• 更新日 : 2025年9月22日

キッチンカーでワッフル屋を開業!儲かる?費用や許可を徹底解説

キッチンカーでワッフル屋の開業を検討しているものの、本当に儲かるのか、費用はどのくらいかかるのか、不安を感じていませんか。甘い香りで人々を惹きつけるワッフルは、キッチンカーで扱うメニューとして多くの魅力をもっています。

この記事では、ワッフル販売が利益を出しやすい理由から、開業に必要な許可、具体的な費用、人気メニューの作り方、そして開業までのステップまで、わかりやすく解説します。

キッチンカーでのワッフル販売は儲かる?3つの理由

キッチンカーでのワッフル販売は、計画的に運営すれば十分に利益を見込めるビジネスモデルです。その背景には、ワッフルという商材がもつ「利益率の高さ」「オペレーションの簡易さ」「メニューの拡張性」といった、キッチンカービジネスに適した特性があります。

理由①:原価が安く利益率が高い

ワッフル販売の大きな魅力は、原価を低く抑えられる点にあります。主材料である小麦粉、卵、砂糖、牛乳は比較的安価で、安定的に仕入れることが可能です。

たとえば、シンプルなプレーンワッフル1枚あたりの原価50円~100円程度を目安とし、販売価格を500円とした場合の原価率は10%~20%前後になります。その場合、飲食業の平均原価率30%を大きく下回ります。つまり、一つ売れるごとの利益が大きいため、売上が収益に直結しやすい構造といえるでしょう。

項目費用(目安)
ワッフルミックス約30円
卵・牛乳など約35円
包材約10円
合計原価約75円
販売価格500円
粗利益425円
原価率15%

※上記はあくまで一例です。仕入れ先や材料の品質によって変動します。

理由②:調理が簡単で省スペース

ワッフルの調理工程は、生地をワッフルメーカーに流し込んで焼くだけ、と非常にシンプルです。注文を受けてから提供までの時間が短く、お客様を待たせることなくスムーズに販売できます。

同じくキッチンカーで人気のクレープと比較してみましょう。クレープは生地を薄く均一に焼くために技術的な習熟が必要ですが、ワッフルは専用メーカーを使えば誰でも安定した品質の商品を提供できます。このオペレーションの簡易さは、一人で運営する場合や、アルバイトを雇用する際にも大きなメリットとなり、人件費の抑制にもつながります。また、ワッフルメーカーは比較的小型なため、限られたキッチンスペースを有効活用できる点も魅力です。

理由③:アレンジしやすく客単価を上げやすい

ワッフルは、トッピング次第でさまざまなバリエーションを展開できるのも強みです。シンプルなシュガーバターから、フルーツや生クリーム、チョコレートソースなどを組み合わせた豪華なデザートワッフルまで、アイデア次第でメニューの幅は無限に広がります。

季節限定のフルーツを使ったり、SNS映えするような盛り付けを工夫したりすることで、お客様の購買意欲を刺激し、集客効果も期待できるでしょう。さらに、ドリンクとセットで販売したり、有料トッピングを用意したりすることで、顧客一人あたりの単価(客単価)を引き上げやすいのも、収益性を高める上で重要なポイントです。

キッチンカーでワッフル屋を始めるために必要な許可と資格

キッチンカーでワッフル屋を開業するには、食品を安全に提供するための資格取得と、公的な営業許可の申請が不可欠です。これらは法律で定められており、無許可での営業はできません。手続きには時間がかかる場合もあるため、早めに準備を始めましょう。

食品衛生責任者

キッチンカーで食品を取り扱う場合、施設ごとに「食品衛生責任者」の資格をもつ人を1名以上置くことが義務づけられています。これは、食中毒などを防ぎ、衛生管理を徹底するための資格です。

  • 取得方法:各都道府県の食品衛生協会が実施する養成講習会を受講することで取得できます。講習は1日(約6時間)で、費用は1万円前後が目安です。
  • 免除対象:栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格を保有している場合は、講習会が免除されます。

保健所の営業許可

キッチンカーで営業するためには、出店を希望する地域を管轄する保健所から「飲食店営業」または「菓子製造業」の許可を得る必要があります。ワッフルは菓子類に分類されることが多く「菓子製造業」の許可が必要となるケースが一般的ですが、地域によっては「飲食店営業」が必要になる場合もあります。

  • 申請の流れ:
    1. 管轄の保健所に事前相談
    2. 申請書類の提出
    3. キッチンカーの施設検査
    4. 営業許可証の交付
  • 注意点
    許可の基準は自治体によって異なります。とくに、給排水タンクの容量やシンクの数などの設備基準が細かく定められているため、車両を準備する前に必ず管轄の保健所に確認しましょう。申請手数料は、1万5,000円~2万円程度が相場です。

その他の許可

公道や公園、イベントスペースなどで営業する際には、その場所の管理者から個別の許可を得る必要があります。

  • 道路使用許可:道路上で営業する場合、管轄の警察署から「道路使用許可」を取得します。ただし、交通の妨げになる場所での許可は難しく、現実的にはイベント会場など私有地での出店がメインとなるでしょう。
  • 出店場所ごとの許可:イベント会場、商業施設、公園など、出店したい場所の管理者に連絡をとり、出店条件や料金を確認して契約を結びます。

ワッフル用キッチンカーの開業に必要な費用と車両・設備

ワッフル屋のキッチンカーを開業するために、どのくらいの初期費用がかかるのでしょうか。開業費用は大きく「車両購入・製作費」と「設備費」に分けられます。費用感を把握し、自己資金や融資の計画を立てましょう。

車両の選び方と費用相場

キッチンカーのベースとなる車両は、新車、中古車、そしてレンタルという選択肢があります。予算や運営スタイルに合わせて選びましょう。

車両タイプ費用相場メリットデメリット
新車300万円~500万円故障リスクが低い、内装を自由に設計できる、長期的に使用できる初期費用が高い
中古車150万円~300万円初期費用を抑えられる故障のリスク、前のオーナーの使用感が残る場合がある
レンタル月額20万円~開業費用を大幅に抑えられる、お試しで始められる長期利用だと割高、カスタマイズが難しい

一般的には、軽トラックや軽バンをベースにした小型のキッチンカーが人気です。小回りが利いて運転しやすく、出店場所の制約も受けにくい傾向にあります。

ワッフル販売に必要な厨房設備一覧

キッチンカーには、保健所の許可基準を満たすための基本設備と、ワッフルを調理するための専用設備が必要です。

基本設備
  • シンク(規定の数と大きさ)
  • 給排水タンク(規定の容量)
  • 冷蔵庫・冷凍庫
  • 換気扇
  • 収納棚
  • 作業台
  • 消火器
ワッフル専用設備
  • ワッフルメーカー(ガス式または電気式。出店場所の電源供給状況を考慮して選ぶ)
  • ミキサー(生地を自作する場合)
  • 発電機(電源が確保できない場所で営業する場合)
  • ガスコンロ・IHコンロ(ソースやトッピングを加熱する場合)
  • POSレジまたはキャッシュレス決済端末

これらの設備費用は、新品で揃えるか中古品を活用するかで大きく変動しますが、おおよそ50万円~150万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

初期費用を抑えるコツ

開業時の負担を少しでも軽くするためには、いくつかの方法があります。

  • 中古のキッチンカーや設備を活用する:
    専門業者から購入すれば、整備済みで保証が付いている場合もあります。
  • DIYで内装を製作する:
    車両の内装を自分で製作すれば、外注費用を削減できます。ただし、保健所の施設基準を満たす知識が必要です。
  • 補助金や助成金を活用する:
    国や地方自治体が提供する創業支援の補助金・助成金制度が利用できる場合があります。たとえば、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」や、各自治体の創業者向け補助金などが考えられます。
    最新の情報を商工会議所などで確認してみましょう。

売上を左右するキッチンカーのワッフルメニュー戦略

キッチンカーでのワッフル屋の成功は、魅力的で利益の出るメニュー構成にかかっています。ワッフルはアレンジの幅が広いため、定番からトレンドまでを取り入れたメニュー戦略で、お客様の心を掴みましょう。調理の注意点もふまえ、計画的にメニューを開発することが大切です。

人気ワッフルメニューのアイデア

ワッフルにはさまざまな種類があり、それぞれ見た目や食感が異なります。ターゲット顧客や出店場所に合わせたメニューを提供しましょう。

  • リエージュワッフル:
    パールシュガーのザクザクとした食感が特徴の、食べ応えのある定番ワッフル。テイクアウトに適しています。
  • アメリカンワッフル:
    サクッと軽い食感で、フルーツやクリームとの相性が抜群。ブランチメニューとしても人気です。
  • バブルワッフル(香港ワッフル):
    ポコポコとした見た目が特徴的で、SNS映えすることから若者を中心に人気が急上昇しています。アイスやフルーツを巻いて提供するのが一般的です。
  • クロッフル:
    クロワッサン生地をワッフルメーカーで焼いた、韓国発のスイーツ。サクサクもちもちの新食感が人気で、トレンド感のあるメニューとして注目されています。

ワッフルの値段設定と原価計算の具体例

ワッフルの値段設定は、利益を確保するための重要な作業です。原価、出店料、人件費などの経費を考慮し、周辺の競合店の価格もリサーチしながら慎重に決定しましょう。

たとえば、原価60円のプレーンワッフルに、生クリーム(原価30円)とチョコレートソース(原価10円)をトッピングしたメニューを考えます。

  • 合計原価:60円 + 30円 + 10円 = 100円
  • 理想の原価率:20%~25%
  • 販売価格の計算:100円 ÷ 0.25 (原価率25%) = 400円

この計算に基づき、400円~500円程度の価格設定が妥当と考えられます。さらに付加価値の高いフルーツなどを使えば、600円以上の価格設定も可能でしょう。

客単価を上げるサイドメニュー

ワッフルと相性の良いサイドメニューを用意することで、客単価アップを狙えます。

  • ドリンクメニュー:
    コーヒー、紅茶、カフェラテ、自家製レモネードなど、ワッフルと一緒に楽しめるドリンクは必須です。セット割引を提供すると、購入率が高まります。
  • トッピング:
    アイスクリーム、季節のフルーツ、ナッツ、キャラメルソースなど、お客様が自由に選べる有料トッピングを用意すると、楽しみながら客単価を上げることにつながります。
  • しょっぱい系メニュー:
    甘いものが苦手な人や軽食を求めるお客様のために、ベーコンエッグやツナマヨなどを挟んだ「おかず系ワッフル」を用意するのも効果的な戦略です。

キッチンカーでワッフル屋を開業するまでの7ステップ

思い立ってすぐに始められるわけではなく、入念な準備と計画が必要です。キッチンカーでワッフル屋を開業するための具体的なステップを7つに分けて解説します。この流れに沿って準備を進めることで、スムーズな開業を目指しましょう。

  1. STEP1:事業計画・資金調達
    コンセプト(どんなワッフルを誰に売りたいか)、メニュー構成、販売価格、売上目標、必要な資金額などを具体的にまとめた事業計画書を作成します。自己資金で不足する場合は、この計画書をもとに日本政策金融公庫や銀行からの融資を検討します。
  2. STEP2:資格取得・許可申請
    「食品衛生責任者」の資格を取得します。同時に、キッチンカーで営業したいエリアを管轄する保健所に事前相談に行き、営業許可の要件を確認しておきましょう。
  3. STEP3:車両・設備準備
    事業計画と予算に基づき、キッチンカーのベース車両と厨房設備を選定・購入します。車両の製作や設備の設置には時間がかかるため、早めに業者と打ち合わせを進めることが重要です。
  4. STEP4:材料の仕入れ先確保
    ワッフルの味を左右する小麦粉や卵などの食材から、カップや袋などの包材まで、安定的に供給してくれる仕入れ先を見つけます。複数の業者から見積もりをとり、品質と価格を比較検討しましょう。
  5. STEP5:保険への加入
    万が一の事故に備え、自動車保険はもちろんのこと、食中毒やお客様への損害を補償する「生産物賠償責任保険(PL保険)」への加入は必須です。安心して営業を続けるために、必要な保険を検討します。
  6. STEP6:出店場所の確保
    キッチンカーの売上は出店場所に大きく左右されます。イベント情報サイトやキッチンカー専門の出店場所マッチングプラットフォームなどを活用し、積極的に営業して出店場所を確保します。
  7. STEP7:宣伝活動と開業
    開業日が決まったら、SNS(Instagram, Xなど)でキッチンカーの写真やメニュー情報を発信し、オープンに向けて期待感を高めます。オープン当日は、スムーズなオペレーションを心がけ、お客様を笑顔で迎えましょう。

キッチンカーでのワッフル屋の出店場所と集客術

キッチンカービジネスにおいて、美味しいワッフルを作るのと同じくらい重要なのが、「どこで売るか」そして「どうやって知ってもらうか」です。闇雲に出店するのではなく、戦略的な場所選びと効果的な集客を行うことで、成功の確率を格段に高めることができます。

ワッフルが売れる出店場所の見つけ方

ワッフルはスイーツとしての需要が高いため、ターゲット顧客が集まる場所を見極めることが重要です。

  • 平日の出店場所:
    オフィス街のランチタイムや、大学のキャンパス周辺が狙い目です。ランチ後のデザート需要や、学生の軽食需要を取り込めます。
  • 土日祝の出店場所:
    家族連れやカップルが集まる公園、大型商業施設、観光地、地域のイベントなどが主なターゲットとなります。とくにイベント出店は、短時間で多くの集客が見込めるため、積極的に情報を収集しましょう。

出店場所を探す方法としては、まずキッチンカー専門の出店場所マッチングサイト(TLUNCHなど)に登録するのが効率的です。また、地域のイベント主催者や商業施設の担当者に直接交渉してみるのも一つの手です。意外なところでは、農産物直売所やスーパーマーケットの軒先なども、買い物客のついで買いを期待できる有望な場所といえるかもしれません。

集客はSNSを活用して開業前から始める

キッチンカーは店舗が移動するため、お客様に「どこに行けば会えるのか」を常に知らせる必要があります。そこでキッチンカーの集客と相性が良いのがインスタグラムやX(旧Twitter)などのSNSです。

  • Instagramの活用:
    ワッフルは見た目が華やかなため、Instagramとの相性が抜群です。美味しそうな写真や動画を投稿し、お店の世界観を伝えましょう。「#キッチンカー」「#ワッフル」「#(地名)グルメ」などのハッシュタグを有効活用します。
  • 出店スケジュールの告知:
    X(旧Twitter)やInstagramのストーリーズ機能を使い、1週間分の出店スケジュールを定期的に告知します。急な出店場所の変更や完売情報もリアルタイムで発信することで、お客様との信頼関係を築きます。
  • オープン前のファン作り:
    キッチンカーの製作過程やメニュー開発の様子を発信することで、開業前から応援してくれるファンを作ることができます。オープン前からフォロワーを増やしておくことが、開業初日の成功につながるでしょう。

キッチンカーでワッフル屋を開業する際の注意点

キッチンカーでのワッフル屋開業に向けて、衛生管理やインフラ確保、出店場所のルール遵守など、事前に把握しておくべきポイントを解説します。

キッチンカーでの調理には制限がある

キッチンカー内でできる調理には制限があります。保健所の指導では、衛生的な観点から、車内調理を「焼く・揚げる・盛り付ける」などの簡単な調理工程のみと定められていることがほとんどです。具体的な範囲は地域により異なります。

ワッフルの生地を粉から練り上げるような複雑な作業は、別途許可を取得した「仕込み場所」(自宅のキッチンとは別の専用施設)で行うとよいでしょう。生地を仕込み場所で作り、キッチンカーに運び込んで焼き上げる、という流れが一般的です。衛生管理を徹底し、食中毒のリスクをなくすことが、信頼につながります。

出店場所ごとのルールとマナー

キッチンカーは移動できるのが利点ですが、どこでも自由に営業できるわけではありません。公道での無断営業は法律で禁止されています。イベント会場、商業施設、公園など、それぞれの場所には管理者が定めたルールがあります。

出店料、営業時間、販売品目の制限、ゴミの処理方法など、契約時に細かい規約を必ず確認しましょう。また、周辺の店舗や住民への配慮も忘れてはなりません。騒音や匂いなどに気を配り、良好な関係を築くことが、継続的な出店につながるでしょう。

電源・水道などのインフラ確保

キッチンカーの運営には電気と水が不可欠です。ワッフルメーカーや冷蔵庫を稼働させるための電源は、出店場所で供給してもらえる場合と、自前で発電機を用意する必要がある場合があります。

発電機を使用する際は、その騒音や排気が周囲の迷惑にならないよう、静音性の高いモデルを選んだり、設置場所に配慮したりする工夫が求められます。また、営業許可の要件である給排水タンクは、常に清潔に保ち、規定容量の水を確保しておく必要があります。営業終了後の排水処理も、指定された方法で適切に行わなければなりません。

キッチンカーでのワッフル開業は計画的な準備が成功へつながる

キッチンカーでのワッフル販売は、原価率の低さやオペレーションのしやすさから、移動販売の中でも始めやすく、収益性の高いビジネスといえます。しかし、その成功は、魅力的なメニュー開発だけでなく、入念な事業計画と準備にかかっています。

開業には、食品衛生責任者の資格取得や保健所の営業許可など、法的な手続きが不可欠です。また、車両や設備の準備にはまとまった初期費用が必要となりますが、中古品の活用や補助金制度を上手に利用することで、負担を軽減することもできます。開業までのステップを一つひとつ着実にクリアし、あなただけの素敵なワッフルキッチンカーの夢を叶えましょう。

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