• 作成日 : 2025年9月25日

キッチンカーの唐揚げは儲かる?開業準備から経営戦略までを徹底解説

キッチンカーでの唐揚げ店開業は、比較的少ない初期投資で始められる、とても魅力的なビジネスです。しかし、手軽に見える一方で、成功のためには、しっかりとした準備と経営戦略が大切になります。

この記事では、キッチンカーで唐揚げ店を開業するための具体的なステップから、気になる収益性、事業を軌道に乗せるためのメニュー開発や出店戦略まで、経営者の視点からわかりやすく解説していきます。

なぜキッチンカーの唐揚げはビジネスとして魅力的なのか?

キッチンカーの唐揚げビジネスは、低い開業コストや高い収益性に加え、近年のテイクアウト人気の高まりも追い風となり、多くの人にとって魅力的な選択肢となっています。食事の主役からおやつまで、みんなに愛される唐揚げは、幅広いお客さんにアピールできるのが強みです。

低い初期投資と固定費

店舗を構える場合、内外装工事や厨房設備などで数百万から一千万円以上の資金が必要になることもあります。それに比べてキッチンカーは、中古車両を選べば200万円程度から開業することも可能です。また、家賃や人件費といった毎月の固定費を低く抑えられるため、経営のリスクを管理しやすいのは、大きなメリットです。

高い利益率と収益性

唐揚げの主原料である鶏肉は、比較的安価に仕入れられるため、利益率を高く設定しやすいメニューです。飲食店の原価率は一般的に30%が目安とされますが、唐揚げは工夫次第で25%前後に抑えることもできます。その分、効率的に利益を上げやすいビジネスモデルといえます。

出店場所の自由度と高い集客力

キッチンカー最大の魅力は、なんといってもそのフットワークの軽さ。イベント会場やオフィス街のランチタイム、商業施設など、人が集まる場所へ移動して販売できます。需要がある場所へ自分から出向く「攻め」の姿勢でビジネスを展開できるのが魅力です。

テイクアウト需要との高い親和性

ライフスタイルの変化で、テイクアウトや中食の需要は安定して高まっています。唐揚げは、冷めても美味しく持ち帰りやすい代表的なメニューであり、この需要と非常に相性が良く、追い風になっています。唐揚げ弁当としてのランチ需要はもちろん、家族へのお土産といったニーズも期待でき、安定した売上につながります。

キッチンカーで唐揚げ店を開業する具体的なステップ

キッチンカーで唐揚げ店を開業するには、コンセプト設計に始まり、資金調達、車両の準備、そして各種許可の取得といった手順があります。ひとつひとつのステップを着実にクリアしていくことが、スムーズな開業への近道です。

ステップ1:コンセプトと事業計画の策定

最初に「どんな唐揚げ屋さんにしたいか」というお店のコンセプトを固めましょう。例えば、「秘伝のタレが自慢の本格派」や「ヘルシーな米粉を使った健康志向」、「激辛味がクセになる個性派」など、お店の方向性を明確にします。

コンセプトが決まったら、初期費用や運転資金、売上目標などを盛り込んだ事業計画書を作成します。これは、融資を申請する際にも必要になる大切な書類です。

ステップ2:資金調達

事業計画をもとに、開業に必要な資金を準備します。自己資金でまかなうのが理想ですが、足りない場合は資金調達を検討しましょう。主な方法としては、日本政策金融公庫の「新規開業資金」や、地方自治体の制度融資などが挙げられます。審査では、事業計画が現実的か、自己資金はどのくらいあるか、といった点がみられます。

ステップ3:キッチンカー車両の準備

キッチンカーを手に入れるには、新車、中古車、リースの3つの選択肢があります。

  • 新車:内装や設備を自由に設計できるのが魅力ですが、価格は高くなります。
  • 中古車:初期費用を抑えられるのが最大のメリットです。選ぶ際は、車の状態はもちろん、厨房設備が唐揚げの調理に向いているか、将来どのくらい修理が必要になりそうか、しっかり見極めることが重要です。
  • リース:月々の支払いで利用できますが、長期的に見ると割高になる可能性があります。

ステップ4:資格の取得と営業許可の申請

キッチンカーで食べ物を売るには、主に2つの資格や許可が必要です。

  • 食品衛生責任者:各都道府県の食品衛生協会が行う講習会を受講すれば取得できます。お店に1人は必ず配置しなくてはなりません。
  • 保健所の営業許可:キッチンカーを停めておく場所(車庫など)を管轄する保健所で「飲食店営業」の許可をもらいます。車の設備(給排水タンクの容量、シンクの数など)が、保健所の基準をクリアしている必要があります。特に、生肉から調理する場合は衛生管理のチェックが厳しくなるため、事前に保健所へ相談しておくと安心です。

出典:食品衛生責任者について|一般社団法人東京都食品衛生協会

儲かるキッチンカー唐揚げ店の経営戦略

キッチンカーの唐揚げ店で安定した利益を上げるには、ただ美味しい唐揚げを作るだけでは十分ではありません。原価管理の徹底や客単価アップの施策、そして効果的な出店場所選びといった経営戦略が、事業の成功を左右します。

正確な原価計算と利益の出る価格設定

唐揚げの原価は、鶏肉、油、粉、調味料、そして容器代などで構成されます。これらの費用を正確に計算して原価率を把握した上で、販売価格を決めましょう。例えば、1パック500円で売って原価が150円なら原価率は30%です。

この原価率を抑えつつ、お客さんが「この値段なら買いたい」と納得してくれる価格を設定できるかが、利益を出すための大切なポイントになります。

客単価を上げるメニュー構成の工夫

売上は「客数 × 客単価」で決まります。お客さんを増やす努力とあわせて、客単価を上げるための工夫も考えましょう。

  • セットメニュー:唐揚げ単品だけでなく、ごはんやドリンクをつけた「唐揚げ弁当」や「唐揚げセット」を用意することで、自然な形で単価アップを狙えます。
  • サイドメニュー:ポテトフライや簡単なサラダ、スープなど、唐揚げと相性の良いサイドメニューを増やすのも効果的です。
  • サイズ展開:「S・M・L」のように複数のサイズを用意し、お客さんが選びやすいようにすると、より多くの購入を後押しできる場合があります。

出店場所の選定と交渉

キッチンカーの売上は、出店場所によって大きく変わります。売上が見込める場所を継続して確保することが、安定した経営の土台となります。

  • ランチ需要:オフィス街や大学のキャンパス周辺は、平日のランチタイムに安定した需要が見込めます。
  • イベント出店:地域のお祭りやフェスなどは、短時間で大きな売上を期待できるチャンスです。ただし、出店料が高額な場合もあるため、費用に見合う効果があるか慎重に見極めましょう。
  • 商業施設やスーパーの軒先:買い物客をターゲットにでき、土日祝日の集客が期待できます。 出店場所は、イベント主催者のサイトで探したり、キッチンカースペースの仲介プラットフォームを利用したりする方法があります。人気の場所はライバルも多いので、粘り強く交渉することが大切です。

他店と差別化するキッチンカーの唐揚げメニュー開発

キッチンカーの唐揚げ市場は競争が激しいため、お客さんに選ばれ続けるには「また食べたい!」と思ってもらえるような独自性が大切です。味付けや提供方法に工夫を凝らし、他店にはない魅力を打ち出しましょう。

味付けとバリエーションで差別化

唐揚げの味付けは、お店の個性を一番表現できるところです。定番の醤油や塩味だけでなく、以下のようなバリエーションで差別化を図るのも面白い方法です。

  • タレ・ソースの工夫:甘酢あん、ヤンニョム、おろしポン酢、タルタルソースなど、複数のソースを用意してお客さんが選べるようにすると、「次はあの味にしてみよう」とリピートのきっかけになります。
  • スパイス・風味の追加:カレー風味、ハーブ塩、山椒、ガーリックなど、特徴的なスパイスを使うことで、記憶に残りやすい味を作ることができます。
  • ご当地食材の活用:地域性を打ち出すのも有効です。例えば千葉で出店するなら、千葉県産の醤油やピーナッツでタレを開発するといったアプローチが考えられます。

「唐揚げ弁当」の付加価値向上

唐揚げ弁当は、客単価を上げるための重要なメニュー。主役の唐揚げだけでなく、付け合わせにもこだわることで、お客さんの満足度をさらに高めることができます。

  • ごはんの選択肢:白米だけでなく、雑穀米や炊き込みご飯も選べるようにすれば、健康志向のお客さんにもアピールできます。
  • 付け合わせの充実:定番の漬物だけでなく、彩りの良い野菜の和え物やだし巻き卵などを加えるだけで、見た目の華やかさも価値もアップします。

SNSを意識した盛り付けとパッケージ

スマホで撮ってSNSに投稿したくなるような「見栄え」を意識することも、今の時代の集客では有効なテクニックです。

  • 盛り付け:唐揚げを山のように高く盛ったり、彩りの良いソースをかけたりする工夫が考えられます。
  • パッケージ:お店のロゴが入ったおしゃれな容器や、持ち運びやすい手提げ袋を用意すれば、お店のブランドイメージ向上にもつながります。

キッチンカー唐揚げの出店事例から学ぶ成功のヒント

すでに成功しているキッチンカーの事例を分析することは、自分の戦略を立てる上で、とても参考になります。実在する人気店の特徴から、成功のヒントを探ってみましょう。

事例:『ぎん亭』に見るブランディング戦略

関東圏を中心に展開し、高い人気を誇るキッチンカー『ぎん亭』は、たくさんのヒントを与えてくれます。特徴は、「伝説の若鶏唐揚げ」というキャッチーな商品名と、秘伝のタレに漬け込んだこだわりの味。

メニューを唐揚げとそのバリエーションに絞ることで専門性を高め、品質へのこだわりをお客さんに伝えています。また、出店場所をサイトでこまめに告知し、ファンがお店を追いかけられるようにしている点も、リピーター獲得につながるうまい戦略です。

このように、お店の強みを明確にし、それを伝え続けることが、価格競争に巻き込まれないための鍵となります。

出典:ぎん亭|株式会社ぎんカフェグループ

移動販売ならではのSNS活用術

キッチンカーにとって、SNSはとても強力な集客ツールになります。その日の出店場所や限定メニューの情報をリアルタイムで発信することで、お客さんの来店を直接促すことができます。

  • X(旧Twitter):出店場所の即時的な告知や、完売情報の発信に便利です。
  • Instagram:調理中の動画や、シズル感あふれる唐揚げの写真を投稿して、視覚的にアピールするのに向いています。お客さんが「#店名」で投稿してくれたものを紹介するなど、コミュニケーションを通じてファンを増やしていきましょう。
  • LINE公式アカウント:友だち登録してくれたお客さんに、クーポンや次回の出店情報を配信することで、リピート来店を効果的に促せます。

キッチンカーの唐揚げ事業を成功に導くための要点

キッチンカーでの唐揚げ店経営は、計画的な準備と日々の工夫が成功を左右します。この記事で解説してきた開業のステップ、利益を出すための経営戦略、そして他店と差がつくメニュー開発は、あなたの事業の土台となるはずです。

特に、原価を意識した価格設定、売上を左右する出店場所の確保、そしてお店の個性を伝える情報発信は、事業を長く続けていく上で欠かせません。これらをヒントに、あなたらしい素敵なお店づくりを目指してみてはいかがでしょうか。


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