• 作成日 : 2026年1月14日

会社移転の手続き完全ガイド!期間・流れ・費用から届出チェックリストまで徹底解説

会社移転(オフィス移転)は、単なる引越しではありません。物件選定から内装工事、さらには法務局や税務署への住所変更届出まで、多岐にわたるタスクが発生する一大プロジェクトです。手続きの漏れや遅延は、事業運営の停滞や代表者への過料請求といったリスクを招くため、全体スケジュールの正確な把握が不可欠です。

本記事では、会社移転に必要な標準的な期間、具体的な実行ステップ、そして各官公庁への届出リストを紹介します。スムーズな事務所移転を実現するための実務マニュアルとしてご活用ください。

会社移転の流れと具体的な手順は?

会社移転の流れは、以下のフェーズで進行します。

  1. 移転計画の立案と現オフィスの解約(6ヶ月前)
  2. 新物件の内覧と賃貸借契約の締結(4〜5ヶ月前)
  3. レイアウト設計・内装工事・インフラ手配(2〜3ヶ月前)
  4. 引越し作業と取引先への案内送付(1ヶ月前〜当日)

それぞれの時期にやるべきタスクを把握し、余裕を持った計画を立てることが、トラブルのないスムーズな住所変更への第一歩となります。

1. 移転計画の立案と現オフィスの解約(6ヶ月前)

まず現在の賃貸借契約書を確認し、管理会社へ解約通知を出すことから始めます。解約予告期間は3〜6ヶ月前が一般的ですが、この通知が遅れると、新旧オフィスの家賃が重複する期間が長くなり、無駄なコストが発生してしまいます。

同時に、移転の目的と新オフィスに求める条件を明確化し、移転担当チームを結成します。この段階で目的が曖昧だと、後の物件選びで軸がブレてしまうため、予算組みと合わせてしっかりと要件定義を行うことが重要です。

2. 新物件の内覧と賃貸借契約の締結(4〜5ヶ月前)

解約予告を済ませたら、立地、坪単価、交通アクセスなどの優先順位に基づき、複数の不動産業者から情報を収集して物件選定を進めます。候補物件が見つかった際は、必ず現地を内覧し、設備や周辺環境、社員の通勤利便性などを入念に確認してください。

好条件の物件はすぐに埋まる傾向にあるため、意思決定のスピードが求められます。入居申込みを行い、審査を通過したら賃貸借契約を締結しますが、この時点で敷金(保証金)・礼金・仲介手数料などの多額の初期費用が発生するため、事前に資金計画との整合性を確認しておく必要があります。

3. レイアウト設計・内装工事・インフラ手配(2〜3ヶ月前)

新オフィスの契約後は、社員の働き方に合わせたゾーニング(執務スペース、会議室など)を設計し、内装工事会社や通信業者を選定・発注します。特に注意が必要なのは、電話回線やインターネットの手配です。

繁忙期には開通工事の予約が取れず、移転初日からネットや電話が使えないというトラブルが頻発します。開通には申し込みから1ヶ月以上かかる場合が多いため、内装工事のスケジュールと並行して、早めの申し込みが必須です。また、オフィス家具(什器)の新規購入や廃棄の手配もこの時期に進めましょう。

4. 引越し作業と取引先への案内送付(1ヶ月前〜当日)

移転1ヶ月前には、引越し業者(引越会社)に現地調査を依頼して見積もりを取り、重要書類や精密機器の運搬方法を含めた詳細な打ち合わせを行います。社内では荷造りのルールを周知し、廃棄物の処理方法も決定します。

これと並行して、取引先や顧客に対する「移転のお知らせ(挨拶状)」を送付します。メールや郵送で住所変更を周知し、名刺や会社封筒、Webサイトの住所表記の修正準備も進めます。請求書の送付先変更など、経理上の手続き漏れがないよう、取引先とは密に連絡を取りましょう。

会社移転に伴う官公庁への届出チェックリスト

会社移転において最も注意が必要なのが、法務局、税務署、労働基準監督署などへの行政手続きです。これらは法律によって提出期限が厳格に定められており、遅延すると過料が発生したり、社会保険の手続きが滞ったりする可能性があります。

以下のチェックリストを参考に、管轄変更の有無を確認しながら漏れのないよう進めてください。

1. 法務局への本店移転登記

会社移転の手続きにおいて、最初に行うべき最も重要な手続きが法務局への「本店移転登記」です。会社法では、移転日から2週間以内に登記申請を行うことが義務付けられています(会社法915条・976条)。この期限を過ぎると、代表者に対して過料(数万円〜程度の制裁金)が請求されるリスクがあります。

参考:商業・法人登記の申請書様式|法務局

また、税務署や社会保険事務所での手続きには、住所変更後の「登記事項証明書(履歴事項全部証明書)」の添付が求められます。つまり、登記が完了しない限り他の手続きへ進めないため、移転後は直ちに司法書士へ依頼するか、自身で申請を行う必要があります。

参考:登記事項証明書(会社・法人)を取得したい方|法務局

2. 税務・社会保険関連の届出

登記完了後は、速やかに税務署、都道府県税事務所、年金事務所などへ届出を行います。特に管轄が変わる場合は、旧管轄と新管轄のどちらに提出するかを確認する必要があります。

主な提出先と期限、手続き内容は以下の通りです。

提出先主な届出書類・手続き内容提出期限
税務署異動届出書、給与支払事務所等の開設・移転届出書移転後1ヶ月以内
都道府県税事務所事業開始等申告書移転後速やかに
市町村役場法人設立・設置届出書移転後速やかに
年金事務所適用事業所名称/所在地変更(訂正)届移転後5日以内
労働基準監督署労働保険名称、所在地等変更届移転後10日以内
ハローワーク雇用保険事業主事業所各種変更届移転後10日以内
警察署(※)車庫証明の住所変更手続き移転後15日以内
郵便局転居届速やかに

※社用車がある場合のみ

ライフラインや銀行などの住所変更手続きは?

行政手続き以外にも、事業を継続するために欠かせないインフラや民間サービスの住所変更手続きがあります。

特に銀行口座の住所変更は、融資取引や手形の決済に関わるため優先度が高い項目です。移転完了後すぐに通常業務が稼働できるよう手配を進めてください。

銀行・クレジットカード・保険などの金融関連

金融機関への住所変更は、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)取得後に行うのが一般的です。法人口座を持つすべての銀行に加え、法人カード(クレジットカード)、損害保険・生命保険会社への連絡が必要です。

銀行によっては窓口での手続きが必要な場合があり、完了までに時間を要することもあります。融資を受けている場合は契約内容への影響も考えられるため、事前に担当者へ移転の予定を伝えておくとスムーズです。また、各種リース契約やETCカードの登録情報変更も忘れずに行いましょう。

電気・水道・通信・定期購買などの契約サービス

電気、水道、ガスなどのライフラインは、解約と新規契約(または移転手続き)のタイミングを調整し、空白期間ができないように手配します。固定電話やインターネットプロバイダ、複合機のリース会社などは、移転工事の日程調整が必要なため、早めの連絡が不可欠です。

その他、Amazonビジネス等のECサイト登録情報、所属団体の登録情報、新聞や雑誌の定期購読、社用車の車検証、駐車場契約など、会社名義で契約している全てのサービスについてリストアップし、順次変更手続きを行ってください。

会社移転の手続きにかかる登録免許税は?

本店移転登記にかかる登録免許税は、移転先が同じ法務局の管轄区域内(例:渋谷区内での移転)か、管轄区域外(例:渋谷区から港区へ)かによって倍額変わります。

  • 管轄内移転: 登録免許税 3万円
  • 管轄外移転: 登録免許税 6万円(旧管轄3万+新管轄3万)

管轄外への移転の場合、申請書は便宜上「移転前の管轄法務局」に提出しますが、登記手続き自体は新旧両方の法務局で処理されるため、2箇所分の費用がかかる仕組みになっています。これは株式会社でも合同会社でも同様の区分となります。

参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

会社移転の手続きは自分でやる?代行を依頼する?

登記などの住所変更手続きは、コストを抑えて自分で行う方法と、専門家に代行を依頼する方法の2通りがあります。

自分で手続きを行う場合

法務局の窓口やオンライン申請を利用して、自力で書類を作成・提出します。

  • メリット:司法書士への報酬(数万円〜)を節約できる。
  • デメリット:書類作成に専門知識が必要で手間がかかる。不備があると補正のために何度も足を運ぶ必要があり、2週間の期限に間に合わないおそれがある。

専門家(司法書士・社労士)に代行を依頼する場合

登記は司法書士、社会保険・労働保険関係は社会保険労務士へ依頼します。

  • メリット:確実かつ迅速に手続きが完了し、本業に集中できる。複雑な管轄外移転も安心。
  • デメリット:登録免許税等の実費に加え、代行手数料が発生する。

会社移転手続きをスムーズに進めましょう

会社移転の手続きは、半年以上の長期スパンで計画的に進める必要があり、物理的な移動だけでなく、法務局や税務署への煩雑な行政手続きが伴います。特に、本店移転登記や社会保険関連の変更届には厳格な期限が設けられているため、優先順位をつけた対応が求められます。移転日が決まったらまず本店移転登記(2週間)と年金(5日)・労保/雇保(10日)の短い期限から逆算しましょう

本記事で紹介したステップと届出チェックリストを活用し、抜け漏れのないスムーズな事務所移転を実現させて、新たな事業成長の基盤を整えましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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