- 更新日 : 2026年1月28日
失業手当はいくらもらえる?計算式や年齢別のシミュレーション、注意点を解説
失業手当(正式名称:基本手当)とは、雇用保険に加入していた人が失業した場合に、再就職までの生活を安定させ、求職活動に専念するために支給される給付金のことです。 一般的に「失業手当」や「失業保険」と呼ばれますが、受給するためには「就職する意思と能力があること」や「一定の雇用保険加入期間」が必要となります。
支給額は退職直前の給与の約50%〜80%が目安ですが、具体的な金額は年齢や勤続年数、離職理由によって大きく変動します。 この記事では「失業手当はいくらもらえるのか」という疑問に対し、正確な計算方法や決定要素、そして具体的な年収・年齢別のシミュレーションを交えて解説します。退職後の生活設計にお役立てください。
目次
失業手当はいくらもらえる?
失業手当(基本手当)として受け取れる金額の目安は、退職直前の給与(日額換算)の50%〜80%です。
正確な受給総額を知るには、以下の計算式を用いて「1日あたりの金額」と「もらえる日数」を掛け合わせる必要があります。
1日あたりの受給額を決める基本手当日額
基本手当日額とは、失業中に1日あたり支給される金額のことです。 離職する直前の6ヶ月間に支払われた賃金の合計を180で割った「賃金日額」に、所定の「給付率(50〜80%)」を掛けて算出されます。まずはこの「1日あたりの単価」を出すことが計算の第一歩となります。
支給総額を求める計算式
失業手当の支給総額は、算出された基本手当日額に、自身の給付日数を掛け合わせることで求められます。
所定給付日数は最短90日から最長360日まであり、自分の日数が何日になるかによって、最終的に受け取れる総額が数十万円単位で変わります。
なお、実際の支給は原則として4週(28日)ごとの「失業認定」を経て行われるため、1回あたりの振込額は「基本手当日額 × 28日分」が目安となります。
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失業手当がいくらになるかを左右する要素とは?
前章の計算式にある「基本手当日額(単価)」と「所定給付日数(期間)」は、一律ではなく個人の状況(4つの要素)によって決定されます。 同じ給料の同僚でも、これらの条件次第で受給総額に数十万円の差が出ることがあります。
上限額と給付率に関わる「離職時の年齢」
年齢は「基本手当日額の上限額」と「給付率」を決定する基準です。 特に45歳以上60歳未満の層は上限額が高く設定されていますが、60歳を超えると給付率や上限額が下がる仕組みになっており、手取り額に直結します。
日額のベースとなる「直近6ヶ月間の賃金総額」
計算のベースとなるのは、退職日直前の6ヶ月間の給与総額(額面)です。 ここには基本給だけでなく、残業手当、役職手当、住宅手当、通勤手当などがすべて含まれます。したがって、退職直前に残業が多く給与総額が高かった場合は、算出される手当も高くなります。
給付日数を決定する「被保険者期間(勤続年数)」
雇用保険に加入していた期間が長いほど、失業手当を受け取れる期間(所定給付日数)が長くなります。 例えば自己都合退職の場合、勤続10年未満では90日ですが、20年以上になると150日に延長されるなど、長く勤めた人ほど総額が増える仕組みです。
日数と開始時期を変える「離職理由(自己都合・会社都合)」
離職理由が「自己都合」か「会社都合」かによって、給付日数と受給開始のタイミングが劇的に変わります。 会社都合(特定受給資格者)の場合は、給付日数が最大330日まで優遇され、かつ待期期間(7日間)経過後の「給付制限期間(原則1ヶ月)」がなくすぐに支給が始まるため、経済的なメリットが非常に大きくなります。
【シミュレーション】失業手当の金額は年齢別にどう変わる?
年齢や勤続年数、退職理由が異なる3つのモデルケースで、受給額の目安をシミュレーションします。
※計算結果は概算であり、制度改正により数値は変動します。
20代後半・自己都合退職の場合
20代で勤続年数が短い自己都合退職の場合、給付日数は最も短い90日となるケースが一般的です。
一方で、賃金がまだ高くない若年層は給付率が高くなるため、日額換算では給与の約7割が支給される計算になります。
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| 年齢 | 27歳 |
| 勤続年数 | 4年 |
| 離職理由 | 自己都合(一般の離職者) |
| 退職前6ヶ月の月給平均 | 25万円 |
- 賃金日額:約8,333円
- 給付率:約68%
- 基本手当日額:5,707円
- 所定給付日数:90日
- 支給総額(目安):約51万円
40代半ば・会社都合退職の場合
リストラ等の会社都合で、かつ年齢が45歳以上の場合は給付日数が大幅に優遇され、総額が大きくなります。
再就職の難易度が上がるミドルシニア層への配慮として、雇用保険制度の中で特に手厚い保護が受けられる区分となっています。
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| 年齢 | 45歳 |
| 勤続年数 | 15年 |
| 離職理由 | 会社都合(特定受給資格者) |
| 退職前6ヶ月の月給平均 | 35万円 |
- 賃金日額:約11,666円
- 給付率:約56%
- 基本手当日額:6,494円
- 所定給付日数:270日
- 支給総額(目安):約175万円
30代前半・自己都合退職の場合
自己都合退職であっても、10年以上勤務している場合は給付日数が延長され、受給総額が増加します。
90日で給付が終了する一般的なケースと比べて1ヶ月分(30日)多く支給されるため、焦らずに再就職活動を行うことができます。
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| 年齢 | 34歳 |
| 勤続年数 | 12年 |
| 離職理由 | 自己都合(一般の離職者) |
| 退職前6ヶ月の月給平均 | 30万円 |
- 賃金日額:10,000円
- 給付率:約62%
- 基本手当日額:6,207円
- 所定給付日数:120日
- 支給総額(目安):約74万円
失業手当の概算金額を算出するための手順とは?
失業手当の金額を算出する手順は、「賃金日額の確定→年齢別上限の確認→給付率の適用→給付日数の乗算」という4つのステップで行います。
退職者自身の生活設計はもちろん、人事労務担当者が退職時の説明や離職票(雇用保険被保険者離職票-2)を作成する際にも必須となる計算フローです。
ステップ1:退職前6ヶ月間の「賃金日額」を算出する
まずは、計算の基礎となる「賃金日額(1日あたりの平均賃金)」を求めます。 退職日直前の6ヶ月間に支払われた賃金総額(額面)を180日で割って算出します。
- 人事担当者のポイント:計算に含まれるものと含まれないものを確認してください。
- 計算に含まれるもの: 基本給、残業手当、役職手当、住宅手当、通勤手当(非課税分含む)、家族手当など。
- 計算から除外するもの: 賞与(ボーナス)、決算賞与、退職金、結婚祝い金などの臨時的な賃金。
ステップ2:年齢ごとの「上限額・下限額」と照合する
算出した賃金日額が、法律で定められた範囲内に収まっているかを確認します。 雇用保険法により年齢階層別の「基本手当日額の上限・下限」が定められており、計算結果がこれを上回る場合は上限額が、下回る場合は下限額が適用されます。
- 確認すべき指標: この上限・下限額は「毎月勤労統計」の結果に基づき、毎年8月1日に改定されます。必ず厚生労働省が発表する最新の「雇用保険の基本手当日額の変更」リーフレットを参照してください。
- 上限額の目安(令和7年度):
- 29歳以下:7,225円
- 30歳〜44歳:8,055円
- 45歳〜59歳:8,870円
- 60歳〜64歳:7,623円
ステップ3:賃金に応じた「給付率」を適用する
賃金日額に対し、50%〜80%の「給付率」を掛けて、実際に支給される「基本手当日額」を確定させます。 給付率は一律ではなく、賃金が低い人ほど高い率(80%寄り)になり、賃金が高い人ほど低い率(50%寄り)になる「逆進的な仕組み」になっています。
- 60歳〜64歳の場合: 定年退職などで離職が多いこの層は、給付率が45%〜80%と他年代よりやや低く設定されています。
ステップ4:離職理由に基づき「所定給付日数」を掛ける
最後に、ご自身の「離職理由」と「被保険者期間(勤続年数)」から決定される所定給付日数を、基本手当日額に掛け合わせます。 これが「総額でいくらもらえるか」の最終的な答えとなります。
- 人事担当者のポイント: 離職票-2の「⑦離職理由」欄のチェックは非常に重要です。「事業主都合(解雇・倒産など)」か「自己都合」かによって、給付日数が90日〜330日まで大きく変動します。退職者と認識のズレがないよう、退職時に理由を明確に合意しておくことがトラブル防止につながります。なお、就職困難者(障害者や刑余者など)は150日~360日が所定給付日数です。
- 給付日数の目安:
- 自己都合(一般受給資格者):90日〜150日
- 会社都合(特定受給資格者):90日〜330日
失業手当の金額に関して注意すべき点は?
失業手当の金額に関する主な注意点は、賞与が計算に含まれず、想定より少なくなりやすいことです。 その他、受給中のアルバイトや早期就職によっても受給額は変動します。ここでは、計算対象外となる賃金や税金の扱い、そして就労した場合の金額ルールについてまとめて解説します。
賞与やボーナスの計算除外
結論から言うと、賞与やボーナスは失業手当の計算基準となる「賃金日額」には含まれません。 たとえ年収が高くても、ボーナスの比重が大きい給与体系の人は、月給ベースで計算されるため失業手当が想定より少なくなる傾向があります。具体的には「3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与)」や「臨時に支払われる賃金(大入り袋等)」は計算から除外され、あくまで毎月の経常的な給与がベースになります。
税金・保険料の取り扱い
失業手当は非課税ですが、国民健康保険と国民年金の支払いは自分で行う必要があります。 失業手当に所得税や住民税はかかりませんが、会社を退職したことで社会保険の資格を喪失しているため、年金と健康保険の切り替え・納付義務が生じます。これらは失業手当から天引きされないため、手元の受給額から別途支払う計画を立てる必要があります。
勤続年数のリセット
失業手当の受給資格決定を受けると、それまで積み上げた被保険者期間(勤続年数)はすべてリセットされ、次回受給時はゼロからのカウントになります。 今回受給してすぐに再就職し、短期間で再び離職した場合は「被保険者期間が1年未満」となり、失業手当の受給要件を満たさないリスクや、給付日数が大幅に減る可能性があります。将来的なリスクも考慮し、安易な受給には注意が必要です。
アルバイトをした場合の減額ルール
受給期間中にアルバイト等の収入を得た場合、その日の手当が「減額」または「不支給(先送り)」となる場合があります。 アルバイトで得た1日あたりの収入から控除額(1,391円※年度により変動)を引き、その額と基本手当日額を足した合計が、前職の賃金日額の80%を超えると、超えた分が減額されます。ハローワークに申告せず収入を得ると不正受給となり、3倍返しのペナルティが科されるため必ず申告してください。
早期再就職時の再就職手当
早く就職すると失業手当の支給は止まりますが、残日数が3分の1以上あれば「再就職手当」として一時金を受け取れます。 残日数の60%または70%相当額が一括支給される仕組みです。満額受給するためにあえて就職を遅らせるよりも、早く再就職して給与と再就職手当の両方を得るほうが、トータルの経済的メリットが大きくなるように設計されています。
失業手当はいくらもらえるのか、仕組みを理解し適切な手続きを
失業手当がいくらもらえるかは、退職前の給与や年齢、そして「離職理由」によって大きく変動します。 退職される方は、受給額(給与の50〜80%程度)や手取りへの注意点を把握し、計画的な再就職活動を行うことが大切です。
また、人事労務担当者にとっても、退職者からの「いくらもらえる?」という質問への正確な案内や、トラブルになりやすい離職理由の適正な手続きは信頼関係維持のために重要です。 まずは正確な離職票の作成と確認を第一歩とし、双方にとってスムーズな手続きを目指しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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