- 作成日 : 2026年1月19日
ストックオプションの個数の決め方は?平均比率や役職別配分、儲かる仕組みを徹底解説
スタートアップやベンチャー企業の経営において、ストックオプション(新株予約権)の個数や配分をどのように決めるかは、将来のIPO(新規上場)成功を左右する重要な課題です。
「何株渡せばいいのか?」と悩み個数から考えがちですが、実は「個数」よりも「比率」で設計することが成功のポイントです。付与数が少なすぎればインセンティブにならず、多すぎれば既存株主の持ち分が希薄化するリスクがあるためです。
この記事では、適切なストックオプションの決め方について、資本政策の観点から推奨される比率、具体的な計算手順、そして役職別の配分目安を解説します。
目次
ストックオプションの個数の決め方は?
ストックオプションの発行数を決める際に重要なのは、発行済株式総数に対する持分比率(%)です。
株数よりも比率(%)が重要な理由
- 株式分割への対応:株数は株式分割などで変動しますが、比率は変わりません。
- 希薄化の管理:既存株主(投資家や創業者)にとって重要なのは、「自分の持ち分がどれだけ薄まるか(希薄化)」であるため、パーセンテージでの管理が必須となります。
したがって、個別の株数から積み上げて決めるのではなく、まず会社全体の発行枠を比率で決定し、そこから個人へ割り当てるトップダウン方式を採用しましょう。
IPOを目指す場合は発行済株式総数の10〜15%が目安
上場(IPO)を目指す一般的なスタートアップにおいて、ストックオプションの発行枠は発行済株式総数の10〜15%程度が適正な平均値とされています。
この比率は、投資家(VC)や主幹事証券会社が許容できる一般的なラインです。もし15%を大きく超えて発行しすぎると、既存株主の利益を損なうとして、IPO審査で指摘を受けたり、株価の評価(バリュエーション)が下がったりするリスクがあります。
【フェーズ別】いつ・誰に・どの程度配分すべき?
ストックオプションの配分は一律ではなく、会社の成長段階(フェーズ)によって「いつ、誰に、どの程度」付与するかの戦略を変える必要があります。
1. 創業期:リスクを取った人材へ多めに付与
創業間もない時期は、給与も低く倒産リスクも高いため、ハイリスク・ハイリターンな設計が求められます。
この段階で参画するコアメンバーや優秀なエンジニアには、将来の成功報酬として高い比率を設定するのが一般的です。例えば、発行枠の一部を大きく使い、将来的に大きな資産となるよう設計します。
2. 成長期・安定期:公平性を重視して広く配分
組織が拡大し従業員が増える成長期以降は、一人あたりの付与比率は創業期に比べて下がっていきます。
このフェーズでは、特定の個人に大量に渡すよりも、広く浅く、あるいは成果を出した人に重点的に配分するなど、社内の公平性を重視した運用にシフトします。また、上場間近の段階では、既存株主への影響を考慮し、全体の10%の枠に収まるよう厳密な調整が行われます。
【役職別】実際に何株もらえる?
従業員にとって最大の関心事は、ストックオプションをもらうと「上場時に株価が何倍になり、お金としていくら儲かるのか」という点です。会社側は、この期待値をコントロールしながら個数を決める必要があります。
役職ごとの一般的な配分目安
誰に何株渡すかは、その人の役割と市場価値で決まります。一般的な目安は以下の通りです。
- 役員(CXOクラス):発行総数の数%単位(経営へのインパクト重視)
- 部長・マネージャークラス:年収の数倍のリターンが見込める株数
- 一般従業員:年収の0.5〜1倍程度のリターンを目指した個数
キャピタルゲイン(利益)の計算方法
従業員が得られる利益(キャピタルゲイン)は以下の計算式で算出できます。
例えば、行使価格100円のストックオプションを1,000株持ち、上場後に株価が10倍の1,000円になったとします。
会社側は、「上場時の想定時価総額」から逆算して、従業員にとって魅力的な金額になるよう個数を設定する必要があります。
ストックオプションの個数決定から付与までの手順
間違いのない個数決定を行うために、以下のステップで進めます。
1. 全体枠(プール)の設定
まずは発行済株式総数を確認し、その10〜15%にあたる株数を算出します。
例えば、発行済株式が1,000万株の場合、100万株〜150万株がストックオプション全体の原資となります。
2. 対象者と配分の決定
次に、誰に渡すかを選定し、役職や貢献度に応じて個数を割り振ります。
ここで重要なのは、全員一律にするのではなく、重要度に応じた傾斜をつけることです。決定内容は取締役会または株主総会での「付与決議」を経て正式に確定します。
3. 権利行使価格と個数の最終調整(税制対応)
付与される側は、権利を行使する際に「権利行使価格 × 株数」分のお金を払い込む必要があります。個数が多すぎると、行使に必要な資金が高額になりすぎ、従業員が権利行使できない事態も起こり得ます。
特に「税制適格ストックオプション」を利用する場合、年間行使価額が1,200万円(設立20年未満の一定の会社は最大3,600万円)を超えないように個数を調整する必要があります。
ストックオプションの付与個数を決める際の注意点は?
個数決定において最も避けるべきは、将来的な株式の希薄化や税務上のトラブルです。
既存株主の希薄化への配慮
ストックオプションを発行しすぎると、既存株主の持分比率が低下し、株主総会での承認が得られなくなるリスクがあります。
特に、信託型ストックオプションや有償ストックオプションなど複数のスキームを併用する場合は、合算した潜在株式数が「発行済株式総数の15%」を超えないよう厳格に管理する必要があります。投資契約書(株主間契約)において、発行上限条項が含まれていないか事前に確認しましょう。
税制適格要件の遵守
税制優遇を受けられる「税制適格ストックオプション」にするためには、厳しい要件があります。個数決定においては、以下の法的・税務的な制約も考慮しなければなりません。
- 権利行使価格:付与決議時の時価以上で設定されているか
- 行使限度額:年間の権利行使価額が1,200万円(設立20年未満の一定の会社は最大3,600万円)を超えていないか
ストックオプションの適切な配分のために
ストックオプションの個数と配分は、企業の資本政策と人材戦略のバランスの上に成り立つものです。適正な決め方の要点は以下の3点です。
- トップダウン思考:全体のプール(10〜15%)から逆算して枠を決める。
- シミュレーション:想定時価総額を用いて、従業員が得られる実質的なメリット(金額)を可視化する。
- 公平性と透明性:明確なレイヤー分けと基準を設け、恣意的な配分を避ける。
必ず弁護士や公認会計士などの専門家のレビューを受けながら、論理的な個数設計を行ってください。
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