年12月10日
たこ焼き屋は儲からない?廃業率と、儲かるための成功戦略
「手軽に開業できて儲かりそう」というイメージとは裏腹に、たこ焼き屋の経営は厳しい現実に直面しています。実際、「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き店」の倒産件数は過去最多を更新しており、「たこ焼き屋は儲からない」という声も聞かれます。
しかし、たこ焼き屋が持つ低い原価率という強みを活かし、正しい戦略を実行すれば、十分に儲かるビジネスにすることも可能です。
この記事では、最新データから見える厳しい現実と失敗の要因を分析しつつ、たこ焼き屋ならではの儲かる仕組み、そして競争を勝ち抜くための具体的な経営戦略を解説します。
目次
たこ焼き屋の倒産・廃業が増加している厳しい現実
たこ焼き屋の開業を考えるうえで、まず直視すべきは近年の厳しい経営環境です。実際の倒産データと、なぜ廃業に追い込まれる店が増えているのか、その背景にある理由を解説します。
「たこ焼き屋等」の倒産件数は過去最多を更新
たこ焼き屋に限定した廃業率の公式データはありませんが、信用調査会社の東京商工リサーチが公表したデータが、その経営の厳しさを明確に示しています。
同社の調査によると、日本標準産業分類の「お好み焼き・焼きそば・たこ焼店」に分類される「お好み焼き屋・焼きそば屋・たこ焼き屋」の2025年1〜7月の倒産件数(負債1,000万円以上)は17件(前年同期比30.7%増)に達し、前年同期の約1.3倍のペースで増加しています。2011年以降の過去15年間の1〜7月としては最多であり、年間でも2020年を抜いて過去最多を更新する可能性があると指摘されています。
原因別では、「販売不振」が13件で全体の約76%を占めて最多となっており、ほかに「他社倒産の余波」「事業上の失敗」「設備投資過大」などが続きます。物価高や人件費の上昇が進むなか、値上げが来店客数の減少に直結しかねない小・零細規模の店舗ほど価格転嫁が難しく、売上の維持に苦しんでいる実態が浮き彫りになっています。
出典:「粉もん」の倒産が過去15年間で最多ペース~人件費と物価高が直撃し、庶民の味が揺らぐ~|東京商工リサーチ
なぜたこ焼き屋の倒産・廃業が増加しているのか
倒産件数が増加している背景には、たこ焼き屋が直面する特有の課題があります。
- 原材料と光熱費の歴史的な高騰:小麦粉や食用油、タコといった主原料はもちろん、ソースやマヨネーズ、持ち帰り用のパック容器に至るまで、あらゆるコストが上昇しています。さらに、電気代やガス代といった光熱費の高騰も、利益を直接圧迫する大きな要因です。
- 価格転嫁の難しさ:「安くて、手軽で、おいしい」という大衆的なイメージが強いのがたこ焼きです。そのため、コストが上がっても安易に値上げすると、お客様が離れてしまうのではないかという懸念から、十分な価格転嫁に踏み切れない店も少なくありません。
- コロナ関連融資の返済開始:コロナ禍を乗り越えるために利用した、実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が本格化しています。売上が回復しない中で返済の負担が重くのしかかり、資金繰りが悪化して事業継続を断念するケースが増えています。
なぜ「儲からない」と言われる?たこ焼き屋経営で陥りがちな失敗要因
厳しい外部環境に加え、経営上の判断ミスが「儲からない」状況を招き、廃業を早めることも少なくありません。典型的なパターンを知り、同じ轍を踏まないようにしましょう。
安易な立地選定
飲食店の成功は「立地が8割」ともいわれるほどで、たこ焼き屋にとっても立地は非常に重要です。人通りが多ければ良いというわけではありません。スーパーの入り口、学校の近く、住宅街、駅前など、場所によって客層や売れる時間帯はまったく異なります。「家から近いから」「家賃が安いから」といった安易な理由で決めると、ターゲットとする客層がおらず、売上が伸び悩む原因となります。
他店との差別化不足
周りを見渡せば、多くのたこ焼き屋や類似の粉もの店が存在します。その中で「なぜ、あなたのお店で買う必要があるのか」を明確に示せなければ、お客様はより安い店や便利な店に流れてしまいます。生地の味、ソースの種類、具材のクオリティ、接客態度など、何か一つでも「あそこのたこ焼きは違う」と思わせる独自性がなければ、激しい競争の中で埋もれてしまうでしょう。
甘い売上・収支計画
「一日あたり50パック売れれば、月収〇〇万円になるはず」といった希望的観測だけで事業計画を立てるのは危険です。とくに、近年の原材料高騰のような外部環境の変化を織り込まずに計画を立てると、想定以上に利益が圧迫されます。材料費、家賃、水道光熱費などのコストを正確に把握し、現実に即した収支計画がなければ、あっという間に資金繰りが悪化するおそれがあります。
集客の工夫不足
「美味しければお客様は自然と来てくれる」というのは幻想です。とくに開業初期は、お店の存在を知ってもらうための積極的なアプローチが欠かせません。SNSでの情報発信、チラシのポスティング、ポイントカードの導入など、地道な集客努力を怠ると、お店は誰にも気づかれないまま廃業に追い込まれるリスクが高まります。
たこ焼き屋が「儲かる仕組み」の作り方
倒産が増えている厳しい現実がある一方、たこ焼き屋は元来、利益率の高いビジネスモデルでもあります。「儲からない」失敗要因を避け、収益構造を正しく理解すれば、成功の道は見えてきます。
低い原価率という最大の武器を活かす
たこ焼きの原価率は一般的に25%~35%程度と、他の飲食店と比べても低いのが最大の強みです。これは、主原料の小麦粉や卵が安価であるためです。例えば、1パック500円なら原価は125円~175円程度に抑えられます。
「100円たこ焼き」のような極端な低価格戦略が成り立つ背景にも、この低い原価率があります(ただし、薄利多売で相当数を売る必要があり、立地や効率化が鍵)。近年の原材料高騰下でも、この原価率の低さを維持・改善する工夫(仕入れの見直し、ロス削減)が、「儲かる」ための第一歩です。
FLコスト管理で利益を最大化する
飲食店経営では、食材費(Food)と人件費(Labor)を合わせたFLコストを売上の60%以内に抑えるのが一般的な目安です。たこ焼き屋は原価率が低い分、人件費をいかにコントロールするかが重要になります。ワンオペ営業や、ピーク時のみアルバイトを雇うなどの工夫で、FLコストを50%以下に抑えられれば、高い利益率が期待できます。
損益分岐点を把握する
家賃や光熱費などの固定費と、材料費などの変動費から、「1日に最低何パック売れば赤字にならないか(=損益分岐点)」を計算し、常に意識することが重要です。これを下回る日が続くようであれば、早急な対策が必要です。
客単価アップで利益率を高める
低い原価率を活かし、利益率をさらに高めるには客単価アップが有効です。
- セット販売: ドリンクや唐揚げなどのサイドメニューとセットで販売し、お得感を演出します。
- トッピングの充実: チーズ、明太マヨ、ねぎ塩だれなど、追加料金で選べる豊富なトッピングを用意します。
- 個数のバリエーション: 6個入り、8個入り、12個入りなど、さまざまなニーズに対応できる個数を用意し、より多い個数への誘導を図ります。
たこ焼き屋オーナーのリアルな年収は?
たこ焼き屋オーナーの年収は、公的な統計はありませんが、個人経営の場合、一般的には300万円~500万円程度がボリュームゾーンと言われています。これは、売上から全ての経費を差し引いた後の手取り額です。
では、「たこ焼き屋で金持ち(年収1000万円超)」になるのは可能なのでしょうか? 答えは「可能だが、簡単ではない」です。高年収を実現しているオーナーには、以下のような共通点が見られます。
- 圧倒的な好立地: 駅前の一等地や、集客力の高い商業施設内など、常に多くの人通りがある場所で営業している。
- 複数店舗展開: 1店舗の成功モデルを確立し、多店舗化によって売上規模を拡大している。
- 独自のブランド力: 他にはない味やコンセプトで熱狂的なファンを獲得し、多少高くても買ってもらえるブランドを築いている。
- 徹底したコスト管理: 原価管理や人員配置を最適化し、高い利益率を維持している。
単にたこ焼きを焼くだけでなく、優れた経営手腕があってこそ、高年収が実現できるといえるでしょう。
開業スタイル別にみる、たこ焼き屋の廃業リスクと費用
たこ焼き屋の開業にはいくつかのスタイルがあり、それぞれ初期費用やリスクが異なります。自社に合ったスタイルを選ぶことが、廃業リスクの軽減につながります。
店舗型(固定店舗)のメリット・デメリット
固定店舗は、地域に根ざした営業ができ、常連客を掴みやすいのが最大のメリットです。天候に左右されにくく、イートインスペースを設ければ客単価アップも狙えます。
一方で、物件取得費や内装工事費、厨房設備などで500万円~1000万円程度の高い初期費用がかかります。また、一度場所を決めたら簡単に移動できないため、立地選定の失敗が致命的になるリスクがあります。
キッチンカー(移動販売)のメリット・デメリット
キッチンカーは、平日と休日で場所を変えたり、イベントに出店したりと、人が集まる場所に移動して販売できるのが強みです。初期費用も、車両の状態や設備内容にもよりますが、目安として、車両購入・改造費で300万円~500万円程度と、店舗型より抑えられます。
ただし、天候の影響を直接受けやすく、出店場所の確保や営業許可の取得に手間がかかるというデメリットがあります。また、水道や電気の制約も考慮しなくてはなりません。
自宅開業・間借り(ゴーストレストラン)のメリット・デメリット
自宅のガレージや庭先などを改装したテイクアウト専門の販売窓口や、既存の飲食店の厨房を借りる「間借り」といったスタイルです。初期費用を数十万円レベルにまで抑えられるため、比較的リスクを抑えて始められます。
ただし、立地が集客に適していない場合が多く、デリバリーサービスへの登録やSNSでの積極的な告知が不可欠です。保健所の営業許可基準を満たすための自宅改装にも注意が必要です。あわせて、自宅周辺の用途地域の制限や近隣への配慮も欠かせません。まずは副業として小さく始めたい方に向いています。
廃業率を下げるための現代的なたこ焼き屋経営戦略
参入障壁が低いからこそ、他店との差別化と時代に合った経営戦略が不可欠です。倒産・廃業の波を乗り越えるための現代的なアプローチを紹介します。
SNSとオンラインでのファン作り
お店の情報を発信し、お客様とコミュニケーションをとるためにSNSの活用は欠かせません。焼きたてのたこ焼きの魅力的な写真や動画、新トッピングの紹介、店主のこだわりなどを発信することで、お店のファンを増やしましょう。
InstagramやX(旧Twitter)、LINE公式アカウントなどを活用し、フォロワー限定のクーポンを配布するなど、来店動機につながる仕掛けが有効です。
デリバリーサービスへの対応
Uber Eatsや出前館といったデリバリーサービスへの対応は、新たな顧客層を獲得し、雨の日などの売上減少をカバーする強力な武器になるだけでなく、商圏を大きく広げることが可能です。テイクアウト専門の容器や、配達中に冷めにくい工夫などもあわせて検討すると良いでしょう。
一方で、手数料負担によって利益率が下がる場合もあるため、販売価格や対象メニューを慎重に設計し、自店にとって採算が合うかを検証することが大切です。
独自メニューと限定商品での差別化
原材料高騰や価格競争から脱却するためには、付加価値の高いメニュー開発が鍵となります。「たこ」にこだわらず、エビやチーズ、地域の特産品を入れた創作たこ焼きや、「ここでしか食べられない」限定ソースなどで独自性を打ち出しましょう。価値が伝われば、お客様は多少高くても納得して購入してくれる可能性があります。
効率的なオペレーションの構築
キャッシュレス決済の導入は、会計時間を短縮し、お客様の利便性を高めるだけでなく、現金を管理する手間やリスクを軽減します。また、モバイルオーダーシステムを導入すれば、お客様は事前に注文・決済を済ませ、待たずに商品を受け取れます。これにより、行列による機会損失を防ぎ、店舗の回転率を上げることができます。
「儲からない」を「儲かる」に変える、たこ焼き屋経営
たこ焼き屋経営は、原材料高騰などの影響で「儲からない」と言われる厳しい側面もあります。しかし、低い原価率という他の飲食店にはない大きな強みも持っています。
失敗要因を避け、儲かる仕組み(原価管理、FLコスト管理、客単価アップ)を理解し、他店との差別化を図ることで、厳しい競争の中でも成功を十分に狙えるビジネスモデルです。この記事を参考に、しっかりとした計画と戦略を持って、長く愛される「儲かる」たこ焼き屋を目指しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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