• 作成日 : 2026年3月27日

産休を男性が取得するメリットとは?産後パパ育休の制度内容と企業の対応策を徹底解説

Point男性の産休(産後パパ育休)とは? 出生直後に父親が集中的に休める育児休業制度

産後パパ育休は出生後8週内に最大28日取得でき、企業は周知と意向確認が必須です

  • 8週内・最大4週取得
  • 2回分割で柔軟運用
  • 属人化解消が鍵

Q:企業が最初にやるべき対応は?
A:申出を待たず、制度周知と取得意向の個別確認を実施します。

育児・介護休業法の改正により、男性の育児参加を促す「産後パパ育休」が新設されました。少子高齢化が進む中、優秀な人材の確保や離職防止の観点から、企業には男性の休業取得を支える体制づくりが大きな影響を及ぼしています。

本記事では、経営層や人事労務担当者が把握しておくべき制度の枠組みや、職場環境の整備に向けたポイントを詳しく解説します。

男性の産休(産後パパ育休)が注目される背景とは?

日本の労働環境において、男性の育児参加は長年の課題であり、これまで取得率は低迷していました。しかし、昨今の法改正や社会意識の変化に伴い、企業が取り組むべき優先事項としての認知が広まっています。

社会情勢の変化と法改正による取得推進の加速

現代の日本社会では共働き世帯が一般的となり、家庭内での役割分担についても抜本的な見直しが進んでいます。かつての「育児は女性が担うもの」という固定観念は急速に薄れ、男性側からも積極的に育児に関わりたいという希望が増加してきました。こうした現場の声に応える形で、国は育児・介護休業法を段階的に改正し、男性が産後直後のデリケートな時期に休業を取得しやすい環境を法的に整備しました。法律によって企業側に制度の周知や取得意向の確認が義務付けられた事実は、組織全体の意識を変える大きな転換点となっています。

優秀な人材の確保と離職防止への好影響

企業が男性の休業を積極的に推進することは、単なる法令遵守に留まらず、採用競争力や従業員の定着率向上に直結します。ワークライフバランスを重視する若手層を中心に、育児支援が充実しているかどうかは企業選びの指標となっており、柔軟な働き方を認める文化は組織の魅力を高めます。育児休業を通じて家庭を大切にする姿勢を認めることは、従業員の組織に対するエンゲージメントを強固にし、結果として将来を担う優秀な人材の流出を防ぐ効果を期待できます。また、多様な働き方を許容する姿勢は、変化に強い組織文化の醸成にも寄与します。

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男性版産休「産後パパ育休」の具体的な制度内容は?

男性版産休とも呼ばれる「産後パパ育休」は、出生時育児休業という名称で運用されています。従来の育児休業とは別の枠組みとして設けられたこの制度は、出産直後の家庭を支えるために特化した設計がなされています。

参考:産後パパ育休|厚生労働省

出生後8週間以内に最大4週間取得可能な新制度

産後パパ育休の最大の特徴は、子供の出生後8週間という最も手助けが必要な期間に、最大4週間までの休業を取得できる点にあります。この期間は母親の心身の回復が最も必要な時期であり、男性が家庭に留まり育児や家事を分担することは、産後うつの予防や家庭の安定に大きく貢献します。取得にあたっては、原則として休業開始の2週間前までに申し出を行うルールとなっており、従来の育休よりも短い期間での申請が認められています。これにより、突発的な出産という事態にも柔軟に対応できる体制が整えられています。

分割取得や休業中の就業も可能にする柔軟な仕組み

利便性を高める工夫として、4週間の休業期間を2回に分けて取得できる分割制度が導入されました。例えば、退院直後と里帰り終了後のタイミングに合わせて休むなど、各家庭の事情に合わせた柔軟なスケジュール設計が可能です。さらに、労使協定を締結している場合に限り、休業期間中であっても事前に合意した範囲内で就業できる仕組みも備わっています。完全に仕事を離れることが難しい役職者や、特定の繁忙期にのみ対応したいと考える従業員にとって、この選択肢は取得のハードルを下げる有効な手段として機能します。

従来の育児休業と「産後パパ育休」の具体的な相違点は?

人事労務の現場では、これまでの育児休業と新設された産後パパ育休がどのように異なるのかを正確に整理しておく必要があります。両者は併用が可能であるため、それぞれの性質を理解することが適切なアドバイスに繋がります。

参考:育児・介護休業法について|厚生労働省

取得可能時期と申出期限におけるルールの違い

従来の育児休業は、原則として子供が1歳に達するまでの期間に取得するものであり、申し出期限は休業開始の1ヶ月前までと定められています。これに対し、産後パパ育休は出生後8週間に限定された制度であり、前述の通り申し出期限も2週間前までに短縮されている点が大きな違いです。短期集中的に休むことを想定した産後パパ育休と、中長期的な育児を支える従来の育休では、申請のタイミングや対象となる期間が明確に区別されています。企業は、従業員がどちらの制度を利用しようとしているのかを正確に把握し、手続きを進める手間を省く工夫を凝らさなければなりません。

休業期間中の就業可否に関する運用の差異

従来の育児休業期間中は、原則として就業することは認められておらず、一時的・臨時的である場合に限定的な労働が許容される程度でした。一方、産後パパ育休では、あらかじめ労使協定を締結し、従業員の同意を得た範囲内であれば、一定の上限の下で計画的に働くことができます。この「休業中の就業」は、男性の育休取得を阻む要因の一つであった「仕事が回らなくなる不安」を解消するための画期的な試みです。ただし、就業日数が多すぎると給付金の支給額に影響を及ぼす恐れがあるため、人事担当者は適切な上限設定と事前の説明を徹底することが欠かせません。

企業が男性の産休対応で留意すべきポイントとは?

制度が整っていても、職場の受け入れ体制が不十分であれば形骸化してしまいます。企業には、法的な義務を果たすだけでなく、心理的な壁を取り除くための実務的な対応が求められています。

育休取得意向の確認を義務付ける雇用環境の整備

法改正により、妊娠や出産を届け出た従業員に対して、企業は個別に制度を周知し、取得意向を確認することが義務付けられました。これは、上司や周囲に気兼ねして言い出せない従業員を救い出すための措置であり、会社側から能動的に働きかける姿勢が肝要となります。単に書面を渡すだけでなく、面談を通じて不安を払拭する機会を設けるなどの配慮が、取得率の向上に寄与します。また、育休を理由とした降格や減給といった不利益な扱いは厳格に禁じられており、ハラスメントの防止に向けた研修の実施なども企業の重大な責務となります。

業務の属人化を排除しチームで支え合う体制の構築

男性が育休を取得しにくい最大の理由は、自分にしかできない仕事があるという業務の属人化にあります。この課題を克服するためには、日頃から情報の共有を密にし、一人の担当者が不在でもチームでカバーできる仕組みを構築しなければなりません。マニュアルの整備や多能工化の推進は、育休対応のみならず、災害時や急な欠勤の際にも役立つ強固な組織づくりに繋がります。メンバーが休むことを前提とした業務配分を行い、カバーする側の負担が過度にならないよう調整する管理職の手腕が、制度運用の成否を分ける鍵となります。

男性が産休を取得する際の給付金や社会保険料はどうなる?

休業中の経済的な不安は、取得を迷う大きな要因となります。企業は、給付金や保険料免除の仕組みを正しく伝え、実質的な所得減少が抑えられることを理解してもらう必要があります。

手取り額が実質8割程度維持される出生時育児休業給付金

産後パパ育休の期間中は、雇用保険から「出生時育児休業給付金」が支給されます。支給額は原則として休業開始前の賃金の67パーセントとなりますが、この給付金は非課税であるため、所得税が課されません。また、次項で述べる社会保険料の免除も併せると、休業前の手取り額と比較して実質的に8割程度が確保される計算となります。この経済的な補償の内容を丁寧に説明することで、生活費への懸念を抱く従業員の背中を押し、安心して家庭に専念できる土壌を整えることが可能になります。申請手続きの漏れがないよう、労務担当者はスケジュール管理を徹底する必要があります。また、2025年4月から出生後休業支援給付金が創設され、現在ではこの給付金と合わせて実質手取り10割が保障されています。

参考: Q&A~育児休業等給付|厚生労働省
参考:2025年4月から「出生後休業支援給付金 」を創設しました|厚生労働省

労使双方の負担を軽減する社会保険料の免除制度

育児休業期間中は、本人分だけでなく会社負担分の社会保険料も免除の対象となります。免除を受けるための要件は細かく設定されていますが、月をまたぐ休業や、同一月内であっても14日以上の休業を取得した場合などに適用されます。この制度は、従業員の持ち出しを抑えるだけでなく、企業にとっても法定福利費の削減というメリットをもたらします。金銭的な恩恵は労使双方に存在するため、コスト面での懸念を持つ経営層に対しても、免除制度の有効活用を説得材料として活用することができます。正確な免除要件を把握し、適切なタイミングでの届け出を行うことが実務上のポイントとなります。

参考:令和4年10月から育児休業等期間中の社会保険料免除要件が見直されます。|厚生労働省

経営層が主導すべき職場文化の変革とは?

制度や金銭的な支援が揃っていても、最終的に取得を決めるのは職場の空気感です。トップが明確なビジョンを示し、組織全体で育児を応援する文化を根付かせることが何よりも大きな意味を持ちます。

育休取得を肯定しキャリア形成を支援するメッセージ

経営層が「男性の育休取得は当然の権利であり、会社としても推奨する」というメッセージを対外・対内の両方に発信することは、現場の空気を変える強力な後押しとなります。育休を取得してもキャリアアップに支障がないことを明確にし、むしろ多様な経験を積んだ人材として評価する仕組みを整えるべきです。ロールモデルとなるような取得事例を社内報などで紹介し、後に続く従業員の心理的なハードルを下げる工夫も有効です。上層部が率先して意識改革を主導することで、部下の休業を快く思わないといった古い価値観を払拭し、誰もが休みやすい環境を実現できます。

取得後の円滑な職場復帰をサポートする対話の場

休業期間が終わった後の職場復帰も、軽視できない要素です。長期間仕事を離れた従業員は、スムーズに業務に戻れるか、自分の居場所があるかといった不安を抱えています。復帰前に面談を実施し、現在の業務状況や復帰後の役割について丁寧に共有することは、こうした不安を解消するために欠かせません。育児に伴う短時間勤務や残業免除といった制度についても改めて説明し、家庭状況に配慮した柔軟な働き方を提案する姿勢が組織の信頼を築きます。継続的なコミュニケーションを通じて、休業取得者が疎外感を感じることなく、再び戦力として活躍できるステージを用意することが組織の成長に寄与します。

男性の産休(産後パパ育休)の活用で持続可能な経営を目指す

男性の産休取得推進は、法的な義務を果たすこと以上に、企業の持続的な成長を実現するための投資として捉えるべきです。産後パパ育休という新しい枠組みを正しく理解し、既存の育児休業と組み合わせて活用することで、従業員のワークライフバランスは飛躍的に向上します。業務の透明性を高め、属人化を解消する取り組みは、結果として組織全体の生産性向上やリスク管理の強化にも繋がるものです。経営層と人事労務担当者が手を取り合い、男性が当たり前に育休を取得できる文化を醸成することは、少子高齢化社会において選ばれ続ける企業であるための必須条件と言えます。


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