- 更新日 : 2025年12月23日
開業届をオンライン(e-Tax)で提出するやり方は?スマホやパソコンの操作方法を解説
個人事業を始めたら、開業から1カ月以内に開業届を提出することが求められています。とはいえ、開業直後の忙しい時に、税務署に行く時間はなかなか取れないのではないでしょうか?
現在は、税務署に行かずにオンラインで簡単に開業届を提出する方法があります。本記事では、2025年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつ廃止を踏まえ、オンラインでの開業届提出のメリットと具体的な手順を詳しく解説します。
\スマホで簡単に開業届を作成・提出/
目次
開業届の提出方法は3種類
開業届とは、新たに個人事業を開始したことを税務署に知らせるための書類です。開業届を提出することで、税務署に対して事業開始の事実を公的に届け出ることができます。
開業届の提出方法は、オンライン、郵送、税務署窓口への持参の3つがあります。
1. オンライン(e-Tax)で提出する方法
国税庁のオンラインサービスであるe-Taxを使用し、オンラインで税務署に提出する方法です。
「マネーフォワード クラウド開業届」なら、フォームに沿って必要な情報を入力したのち、パソコンやスマホから簡単に電子申告(e-Tax)ができます。
最短5分、インターネットで完結するので、個人事業主やフリーランスの方など、非常に多くの方にご利用いただいております。
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2. 郵送で提出する方法
国税庁のホームページから開業届の様式をダウンロードし、管轄の税務署へ郵送する方法です。郵送を利用することで、わざわざ税務署まで行かずに済みます。
e-Taxはマイナンバーカードなどの電子証明書を利用する方法が基本となるので、オンラインで作成し、郵送で送る方も多くいます。ただし郵送代がかかるので、マイナンバーカードを持っている人はe-Tax・オンラインでの提出をおすすめします。
3. 税務署の窓口に持参する方法
税務署の窓口に直接持って行く方法です。国税庁の公式サイトから、お近くの税務署を検索することができます。
- 開業届
- マイナンバーカード
※マイナンバーカードがない場合は、本人確認書類+マイナンバー通知カードなど - その他、提出が必要な書類(青色申告承認申請書など)
窓口に持参すれば、記入漏れなどがあってもその場で直すことができます。なお、2025年1月以降は、窓口提出であっても控えへの収受日付印は押されず、提出日などが記載された案内文書等で受付事実を確認する取扱いとなっています。
税務署の開庁時間は、平日の8時30分から17時までとなっているので、平日忙しい場合にはあまり適さない提出方法です。一方で、税務署には開庁時間以外にも書類を提出できる時間外収受箱が設置されており、休日や夜間にも投函可能です。切手も不要なので、税務署が近くにある方は、時間外収受箱に投函するのも1つの手です。
開業届をオンライン(e-Tax)で提出するメリットは?
開業届をオンライン(e-Tax)で提出するメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
- 24時間いつでも提出が可能
- 簡単に作成できてそのまま提出が完了する
- 提出した履歴を確認できる
1. 24時間いつでも提出が可能
1つ目のメリットは、税務署の開庁時間に左右されず、24時間いつでも提出が可能な点です。
通常、税務署の開庁時間は8:30から17:00までとなっており、土日祝日と年末年始(12月29日から1月3日)がお休みです。
オンラインでの提出であれば、日中の忙しい時間に税務署や郵便局に向かう必要がありません。自宅や事業所から、時間に縛られることなく提出することができるのです。
2. 簡単に作成できてそのまま提出が完了する
2つ目のメリットは、フォームに入力するだけで簡単に開業届が完成し、そのままオンラインで提出まで完了する点です。
開業届をダウンロードして印刷する必要はなく、作成した書類をそのまま提出できるので、移動する手間を省くことができます。
また、郵送代がかからないので、時間とコストを削減することが可能です。
3. 提出した履歴を確認できる
3つ目のメリットは、開業届を提出した履歴が明らかになる点です。
郵送の場合は、簡易書留やレターパックプラスで配達状況を追跡する必要がありますが、オンラインで提出した場合、送信履歴やメッセージの受信履歴が残ります。これにより、いつ提出し、いつ税務署へ届いたのかをe-Tax上の履歴で確認できるようになります。
開業届をオンライン(e-Tax)で作成する方法は?
e-Taxソフトには、ダウンロード版とWEB版があります。e-Taxソフト(ダウンロード版)で開業届を作成する際は、e-Taxソフトのインストールが必要です。
近年では、ソフトのインストールが不要でオンライン上で利用できる、民間企業の開業届作成サービスも多くあり、デザインや使いやすさが初心者向けに設計されているのが特徴です。
マネーフォワード クラウド開業届(サービス利用料0円)の場合、ソフトのインストールなどは一切必要なく、オンライン上でいくつかの質問に答えるだけで簡単に開業届の作成・提出ができます。
\電子申告でラクに開業届を提出/
画像:マネーフォワード クラウド開業届(執筆時点の情報なので、実際の画面表示は異なる場合があります)
e-Taxソフトを利用するための準備
e-Taxソフト(ダウンロード版またはWEB版)を利用して開業届を提出するには、パソコンとインターネット環境、マイナンバーカードやICカードリーダライタ(もしくは、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン)が必要になります。
さらに、以下のような事前準備も必要となります。
1. 利用者識別番号の取得
- e-Taxを利用するために、利用者識別番号と呼ばれる16桁のID番号を取得する必要があります。
- 利用者識別番号は、e-Taxの開始届出書をオンラインで送信するか、税務署で手続きを行うことなどで取得できます。代表的な取得方法は以下のとおりです。
- 取得方法① WEBからマイナンバーカードを使ってアカウントを登録する
- 取得方法② WEBから利用者識別番号を取得する
- 取得方法③ マイナポータルの「外部サイトとの連携」機能からe-Taxを利用する
- 取得方法④ 書面で利用者識別番号を取得する
- 取得方法⑤ 税理士に依頼し、利用者識別番号を取得する
2. 電子証明書の取得
- インターネットを通じて申請等をする場合、送信時に本人であることを確認するために電子証明書が必要です。
- e-Taxで開業届を提出する際の電子署名には、マイナンバーカード搭載の電子証明書を利用するのが一般的です。
3. e-Taxソフトのインストール(ダウンロード版を使用する場合)
- e-Taxで開業届を提出する方法には、e-Taxソフト「ダウンロード版」または「WEB版」の2種類のいずれかを利用します。開業届を提出するだけであれば、インストール不要のWEB版でも手続きが可能です。
- ダウンロード版を利用する場合は、国税庁ホームページの「各ソフト・コーナー」からe-Taxソフトをインストールし、利用する税目として「所得税」を追加する必要があります。
\マネーフォワード クラウド開業届は、簡単3ステップで開業手続きができる/
e-Taxソフトで開業届を作成
e-Taxソフト(WEB版)で開業届を作成・提出する流れは以下の通りです。
- e-Taxソフト(WEB版)にアクセスしログイン
- 申請・申告等一覧の中から「個人事業の開業・廃業等届出書」を選択
- 必要事項を入力
- ICカードリーダライタやマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンでマイナンバーカードを読み取る
- 電子署名を付与し、内容を確認したうえで送信
なお青色申告をする場合には、同様に「所得税の青色申告承認申請書」を作成し送信します。
e-Taxで開業届を送信すれば、メッセージボックスに受信通知が届きます。これにより、開業届のデータが税務署に到達したことが確認できます。
開業届をオンライン(e-Tax)で提出する場合の注意点は?
便利なオンライン提出ですが、いくつかデメリットや注意点もあります。事前に確認しておきましょう。
事前準備に手間や費用がかかる場合がある
オンライン提出(マイナンバーカード方式)にはマイナンバーカードが必須です。まだ持っていない場合は、申請から受け取りまでに時間がかかります。
また、パソコンで提出する場合、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンがなければ、別途ICカードリーダライタを購入する費用と設定の手間が生じます。
安定した通信環境とセキュリティ対策が必須
当然ながら、オンラインでの手続きには安定したインターネット環境が不可欠です。また、マイナンバーなどの重要な個人情報を取り扱うため、利用するパソコンやスマホには、ウイルス対策ソフトを導入するなど、利用者自身で十分なセキュリティ対策を講じる責任があります。
書類の不備や記入漏れに気づきにくい
窓口での提出と違い、その場で担当者に記載内容をチェックしてもらうことはできません。そのため、万が一記入漏れや書類の不備があった場合、提出した後にe-Taxのメッセージボックスに届く通知で初めて気づくことになります。
メッセージボックスを定期的に確認する習慣がないと、エラーの通知を見落とす恐れがあり、修正や再提出が遅れてしまう可能性があります。
控えはその場で受け取れない
開業届を窓口や郵送(返信用封筒を同封)で提出する場合、提出年月日や税務署名などが記載された案内文書(リーフレット等)が返却される運用がとられています。一方、オンライン提出では控えの代わりとなる受信通知と提出データのPDFが残ります。自分で忘れずに保存・印刷しておく必要があります。
開業届のオンライン(e-Tax)提出でよくあるエラー・ミスと解決方法は?
開業届をオンライン提出(e-Tax)で行う際は、便利な一方でエラーが発生しやすく、初めての人ほどつまずきがちです。ここでは、代表的なエラーとその解決策を解説します。
① マイナンバーカードの読み取りエラー
原因:スマートフォンのNFC読み取り位置がずれている、ケース越しで読み取れない、マイナンバーカードの電子証明書の有効期限切れ、カードのICチップ不良など。
解決策:スマートフォンのNFC読み取り位置にマイナンバーカードをしっかり密着させ、ケースを外して再読み取りを試します。電子証明書の有効期限(発行から5年)切れも多い原因のため、マイナポータル等で有効期限を確認します。読み取りが不安定な機種の場合、パソコン+ICカードリーダライタでの読み取りへ切り替えると安定します。
② 利用者識別番号の取得・ログインエラー
原因:利用者識別番号を誤入力している、過去に取得した番号を忘れている、パスワード間違い。
解決策:e-Taxログイン画面の「利用者識別番号をお忘れの方」から再確認します。税務署で番号を再発行してもらうことも可能です。
③ スマホ連携(QRコード方式)がうまくいかない
原因:スマホのOS・ブラウザが未対応、アプリのバージョンが古い、カメラ設定の不具合。
解決策:スマホアプリを最新に更新し、Chrome・Safariの対応ブラウザを使用します。うまく読み取れない場合は、パソコンとICカードリーダを利用してマイナンバーカードで署名する方法に切り替えましょう。
④ 送信後に控えPDFを保存し忘れる
原因:オンライン提出では紙の控えが自動発行されないため、保存を忘れがち。
解決策:e-Taxの「メッセージボックス」に届く受信通知(提出日時・受付番号入り)および提出データのPDFを必ず保存しておきましょう。
開業届を郵送で提出する方法は?
開業届を郵送で出せば、書類を封筒に入れてポストに投函するだけですから、インターネットでやり方を探すよりも意外と手間がかかりません。ただし、ミスがあればやり直しになってしまうことがあります。書類漏れや書き間違いがないかよく確認してから送りましょう。
郵送先
開業届を郵送する宛先は、納税地を管轄する税務署です。個人事業主の場合、納税地は原則自宅の住所地になります。
税務署の管轄や住所は、国税庁のホームページで調べることができます。
郵送するもの
以下のものを封筒に入れて郵送します。
- 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)
国税庁のホームページから用紙をダウンロードし、必要事項を記入します。 - 開業届の控え
2025年1月以降は、控えそのものに収受日付印は押されないため、開業届と同じ内容を記載した届出書(控用)またはコピーを控えとして作成する必要はありません。 - 返信用封筒・返信用切手
必要に応じて、提出年月日・税務署名などが記載された案内文書(リーフレット等)の返送用として、自分の住所を書いて切手を貼った返信用封筒を同封しておきます。 - マイナンバー確認書類・本人確認書類
開業届にはマイナンバーを記載する必要があるため、マイナンバー確認書類(通知カード※、住民票など)と本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)の両方の写しが必要になります。マイナンバーカードを持っている場合には、表面と裏面の写しだけでマイナンバー確認書類と本人確認書類の双方を兼ねることができます。
※通知カードは令和2年5月に廃止されていますが、カードに記載された氏名、住所などが住民票に記載されている内容と一致している場合は、番号確認書類として利用できます - 青色申告承認申請書
開業時に青色申告承認申請をする場合には、「所得税の青色申告承認申請書」を同封します。
郵送の仕方
開業届を郵送する際には、本人確認書類の写しなど重要なものも同封します。
そのため郵便物が間違いなく税務署に届いたかどうかも確認できた方が確実ですので、簡易書留・レターパックなど配達状況を追跡できる方法での郵送が推奨されます。
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開業届と同時に提出すると便利な書類は?
開業時には、開業届以外にも提出しておくと節税などの面で有利になる書類があります。これらの書類もオンラインで同時に提出できます。
所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は、個人事業主が確定申告を青色申告方式で行うために必要な書類です。マネーフォワード クラウド開業届なら、青色申告承認申請書の作成・提出もオンラインで可能です。
青色申告を行うためには事前にこの申請書の提出が必須であり、提出期限を過ぎてしまったり、開業届のみを提出している場合は、白色申告を選択するしかありません。
既に白色申告をしている個人事業主も、この申請書を提出することで、白色申告から青色申告への切り替えが可能です。
青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
生計を一にする配偶者や15歳以上の親族に給与を支払い、それを必要経費として計上したい場合に、青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書を提出します。この届出がないと、家族への給与は経費として認められません。開業時から家族に給与を支払う予定がある場合は、開業届と一緒に提出しましょう。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
従業員を雇用する場合、通常は毎月源泉所得税を納付しますが、この申請書を提出すれば、従業員が常時9人以下の場合に限り、年2回(7月・翌年1月)にまとめて納付することができます。事務手続きの負担を大幅に軽減できるため、対象となる場合は提出をおすすめします。
給与支払事務所等の開設届出書
従業員に給与を支払う事務所を設置した場合、1カ月以内に給与支払事務所等の開設届出書の提出が必要となります。マネーフォワード クラウド開業届なら、給与支払事務所等の開設届出書の作成・提出もオンラインで可能です。
ただし、開業届の「給与等の支払の状況」欄に当初から給与支払いがある旨を記載している場合は提出不要です。
開業届のオンライン(e-Tax)提出後に必要な“開業後手続き”は?
開業届をオンラインで提出しても、開業後に必要な手続きはまだ残っています。開業届は事業開始の事実を税務署へ届け出る手続きにすぎず、事業運営に必要なその他の税務・社会保険・許認可の手続きは別途必要です。前のセクションで紹介した書類の提出以外に、次のような作業を早めに行いましょう。
開業届の提出に関してよくある質問
開業届を提出するにあたって、よくある質問とその回答をまとめました。
マイナンバーカードがないと、オンライン提出はできない?
オンライン提出(e-Tax)の基本となるマイナンバーカード方式を利用するには、原則として、電子証明書が搭載されたマイナンバーカードが必須です。マイナンバー通知カードだけでは、本人確認ができないためマイナンバーカード方式でのオンライン提出は行えません。
パソコンで提出する場合、ICカードリーダライタは必要?
いいえ。マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンがあれば、ICカードリーダライタの代わりとして使用できます。パソコンの画面に表示されるQRコードをスマートフォンのアプリで読み取り、連携させることで提出が可能です。
開業届の提出期限はいつまで?
開業届は、事業を開始した日から1カ月以内の提出が必要です。ただし、期限を過ぎてしまっても提出することはできます。なお、開業届を出さないままでも罰則はありません。
また、青色申告を行うには、「所得税の青色申告承認申請書」を期限までに提出しておく必要があります。実務上は、開業届と青色申告承認申請書をあわせて提出しておくのが一般的です。そのため、開業届は青色申告承認申請書と一緒に期限までに出すようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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