• 更新日 : 2026年2月16日

会社名の変更手続きは?やること一覧、必要書類、費用、取引先へのお知らせまで解説

Point会社名の変更手続きまとめ

会社名変更は、株主総会の決議から2週間以内の登記申請、および行政・取引先への各種届出を計画的に行う一連の手続きです。

  • 期限管理:効力発生日から2週間以内に登記申請が必要
  • 事前調査:商標に加えてドメインやSNSの空き状況も確認
  • 予算確保:看板やシステム刷新に伴う高額な実費を想定

登記完了後、即座に銀行口座の名義を更新し、振込エラーによる取引先とのトラブルを未然に防きましょう。

会社名変更(商号変更)は、法務局での登記申請から税務署への届出、取引先へのお知らせまで、多岐にわたる対応が必要です。手続きの期限は商業登記法により、効力発生日から2週間以内と法律で定められており、遅延の場合過料が発生するリスクがあるため、計画的な進行が欠かせません。

本記事では、社名変更の具体的なステップや発生するコスト、メリット・デメリットを専門家の視点で分かりやすく解説します。

会社名変更(商号変更)手続きでやることは?

会社名の変更は、法務局(登記所)での手続きだけでなく、事前の準備と事後の届出をセットで考える必要があります。ここでは、変更を決意してから登記完了までの流れを解説します。

1. 新社名の決定と類似商号の調査

新しい会社名を決定する際は、トラブルを避けるために「類似商号調査」と「商標調査」を必ず実施してください。

法律上、同一住所で同一の商号を登記することはできませんが、住所が異なれば登記自体は可能です。しかし、近隣に似た名前の会社があると、不正競争防止法に抵触したり、顧客に混同されたりするリスクがあります。

また、商標権を侵害している場合は、後に社名の使用差し止めや損害賠償を請求される恐れもあります。さらに、社名に関連するドメイン(URL)が取得可能か、SNSのアカウント名が空いているかも併せて確認しておくと、その後のブランディングやWebサイト運用がスムーズに進みます。

参考:J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)

2. 株主総会での定款変更決議

会社名を変更するには、会社の根本規則である定款を書き換えるため、会社法第466条に基づく株主総会の特別決議が必要です。 社名は定款の絶対的記載事項であるため、代表取締役の一存で変えることはできません。

具体的には、発行済株式の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成を得ることで、正式に社名の変更が承認されます。この際、作成した株主総会議事録は登記申請の際の必須添付書類となるため、不備がないよう適切に作成・保管する必要があります。効力発生日をいつにするかについても、この決議内で明確に定めておきましょう。

3. 法務局への商号変更登記申請

株主総会で承認された効力発生日から2週間以内に、管轄の法務局へ商号変更の登記申請を行わなければなりません。 期限を過ぎると代表者個人に対して過料が科される可能性があるため、迅速な対応が求められます。

登記申請書に株主総会議事録や株主リストなどを添えて提出し、完了までに通常1週間から10日程度かかります。この登記が完了して初めて、新しい会社名が公的に認められた状態となります。登記完了後には、後の手続きで必要となる「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」や「印鑑証明書」を複数部取得しておくと、その後の諸届けがスムーズになります。

参考:商業・法人登記の申請書様式|法務局

会社名変更後に必要な書類や届出手続きは?

登記が完了した後は、明確な法定期限はないものの、速やかに税務署や銀行などの関係各所へ名称変更の届出を行うことが実務上推奨されます。行政機関への届出にはそれぞれ期限があるため、漏れのないようチェックリスト化して対応しましょう。

税務署・年金事務所・労働基準監督署への提出書類

登記完了後は、税務や社会保険に関わる各行政機関へ「異動届出書」等を提出し、会社情報を更新してください。 基本的には「履歴事項全部証明書」の写しが必要となります。

届出先主な必要書類期限の目安
税務署法人設立届出事項変更届出書、履歴事項全部証明書(写し)速やかに
都道府県税事務所法人変更届出書、履歴事項全部証明書(写し)自治体による
年金事務所健康保険・厚生年金保険適用事業所名称変更届5日以内
労働基準監督署労働保険所在地名称等変更届10日以内

参考:法人設立及び異動手続の申請・届出について|e-Tax事業所の名称・所在地を変更するとき|日本年金機構

銀行口座・クレジットカード・契約書の名義変更

法人名義の銀行口座やクレジットカード、取引先との契約関係の名義変更は、支払いや入金に直結するため最優先で対応します。 銀行口座の名義が古いままでは、振込エラーが発生し、取引先や従業員に迷惑をかける可能性があるためです。

金融機関での手続きには、通常「履歴事項全部証明書」と「新社名の印鑑証明書」が必要です。また、事務所の賃貸借契約、リース契約、顧問契約、取引先との基本契約なども順次書き換え(覚書の締結など)が必要です。これらは数も多く、相手方の確認も必要なため、優先順位をつけて計画的に進める必要があります。

新しい会社実印の準備と改印手続き

実務上は商号変更に合わせて、新しい社名が入った「会社実印(代表者印)」を作成するのが一般的です。 法律上、旧社名の印鑑を使い続けることは禁止されていませんが、契約書に押印する際、社名と印影が異なると取引先に不信感を与え、信用問題に発展しかねません。

新しい実印は、登記申請のタイミングで一緒に「改印届(印鑑届書)」を提出することで、スムーズに切り替えが可能です。印鑑の作成には数日から1週間程度かかる場合があるため、新社名が内定した段階で早めに印鑑業者へ発注しておきましょう。あわせて、銀行印や角印(社印)も新社名で新調することをおすすめします。

Webサイト・SNS・看板などのロゴ刷新

Webサイトはロゴや会社概要だけでなく、SEO(検索エンジン最適化)の観点から、メタタグ(TitleやDescription)や構造化データに含まれる名称も忘れずに更新しましょう。

また、意外と忘れがちなのがGoogleビジネスプロフィールの情報変更です。ここを更新しないと、マップ検索結果で古い社名が表示され続け、来客時の混乱を招きます。SNSアカウントの名前やプロフィール欄も、一貫性を持たせるために同時に変更を行いましょう。

会社名変更後の取引先への挨拶・周知のマナーは?

会社名変更の挨拶状は、変更の1ヶ月前〜遅くとも2週間前までには相手方に届くよう手配するのがマナーです。 突然の名称変更は、振込先の間違いや書類の差し戻しなど、取引先の事務作業を混乱させる原因になります。

挨拶状には、変更の理由(合併、事業拡大など)を前向きな言葉で添え、これまでの感謝と今後の抱負を伝えます。あわせて、以下の実務的な変更点も明記しましょう。

  • 新社名と読み方
  • 変更日(効力発生日)
  • 振込先口座名義の変更タイミング
  • 新住所や電話番号(変更がある場合)

会社名変更にかかる費用の目安はいくら?

会社名変更に最低限必要な法定費用は3万円ですが、実務上はそれ以上の出費を見込んでおく必要があります。

法定費用・専門家への依頼報酬

商号変更の登記には、登録免許税として3万円の印紙代が必ずかかります。 これは法務局へ納める実費です。もし定款の変更内容が複雑な場合や、自身で手続きを行う時間が取れない場合は、司法書士に代行を依頼することになります。

司法書士への報酬は、手続きの難易度にもよりますが3万円〜7万円程度が相場です。これらを合わせると、法的な手続きだけで概ね6万円〜10万円前後の予算が必要になると考えておきましょう。

備品やシステムの刷新に伴うコスト

多くの場合、登記費用よりも高額になるのが、会社運営に不可欠な備品やインフラの更新費用です。 看板の付け替え、社用車のペイント塗り直し、封筒や名刺の刷り直しなどは、規模によっては数十万円以上のコストがかかります。

さらに、社内システムの名称変更に伴う改修費用や、ドメインの新規取得・Webサイトのリニューアル費用なども発生します。小規模な企業でも合計で数十万円、中堅以上の企業では数百万円単位の予算が必要になるケースも珍しくありません。事前の予算シミュレーションは入念に行いましょう。

会社名変更によるメリット・デメリットは?

会社名の変更は、企業のイメージを一新できる大きなチャンスですが、同時にコストやリスクも伴います。これらを天秤にかけ、最適なタイミングで実施することが重要です。

メリット|リブランディングと認知度の向上

会社名を変更する最大のメリットは、現在の事業実態に合わせたリブランディングを行い、市場での認知度を再構築できる点にあります。 創業時と事業内容が大きく変わった場合や、特定の製品ブランド名の方が有名になった場合に社名を統一することで、顧客に対してより明確なメッセージを届けることが可能になります。

例えば、以下の企業は社名変更によってブランド力を強化しています。

  • パナソニック(旧:松下電器産業)
    ブランド名と社名を統一しグローバル競争力を強化
  • SUBARU(旧:富士重工業)
    広く浸透している製品名(スバル)へ社名を統合
  • ソフトバンク(旧:ソフトバンクBB)
    事業統合による名称の簡略化

これにより、新規顧客の獲得だけでなく、採用市場におけるブランディング強化や従業員のモチベーション向上も期待できます。

デメリット|事務負担の増大と過料のリスク

会社名の変更には、登録免許税などの法定費用に加え、看板や名刺、Webサイトの修正といった実務的なコストと膨大な労力が発生します。 登記費用だけでなく、名義変更に伴う事務作業は全部署に波及するため、移行期には業務効率が一時的に低下する懸念があります。

また、法的な期限管理も大きなリスクです。会社名の登記は株主総会の決議から2週間以内に行うことが法律で義務付けられており、遅延の場合「登記懈怠(とうきけたい)」として、代表者個人に数万円〜数十万円の「過料」が科される場合があります(実際には裁判所の判断となります)。従って、法令遵守(コンプライアンス)の観点からも、スケジュール管理の徹底は必須と言えます。

個人事業主が屋号を変更する場合は費用がかからない

個人事業主が屋号を変える手続きは、法人に比べて非常に簡便です。登録免許税などの費用はかからず、基本的には次回の確定申告時に新しい屋号を記載するだけで手続きは完了します。

もし、年度の途中で明確に届出をしておきたい場合は、任意で「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に再提出することも可能です。ただし、銀行の「屋号付き口座」の名義変更を行う際は、この届出書の控え(税務署の受領印があるもの)が必要になるケースが多いため、口座名義をすぐに変えたい場合は書面で届け出ておきましょう。

会社名変更で事業を次なる成長へ

会社名変更(商号変更)は、単に名前を変えるだけでなく、登記から行政手続き、取引先への周知まで、緻密なスケジュール管理が求められるプロジェクトです。法的な手順を正しく踏むとともに、新しいブランドメッセージを適切に発信することで、企業の信頼性を高める絶好の機会となります。必要書類の準備や2週間以内の登記期限管理を徹底し、スムーズな新体制への移行を実現しましょう。


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