• 更新日 : 2026年1月29日

業務委託で人材を採用するには?契約方法・メリット・注意点を解説

Point採用における業務委託とは何ですか?

業務委託による採用は、雇用契約に代わり、外部人材と契約して専門業務を遂行してもらう柔軟な活用手段です。

  • 即戦力を短期導入できる
  • 社会保険などの負担が不要
  • 指揮命令権がない点に注意

雇用と異なり、業務委託では成果物や業務遂行に対して報酬を支払います。

業務委託による人材活用は、柔軟な組織運営や専門スキルの即時導入を可能にする手段として注目を集めています。フリーランスや個人事業主との契約は、コストを抑えつつ高い専門性を外部から取り入れられる点で、多くの企業が導入を検討しています。

しかし、雇用契約とは異なる制度であるため、契約の進め方や注意点を正しく理解しなければ、トラブルやリスクの温床にもなりかねません。

本記事では業務委託の人材採用をテーマに、契約形態の特徴からメリット・デメリット、採用手段、契約書作成のポイントなどを解説します。

目次

業務委託の人材採用とは?雇用契約との違いは?

業務委託の人材採用とは、企業が自社の業務を社外の個人や法人に依頼し、その遂行や成果に対して報酬を支払う契約形態です。正社員などの雇用契約とは法的な位置づけや契約範囲が大きく異なります。以下では、雇用契約との主な違いを解説します。

雇用関係がなく、指揮命令できないのが最大の違い

業務委託契約では、企業と受託者の間に労働法上の雇用関係は成立しません。受託者は企業の従業員ではなく、独立した立場のフリーランスや外部法人であるため、企業は就業時間や働き方を直接指示することはできません。これに対し、雇用契約では企業が労働者に対して業務命令を出し、勤務時間や場所などを管理する義務があります。この「指揮命令関係の有無」が、両者を最も明確に分ける要素です。

報酬は成果・業務遂行に対して支払われる

業務委託では、多くの場合で時間ではなく「業務の完了」や「成果物の納品」に対して報酬が支払われます。たとえば「納品されたWebサイトに対して30万円」といった形です。一方、雇用契約では労働時間に応じて賃金を支払うため、時間管理や残業の概念が生じます。業務委託では時間管理義務がないため、働く時間や方法は受託者の裁量に任されます。

なお、業務委託は業務の遂行(役務提供)を目的とする「委任」「準委任」なども含みます。報酬は、成果物の納品以外にも稼働(工数・月額等)に対する場合もあり、契約類型に応じて支払条件・責任範囲を設計します。

社会保険・福利厚生の対象外となる

業務委託契約では、企業は受託者に対して社会保険(健康保険・厚生年金雇用保険など)への加入義務を負いません。受託者が個人事業主である場合、自ら国民健康保険や国民年金に加入します。雇用契約であれば、企業がこれらの保険料の一部を負担する必要がありますが、業務委託ではその必要がないため、企業側にとってはコスト面のメリットがあります。

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業務委託の人材を採用するメリットは?

業務委託での採用は、企業にとってコストやリソースの面で効率的な選択肢となることがあります。以下では、業務委託契約におけるメリットを解説します。

専門スキルを持つ即戦力を短期間で確保できる

業務委託契約では、すでに実務経験のあるフリーランスや個人事業主を対象に採用できるため、即戦力となる人材をスピーディーに確保できます。WebエンジニアやUI/UXデザイナー、SNS運用に長けたマーケターなど、専門性の高い業務を外部のプロフェッショナルに任せることで、社内にそのスキルがない場合でも質の高い成果を得ることが可能です。

また、フリーランスは特定の業界や職種に精通しているケースが多く、ニーズに応じた的確な提案や作業進行を期待できます。これにより、社内の教育コストや立ち上げ時間を削減しながら、即時的な戦力を得ることができます。

採用や人件費にかかるコストを大きく削減できる

正社員を新たに雇用する場合には、求人広告費や人材紹介手数料、面接や教育にかかる時間と費用が発生します。さらに、採用後も毎月の給与や社会保険料、通勤手当福利厚生費などの固定的・継続的なコストが発生します。

これに対して業務委託では、成果物や業務遂行に対して契約内容に応じた報酬を支払う形となるため、時間管理や社会保険の対応が不要です。また、契約終了の自由度も高いため、もし成果が期待に届かない場合は契約を更新しないという選択も取りやすく、無駄な人件費を抑えることができます。ただし、契約終了の条件に関しては、業務委託契約書で定めておく必要があります。

必要な期間だけ契約でき、柔軟な人材運用が可能

業務委託の最大の特長のひとつは、「必要なときに必要な期間だけ契約できる」という柔軟性にあります。たとえば、繁忙期のみの短期プロジェクトや新規事業の立ち上げ時など、臨時の人手が必要な場面でスポット的に専門人材を活用できます。

正社員雇用のように長期間の在籍を前提としないため、業務が終了すれば契約も終了でき、人件費を固定化させずに変動費として調整可能です。特にスタートアップや事業部単位での採算管理が重要なケースでは、業務委託の活用が経営上の柔軟性を高める手段となります。

業務委託の人材を採用するデメリット・課題は?

業務委託は柔軟な人材活用が可能な一方で、社内体制や契約管理の面で注意すべき課題も少なくありません。以下に、代表的なデメリットや課題を解説します。

社内にスキルやノウハウが残らない可能性がある

業務委託で外部の専門家に業務を任せると、その成果は得られる一方で、業務の進め方やノウハウが社内に共有されにくい傾向があります。成果物の納品を目的とした契約では、過程や思考プロセスがブラックボックス化しやすく、同様の案件が再発したときに社内で再現できない状況が生まれます。結果として、外部依存が常態化し、内製化や組織的なスキルアップの機会が失われてしまうおそれがあります。

情報漏えいのリスクを伴うことがある

業務委託契約では、外部の人材に社内データや顧客情報を共有する場面が発生します。そのため、情報セキュリティ対策を徹底しなければ、意図しない漏えいや不正利用のリスクが高まります。特に個人事業主や小規模事業者を相手にする場合、社内と同レベルの情報管理が行われていないこともあります。こうした事態を防ぐには、秘密保持契約(NDA)を締結するのが効果的です。

進捗管理や契約トラブルに発展するケースがある

社内の従業員とは異なり、業務委託先の進捗を日常的に細かく確認する仕組みがない場合、納品直前まで問題に気づけないことがあります。たとえば、納期遅延や仕様の食い違いが発覚するのがギリギリになり、プロジェクト全体のスケジュールに影響を与えることもあります。また、契約の内容や範囲が曖昧なままだと、「修正は何回まで対応するか」「追加業務は報酬に含まれるか」といった点でトラブルになることも珍しくありません。最悪の場合、委託先が業務を途中で放棄するなど、契約不履行に陥るケースもあります。

業務委託の人材を採用する方法は?

業務委託契約の人材を採用するには、正社員採用とは異なるチャネルやアプローチが必要です。以下に、代表的な採用手段を紹介します。

求人サイトや求人広告

大手の求人サイトや業務委託専門の求人媒体に募集広告を掲載する方法は、最もオーソドックスで応募数を期待しやすい手段です。企業の知名度や職種によっては、数日で複数の応募が集まることもあります。媒体によっては業務委託専門カテゴリを設けているため、フリーランス人材を対象とした訴求が可能です。

ただし、掲載には一定の費用がかかるため、予算が限られている中小企業やスタートアップにとってはコスト負担となる場合があります。掲載期間や条件によって料金が変動するため、事前に広告出稿計画を立てることが望まれます。

クラウドソーシング

クラウドソーシングサービスは、仕事を探すフリーランスと企業をオンライン上でマッチングするプラットフォームです。代表的なサービスには「クラウドワークス」や「ランサーズ」などがあり、無料または低コストで求人を掲載できることが特徴です。

案件を公開すれば、登録者から直接応募や提案を受けることができ、スピーディーな契約につながる場合もあります。一方で、登録人材のスキルレベルには差があるため、ポートフォリオや過去の実績などを慎重に確認し、事前にトライアル業務を依頼するなどの対策が推奨されます。

専門性の高いマッチングサービス

ハイスキル人材をピンポイントで探したい場合には、フリーランス特化型のマッチングサービスの利用が適しています。「Workship」や「レバテックフリーランス」など、ITエンジニアやデザイナー、マーケターといった分野別に特化したサービスが豊富にあります。

これらのサービスでは、職種ごとのスキル要件に合わせて候補者を絞り込むことができ、精度の高いマッチングが期待できます。ただし、優秀な人材ほど人気が集中しやすく、条件面で他社との競争になる場合もあるため、報酬設計や契約条件に柔軟性を持たせることが求められます。

社員や関係者からの紹介(リファラル)

社内の従業員や取引先など、信頼できる関係者からの紹介を通じて業務委託人材を確保する方法も効果的です。紹介者によってある程度人物像や実績が保証されているため、ミスマッチが起きにくく、スムーズな契約につながるケースが多くあります。

また、求人広告費などがかからないため、コストを抑えた採用手段としても有効です。ただし、紹介してくれる人脈がない場合にはこの方法は機能しにくく、紹介までに時間がかかることもあるため、他の手段と並行して進めるとよいでしょう。

自社サイトやSNS

自社の採用ページに業務委託人材を募集している旨を掲載したり、企業の公式SNSアカウントを通じて発信することも効果的な手段です。会社の理念や事業内容に共感した人材から自発的な応募を得やすく、採用後の定着や信頼関係の構築にもつながりやすくなります。

特にスタートアップやベンチャー企業では、SNSを通じたコミュニティづくりが功を奏し、志向の合う人材との接点を築くことができます。ただし、企業の知名度や発信力が低い場合は閲覧数が限られ、応募数の確保が難しい可能性もあるため、他の手段と併用することが望ましいです。

業務委託の人材を採用するときの注意点は?

業務委託契約は雇用契約とは異なり、契約内容の自由度が高い反面、認識のズレや契約不備がトラブルを引き起こすこともあります。以下では、業務委託で人材を採用する際に押さえておきたい注意点を紹介します。

スキルや人物像を明確に定義してから募集する

業務委託で人材を募集する際は、求めるスキルや人物像を社内で具体的に整理し、応募者との間で認識を一致させることが不可欠です。もし要件が曖昧なまま進めてしまうと、「スキルが不十分だった」「仕事の進め方が合わない」といったミスマッチが起こりやすくなります。

そのため、募集要項では業務の目的や必要な技術経験、コミュニケーションスタイルなどを詳細に記載し、面談などで確認するプロセスを丁寧に行うことが大切です。最初の段階で期待する水準を明確に示すことで、契約後のトラブルを防ぎやすくなります。

委託する業務範囲や成果物を具体的に示す

業務の内容や成果物が不明確だと、委託先との認識にズレが生じやすくなります。「どこまでが依頼範囲なのか」「納品とは何を指すのか」といった点を双方で合意しておかないと、「聞いていない業務まで対応を求められた」「納品基準があいまいだった」といった問題に発展する恐れがあります。

これを避けるためには、業務のゴールやタスクの範囲、納品物の形式と品質基準を具体的に定め、契約書や業務指示書に明記しておく必要があります。作業の粒度が高い場合は、分割して複数の成果物として記述するのも有効です。

契約内容を必ず書面に残す

業務委託契約では、口頭の合意のみで業務を開始することは避けるべきです。報酬、納期、業務内容、修正対応の範囲、秘密保持義務、損害賠償の責任分担などを含む契約書を必ず交わし、後から解釈の違いが生まれないようにしましょう。

契約書があれば、万が一トラブルが発生した際にも責任範囲が明確になり、企業としても適切な対応を取りやすくなります。また、契約更新や業務範囲の追加が発生する場合も、都度合意のうえで契約書を改訂することが望ましいです。

偽装請負と見なされないよう、指揮命令に注意する

業務委託契約では、受託者に対して企業側が指揮命令を行うことは基本的に認められていません。たとえば、出社時間や作業手順を細かく指示したり、社員と同じ労務管理を行ったりすると、契約上は業務委託でも実態としては「雇用契約」と判断される可能性があります。

また、書類上は業務委託や請負でも、実態が労働者派遣である場合は「偽装請負」と呼ばれ、職業安定法や労働者派遣法に違反する行為です。この場合、企業側に行政指導や罰則が課されるリスクがあります。そのため、業務委託人材には業務の成果や納品条件をベースに契約を進め、日々の業務指示や勤務管理は原則として行わないよう注意が必要です。社内でこのルールを共有し、必要に応じて労務の専門家へ相談することも検討するとよいでしょう。

参考:偽装請負について|東京労働局

業務委託の人材を採用する手順は?

業務委託の人材を採用する場合、正社員採用とは異なり「契約を前提とした手順設計」が欠かせません。以下では、業務委託人材を採用し、契約を結ぶまでの基本的な流れを段階ごとに整理します。

① 委託する業務内容と条件を整理する

最初に行うべきは、業務委託として任せる業務内容の整理です。どの業務を外部に切り出すのか、成果物の有無、稼働期間、想定報酬などを社内で明確にします。この段階で業務範囲や期待水準を言語化しておくことで、後の募集や契約がスムーズになります。

② 募集・紹介などで候補者を探す

整理した条件をもとに、求人サイト、クラウドソーシング、マッチングサービス、紹介などの手段を使って候補者を探します。業務委託の場合はスキルや実績が重視されるため、ポートフォリオや過去の業務経験を確認できる募集方法を選ぶことが重要です。

③ 面談・条件すり合わせを行う

応募や紹介があった候補者とは面談を行い、スキルや実績だけでなく、業務の進め方やコミュニケーションスタイルを確認します。同時に、業務内容・報酬・契約期間などの条件をすり合わせ、双方の認識にズレがないかを確認します。

④ 契約内容を整理し契約書を作成する

条件が合意できたら、業務委託契約書を作成します。契約書には、業務内容、報酬額と支払方法、契約期間、成果物の定義、修正対応、秘密保持、損害賠償、契約解除条件などを明記します。口頭合意ではなく、必ず書面で取り交わすことが重要です。

⑤ 契約締結後に業務を開始する

契約書を双方で締結した後、業務を開始します。業務委託では指揮命令を行わない前提となるため、業務の進め方や連絡手段、成果物の提出方法などを事前に共有し、契約内容に沿った形で業務を進めていきます。

業務委託契約書を作成する際のポイントは?

業務委託契約書は、発注者と受託者の間で「何を」「どこまで」「どのように」行うかを明確にする重要な文書です。後々のトラブルを避けるためにも、以下の項目を具体的かつ漏れなく盛り込むことが必要です。

業務内容と成果物の範囲を具体的に記載する

契約書には、業務の目的・内容・納品物の仕様などを詳細に記載します。「業務一式」「成果物一式」といった曖昧な表現は避け、どこまでが委託対象なのか明確にしましょう。必要に応じて、仕様書や別紙に業務詳細を添付するのも有効です。

報酬・支払条件を明記する

業務完了に対して支払う報酬金額、支払方法(振込など)、支払期限(納品から何日以内か)を明記します。また、途中終了時の精算方法や消費税の取り扱いについても記載しておくと安心です。

納期・修正対応・契約期間を定める

成果物の納品期限や、納品後の修正対応の有無・範囲・回数も契約書に盛り込みます。また、業務の開始日と終了日を明示し、契約期間を明確に設定します。

秘密保持・知的財産権の扱いを明文化する

業務を通じて知り得た情報の取扱いや、納品物の著作権・使用権の帰属についても、事前に合意し、文面に残す必要があります。制作物を納品する場合、著作権の譲渡有無や使用範囲が重要になります。

損害賠償・契約解除条項を設ける

納品遅延や守秘義務違反など、契約不履行があった場合の損害賠償責任や、どのような場合に契約を解除できるかを定めておくことで、トラブル時の対応が円滑になります。

業務委託人材の採用は、戦略的な活用と適切な管理がポイント

業務委託で人材を採用することは、即戦力の確保やコスト削減、柔軟な人材運用といった多くのメリットをもたらします。一方で、ノウハウの蓄積不足や契約トラブルといったリスクも伴います。成功のためには、業務内容やスキル要件を明確にし、適切な契約書を交わしたうえで、信頼できる人材を適切な方法で採用することが重要です。「業務委託の人材を採用する」という選択肢を有効に機能させるには、戦略性と慎重さの両立が求められます。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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