• 作成日 : 2025年5月30日

富山県で受けられる創業支援は？補助金や融資、相談窓口などを解説

これから富山県で起業を検討している方や、創業に向けて準備を進めている最中の方は、どのような創業支援があるのか気になるのではないでしょうか。

富山県では、創業を後押しするための制度や支援機関が充実しており、資金面、ノウハウ、人脈といったさまざまな課題に対応できる環境が整っています。事業の立ち上げだけでなく、持続的な成長にもつながるサポートが展開されています。

本記事では、富山県で起業を目指す方に向けて、活用できる創業支援制度を解説していきます。

富山県の特定創業支援等事業とは

創業に向けた準備を始めたばかりの方にとって、制度や知識の不足は不安の種になりがちです。そうした悩みを解消し、円滑なスタートを後押ししてくれるのが、富山県の「特定創業支援等事業」です。

特定創業支援等事業は、単発で終わるセミナー形式ではなく、体系的かつ継続的に実施されるプログラムです。内容は主に、経営戦略、財務、販路開拓、人材育成など、事業を安定して運営するための基礎知識に焦点が当てられています。創業者は実践的な知識を身につけながら、自信を持って事業に踏み出すことができます。

修了後に得られる支援措置

特定創業支援等事業を修了することで、創業者には様々な優遇措置が提供されます。経済的な支援を受けられる点は、事業の初期段階において大きな魅力といえるでしょう。

登録免許税の軽減と信用保証の特例

多くの市町村に共通して見られるのが、会社設立時にかかる登録免許税の軽減と、創業に関する信用保証の特例措置です。創業者は負担を抑えつつ、よりスムーズに起業への一歩を踏み出すことが可能となります。

金融機関による利率の優遇措置

富山市などでは、日本政策金融公庫による新規開業支援資金の利率が優遇される制度も用意されています。こうした金融支援は、資金繰りに悩む創業者にとって、継続的な経営を支える大きな助けとなるでしょう。

優遇措置を受けるための注意点

各市町村によって、申請の方法や条件は異なる場合があります。特定創業支援等事業を修了した後は、自治体の窓口で詳細を確認し、必要書類を用意しておくことが重要です。証明書の発行などが必要になる場合もあるため、計画的な行動が求められます。

富山県内市町村の主な取り組み

富山県内では各市町村が連携し、それぞれの地域に根ざした創業支援策を展開しています。市町村と創業支援事業者が協力し、地域に即した講座や相談窓口を設けることで、より柔軟な支援が可能となっていますので紹介します。

富山市

富山市では、平成26年3月に国から認定を受けた「創業支援等事業計画」のもと、地域の民間支援機関と行政が連携して創業支援を展開しています。相談窓口は富山市、富山商工会議所、富山県中小企業団体中央会、富山県よろず支援拠点などに設置され、創業希望者がいつでも気軽に相談できる環境が整っています。さらに、創業前から創業後のフォローまで一貫した支援体制を構築し、創業者が孤立することなく持続的に事業を展開できるよう配慮されています。金融支援の面では、日本政策金融公庫による新規開業・スタートアップ支援資金の利率引き下げもあり、資金調達面でのハードルも下げられています。

参考：富山市創業支援等事業計画

滑川市

滑川市の「創業支援事業計画」は平成28年8月に国から認定され、市と滑川商工会議所、滑川信用金庫、北陸銀行などの金融機関が一体となって創業支援に取り組んでいます。創業スクールでは、経営・財務・販路開拓・人材育成に関する実践的な知識を、講義や演習形式で学べるカリキュラムが整えられています。加えて、専門家による個別指導も実施されており、各自の事業計画に沿った具体的なアドバイスが受けられます。滑川市では、創業融資の保証料の一部を補助する制度も整備されており、創業にかかる初期コストを抑える取り組みも進められています。地域をあげて起業家を育てようとする体制が着実に整えられています。

参考：滑川市創業支援事業計画について

射水市

射水市は、平成26年10月に「創業支援等事業計画」の認定を受け、その後も内容の充実を図っています。射水商工会議所と射水市商工会が中心となり、「創業塾」や「エキスパート・バンク」など、段階に応じたプログラムが提供されています。創業塾では、実務に即したノウハウを学ぶことができるほか、経営戦略や財務管理など、企業の土台を築く知識も体系的に身につけられます。また、特定創業支援等事業の受講修了者を対象とした補助金制度があり、最大50万円までの創業経費が助成されるケースもあります。創業希望者の多様なニーズに柔軟に対応する体制が整えられ、ビジネスの成長を支える環境が構築されています。

参考：射水市創業支援等事業計画について

高岡市

高岡市では、商工会議所や市内の支援機関が連携し、実践的な講座を中心とした支援プログラムを実施しています。特に注目されているのが「高岡創業講座」で、TASU（高岡まちなかスタートアップ支援施設）を拠点に、マーケティング、資金調達、事業計画策定、税務、労務など幅広い分野を扱っています。受講生は、実在するビジネスの課題に取り組むワークショップを通じて、より現実的な視点を得ることができます。さらに、高岡市の特定創業支援等事業を修了することで、小規模事業者持続化補助金の補助上限額が引き上げられるといった優遇措置も利用可能です。講座修了後には専門家によるフォローアップも用意されており、創業後のサポート体制も万全です。

参考：高岡市創業支援等事業計画

上市町

上市町では、平成28年1月に国からの認定を受けて「創業支援等事業計画」を策定し、町と地域の創業支援機関が連携する形で事業を進めています。創業支援の中心となっているのがアシステム税理士法人による「にいかわ創業スクール」で、税務や経理を中心に、創業に必要な知識を網羅的に学べる内容となっています。また、「富山広域連携中枢都市圏合同創業セミナー」では、他市町と連携した広域的な情報交換やネットワークづくりも支援されています。さらに、空き店舗の利活用を促進し、中心市街地の活性化と創業支援を同時に進める取り組みも展開されています。創業希望者にとって、地域に根ざした支援が受けられる貴重な環境といえるでしょう。

参考：上市町創業支援等事業計画の公表

富山県での起業で使える補助金・助成金

富山県では、起業を志す方々に向けて、複数の補助金や助成金制度を整備しています。上手に活用することで、初期投資の負担を軽減し、より安定したスタートを切ることが可能となるでしょう。

ワクワクチャレンジ創業支援事業

「ワクワクチャレンジ創業支援事業」は、富山県内での創業を目指す方を対象とした補助制度です。最大100万円の経費助成を受けられるこの制度は、業種を問わず幅広い事業が対象となっており、創業にあたって実質的なサポートを得られる制度です。申請条件として、県が指定する講座の修了や、ビジネスプランコンテストでの選考通過、インキュベーション施設の利用といった、一定の準備段階を経た実績が求められます。補助対象者は事業計画の完成度が高く、持続可能性のある創業が期待されるケースに限定されます。申請には、創業支援機関による確認書の提出が必要となるため、早期の情報収集と準備が欠かせません。

とやまUIJターン起業支援事業

「とやまUIJターン起業支援事業」は、富山県外からの移住と起業を両立させる方を支援する制度です。この制度では、最大200万円の起業支援金に加えて、移住に伴う費用を最大100万円まで支援する枠組みが設けられており、合計で最大300万円の補助を受けることが可能です。対象者は、県外からの転入者で、起業時点から1年以内に住民票を移していること、または補助事業期間中に移住予定であることが必要となります。加えて、地域課題に取り組む事業内容であることや、収益性・自立性・デジタル技術の活用といった要素も審査対象に含まれます。この制度は、富山に新しい価値をもたらす人材を積極的に受け入れる姿勢を示すものであり、地域振興の一環としても期待が高まっています。

参考：起業に関する補助制度のご案内

市町村が設ける独自の補助金制度

県の制度に加え、富山県内の各市町村でも、それぞれの地域特性に即した補助金や助成金制度が展開されています。市町村単位での支援策は、地域密着型の事業や空き店舗活用型の起業などと相性がよく、より実践的な支援を受けることができる点が特徴です。

上市町

上市町では、「上市町創業等支援事業費補助金」を通じて、町内で新たに創業する方を後押ししています。この制度では、初期費用として必要となる店舗の改装費、工事費、設備投資費などを対象とし、最大100万円までの助成を受けることができます。さらに、これらの業務を町内の事業者に依頼した場合には、補助率が引き上げられ、上限額は150万円に達します。この仕組みにより、創業者自身の負担軽減だけでなく、地元の建設業者や設備関連企業の活用にもつながり、地域全体の経済活動が活性化される構造となっています。制度の申請にあたっては、町が指定する創業支援機関と連携しながら、事業内容や支出計画を明確に示す必要があります。

富山市

富山市では、「ベンチャー企業等新商品市場創出促進助成金」という制度を通じて、新商品や新サービスの販路拡大を支援しています。この助成金は、見本市への出展費用、広告宣伝費、カタログ制作費などを対象としており、最大30万円までの助成が可能です。助成率は費用の50％以内に設定されており、自社製品の認知拡大や販路開拓に意欲的な企業にとって有効な支援策となっています。起業初期には、商品やサービスを市場に届けるための情報発信や営業活動に多くのコストがかかりますが、この制度により資金面の負担を軽くし、挑戦の幅を広げることができます。申請には事業計画や支出の根拠資料が求められ、審査を経た上での交付決定となります。

富山県で融資を受けるには？

起業や創業準備において、自己資金や補助金だけではカバーしきれない場面も出てきます。そんな時に検討したいのが、公的な融資制度です。富山県では、創業希望者や創業初期の事業者に向けて、利用しやすい融資メニューが複数用意されています。

創業・事業承継支援資金（創業者枠）

富山県が実施している「創業・事業承継支援資金（創業者枠）」は、創業予定者や創業後5年以内の中小企業者を対象にした融資制度です。最大3,500万円までの融資を受けることができ、年1.25％以内という低利率での利用が可能となっています。創業初期における運転資金や設備投資費の調達を目的とする場合に活用しやすい制度です。申請は取扱金融機関を通じて行い、富山県経営支援課が最終的な窓口となります。書類の準備や事前相談も必要となるため、余裕を持った計画が求められます。

この融資制度を利用する際には、富山県信用保証協会の保証が必要となります。保証制度にはいくつか種類があり、なかでも「スタートアップ創出促進保証」は、経営者の連帯保証が不要となる仕組みが特徴です。保証料率は、利用する保証制度によって異なり、一般保証は年0.4％、創業関連保証は年0.5％（いずれも令和8年3月31日まで）、スタートアップ創出促進保証は年0.7％（専門家派遣を受ける場合は0.6％）に設定されています。これらの制度を活用することで、事業を始めたばかりの方でも保証人不要で利用しやすく、特にスタートアップ創出促進保証を選択した場合は、資金調達における心理的な負担を軽減できるメリットがあります。

参考：創業・事業承継支援資金（創業者枠）

日本政策金融公庫の創業融資

国の金融機関である日本政策金融公庫も、創業者向けに積極的な融資を行っています。「新規開業・スタートアップ支援資金」という制度が用意されており、富山県内にも支店が設置されており、対面での相談を通じて丁寧なサポートが受けられるのが特徴です。とくに小規模事業者や、初めて起業する方にとっては、返済計画や資金計画のアドバイスが得られるメリットがあります。さらに、富山市の特定創業支援等事業を修了している場合、金利が優遇される制度も併せて利用できる場合があります。

富山県信用保証協会の創業支援体制

富山県信用保証協会では、創業者向けの複数の保証制度を提供しています。「創業関連保証」や「県創業支援資金保証」などが代表的な制度であり、資金の使途や返済計画に応じて、柔軟な対応がなされています。保証協会の担当者は、保証業務にとどまらず、経営相談や財務改善のアドバイスにも応じており、起業準備段階からの相談相手として心強い存在となっています。制度に関する説明会や個別相談も開催されており、情報収集の場としても活用できます。

参考：富山県信用保証協会

各市町村が独自に設ける支援制度

富山県内の市町村でも、それぞれが創業者向けの融資支援制度や保証制度を設けています。たとえば富山市には「富山市創業者支援資金保証」、高岡市には「高岡市創業者支援資金保証」や「高岡市女性・若手起業者支援資金保証」などの制度があります。地域の課題や起業ニーズに応じて制度設計がなされているため、地元での起業を目指す方にとっては、より具体的かつ実践的な支援が受けられる可能性があります。申請には、市の担当課への事前相談が必要となる場合が多いため、各自治体の窓口に直接問い合わせることが大切です。

富山県の起業について相談できる窓口

起業に向けた準備を進める過程では、資金調達や事業計画、人材確保など、さまざまな課題が浮かび上がってきます。そうした場面で頼りになるのが、県内各地に設置された相談窓口です。専門的な視点から助言を受けることで、起業へのステップを確実に進めていくことができます。

地域密着型の相談窓口

富山県では、多くの市町村が地域密着型の相談窓口を設けています。たとえば、上市町産業課では、創業に関する相談や、起業家に適した支援機関の紹介、制度情報の提供などが行われています。町内での創業を希望する方が、地元の状況に即したアドバイスを受けながら準備を進めることができる点が特徴です。富山市内においても、複数の関係機関に創業相談窓口が設置されており、民間支援事業者のノウハウを活用した支援体制が整っています。各市町村の相談窓口では、相談者の事業内容やステージに合わせた支援が提供されており、より現実的なサポートが期待できます。

県内の主要支援機関

市町村の支援に加え、県全体を対象とした広域的な相談対応を行っている機関も存在します。代表的なものとして、富山県中小企業団体中央会や富山県新世紀産業機構が挙げられます。これらの機関では、創業に関する基本的な相談にとどまらず、補助金申請や融資制度の活用、販路開拓のアドバイス、ビジネスマッチングの支援など、多角的な支援を提供しています。富山県新世紀産業機構では、創業予定者向けに個別相談やセミナー、実務的な経営支援プログラムも用意されており、創業の初期段階から軌道に乗るまでを一貫してサポートしています。

参考：富山県中小企業団体中央会

よろず支援拠点

富山県よろず支援拠点は、創業や経営に関するさまざまな相談にワンストップで対応してくれる機関として、多くの創業者に利用されています。資金調達や集客、商品開発、事業承継など、経営全般に関わる課題を無料で相談することが可能です。創業間もない段階では、不安や迷いがつきものですが、専門知識を持ったアドバイザーが個別の課題に対して親身に対応してくれるため、経営の方向性を明確にしやすくなります。また、他の支援機関との連携も進んでおり、必要に応じて専門家の紹介や各種制度の案内なども受けられます。

参考：富山県よろず支援拠点

富山県の起業支援制度

富山県では、資金調達や相談窓口の設置だけにとどまらず、起業環境の整備にも力を入れています。

インキュベーション施設やコワーキングスペース

創業初期は、オフィスや作業場所の確保に課題を感じることが少なくありません。そうした中で、富山県内に設置されたインキュベーション施設やコワーキングスペースは、起業者にとって貴重な拠点となっています。高岡市には「TASU（高岡まちなかスタートアップ支援施設）」があり、富山市では「富山市四方チャレンジ・ミニ企業団地」や「SCOP TOYAMA」などが整備されています。これらの施設では、業務スペースの提供だけでなく、起業家同士の交流、支援機関との接点、さらには外部専門家からの助言を受ける機会も提供されています。単なるワークスペース以上の価値があり、起業に必要な環境が自然と整っていくよう工夫されています。

参考：高岡まちなかスタートアップ支援施設「TASU」

創業セミナーや交流イベント

富山県内では、創業希望者を対象としたセミナーやイベントが定期的に開催されています。テーマは多岐にわたり、経営の基礎知識、マーケティング手法、財務計画の立て方といった実務的な内容から、先輩起業家による経験談の共有まで幅広く網羅されています。こうした機会を通じて、知識の習得だけでなく、参加者同士のネットワークが自然と生まれていきます。また、イベント会場では地域の支援機関や金融機関の担当者と直接話ができるケースもあり、今後の事業展開に繋がるきっかけを得ることも可能です。起業準備中の方から、事業拡大を目指す方まで幅広い層に対応しています。

メンター制度と専門家派遣の活用

起業の過程では、判断に迷う場面や壁にぶつかる局面が出てくるものです。そんな時に力強いサポートとなるのが、経験豊富な先輩起業家や専門家によるメンタリング制度です。富山県では、「とやまエキスパート・バンク」などを通じて、創業者が抱える課題に対して専門的なアドバイスを提供しています。加えて、業種や課題に応じて最適な専門家が個別に派遣される制度も整っており、マーケティング、財務、人事など、幅広い分野での支援が受けられます。メンター制度を活用することで、経営判断に自信を持てるようになり、事業の方向性を見定める助けにもなります。

参考：とやまエキスパート・バンク

まとめ

富山県では、創業に関して総合的な支援体制が整えられています。県や市町村が実施する補助金・助成金制度により、創業に必要な初期資金の負担を軽減できるだけでなく、融資制度や信用保証制度も活用することで、資金繰りの面でも安心して事業をスタートさせることが可能です。また、富山県内にはインキュベーション施設やコワーキングスペースが点在しており、創業期の活動拠点として活用できるほか、専門家によるアドバイスや他の起業家との交流の場も提供されています。

これから創業を目指す方や創業間もない事業者にとって、こうした多角的なサポート体制は大きな安心材料となるでしょう。

自身のビジネスの方向性やステージに応じて、これらの支援制度を上手に活用しながら、一歩ずつ着実に事業を進めていきましょう。

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